社内にナレッジを蓄積する方法とは?ノウハウとの違いやメリットなどを徹底解説

社内にナレッジを蓄積する方法とは?ノウハウとの違いやメリットなどを徹底解説

ビジネス環境や雇用環境の変化が加速度的に増している昨今において、自社の持つ情報や知識を適切に蓄積しながら利用することは、より重要になってきています。そこでポイントとなってくるのが、『社内ナレッジ』です。

社内にナレッジを蓄積して適切に活用していくことは、業務の効率化や生産性の向上、業務の属人化を防ぐなど大きなメリットがあります。

そこで本記事では、社内ナレッジの概要から蓄積する方法、蓄積する際の注意点まで詳しく解説していきます。社内ナレッジの構築や運用を検討している方は、ぜひお読みください。

目次

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    社内のナレッジとは何を指すのか

    そもそも“ナレッジ”とは、『knowledge』から来ている和製英語で『知識』という意味です。そのため『社内ナレッジ』とは、自社内で全社的に共有されている知識や情報という意味になります。

    つまり、情報や知識が言語化され『自社の従業員がいつでもどこでも内容を確認できて業務に活用できるもの』が社内ナレッジです。社内ナレッジを蓄積していくことで多くの知見が集まっていきますので、業務の効率化や人材のスキルアップなどに活用することができるわけです。

    1-1. 暗黙知と形式知

    自社の従業員の知識や経験が社内で共有されていなければ、従業員個々の“個人ナレッジ”に留まってしまいます。このように、知識や経験が言語化されておらず、個々が所持してしまっている個人ナレッジを『暗黙知』と呼びます。

    社内ナレッジは、こうした暗黙知となっている個人ナレッジを言語化し、誰でもアクセスできるようにするものです。一方で、知識や情報を言語化し共有されるものを『形式知』と呼びますが、社内ナレッジはまさに形式知を活用していくものだといえるでしょう。

    1-2. ナレッジとノウハウ

    ナレッジに似た意味の言葉として『ノウハウ』があります。ノウハウにも知識や情報という意味がありますが、ナレッジと異なり“経験値”として得た知識や技術、手法といった意味合いも含まれます。

    ナレッジは企業活動における知識や情報を共有化したものであるのに対し、ノウハウは知識として習得するための経験といった違いがあるのです。

    意味合いは少し異なりますが、それぞれは相反するものではありません。従業員が持っているノウハウを言語化し、共有できれば、それらは『社内ナレッジ』となります。ノウハウは個々の従業員が所持しているままで終わってしまうことも多いですが、社内ナレッジとして管理することができれば、業務におけるさまざまな場面で有効活用できるのです。

    ※ナレッジの管理である「ナレッジマネジメント」の詳しい手法や注意点などが知りたい場合には、別途コラムをご用意していますので、こちらもご覧ください。


    社内にナレッジを蓄積するメリットとは

    社内にナレッジを蓄積するメリットは数多くありますが、ここでは2つ挙げて解説しましょう。

    メリット(1)業務プロセスの効率化と品質の安定化

    社内ナレッジを組織的に蓄積・活用することは、個々の業務から組織全体のプロセスに至るまで、大きな改善をもたらします。

    まず、これまで蓄積されてきた「成果が出た方法」や「有益な情報」、「ベテランスタッフのノウハウ」を良質なマニュアルとして活用することで、新人オペレーターでも容易に高品質な応対が可能となり、業務の効率化と生産性の向上が図れます。
    問い合わせ対応における後処理手順なども共有されるため、一件あたりの対応時間の短縮にもつながるでしょう。

    さらに、ナレッジの共有は業務の属人化を防止し、品質の安定化・平準化を実現します。特定の個人のスキルに頼るのではなく、共有されたナレッジを基盤とすることで、オペレーターごとの応対品質の差を埋め、スムーズな業務の引き継ぎを可能にします。「ベテランスタッフがいなくなると運営に支障が出る」といったリスクを回避し、継続的に高い顧客満足度を維持できる体制を構築できるのです。

    また、高度な知識が必要な製品やサービスを扱う場合でも、現場とオペレーターが共通のナレッジを参照することで認識の齟齬を解消できます。これにより、一貫した情報に基づいた対応が可能となり、無駄な確認や手戻りを防ぎ、業務プロセス全体の流れをよりスムーズで効率的なものにできるのです。

    メリット(2)人材育成とスキルアップへの貢献

    社内ナレッジの蓄積は、オペレーターの教育体制を根本から見直し、組織全体のスキルレベルを底上げする効果も持ちます。

    従来、新人オペレーターへの教育は、時間とコストをかけた詰め込み型の研修が一般的でした。しかし、社内ナレッジはベテランオペレーターの知識や経験が形式知として蓄積されます。
    例えば、「どのような点に注意しているか」「何を考えながら業務を行っているか」といった実践的な知見を明記しておくことで、新人オペレーターはこれらを参考にしながらスムーズに業務を開始できますし、一つのナレッジを作成すればいつでもスキル習得が可能になるため、継続的にかかる教育コストの削減につながります。

    また、この効果的なナレッジ活用は、応対品質の平準化だけでなく、短期間での品質向上も期待できます。個々のスキルに依存せず、常に「良い応対」の方法を共有できるため、一般的なトレーニングよりも短い期間で実践的なスキルを習得できる側面があります。

    さらに、ナレッジは定期的に内容をアップデートできるため、ベテランオペレーターも含めた全従業員がより良い方法を取り入れやすくなります。結果として、オペレーター全体のスキルアップが促進され、組織的な応対品質の向上を実現します。

    社内にナレッジを蓄積する方法とは?

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    社内ナレッジを蓄積するメリットを見てきましたが、続いてはその方法についてです。社内にナレッジを蓄積する主な方法として3つを挙げて解説していきましょう。

    方法(1)社内wiki

    1つ目は『社内wiki』です。『社内wiki』とは、「特定の企業内の情報を集積・共有する社内版Wikipedia(ウィキペディア)」のようなものです。

    一般によく使われている『Wikipedia』と同様に、社内の誰でも記事ページを作成、編集、閲覧することができる、いわば「社員みんなで作る会社の百科事典」ともいえるでしょうか。

    社内wikiを導入すれば、業務の疑問点などをすぐに確認でき、業務効率化や情報共有に役立ちます。特に、社内マニュアルや業務に関連するノウハウ、議事録の管理などが得意であり、簡単に整理できるのが強みでしょう。また、部署単位で必要なナレッジを整理でき、閲覧権限を細かく設定することも可能です。

    方法(2)オンラインストレージ

    2つ目は『オンラインストレージ』です。オンラインストレージは、クラウド環境を活用してデータの保管や共有が行えるツールのことです。代表的なオンラインストレージとしては『Googleドライブ』や『Dropbox』などが挙げられます。

    オンラインストレージの中にはストレージを無制限で利用できるものもあり、容量を気にせずにナレッジを蓄積することが可能です。他にも、インターネット環境があればいつでもどこでも確認でき、ファイルの共有や共同編集なども行えるといった特徴があります。

    一方で、社内wikiよりも情報整理に手間が掛かってしまうことも少なくありません。フォルダの使い分けなどのマニュアルを作成して、スムーズに運用ができるよう工夫することが必要になるかもしれません。

    方法(3)ナレッジマネジメントツール

    社内ナレッジの作成、管理、運用に特化した『ナレッジマネジメントツール』を活用する方法もあります。

    社内wikiやオンラインストレージは、ナレッジ共有以外にも利用が可能です。しかし、ナレッジマネジメントツールは、社内ナレッジの運用に特化したツールになりますので、管理のしやすさやナレッジの検索性に優れています。

    本格的な社内ナレッジの運用を検討している場合には、積極的に検討してみると良いでしょう。

    社内ナレッジの蓄積が上手くいかないケースとは

    社内ナレッジを運用していても、なかなか蓄積が上手くいかないケースもあるでしょう。ここでは、そんなケースを3つ挙げて解説してみます。

    ケース(1)社内ナレッジを蓄積する目的が浸透していない

    先ほどご紹介したような「ナレッジを蓄積するためのツール」を単に用意するだけでは、ナレッジは蓄積されていきません。全社的にナレッジの蓄積を目指すのであれば、「なぜナレッジの蓄積を行うのか」「ナレッジをどのように活用していくのか」を、全従業員で共有することが必要です。

    また、最初はスムーズにスタートしていても、運用を開始してからも定期的に「運用目的の説明」や「重要性の説明」を行わなければ、最新のナレッジが蓄積されずに古い情報のまま放置されてしまう恐れもあります。

    積極的にナレッジを記録したり、ナレッジを確認して業務効率化につなげてもらったりするためには、社内ナレッジを蓄積する『目的』をきちんと浸透させていくことが重要なのです。

    ケース(2)ナレッジが記録しにくい

    ツールを導入しても、“記録しにくい”ツールではナレッジの蓄積は難しいでしょう。

    “記録しにくい”というのは具体的に「入力手順がわかりづらい」「記録をするためのステップが多い」という場合です。スムーズな記録ができず、記録の完了までに時間が掛かってしまうと、蓄積をしていくことが面倒になってしまいます。

    記載する人が気軽に記録できるように、入力項目を最小限にして負担が掛からない仕組みにすることが重要です。また、導入するツールについても「見やすいか」「誰でも入力しやすいか」といった視点でインターフェースなどを事前に確認したほうが良いでしょう。

    ケース(3)膨大な情報に埋もれ、ナレッジの検索がしにくい

    ナレッジは蓄積されているけれども「情報が整理されておらず、乱雑に保管されている」などの場合、該当のナレッジを見つけることは困難です。そうなると、せっかく蓄積したナレッジが活用されず、「ナレッジは使えない」という認識になってしまいかねません。

    さらに、コールセンターにおけるナレッジの課題は、単に情報が埋もれていることだけではありません。特に新入社員が最初に直面するのは、膨大な情報量の壁です。
    マニュアルやFAQ、過去の形式知といった情報が整理されずに蓄積されていると、オペレーターは必要な文章やよくある質問を効率的に探すことができず、対応時に失敗する問題が発生します。

    これは、ナレッジが使える状態ではなく、知識の検索に作業時間がかかることを意味します。情報がどこにあるのか分からない、という最初の段階でつまずいてしまうと、ナレッジは有効に活用されることなく、定着は停滞してしまうのです。
    必要な知識をリアルタイムで見つけられる構造にすることが、ナレッジマネジメント成功の必須条件です。

    社内にナレッジを蓄積する際の注意点

    次に、実際に社内へとナレッジを蓄積させていく際に気をつけるべきこととして2つを挙げて解説します。

    注意点(1)マニュアルとルールを整備する

    社内ナレッジを運用する際には、マニュアルとルールを整備することで、スムーズな蓄積が進んでいきます。具体的なナレッジの共有方法に関するルールとしては、「業務フローごとにカテゴリー分けを行うようにする」「フォーマットに沿って入力していく」などが挙げられます。

    さらに、『ナレッジを記録する手順』をマニュアル化しておくことで、誰でも同じように記録することが可能になります。ただし、マニュアルやルールは担当者が独断で作成するのではなく、複数名で確認したうえで作成していくと良いでしょう。

    マニュアルとルールを整備し、誰でもナレッジを蓄積しやすい環境を整えることが重要です。

    注意点(2)ナレッジは定期的に確認し、アップデートする

    社内ナレッジは、定期的な確認と情報や知識のアップデートが求められます。確認したい内容を素早く取り出せるように整理しておき、情報に間違いがないかの精査も重要です。

    たとえば、必要となったナレッジが2年前に記録されてから更新されておらず、現在の環境に合っていない場合には、混乱を招いてしまいます。適切な運用を行うためにも、現在の状況に合ったナレッジになっているかどうかを定期的に確認し、情報をアップデートしていきましょう。

    また、ナレッジをアップデートする時期や手順などもマニュアル化しておくことで、担当者が変更になった場合でも引き継ぎをスムーズに行うことが可能になります。

    AIを用いたナレッジの蓄積・活用ならパーソルビジネスプロセスデザインへ

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    社内ナレッジの蓄積について解説してきましたが、ナレッジの活用と密接にあるのがコールセンターの運用です。コールセンターではナレッジの活用が非常に重要ですが、ナレッジの活用にもAIの導入は広がっていくと予想されています。

    AIを効果的に活用することでコールセンターの業務を効率化させる、オペレーターのモニタリングを客観的に行えるなど、導入する製品によってさまざまなメリットがあるのです。

    もし、“AIを用いたオペレーターの応対支援”を検討されている場合には、ぜひパーソルビジネスプロセスデザインのオペレーター応対支援ソリューション『AI Dig』をご活用ください。

    『AI Dig』は、お客さまとオペ―レーターの会話から、AIが回答候補を提示してくれます。応対データを毎日AIへ自動学習させることで、音声認識および検索精度を継続的に向上させることができます。

    さらに、モニタリングや品質管理機能も有しており、オペレーターのみならず、コンタクトセンター全体の業務効率化にも貢献します。

    AIを用いたコールセンターでの応対支援に関して、何かご不明点があればお気軽にご相談ください。

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