問い合わせ対応の種類
まず、企業の問い合わせ対応の種類を大きく分類すると「社内向け」と「社外向け」の2つに分けられます。それぞれについて簡単に説明していきましょう。
1-1. 社内向けの問い合わせ対応
1-1. 社内向けの問い合わせ対応
社内向けの問い合わせ対応としては、社内ヘルプデスクなどへの問い合わせに対しての対応が挙げられます。たとえば、「出張精算の方法を教えてほしい」「勤怠管理システムの使い方について教えてほしい」など、社内規定や業務に関連する質問が多くあるでしょう。
企業によっては『ヘルプデスク』として一括で問い合わせ対応を行っているケースもありますが、「システムはシステム担当部門」「出張精算については経理部門」のように、問い合わせ先を複数用意しているケースも少なくありません。
また、社内からの問い合わせに対しては、内線電話による対応、メールやチャットなどからの対応、対面による対応などさまざまな方法があります。
社内問い合わせ対応業務は、従業員の業務に大きく影響します。
担当部署が正確で一貫した回答を迅速に提供できれば、問い合わせをした従業員が本来の業務へ戻るまでの時間を短縮できます。また、FAQや社内ポータルを整備して自己解決を促すことで、問い合わせを受ける側の負担も抑えられます。
しかし、スムーズな回答ができないと、従業員の業務が停滞し、組織全体の生産性が低下する可能性があるため、適切な体制を整えておくことが求められます。
1-2. 社外向けの問い合わせ対応
1-2. 社外向けの問い合わせ対応
社外向けの問い合わせ対応は、ほとんどの企業が行っているといっても過言ではありません。
「自社が提供している製品やサービスについての問い合わせ」「担当営業や従業員、製品に対するクレーム」「製品やサービスの申し込み」など、顧客からの要望に応える窓口になります。
企業によっては担当部署を設けず、社内にいる人間が対応していることもあるでしょう。一方で、コールセンターを設けて専用窓口として機能させている企業もあります。
社外からの問い合わせに対してスムーズに対応するためには、製品やサービス、顧客についての情報を適切に把握しておくことが重要です。さらに、丁寧な対応を実施することも、顧客満足度の向上には必要になってきます。
顧客への対応を誤ってしまうとクレームなどにつながってしまい、顧客満足度の低下や契約の打ち切りにつながってしまう恐れもあります。
社外向けの問い合わせ対応は、顧客満足度や継続利用、企業への信頼、製品・サービスの改善にも影響するため、迅速かつ正確に対応できる体制が求められます。
問い合わせ対応が重要な5つの理由
では次に、問い合わせ対応が重要な理由として5つを挙げて解説します。
理由(1)顧客満足度の向上
理由(1)顧客満足度の向上
顧客と直接やり取りを行う問い合わせ対応業務は、
問い合わせの意図を正確に把握し、必要な情報や解決策を分かりやすく提供することは、顧客満足度を支える重要な要素です。
どんなに製品やサービスが素晴らしいものでも、サポートが丁寧でなければ、顧客満足度の向上には至りにくいものです。たとえば、自社で販売している製品やサービスを購入後、疑問点について問い合わせをした際に、杜撰な対応を受けてしまうと「次回はこの会社の製品を購入するのはやめよう」と思ってしまうでしょう。
問い合わせ対応業務には、顧客と良好な関係を構築して顧客満足度の向上につなげる役割が求められるのです。
理由(2)信頼性の向上
理由(2)信頼性の向上
問い合わせ窓口を設け、受付方法や対応時間、回答方針を分かりやすく示すことで、顧客が疑問や不満を伝えやすい環境を整えられます。
また、問い合わせ窓口があることで、顧客は企業に対する疑問や不満を直接伝えることができますので、「実際の企業の対応」を確認することができます。
さらに、問い合わせの受付から回答までを適切に管理し、誠実かつ一貫した対応を続けることが、企業への信頼を支えます。
理由(3)フィードバックの収集
理由(3)フィードバックの収集
問い合わせ窓口は、顧客が抱える疑問や不満、提案などを直接企業に伝える場を提供しています。この“直接的なコミュニケーション”は、顧客が実際に経験している問題や感じていることを企業側が詳しく把握するための手段として非常に有効です。
問い合わせ内容を統一した分類で記録し、製品、問い合わせ理由、解決状況、発生頻度などの観点から分析することで、繰り返し発生している問題や改善要望を把握しやすくなります。
また、顧客からの具体的な意見や要望は、製品やサービスの改善にも直結します。例えば、特定の機能に関する多くの不満が集まった場合には、その機能の改良が急務であると判断できます。これにより、顧客の期待に応える製品やサービスの提供が可能となっていきます。
理由(4)同業他社との差別化
理由(4)同業他社との差別化
製品やサービスが類似している場合、問い合わせのつながりやすさ、回答の速さ、解決までの手続きの分かりやすさなど、サポート体験が企業を選ぶ際の判断材料になることがあります。つまり、適切な対応ができる問い合わせ窓口を運営するだけでも、同業他社との差別化につながります。
理由(5)法的リスクの軽減
理由(5)法的リスクの軽減
問い合わせや苦情を適切に受け付け、事実関係を確認したうえで社内の担当部署へ連携する体制は、問題の早期把握と再発防止に役立ちます。また、製品の不具合や説明の不備、法令・社内規程への抵触が疑われる事象を把握する窓口としても重要です。
また、問い合わせ窓口を通じて受けたクレームや相談内容は、“記録”として保存されます。これにより、万が一法的な争いになった場合に、対応の経緯や内容を証拠として提示することが可能になります。
応対履歴を適切に記録しておくことで、過去の案内内容や対応経緯を確認しやすくなります。ただし、録音や応対記録に個人情報が含まれる場合は、利用目的、保存期間、閲覧権限、削除方法などを定め、関連法令や社内規程に沿って管理する必要があります。
さらに、企業が法令や規制に従って業務を行っているかどうかを確認するための“フィードバックを受ける窓口”としても機能します。顧客からの指摘や意見を通じて、法令違反の可能性がある問題を早期に発見し、是正措置を講じることができれば、企業はコンプライアンスを強化し、法的リスクを回避することができます。
問い合わせ対応業務における4つの課題
問い合わせ対応の重要性を見てきましたが、次に、問い合わせ対応業務における主な課題として4つを挙げ、解説しましょう。
課題(1)問い合わせ数の多さに対応できない
課題(1)問い合わせ数の多さに対応できない
問い合わせ件数に対して担当者が不足していたり、繁忙期や障害発生時に問い合わせが集中したりすると、応答率の低下や回答の遅延が起こりやすくなります。
たとえば、トラブル対応を扱っている問い合わせ対応窓口にもかかわらず、迅速に対応ができなければ、顧客は不信感を抱いてしまい、顧客満足度は低下してしまうでしょう。他にも、オペレーターの業務負担が増えたり、他の業務にも影響が出てしまったりするなど、問題は大きくなってしまいます。
課題(2)問い合わせ一件あたりの対応に時間が掛かる
課題(2)問い合わせ一件あたりの対応に時間が掛かる
製品や契約プラン、利用チャネルが増えると、問い合わせ内容によっては複数のシステムや部署を確認する必要が生じ、解決までに時間がかかることがあります。
つまり、オペレーターには複雑な問い合わせに対応できるスキルと知識が求められています。
そうなると問い合わせ一件に掛かる時間も増え、顧客を待たせてしまうことも増えるでしょう。複数の部署への確認や担当者間の引き継ぎが必要になると、その場で回答できず、折り返し対応になる場合があります。そうして待ち時間が増えれば顧客の満足度も下がりますし、オペレーター側の負担にもつながってしまいます。
問い合わせ内容の複雑化によって対応に時間がかかってしまう課題に対しては、オペレーターの回答業務をリアルタイムでサポートし、問い合わせ内容に応じて関連するナレッジや回答候補を提示する仕組みは、検索や確認にかかる時間を減らす選択肢の一つです。
課題(3)問い合わせ対応の品質に差が出てしまう
課題(3)問い合わせ対応の品質に差が出てしまう
ベテランのオペレーターと新人のオペレーターで問い合わせ対応の品質に差が出てしまうことも、課題の一つです。特に複雑な対応が求められる場合、知識やスキルの差がそのまま応対品質の差として出てくることが多くなってしまいます。
このような“属人的な対応”に終始してしまうと、スキルを持ったオペレーターに対応が集中してしまい、ベテランオペレーターが疲弊してしまうのはもちろんのこと、新人オペレーターが難しい問い合わせを経験したり、ベテランの判断過程を学んだりする機会が限られる可能性があります。
他にも、複雑な要件に新人オペレーターが誤った対応をしてしまい、クレームにつながってしまうなどの可能性もありますので、オペレーターによる応対品質に大きな差が出ないようにしなければなりません。
課題(4)問い合わせ内容を共有できない
課題(4)問い合わせ内容を共有できない
問い合わせ内容や解決方法のうち、再利用性があり、内容の正確性が確認された情報は、FAQや社内ナレッジとして活用できます。しかし、その問い合わせ内容を該当のオペレーターのみが把握している状態だと、他のオペレーターが同様の内容で問い合わせを受けても、同じ手順で解決策を探さないといけません。
これでは非常に効率が悪いですし、資産を活かせていないことになりますので、問い合わせ内容を共有する仕組みをいかに整えられるかが重要になるでしょう。
日々受けている問い合わせとその解決策は、企業にとって貴重な資産です。個人の頭の中だけにとどめず、組織全体で活用できる状態に仕組み化していくことが中長期的な効率化には欠かせません。
問い合わせ対応を効率化する方法とは?
では、具体的に「問い合わせ対応を効率化する方法」はあるのでしょうか?ここでは3つを挙げて解説していきます。
方法(1)マニュアルやFAQを整備する
方法(1)マニュアルやFAQを整備する
問い合わせ対応を効率化するには、顧客や従業員が自分で解決できる内容について、FAQやマニュアルなどの自己解決手段を整備することが有効です。そのためには、マニュアルやFAQを整備することが重要でしょう。たとえば、社内向けのヘルプデスクの場合、マニュアル類をしっかり整備しておくことで、従業員が自ら解決できる環境を作り出すことができます。
また、社外向けであれば、問い合わせ履歴を分析し、利用者が実際に使う言葉で質問と回答を作成するとともに、Webサイトやアプリ内の分かりやすい位置へ掲載することで、自己解決を促せます。FAQは、閲覧数、検索語、解決状況などを確認しながら継続的に改善することが重要です。
最近では、製品やサービスについて疑問点が出てきた際にFAQ内で検索をする人も少なくありません。そうした人向けにFAQを整備しておくことは、問い合わせ件数を減少させ、個別判断や専門的な対応が必要な問い合わせに、担当者がより多くの時間を使えることになりますので、業務効率化につながります。
方法(2)問い合わせ管理システムやツールを活用する
方法(2)問い合わせ管理システムやツールを活用する
問い合わせ対応を効率化させるためには、業務に特化したシステムやツールを活用するのも良いでしょう。たとえば、『問い合わせ管理システム』を利用することで、情報の一元管理や共有が簡単に行えます。多くのシステムにはオペレーター業務をサポートする機能も豊富にありますので、業務負担の軽減や生産性向上も期待できるでしょう。
他にも、問い合わせ業務に利用できる『チャットボット』などのツールを導入することで、業務を自動化させることも可能です。チャットボットは顧客からの問い合わせに対して、該当の回答を自動的に行ってくれます。
営業時間、手続き方法、配送状況など、回答条件が明確な問い合わせは、チャットボットやAIエージェントによる自己解決に適している場合があります。一方、個別判断や本人確認、感情への配慮が必要な問い合わせは、オペレーターへ円滑に引き継げる設計が必要です。
また、こうしたシステムやツールの導入を進める中で、近年特に注目を集めているのがAI技術です。チャットボットによる自動化だけでなく、自動応答に加え、通話内容のテキスト化・要約、回答候補の提示、問い合わせの分類、品質評価など、AIを活用した応対支援機能も選択肢となります。
方法(3)アウトソーシングを活用する
方法(3)アウトソーシングを活用する
そもそも問い合わせ対応業務を社内リソースのみでカバーするのではなく、外部へアウトソーシングする方法も効果的です。
昨今では多くの企業が問い合わせ対応業務のアウトソーシングサービスを展開しており、委託先が提供するサービス範囲に応じて、一次受付、定型問い合わせ、夜間・休日対応、専門窓口など、委託する業務範囲を設計できます。アウトソーシングを効果的に活用できれば、自社のリソースをコア業務に集中できるなどのメリットもあるでしょう。
問い合わせ対応の効率化を目指す際のポイント
効率化する方法についてご紹介しましたが、では具体的に『効率化を目指す際に押さえておくべきポイント』として、3つを挙げて解説しましょう。
ポイント(1)運用体制を整備する
ポイント(1)運用体制を整備する
問い合わせ対応業務を効率化させるためには、運用体制をしっかりと整える必要があります。万全な状態でスタートさせたとしてもトラブルや課題は出てくるものですので、応答率、一次解決率、平均処理時間、保留時間、転送率、自己解決率、再問い合わせ率、顧客満足度など、目的に合った指標を設定し、導入前後の変化を継続的に確認することが重要です。
特に、システムやツールを導入する際は、導入前の数値を把握し、導入後に同じ条件で比較できるようにしておく必要があります。システムやツールは導入して終わりではなく、正しく運用して効果を出すことが重要ですので、そのための体制をきちんと整えていきましょう。
ポイント(2)問い合わせ内容を分析する
ポイント(2)問い合わせ内容を分析する
自社にどのような問い合わせ内容が多いのか、オペレーターが対応している時間はどれくらいかなどを明確に分析しましょう。現状を正しく把握しなければ、間違った対策を施してしまい効果が発揮できないため、まずは問い合わせ件数、内容、チャネル、対応時間、解決状況など、取得可能なデータから優先的に分析しましょう。
繰り返し発生している問い合わせをFAQとして公開し、利用者が見つけやすい導線を設けることで、自己解決率の向上や担当者の負担軽減が期待できます。また、現状を正確に把握することで「どの程度の改善を目指すべきなのか」「生産性をどの程度上げるべきなのか」が明確になるはずです。
ポイント(3)自社の課題にあわせたシステムやツールを選定・導入する
ポイント(3)自社の課題にあわせたシステムやツールを選定・導入する
システムやツールを設置する際には、そもそも自社の課題にあわせたものにすることが重要です。たとえば「チャットボットのツールを導入したい」と考えても、自社の実際の課題にあっていなければ、効果は得られずコストだけが膨らんでしまいます。
システムやツールありきではなく、自社の抱えている課題から逆算して、導入するシステムやツールを考えていきましょう。
問い合わせ対応の効率化ならパーソルビジネスプロセスデザインへ
問い合わせ対応を効率化するには、FAQやマニュアルを整備するだけでなく、蓄積されたナレッジをオペレーターが必要なときに活用できる仕組みを構築することが重要です。特に、問い合わせ1件あたりの応対時間が長い、ベテランに対応が集中する、オペレーターごとに応対品質が異なるといった課題には、ナレッジの検索・共有・更新を日々の応対業務に組み込む必要があります。
パーソルビジネスプロセスデザインが提供するオペレーター応対支援ソリューション「AI Dig」は、コンタクトセンターやヘルプデスクのKCS運用に特化したAIシステムです。
お客さまとオペレーターの会話をリアルタイムに音声認識してテキスト化し、問い合わせ内容に関連するナレッジや回答候補をAIが提示します。オペレーターは大量の情報を一から探す必要がなくなり、経験やスキルに左右されにくい、迅速で安定した応対を目指せます。
また、応対で得たデータをAIへ継続的に学習させることで、音声認識やナレッジ検索の精度向上を図れます。さらに、リアルタイムモニタリング、対話ログの分析、オペレーター別の分析など、応対品質の管理や教育に活用できる機能も備えています。
これにより、AHTの短縮、ナレッジの資産化、属人化の解消、新人オペレーターの早期戦力化、応対品質の向上を支援し、コンタクトセンター全体の生産性向上とコスト削減につなげます。
パーソルビジネスプロセスデザインでは、ツールの提供だけでなく、課題や業務内容のヒアリング、適用範囲と期待効果の整理、導入プロジェクトの推進、導入後の運用改善まで伴走します。現在のナレッジ運用に課題がある場合も、運用体制の立て直しを含めてご相談いただけます。
「問い合わせ対応に時間がかかっている」「ベテランに頼った運用から脱却したい」「ナレッジを十分に活用できていない」とお悩みの方は、ぜひオペレーター応対支援ソリューション「AI Dig」をご検討ください。実際の運用を確認できるデモンストレーションも可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。