自治体アウトソーシングとは?委託できる業務内容とメリット・導入事例を解説

自治体アウトソーシングとは?委託できる業務内容とメリット・導入事例を解説

少子高齢化の進行に伴う労働人口の減少は、企業だけでなく自治体にとっても深刻な課題となっています。職員数が限られる中で、住民サービスの維持・向上を求められる一方、行政ニーズは多様化・高度化しており、従来の体制だけでは対応が難しくなりつつあります。

こうした状況を背景に注目されているのが、自治体アウトソーシング(自治体BPO)です。業務の一部を外部に委託することで、職員の負担を軽減しながら、業務効率化やDX推進を実現する手段として、多くの自治体で活用が進んでいます。

本記事では、自治体アウトソーシングの基本的な考え方や導入メリット、委託できる業務内容について解説します。あわせて、実際の導入事例にも触れながら、現場での活用イメージを紹介します。

また、自治体アウトソーシングはコスト削減や人材不足への対応にとどまらず、自治体DXを推進するための有効な手段としても位置づけられています。本資料では、具体的なアウトソーシングサービスや導入事例を交えて詳しく解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。

【資料】公共BPOサービスの特徴や強みを徹底解説

【資料】公共BPOサービスの特徴や強みを徹底解説

  • 公共BPOサービスの対象範囲
  • パーソルビジネスプロセスデザインの対応業務例
  • 導入から運用までのステップ
  • 3つの導入事例

目次

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    自治体アウトソーシングとは、自治体業務の一部を外部に委託すること

    アウトソーシングとは、業務に必要な人材やサービスを外部から調達し、業務効率化や生産性向上を図る経営手法です。自治体や行政分野でも活用が広がっており、自治体が民間企業に業務の一部を委託する取り組みを「自治体アウトソーシング」または「自治体BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」と呼びます。

    自治体アウトソーシングでは、契約に基づき業務を受託会社に任せるため、自治体職員が個々のスタッフに直接指示を出すことはありません。契約形態は主に業務委託契約であり、業務に従事するスタッフの雇用・管理は受託会社が行います。

    近年、自治体向けのアウトソーシング(BPO)は、職員不足やDX推進を背景に導入が進んでいます。2024年度の自治体向けBPO市場規模は約5.1兆円とされ、今後も緩やかな成長が見込まれています(※)。

    また近年の自治体アウトソーシングは、単なる業務の外部委託にとどまらず、業務プロセスの設計・見直し(BPR)やデジタル技術の活用(DX)と組み合わせて導入されるケースが増えている点も特徴です。

    (※)出典| 自治体向けBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査を実施(2025年) |株式会社矢野経済研究所


    自治体アウトソーシングが注目されている背景

    自治体アウトソーシングが注目されている背景として、以下の3点が挙げられます。ここで詳しく解説していきます。

    • 少子高齢化の加速による人材不足
    • 社会環境の変化と共に多様化する市民の要望への対応
    • アウトソーシングが可能な自治体業務

    少子高齢化の加速による人材不足

    株式会社日本総研が発表した「 地方公務員は足りているか―地方自治体の人手不足の現状把握と課題― 」によると、2030年の地方公務員の需要が89.6万人であるのに対して、供給は82.3万人と試算されています。さらに、2045年は83.9万人の需要に対して供給は65.4万人です。充足率は78.0%であり、行政サービスの維持が困難になることが懸念されます。

    特に地方では職員の高齢化が加速する一方で、若者は都市部へ流出する傾向にあります。また、過疎化や平成の大合併により面積が広がった自治体では、職員一人が担当するエリアも拡大しており、迅速かつ十分な対応ができないケースも少なくありません。このように限られた人的リソースの中で、充実した行政サービスを住民に提供することを目的として、自治体アウトソーシングが重宝されています。

    実際に、政令市や中核市などを対象とした調査では、約58%の自治体がフロントヤード・バックヤード改革を目的にBPOを導入している(※)ことがわかっています。

    (※)出典| <自治体のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)に関する実態調査> 自治体の約6割がフロントヤード改革・バックヤード改革のためにBPOを導入 |パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社


    社会環境の変化と共に多様化する市民の要望への対応

    現在、市民が求める住民サービスは、ライフスタイルや考え方の多様化・複雑化、テクノロジーの進化などが影響し、大きく変わりつつあります。例えば、ハード面の整備よりも子育て支援や福祉の充実、地域産業振興といったソフト面のサポートを求める声が増えています。

    こうした幅広いニーズに対応するには従来の考え方や知識、スキルだけでは困難です。そこで、専門的かつ先進的な技術やノウハウを持つ民間企業にアウトソーシングを依頼し、住民の希望に寄り添った行政サービスを目指す自治体が増えています。


    緊急課題となったデジタル変革への推進

    少子高齢化が進む地域の自治体では、行政サービスを必要とする高齢者が増加する一方で、それを担う職員数は減少しています。このような状況下で持続的に行政サービスを提供していくためには、業務効率化につながるDXの推進が不可欠です。

    しかし、企業と比較すると自治体のDXは十分に浸透しているとはいえません。デジタル庁が公開する「 自治体DXの取組に関するダッシュボード 」(2024年7月更新)によると、DX推進の全体方針や体制整備の状況には自治体間で大きな差があり、特に小規模自治体では取り組みが進んでいないケースが見られます。

    背景には、デジタル人材の不足という構造的な課題があります。総務省の資料「 自治体DX推進に向けた総務省の施策について 」(2025年10月更新)では、市町村のうち57.6%がデジタル人材確保育成の方針を策定しておらず、その主な要因として「人的余裕のなさ」が挙げられています。人材育成やDX推進に十分な時間やリソースを確保できない自治体も多いのが実情でしょう。

    こうした課題を解決する手段として注目されているのがアウトソーシングです。専門知識を持つ外部の企業を活用することで、限られた職員体制のままでも、本来業務に集中しながらDXを段階的に進めることが可能になります。

    また、自治体DXが進まない背景には、制度や技術以前に、組織体制や人材面の課題が複雑に絡んでいます。こうした課題や、DXを前に進めるための考え方については、以下の記事で詳しく解説しています。

    関連記事|自治体DXの推進に立ちはだかる6つ課題と推進するポイントを解説

    関連記事|デジタル人材が不足する原因と4つの解決方法|DX人材も併せて解説


    アウトソーシングが可能な自治体業務

    アウトソーシングで対応できる自治体業務は、住民との接点となるフロント業務から、内部事務を担うバックオフィス業務まで多岐にわたります。主な業務例は以下の通りです。

    • 窓口業務(各種証明書対応、児童手当の受付、税務関連など)
    • 電話対応
    • マイナンバー申請
    • 支援金・給付金などの関連業務
    • 行政サービスのデジタル化
    • 多言語対応バックオフィス業務(申請書類の確認、不備の確認・差し戻し、システム入力、市民への郵送・振込など)
    • 行政事務センターの運営(郵送・オンライン申請の受付・処理、書類の発送・振込など)

    中でも、窓口業務や電話対応はアウトソーシングの活用が進んでいる領域です。コールセンターを活用することで、問い合わせ対応の平準化や職員の負担軽減につながります。あわせて、窓口で受け付けた申請の処理や事務センター運営までを一括して委託するケースも増えています。

    また、問い合わせが集中しやすい支援金・給付金関連業務においても、繁忙期の業務量を外部で吸収することで、安定した住民対応を実現できます。

    さらに近年では、行政サービスのデジタル化や多言語対応など、専門的な知見が求められる領域でアウトソーシングが活用されています。オンライン申請の導入や、AI-OCR・RPAを活用した業務自動化を進めることで、DX推進と業務効率化を同時に実現することが可能です。


    自治体がアウトソーシングを活用する4つのメリット

    アウトソーシングを活用するにあたって、どのようなメリットが得られるかを把握しておくことが大切です。自治体がアウトソーシングを活用する4つのメリットをご紹介します。


    人員配置の最適化によるコスト削減

    繁忙期と閑散期の差が大きく、業務量に見合った人員配置が難しい自治体では、結果として余剰な人件費が発生しているケースも少なくありません。

    アウトソーシングを活用することで、業務プロセスやフローの見直しが進み、オンライン化やRPA導入といったデジタル施策を前提とした、最適な人員体制の再設計が可能になります。

    例えば、週末や月末、制度改正の時期など、特定のタイミングで業務が集中する部署では、一時的に人員を増やす必要があります。こうした業務特性に応じて、パートスタッフや外部リソースを柔軟に活用することで、過不足のない人員配置を実現し、余剰になりがちな人件費を抑えることができます。

    さらに、業務に必要なスキルや経験に応じて専門性のある人材を適切に配置することで、作業効率が向上します。その結果、労働時間の短縮や残業時間の削減につながり、コスト削減と業務品質向上の両立が期待できます。


    人材不足の解消につながる

    少子高齢化の進行により、生産年齢人口は年々減少しており、自治体においても人材不足は深刻な課題となっています。その一方で、住民のニーズは多様化・複雑化しており、行政サービスにはこれまで以上の質や柔軟性が求められています。

    しかし、限られた職員数のまま業務範囲が拡大すると、十分なサービス提供が難しくなるだけでなく、既存職員への業務負荷が増大し、疲弊や属人化につながる懸念もあります。

    また、従来の採用手法では、自治体が必要とする専門スキルや経験を持つ人材を確保することが難しいケースも少なくありません。特に、デジタル分野や業務改革に関わる専門性の高い人材へのニーズは、民間企業だけでなく自治体においても高まっています。

    こうした状況の中で、アウトソーシング(BPO)を活用することで、人材不足そのものの解消に加え、業務負荷の軽減や業務品質の向上といった課題への対応が可能になります。必要なスキルを持つ外部人材を活用することで、自治体職員は本来注力すべき企画・調整業務に集中できます。

    実際にBPOを導入している自治体を対象とした調査では、業務効率化を実感した自治体が66%、職員負荷の軽減を実感した自治体が58%という結果が示されています。これらのことからも、自治体アウトソーシングは人材不足に対する有効な選択肢の一つといえるでしょう。

    出典| <自治体のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)に関する実態調査> 自治体の約6割がフロントヤード改革・バックヤード改革のためにBPOを導入 |パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社


    サービスや住民満足度の向上につながる

    アウトソーシングによって、日常的に発生する定型的・煩雑な業務を外部に任せることで、自治体職員は本来注力すべき業務に集中できるようになります。その結果、住民一人ひとりの状況に応じた、より丁寧で寄り添った対応が可能になります。

    また、専門知識やスキルが求められる業務についても、その分野に精通した業務委託会社を活用することで、安定した品質のサービス提供が実現します。業務の属人化を防ぎ、対応のばらつきを抑えられる点もアウトソーシングのメリットです。

    自治体は、住民の生活を支え、暮らしやすい地域社会を維持・向上させる役割を担っています。アウトソーシングを活用して住民サービスの質が高まれば、その成果は住民満足度の向上として表れ、自治体への信頼にもつながっていくでしょう。


    DXの推進につながる

    自治体におけるDXは喫緊の課題である一方、デジタル人材の不足などを背景に、思うように取り組みが進んでいないケースも少なくありません。そもそもDXとは、デジタル技術を活用して業務や組織、プロセス、さらには働き方や風土までを変革する取り組みであり、単にシステムを導入するだけでは実現できません。

    DXを成功させるためには、デジタル技術の知見に加え、業務全体を俯瞰して課題を整理する視点や、業務プロセスを再設計するマネジメント力、さらには新たなサービスを構想する発想力が求められます。

    アウトソーシングを活用することで、自治体の現状や課題を踏まえた施策提案や実行支援を受けることができ、限られたリソースの中でもDXを段階的かつ効率的に進めることが可能になります。


    自治体がアウトソーシング委託先を選ぶ際の注意点

    自治体がアウトソーシングの業務委託会社を選ぶ際は、主に下記3つの項目を押さえておくことが大切です。

    • 料金体系(自治体アウトソーシングの費用構造)
    • 自治体アウトソーシングの実績があるか
    • 自治体業務を前提としたセキュリティ体制

    料金体系(自治体アウトソーシングの費用構造)

    自治体アウトソーシングの費用は、委託する業務内容や契約形態、調達方式によって大きく異なります。自治体の場合、民間企業のように任意で複数社から見積もりを取得するのではなく、業務内容や目的を整理した上で、入札や公募型プロポーザルなどの手続きを通じて委託先を選定するケースが一般的です。

    例えば、人材派遣に該当する業務では、作業内容にかかわらず時間単価を基準とした契約が用いられることがあります。一方、業務委託(請負契約)として実施する場合は、成果物や業務範囲を明確に定めた上で、業務単位での費用算定が行われるのが一般的です。

    また、法律行為以外の業務を対象とする準委任契約では、委託する業務の範囲や想定業務量、必要な体制やツールなどを整理したうえで、事業者から提示される実施体制や想定工数をもとに費用が算出されます。この場合、価格だけでなく、運営体制や業務遂行方法を含めて総合的に評価されることが多くなります。

    いずれの契約形態においても、業務量や制度変更、繁閑の差などによって実際の負荷が変動する可能性があるため、調達前の段階で業務内容や委託範囲をできるだけ具体的に整理しておくことが、適切な費用設定と円滑なアウトソーシングにつながります。


    自治体アウトソーシングの実績があるか

    業務委託会社の実績も、選定時に確認すべき重要なポイントです。ただし、実績が豊富であっても、民間企業向けの経験と自治体向けの経験では求められる知識や対応力が異なる点には注意が必要です。

    自治体業務では、制度理解や住民対応、公的業務特有のルールが求められる場面も多く、自治体アウトソーシングの経験がない場合、期待した効果が得られない可能性もあります。

    そのため、自治体アウトソーシングの実績や、類似する行政業務での対応経験があるかを事前に確認することが、アウトソーシングの成功につながります。


    自治体業務を前提としたセキュリティ体制

    自治体では、地域住民の個人情報や公的なデータなど、慎重な取り扱いが求められる情報を扱います。アウトソーシングを利用する場合、これらの情報を外部企業と共有することになるため、十分なセキュリティ対策が講じられているかの確認は必須です。

    具体的には、セキュリティポリシーの有無やアクセス制限、データの暗号化といった基本的な対策に加え、プライバシーマークやISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)などの認証取得状況も確認しておくと安心です。

    また、万が一トラブルが発生した場合に備え、契約段階で責任の所在や機密保持に関する規定を明確に定め、双方で合意しておくことも欠かせません。


    自治体のアウトソーシング活用事例

    ここでは、自治体のアウトソーシング活用事例を2つご紹介します。アウトソーシングを活用する際の参考に、ぜひご一読ください。


    自治体BPO×DXによる業務効率化と職員の負担軽減|福岡市さま事例

    福岡市さまでは、高齢者の社会参加を支援する「高齢者乗車券交付事業」において、年間約16万件にのぼる申請対応が発生していました。特に申請が集中する繁忙期には、区役所窓口の混雑や職員の業務負荷が大きな課題となっていました。

    そこで同市は、パーソルビジネスプロセスデザインと連携し、申請受付業務をアウトソーシング。郵送・オンライン申請への移行にあわせて、AI-OCRやRPAを活用したBPOの体制を構築しました。

    その結果、手作業による入力や確認作業が大幅に削減され、申請から交付までのリードタイム短縮を実現。オンライン申請者の約7割が電子交付を選択するなど、住民の利便性向上にもつながりました。

    業務負荷が軽減されたことで、職員は企画・調整業務など本来注力すべき業務にリソースを振り向けられるようになり、BPOとDXを組み合わせた持続可能な行政運営モデルを確立しています。

    BPO活用事例|福岡市福祉局さま

    BPO活用事例|福岡市福祉局さま

    年間16万件の申請処理を刷新。福岡市がBPOとAI活用で実現した市民サービスの向上


    業務標準化から始める自治体BPO活用|札幌市さま事例

    札幌市こども未来局さまでは、幼児教育・保育無償化制度の開始や制度改正に伴い、申請・認定・償還といった事務手続きが大幅に増加していました。加えて、市内10区で業務フローや運用方法が異なり、業務の属人化や非効率化が課題となっていました。

    こうした状況を受け、同市はパーソルビジネスプロセスデザインと連携し、官庁・地方公共団体向けBPOサービスを導入。庁舎外に事務センターを設置し、業務プロセスの標準化と繁閑に応じた柔軟な人員配置を行いました。

    統一マニュアルの整備やオペレーションの見直しにより、制度改正に伴う大量の申請業務にも安定的に対応できる体制を構築した結果、職員の事務作業時間が大幅に削減され、制度設計や改善といった本来の基幹業務に注力できる環境を実現しています。

    BPO活用事例:札幌市こども未来局さま

    「10区10様」の業務プロセス標準化からBPOを推進。外部委託の障壁を乗り越え、継続的な業務改善サイクル創出を導く


    自治体アウトソーシングの活用を検討される際はパーソルビジネスプロセスデザインへご相談ください

    少子高齢化が進む中で、限られた職員体制のまま質の高い住民サービスを維持・向上させていくことは、自治体にとって大きな課題となっています。人材不足への対応や住民ニーズの多様化、DXの推進など、複数の課題に同時に向き合う必要があります。

    自治体アウトソーシングは、こうした課題に対して有効な選択肢の一つです。専門的なスキルやノウハウを持つ外部人材を活用することで、人材確保や育成の負担を抑えながら、業務効率化やDX推進を進めることができます。

    アウトソーシングを検討する際には、委託可能な業務範囲や具体的な導入イメージ、注意すべきポイントを事前に把握しておくことが重要です。

    パーソルビジネスプロセスデザインでは、自治体アウトソーシングの活用を検討されている方向けに、対応可能な業務内容や導入事例、導入時のポイントをまとめた資料をご用意しています。 「自治体ではどこまで委託できるのか」「他の自治体ではどのように活用されているのか」といった疑問をお持ちの方は、ぜひ資料をご覧ください。

    【資料】公共BPOサービスの特徴や強みを徹底解説

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    • 公共BPOサービスの対象範囲
    • パーソルビジネスプロセスデザインの対応業務例
    • 導入から運用までのステップ
    • 3つの導入事例

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