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ヘルプデスクアウトソーシングとは|外注で解決できる課題と注意点
ヘルプデスクアウトソーシングは、問い合わせ対応を外部に任せるだけでなく、ITサポートの運用そのものを見直すきっかけにもなる手段です。ここでは定義と、外注で解決できる課題、注意点を整理します。
定義とサービスデスクとの違い
ヘルプデスクアウトソーシングとは、PCやシステム、アカウントなどに関する問い合わせ対応やトラブル対応を、外部の専門事業者に委託することです。「ヘルプデスク代行」「外注」「BPO」と呼ばれることもあります。
よく混同される言葉に「サービスデスク」があります。両者の主な違いは、対応の範囲と姿勢です。
| 項目 | ヘルプデスク | サービスデスク |
|---|---|---|
| 主な役割 | 発生したトラブルや質問への対応 | ITサービス全体の窓口として、要求・障害・改善を一元管理 |
| 姿勢 | 問い合わせを受けてから対応する | 傾向を分析し、再発防止まで取り組む |
| 品質管理 | 個々の対応品質を確保 | SLAに基づき組織的に管理 |
ITサービス管理の枠組みであるITILでは、サービスデスクは利用者とIT部門をつなぐ「単一の窓口(SPOC)」と位置づけられています。中堅・大企業が委託先を選ぶ際は、問い合わせに答える力に加えて、サービスデスクとしての改善力があるかにも目を向けておくと安心です。
外注で解決できる課題(工数のひっ迫・属人化・夜間休日対応)
SaaSの普及やテレワークの定着によって、ヘルプデスクに寄せられる質問の種類は以前より広がりました。少人数で対応を続けるうちに、IT戦略や統制の整備が後回しになっている企業もあるのではないでしょうか。
外注によって改善が期待できる課題は、主に次の3つです。
| 課題 | 外注で期待できる効果 |
|---|---|
| 工数のひっ迫 | パスワード再設定や操作方法など定型的な問い合わせを任せ、社内要員を企画や統制の業務に回せる |
| 属人化 | 特定のベテランに頼っていた対応を、マニュアルとナレッジに基づく標準的な対応に置き換えられる |
| 夜間・休日対応 | 委託先の交代制の体制を活用し、24時間365日の受付を実現しやすくなる |
たとえば、正社員と派遣社員の混成チームで対応している企業では、件数の増加に人員の補充が追いつかなくなるケースがあります。こうした場合、人を増やし続けるよりも、対応を標準化したうえで外部の力を借りるほうが、長く安定した体制を保ちやすいと考えられます。
外注のデメリットとリスク
一方で、外注には次のようなリスクもあります。
- 社内にノウハウが残りにくい
- 自社固有のシステムを委託先が理解するまでに時間がかかる
- 情報漏えいの可能性がある
- 契約内容によっては、想定より費用がかさむ
自社に合うタイプがわかる早見表(4タイプ)
ヘルプデスクアウトソーシングを選ぶ際は、まず自社が解決したい課題を整理し、それに合うタイプから候補を絞り込むと検討を進めやすくなります。本記事では、各社のサービスの特徴をもとに、次の4つのタイプに整理しています。
| 自社の一番の課題 | 合うタイプ |
|---|---|
|
品質・運用改善型 |
|
現地対応・インフラ型 |
|
問い合わせ削減型 |
|
中小規模向け情シス代行型 |
複数のタイプに当てはまる場合は、自社で最も困っている課題を軸に選ぶと、候補を絞り込みやすくなります。
タイプ別に見る主要ヘルプデスクアウトソーシング会社10選
ここでは、主要10社を4つのタイプに分け、各社が公開している情報をもとに「主な特徴」と「向いている企業」を紹介します。早見表で確認した自社の課題と照らし合わせながら、候補を検討してください。
なお、この分類は理解をしやすくするための整理であり、各社のサービスが特定のタイプにのみ該当することを意味するものではありません。実際には複数のタイプにまたがる場合や、別のサービス展開を行っている企業もあります。公開情報だけでは確認できない項目もあるため、具体的な対応条件は各社への問い合わせや提案内容で確認してください。
(1)品質・運用改善型(品質管理・24時間・多言語に強い)
コンタクトセンター運営で培った品質管理の仕組みを持つタイプです。大量の問い合わせを安定して処理し、改善提案まで委託先に期待したい企業に向いています。
1. パーソルビジネスプロセスデザイン
主な特徴
問い合わせ対応に、FAQシステムやAIチャットボット、キッティング、ITインフラ運用、コンサルティングなどを組み合わせ、企業ごとの課題に合わせてヘルプデスクを設計・構築します。運用開始後はAIと有人対応を連携させ、KCSを軸にナレッジを更新し続けることで、FAQやAIの回答精度を高めながら改善提案を続けます。
「HDIサポートセンター国際認定(七つ星)」を2018年より取得しており、HDIと共に業界をリードする、国内唯一のストラテジックパートナーとしても公認されています。24時間365日の受付や英語での対応も可能です。
向いている企業
問い合わせ対応やFAQ・AI、端末・インフラ運用などを組み合わせ、自社の課題に合ったヘルプデスクを構築・運用したい企業。
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2. ベルシステム24
主な特徴
40年以上にわたり、コンタクトセンターなど各種BPOサービスを提供してきた企業です。社内ヘルプデスクでは、システムやアプリケーション、IT機器についての問い合わせに、解決まで対応します。
オプションとして、業務の見直しと外部に任せる範囲の選定を行う業務アセスメントがあります。端末の導入計画からキッティング、ライセンス管理までを担うLCMや、特設サイト・動画マニュアル・研修代行による定着化支援も用意されています。24時間365日の外国語対応や常駐での提供も可能です。
向いている企業
夜間や休日の対応要員を確保しにくい企業。PCやタブレット、スマートフォンの管理が煩雑になっている企業。
3. トランスコスモス
主な特徴
業務システムの導入にあたって、教育カリキュラムの策定から展開、導入後のフォローまでを一括で提供するサポートデスクサービスです。メニューは4つあり、共通のFAQを活用するITヘルプデスクのほか、業務の専門知識を持つ担当者が利用者の立場で対応する業務ヘルプデスクがあります。
さらに、新しいシステムの立ち上げを支援するロールアウトや、リース調達・購買・請求処理などを担う情報システムバックオフィスにも対応しています。お客様先への常駐と自社センターを組み合わせ、多言語・24時間365日のサポートにも対応しています。
向いている企業
業務システムやERPの導入を控え、計画や教育から問い合わせ対応までをまとめて任せたい企業。
(2)現地対応・インフラ型(オンサイト・IT運用作業に強い)
現地での機器対応やインフラ運用まで任せやすいタイプです。
4. SCSKサービスウェア(PrimeDesk®)
主な特徴
社内ユーザーからの問い合わせ対応に加え、セキュリティ対策、IT機器やソフトウェアの調達、運用・保守まで、IT運用を一括で提供するサービスです。ITILやCOPCといった国際的な枠組みと、30年を超えるヘルプデスク運用で蓄えたノウハウをもとに、独自の運用方法を作っています。
これにより、品質の向上とコストの最適化を図っています。運用形態は、オンサイト、全国13拠点19センターを活用したセンター型、両者を組み合わせたハイブリッドから選べます。
向いている企業
ヘルプデスクに加え、IT機器の調達や運用・保守、情報セキュリティ対策までまとめて任せたい企業。
5. OKIクロステック
主な特徴
お客様の社内IT部門に代わって、ハードウェアやソフトウェアに関するユーザーサポートとヘルプデスクの運用を代行するサービスです。PCやスマートフォン、Microsoft 365などの操作方法への回答に加え、障害時の切り分け支援や遠隔操作での解決にも対応しています。
機器を紛失したときに遠隔でロックする対応もあります。全国約180拠点・約3,200名の体制を活かし、現地修理の手配までまとめて対応します。
向いている企業
問い合わせ対応に加えて、現地での機器修理まで一つの窓口で任せたい企業。
6. シーイーシーカスタマサービス
主な特徴
ITの知識と経験を持つ社員が、お客様の社内で使っている業務システムのサポートを代行するサービスです。WindowsやOffice 365の利用方法、ライセンス管理、パスワードリセットへの対応に加え、マルウェアを検出したときやセキュリティインシデントが起きたときのサポートも行います。
入社・異動・退職・組織変更に伴うユーザーの登録・削除・変更や、アクセス権を設定した共有フォルダの変更、PCのOSアップグレードやバックアップも依頼できます。お客様先への常駐とリモート対応を組み合わせて提供します。
向いている企業
社内ヘルプデスクの担当者が足りない、または対応が特定の担当者に偏っている企業。アカウント管理や共有フォルダの設定など、日々のIT運用作業もまとめて任せたい企業。
(3)問い合わせ削減型(FAQ・AIとの併用に強い)
有人対応とFAQやAIを組み合わせ、問い合わせの件数そのものを減らす仕組みづくりに強みを持つタイプです。
7. ReSM plus
主な特徴
情シス・総務・人事・経理といったコーポレート部門への社内問い合わせを、AIと専任オペレーターが一つの窓口で受けるサービスです。FAQの整備や改善の運用まで代行します。
社員がポータルの検索窓に質問を入力すると、生成AIが24時間回答します。AIで解決できない質問は、専任オペレーターが電話や問い合わせフォームで対応します。パスワードの初期化やアカウント発行を実行まで代行するメニューもあります(オプション・別途費用)。
向いている企業
問い合わせ窓口が部門やチャネルごとに分かれ、対応状況を把握しきれていない企業。ITに加えて総務・人事・経理の問い合わせも一つの窓口にまとめたい企業。
8. アルティウスリンク
主な特徴
従業員からのIT機器・システムに関する問い合わせに対応する社内ITヘルプデスクサービスです。アルティウスリンクが従業員と企業の担当者の間に入り、問い合わせ内容に応じて一次対応と切り分けを行ったうえで、必要に応じて担当者へエスカレーションします。
対応範囲は、PCやモバイル、ソフトウェア、ネットワークの問い合わせ対応、修理の受付と手配、インシデント管理、Microsoft 365の基本操作やトラブル受付などです。対応履歴をナレッジ化して更新まで運用に組み込み、従業員のセルフサポートを促すことで、同じ問い合わせの繰り返しを減らします。
向いている企業
知識や経験が特定の担当者に偏り、業務の停滞や対応品質のばらつきが起きている企業。ナレッジが整っておらず、同じ問い合わせへの対応が繰り返されている企業。
(4)中小規模向けの情シス代行型
ヘルプデスクを含む情シス業務をまとめて任せたい場合は、このタイプが現実的な選択肢です。一方で、月に数百〜数千件の問い合わせがある中堅・大企業では、体制の規模やSLAの面で物足りなさを感じる可能性があります。規模に合ったタイプを選ぶことが、結果として追加費用や乗り換えの手間を抑えることにつながります。
9. クラウドSE
主な特徴
情シス業務(社内のIT業務)に特化した、サブスクリプション型のアウトソーシングサービスです。PCトラブルの相談やITツールの操作案内、ベンダーとのやり取りの代行といったヘルプデスク業務に対応しています。アカウントやIT資産の管理、業務マニュアルやFAQ・ナレッジの整備などの情シス業務も任せられます。
さらに、セキュリティやISMSの相談、ネットワーク設計などのITコンサルティング、Webサイトやサーバーの構築・保守にも対応しています。月10時間からのサポートプランがあり、最低契約期間は1カ月です。
向いている企業
兼任で情シス業務に手が回らないものの、採用する予算はない企業。ノウハウが1人の担当者に偏っていて、退職に備えたいと考えている企業。社内だけでは対応しきれないIT課題について、専門家の助言を求めている企業。
10. シスクル
※参考:DXER株式会社「シスクル」
主な特徴
従業員のIT体験を組織の成果につなげる「Employee IT Success」を掲げたサービスで、作業の代行にとどまらず、情シス業務の整理・標準化・自動化を通じて社内IT運用の仕組みを整える伴走型の支援です。従業員からのIT問い合わせに対応するAIヘルプデスクでは、FAQの整備やナレッジ作成を進めて自己解決を促します。AIエージェントによる判断を伴う作業の自動化や、業務フロー設計、セキュリティ・ガバナンス、AI導入の支援にも対応しています。
向いている企業
専任の情シス担当者が少ない、またはいない企業。入退社に伴うアカウント管理などの定型業務を、自動化も含めて整えたい企業。
中堅・大企業がヘルプデスクアウトソーシングを比較する6つの基準
自社に合うタイプと候補企業を絞り込んだら、次の6つの基準で、各社の提案内容や運用体制を確認しましょう。公開情報で確認できない項目は、問い合わせやRFPへの回答を通じて条件をそろえることが大切です。
いずれも、「今すぐ対応できるか」だけでなく「1年後も品質を保てるか」という視点で確認するのがポイントです。
基準(1)体制の規模・拠点とBCP
問い合わせ件数が多い企業では、まず委託先の体制に余裕があるかを確認しておきたいところです。新入社員が一斉に入社する4月や、大規模なシステム更新の時期に、どれだけ早く増員できるかも重要です。
災害時に業務を続けられるかどうかも、確認しておきたい点です。複数の拠点で運用している委託先であれば、1つの拠点が止まっても受付を継続しやすくなります。
基準(2)対応時間・多言語対応
夜間シフトのある製造業や、海外拠点との時差がある企業では、24時間365日の受付が求められることが多いでしょう。英語や多言語の対応が必要な場合は、受付だけなのか、トラブルの解決まで英語で完結できるのかを確認しておくと、導入後のずれを防げます。
有人対応とAIによる自動回答とで対応時間が異なるサービスもあるため、あわせて確認しましょう。
基準(3)SLA・KPIの定義と、月次レポート・改善会議の中身
SLA(サービスレベル合意)は、応答時間や解決率などの品質目標を、委託先と取り決めたものです。KPI(重要業績評価指標)は、その達成度を測るための指標です。目標値と測り方をあらかじめ決めておくと、品質が下がったときに改善を相談する根拠になります。
| 指標 | 内容 |
|---|---|
| 応答率 | 一定時間内に応答できた割合(例:80%を20秒以内) |
| 一次解決率 | 最初の対応で解決できた割合 |
| 自己解決率 | 利用者がFAQなどで自ら解決できた割合 |
| 利用者満足度 | 対応後のアンケートなどで測る満足度 |
あわせて確認しておきたいのが、月次レポートの後に何が行われるかです。数値の報告に加えて、原因の分析や次の改善策まで提案してくれる委託先であれば、品質を継続的に高めていくことが期待できます。
基準(4)第三者認定(HDIサポートセンター国際認定・ISMS・Pマーク)
第三者認定は、品質やセキュリティを客観的に確かめる手がかりになります。
| 認定・認証名 | 説明 |
|---|---|
| HDIサポートセンター国際認定 | サポートセンターの運営品質を国際基準で評価する認定 |
| ISMS(ISO/IEC 27001) | 情報セキュリティの管理体制に関する国際規格の認証 |
| プライバシーマーク | 個人情報の保護体制に関する認定 |
ただし、認定を取得していることと、現場の運用に生かされていることは別の観点です。定例会や改善活動に、認定の考え方がどう反映されているかまで聞いてみるとよいでしょう。認定には有効期限や更新監査があるため、取得年月や最新の更新状況もあわせて確認しておくと確実です。
基準(5)ナレッジ運用(KCS)とFAQ・AIの改善体制
KCS(Knowledge-Centered Service)は、問い合わせに対応しながらナレッジを作成し、使いながら更新していく手法です。ナレッジが新しい状態に保たれるため、FAQやチャットボットの回答精度も高めやすくなります。
生成AIによる自動回答も広がっていますが、AIが参照するナレッジが古いままでは、回答の質も上がりにくいと考えられます。委託先にナレッジを更新し続ける仕組みがあるかは、問い合わせ削減を目指すうえで大切な確認ポイントです。
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基準(6)セキュリティ体制
ヘルプデスクでは、アカウント情報やシステム構成など、重要な情報に触れる場面が多くあります。認証の取得状況に加えて、次の点も確認しておくと安心です。
- アクセス権限の管理と、作業ログの監査
- 入退室管理などの物理的な対策
- インシデント発生時の報告ルートと期限
委託範囲と対応形態|責任分界の決め方
外注後のトラブルは、「どこまでを任せたのか」があいまいなことから起こるケースが多いと考えられます。契約前に、委託先と自社の役割を表にして整理しておくことをおすすめします。
外注する業務と社内に残す業務例(責任分界表)
| 業務 | 委託先 | 自社 |
|---|---|---|
| 問い合わせの受付・一次対応 | ◎ | ― |
| 二次対応(調査・切り分け) | ○ | エスカレーション先 |
| パスワード再設定・アカウント発行 | 作業を実施 | 承認 |
| 管理者権限の付与 | ― | ◎ |
| キッティング・IT資産管理 | ◎ | 方針を決定 |
| FAQ・ナレッジの更新 | 作成・更新 | 内容の承認 |
| IT戦略・セキュリティ方針・IT統制 | ― | ◎ |
基本的な考え方は、「手を動かす作業」は委託先、「承認と判断」は自社と分けることです。この線引きをしておくと、ガバナンスを保ちながら工数を減らせます。この表はRFPに添付して、各社の見積もり条件をそろえる際にも活用できます。
整理した役割分担は、最終的に契約書や仕様書へ反映しておくことが大切です。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公開している「情報システム・モデル取引・契約書」は、ユーザー企業とITベンダーのどちらか一方に有利にならない契約を目指して作成されたモデル契約で、保守運用に関する契約も対象としています。契約条項を検討する際の参考として活用できます。
決めた責任分界は、口頭の合意ではなくSLAとして契約に落とし込むことで、トラブル時の対応範囲が明確になります。委託先と合意する品質水準(SLA)と、社内の関係部門との取り決め(OLA)を分けて整理しておくと、責任の所在があいまいになりません。
対応形態(オンサイト/オフサイト/ハイブリッド)の選び方
| 形態 | 特徴 | 向いている企業 |
|---|---|---|
| オンサイト | 委託先の要員が自社に常駐し、対面で対応 | 現地での機器対応が多い大規模拠点 |
| オフサイト | 委託先のセンターから電話・チャット・メールで対応 | 拠点が分散している企業、コストを抑えたい企業 |
| ハイブリッド | 一次対応はオフサイト、現地作業が必要なときだけオンサイトなど | 両方のニーズがある中堅・大企業 |
現在はオフサイトが主流と考えられますが、キッティングや機器交換が多い企業では、ハイブリッド型がバランスの取れた選択肢になり得ます。
費用相場と体制の選び方
ヘルプデスクアウトソーシングの費用は、「どれだけの件数を、どの時間帯に、どの品質水準で対応するか」によって大きく変わります。相場は目安として捉え、自社の条件で見積もりを比べることが大切です。
費用と体制(1)料金体系別の相場と、費用を左右する要因
ヘルプデスクアウトソーシングの費用は、問い合わせの件数、内容、技術的な難しさによって大きく変わります。問い合わせへの一次対応とテクニカルサポートであれば、月額10万〜150万円程度が目安です。故障した機器の修理が必要な場合は、別途費用がかかることもあります。
| 料金体系 | 目安 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 月額固定型 | 月額10万〜150万円程度。対応時間や件数、SLAの水準によって変動 | 利用頻度が高く、安定したサポートが必要 |
| 従量課金型 | 問い合わせ件数や対応時間に応じて変動。単価は業務内容によって異なるため個別に見積もり | 繁閑の差が大きい、季節によって件数が変わる |
月額料金とは別に、次のような費用がかかる場合があります。
| 費用 | 内容 |
|---|---|
| 初期構築費用 | 業務の引き継ぎ、要件定義、ナレッジの文書化などにかかる費用。FAQをゼロから作る場合は、費用と工数が大きくなりやすい |
| オンサイト対応の費用 | 現地への駆けつけや常駐、キッティングなど、現地で作業する場合は交通費や常駐費が加わる |
| 修理費用 | 故障した機器の修理が必要な場合 |
※一般的な目安です。条件によって金額は大きく変わるため、自社の条件で見積もりを取得してください。
費用を左右する主な要因は、次のとおりです。
- 月間の問い合わせ件数
- 対応時間帯(平日日中のみか、24時間365日か)
- 対応チャネル(電話・メールのみか、チャットやITSMツールも含むか)
- 対応範囲の深さ(一次対応のみか、リモート操作や監視まで含むか)
- SLAの水準
- オンサイト対応の有無
- 対応言語
- ナレッジの整備状況
たとえば24時間365日対応では、受付時間が延びるだけでなく、交代制のシフトや深夜の割増賃金、夜間に障害の一次切り分けができる管理者の配置などが必要になります。そのため、費用の構造そのものが変わる点に注意が必要です。
費用と体制(2)専任型とシェアード型の違い
| 項目 | 専任型 | シェアード型 |
|---|---|---|
| 体制 | 自社専用のオペレーター、スーパーバイザー、管理者を配置 | 委託先の同じチームが複数社の問い合わせを担当 |
| 強み | 自社固有のシステムや独自のワークフローに細かく対応できる | 待機時間を他社の対応に充てられるため、コストを抑えやすい |
| 注意点 | 初期構築費用がかかり、月額費用も人員数に応じて数百万円規模になるケースがある | 対応できる業務が汎用的な内容に限られやすい |
月に数千件の問い合わせがあり、独自システムが多い企業は専任型、定型的な質問が中心であればシェアード型が目安になります。
費用と体制(3)内製とのコスト比較|稟議で示す費用対効果
稟議で外注費だけを示すと、「今の人件費より高い」と受け取られることがあります。内製のコストは、給与だけでなく次の項目も含めて比べると、実態に近い比較になります。
- 社会保険料や福利厚生費
- 採用費、退職時の再採用費
- 教育・研修にかかる時間
- 管理職のマネジメント工数
- 夜間・休日対応の手当
そのうえで、外注によって生まれた時間を何に使うかを示すと、費用対効果を説明しやすくなります。たとえば「ヘルプデスク担当8名のうち3名を、セキュリティ強化とDX案件に充てる」といった形です。
外注の失敗パターンと、委託先の運用設計力の見極め方
「外注したのに、思ったほど品質が上がらない」委託先の見直しを検討する企業では、こうした声が聞かれることがあります。原因をたどると、委託先の能力だけでなく、運用の設計や取り決めが十分でなかったことに行き着くケースも少なくありません。
よくある失敗パターン
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 丸投げ | 業務を整理しないまま委託し、委託先が自社の事情を理解しきれていない |
| ナレッジが委託先に閉じている | 対応履歴が自社から見えず、乗り換えや内製化の判断がしにくい |
| AIやFAQを入れても問い合わせが減らない | 導入後の更新が止まり、内容が古くなっている |
特に最後のパターンは、多くの企業で見られる課題と考えられます。FAQは作って終わりではなく、問い合わせの傾向を分析し、更新し続ける仕組みがあって初めて効果を発揮します。
運用設計力を見極めるための質問リスト
委託先の候補と話す際は、次の質問をしてみてはいかがでしょうか。具体的な仕組みや過去の実例で答えられるかどうかが、判断の手がかりになります。
- 月次レポートで報告する指標と、改善会議の進め方
- FAQやナレッジは、誰が、どの頻度で更新するか
- 自己解決率を高めた施策の実例はあるか
- 対応履歴やナレッジは、契約終了時に引き渡してもらえるか
- 担当者が入れ替わったとき、品質をどのように維持しているか
- SLAを下回った場合、どのように対応するか
導入事例
ここでは、パーソルビジネスプロセスデザインが社内ヘルプデスクの運営を支援した事例を紹介します。事例詳細は企業名のリンクより事例記事をご覧ください。
| 企業 | 課題 | 取り組みと成果 |
|---|---|---|
| 株式会社アデランス様(情報システム部) | 外部のシェアード型ヘルプデスクでは独自システムに対応できず、情報システム部への問い合わせや残業が増えていた | 委託先を切り替え、専用のITサポートチームとして窓口を一本化。 ピーク時に月3,000件あった問い合わせを月1,000件前後まで抑え、応答率は85〜90%を維持 |
| ヤフー株式会社様(Yahoo! JAPAN) | 前の委託先の体制が個人のスキルに依存し、ナレッジも共有されていなかった | KCSに沿ったナレッジ運用を導入。 FAQの更新が活発になり、社内ヘルプデスクで解決できず上位部署に回す割合は、1年ほどで半分以下に |
| A社様(外資系製造販売、約600ユーザー) | 常駐ベンダーの業務が見えにくく、対応のばらつきと属人化が課題だった | KPIによる可視化と業務の標準化を進め、5人体制を4人体制に。 時間外の対応拠点も整え、約14%のコストダウンを実現 |
※掲載内容は取材当時の情報です。
いずれの事例でも、問い合わせ対応を引き受けるだけでなく、窓口の一本化、KCSに沿ったナレッジ運用、KPIによる可視化、時間外の体制づくりなど、企業ごとの課題に合わせて複数の打ち手を組み合わせています。それが品質と効率の改善につながったという共通点があります。
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KPI設計、FAQ・マニュアルの策定から運用開始後の更新・改善まで、支援の流れを紹介。
報告だけで終わらない委託先か、提案内容を確かめる材料が得られます。
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導入・切り替えの進め方とRFPチェックリスト
来期の初めから新しい体制で運用したい場合は、半年ほど前から準備を始めるとスケジュールに余裕を持たせやすくなります。
新規導入・切り替えの流れと注意点
-
1現状を把握する:問い合わせの件数、内容、時間帯を集計する
-
2委託範囲を決める:責任分界表を作成する
-
3RFPを出す:同じ条件で複数社から提案を受ける
-
4契約する:SLA、レポート、ナレッジの扱いを盛り込む
-
5引き継ぐ:マニュアルを整え、研修を行う
-
6本稼働する:試験運用で課題を洗い出してから切り替える
既存の委託先から切り替える場合は、一定期間の並行稼働を計画しておくと安心です。引き継ぎ漏れが利用者の不満につながるのを防げます。また、現在の契約で対応履歴やナレッジをどこまで引き渡してもらえるかは、早めに確認しておくことをおすすめします。
RFP・見積もり依頼の前に整理すべきチェックリスト
- 対象となる従業員数・拠点数・端末数
- 利用しているシステム(Microsoft 365、Google Workspace、業務SaaSなど)
- 月間の問い合わせ件数と、繁忙期の時期
- 必要な対応チャネルと対応時間帯
- 必要な対応言語
- 委託したい業務の範囲と責任分界
- セキュリティ要件(認証、入退室管理、ログ)
- 外注で解決したい課題(属人化、問い合わせ削減など)
これらを整理してから依頼すると、各社の見積もりを同じ条件で比べやすくなります。
まとめ
ヘルプデスクアウトソーシングを選ぶ際は、料金や対応時間だけでなく、SLA・KPIに基づく品質管理、ナレッジの継続的な更新、セキュリティ体制、改善提案の有無まで比較することが重要です。
まずは問い合わせ件数や内容、対応時間帯を可視化し、自社に残す判断・承認業務と、外部に任せる業務の範囲を整理しましょう。そのうえで、自社の課題に合うタイプから候補を絞り、求めるSLAや対応言語、オンサイト対応の要否などの条件をそろえて、複数社から提案と見積もりを受けると比較しやすくなります。
また、外注の目的を「問い合わせ対応の代行」だけにすると、期待した効果を得られない可能性があります。属人化の解消や問い合わせ件数の削減まで目指す場合は、対応履歴をナレッジとして蓄積・更新し、FAQやチャットボット、対応フローを継続的に改善できる委託先を選ぶことが大切です。
自社の課題と委託範囲を明確にしたうえで、現在の運用だけでなく、1年後も品質と効率を高め続けられるかという視点から委託先を比較してみてください。
ヘルプデスクの運用改善ならパーソルビジネスプロセスデザインへ
パーソルビジネスプロセスデザインのヘルプデスクアウトソーシングは、問い合わせ対応の代行にとどまらず、お客様の課題に合わせて複数のソリューションを組み合わせ、ヘルプデスクを独自に構築・運用します。
たとえば、次のような組み合わせが可能です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 有人ヘルプデスク × FAQシステム・AIチャットボット | 問い合わせを受けながらFAQを育て、自己解決を促します |
| ヘルプデスク運用 × AIによるナレッジ・品質管理 | AIナレッジシステム(AI Dig)でKCSのナレッジ運用を支え、応対品質の評価も自動化し、知見をFAQ・ナレッジに反映し続けることで、AIの回答精度と自己解決率を高めます |
| ヘルプデスク × ITインフラ監視・運用 | 障害の一次切り分けやアカウント管理まで、24時間365日の体制も構築できます |
| ヘルプデスク × コンサルティング・DX支援 | KCSの導入支援や業務改善まで踏み込みます |
導入時には、現状調査をもとに目標指標・業務フロー・マニュアルを設計します。運用開始後は、KCSを活用したナレッジマネジメントと月次の改善提案を続けます。HDIサポートセンター国際認定(七つ星)を背景に、対応品質の標準化と属人化の解消を進めます。
さらに、パーソルグループ各社と連携した提案も可能です。札幌・仙台・東京・九州などに持つ複数拠点のセンター基盤を生かし、BCPを考慮した分散運用に対応します。オンサイト・オフサイトのどちらにも対応し、英語でのサポート体制も構築できます。
「問い合わせ対応に追われ、DXやセキュリティ施策を進められない」「運用の属人化や品質のばらつきを解消したい」「FAQやチャットボットを導入しても問い合わせが減らない」といった課題をお持ちの場合は、現状分析や運用設計の段階からご相談ください。
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問い合わせ負荷を減らし、本来の業務に集中できる体制へ
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