社内ヘルプデスクの問い合わせが減らない理由とは?自己解決を促進するナレッジ運用の進め方【イベントレポート】

社内ヘルプデスクの問い合わせが減らない理由とは?自己解決を促進するナレッジ運用の進め方【イベントレポート】

※本記事は、2026年7月21日に開催したウェビナー

「入れただけ」で終わらせない 社内ヘルプデスク施策を成果につなげる運用再設計

で紹介した内容をもとに再構成しています。

目次

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    なぜマニュアルやFAQを整備しても問い合わせは減らないのか

    多くの企業では、社内ヘルプデスクの問い合わせ削減を目的にFAQやマニュアルの整備を進めています。しかし、「情報は用意したはずなのに問い合わせが減らない」「同じ質問への対応に追われ続けている」といった悩みを抱えるケースは少なくありません。その背景には、単なるコンテンツ不足ではなく、ナレッジが活用される仕組みそのものに課題があるケースが存在しています。

    社内問い合わせの約8割は「同じ質問」の繰り返し

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    実際の問い合わせ内容を分析すると、人が対応している問い合わせの多くは新しい問題ではありません。パーソルビジネスプロセスデザインの調査では、問い合わせ全体の79%が過去にも発生したことのある類似問い合わせであり、本当に新しい問題は21%という結果が示されています。

    これは、本来であれば既存のナレッジやFAQで解決できる内容に、多くの対応工数が費やされている状態ともいえます。問い合わせ担当者は新たな課題への対応ではなく、既に答えが存在している質問への説明を繰り返しており、結果として本来注力すべき改善活動や企画業務に時間を割けなくなっています。

    問い合わせ削減を阻む「見つからない・解決しない・育たない」の負のループ

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    問い合わせが繰り返される背景には、「見つからない・解決しない・育たない」という負のループがあります。まず、FAQやマニュアルが存在していても利用者が目的の情報へたどり着けなければ、自己解決は始まりません。次に、たどり着いたとしても情報が古い、内容が不足しているなどの理由で問題を解決できないケースがあります。さらに、その問い合わせ対応で得られた知見がナレッジへ反映されなければ、同じ問題が何度も繰り返されることになります。

     

    例えば管理者は「VPN接続手順」というタイトルでマニュアルを作成していても、利用者は「VPN 繋がらない」「ネット 入れない」といった言葉で検索します。ユーザー目線と管理者目線のズレによって検索結果が0件となり、「このFAQは使えない」と判断されてしまいます。すると利用者は自己解決を諦め、最終的に窓口へ問い合わせる行動に戻ってしまうのです。

    問題はナレッジ不足ではなく「使われる仕組み」がないこと

    問い合わせ削減施策が失敗する理由として、「FAQを増やせばよい」「マニュアルを整備すればよい」「ツールを導入すれば解決する」と考えられがちです。しかし実際には、FAQが増えるほど探しにくくなったり、マニュアルがあっても読まれなかったり、ツールが活用されず形骸化したりするケースも少なくありません。重要なのはコンテンツやツールそのものではなく、それらが利用者に活用される仕組みを設計できているかどうかです。

     

    問い合わせを減らすためには、ナレッジを蓄積するだけでは不十分です。ユーザーが自然にたどり着ける導線を整備し、利用状況を分析しながら継続的に改善していく必要があります。つまり、必要なのは「ナレッジを増やすこと」ではなく、「ナレッジが使われるプロセス」を構築することなのです。

    問い合わせ削減の鍵は「自己解決できる運用」の設計にある

    社内ヘルプデスクの問い合わせ削減施策というと、FAQの追加やマニュアル整備、チャットボット導入が真っ先に挙げられます。しかし、それらの施策を実施しても期待した成果につながらないケースは少なくありません。

    その理由はシンプルです。多くの企業では「情報を整備すること」が目的になっており、「社員が自己解決できる状態をつくること」まで設計できていないためです。


      実際、問い合わせが発生する背景には「必要な情報が見つからない」「見つけても解決できない」「改善されないまま放置される」といった構造的な問題があります。問い合わせを減らすためには、コンテンツの量を増やすのではなく、社員が自然と情報にたどり着き、自ら解決できる運用そのものを設計することが重要です。

    ユーザー目線の「困りごと」を起点にナレッジを蓄積する

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    自己解決を促進するうえで最初に見直したいのが、ナレッジの作り方です。

    多くのマニュアルは管理者視点で作られています。例えば、「VPN接続手順」「アカウントロック解除方法」といったタイトルは管理者にとって分かりやすい一方、利用者が実際に使う言葉とは一致しないケースがあります。利用者は「VPNがつながらない」「ネットが使えない」「ログインできない」といった“困りごと”を起点に検索するためです。

     

    このギャップが検索ミスを生み、「FAQがあるのに見つからない」という状態を引き起こします。

    だからこそ重要になるのが、解決策ではなく「困りごと」を起点にナレッジを蓄積する考え方です。実際の問い合わせ内容や検索キーワードを反映しながらナレッジを整備することで、検索ヒット率が高まり、社員が目的の情報へたどり着きやすくなります。さらに、問い合わせ対応で培われたノウハウも蓄積されるため、担当者ごとの対応品質のばらつき解消にもつながります。

    ナレッジを「貯める・つなげる・戻す」運用サイクルをつくる

    ナレッジ運用が失敗する大きな理由の一つが、「登録して終わり」になってしまうことです。

    自己解決率を継続的に高めるためには、ナレッジを「貯める・つなげる・戻す」のサイクルで運用する必要があります。まず、問い合わせ内容や検索キーワードをもとにナレッジを蓄積する。次に、そのナレッジをFAQやチャットボットへ連携し、社員が利用しやすい形で提供する。そして実際に発生した問い合わせや検索履歴を分析し、不足している情報を追加していく。この循環を継続することで、自己解決できる範囲が徐々に広がっていきます。

     

    特に重要なのが、問い合わせをナレッジ改善の機会として捉えることです。同じ質問が繰り返し発生するのであれば、「問い合わせ対応をする」のではなく、「次回は問い合わせが発生しない状態をつくる」という視点で運用を設計することが求められます。

    FAQやチャットボットは導線設計と継続改善が成果を左右する

    FAQやチャットボットを導入したにもかかわらず活用率が上がらない企業は少なくありません。

    その背景には、「存在は知っているが使わない」という状況があります。どれだけ質の高いナレッジを整備しても、社員がアクセスしなければ意味がありません。重要なのは、問い合わせ窓口や社内ポータル、メール案内など、日常的な接点からFAQへ自然に誘導する導線を設計することです。社員に「困ったらまずFAQを見る」という行動を習慣化できるかどうかが成果を大きく左右します。

     

    また、運用開始後の改善も欠かせません。検索ワードや閲覧状況、解決率を定期的に確認し、検索しても結果が出ないワードについては新たなコンテンツを作成する。表記ゆれや略称への対応を進める。こうした地道な改善を積み重ねることで、FAQやチャットボットは徐々に「使われる仕組み」へと成長していきます。

    形骸化を防ぐために運用ルールと責任者を明確にする

    ナレッジ活用を長続きさせるためには、ツールやコンテンツよりも運用体制の整備が欠かせません。

    「気づいた人が更新する」といった曖昧なルールでは、担当者ごとに取り組み方が変わり、やがて更新が止まってしまいます。結果として、情報は古くなり、再び問い合わせが増加するという悪循環に陥ります。

     

    そのため、運用開始時には「誰が」「いつ」「何を基準に」実施するのかを明確にしておく必要があります。問い合わせ対応後はいつまでにナレッジへ反映するのか、どの程度の件数が発生したらFAQ化するのか、誰が改善判断を行うのか。こうしたルールを業務として定着させてはじめて、継続的な改善サイクルを回すことが可能になります。

    事例に学ぶ、自己解決を促進するナレッジ運用の進め方

    問い合わせ削減は、FAQやチャットボットを導入しただけでは実現できません。実際に成果を上げている企業では、情報を整備するだけでなく、社員が自然に自己解決できる環境づくりと、継続的にナレッジを改善する仕組みづくりに取り組んでいます。

    パーソルビジネスプロセスデザインが支援した事例からも、問い合わせ削減の成否を分けるのはツールやコンテンツではなく、運用設計そのものであることが分かります。

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    問い合わせ窓口ではなく、FAQを起点とした導線へ転換

    支援企業では、問い合わせの約半数がFAQで解決できる内容であるにもかかわらず、利用者がFAQを活用できていないという課題を抱えていました。原因はFAQの不足ではなく、必要な情報へたどり着けない導線設計にありました。
    そこで、問い合わせ窓口を起点とする運用から、FAQを起点とする運用へ見直しを実施。ポータルサイトやメール、電話ガイダンスなど複数の接点からFAQへ誘導することで、「まずは自分で調べる」という行動を促しました。その結果、自己解決率が向上し、問い合わせ件数は3分の1以下まで削減できています。 

    FAQを「置く」から「育てる」運用へ切り替える

    問い合わせ削減に成功した背景には、FAQを継続的に改善する仕組みの存在があります。テーマごとに情報を追加するだけではなく、実際の問い合わせ内容や検索キーワードを分析しながら、検索性の改善やキーワード拡充を実施しました。
    そうすることで利用者がどのような言葉で情報を探しているのかを把握し、「0件ヒット」を減らす取り組みを継続しています。問い合わせ対応で得られた知見をナレッジへ還元し続けることで、FAQは利用者の実態に即した情報基盤へと成長し、自己解決率の向上につながっています。 

    削減できたのは問い合わせ件数だけではない

    この取り組みで得られた成果は、問い合わせ件数の減少だけではありません。自己解決が進んだことでヘルプデスクへの負荷が大幅に軽減され、人員体制は30名から18名へ最適化されました。
    重要なのは、人員削減そのものではなく、これまで繰り返し対応に費やしていた時間を、本来取り組むべき改善活動や企画業務へ振り向けられるようになった点です。問い合わせ対応に追われる組織から、継続的に業務改善を進められる組織へ。その転換を実現したのは、FAQやチャットボットの導入ではなく、自己解決を前提とした運用設計だったといえるでしょう。

    「探しても見つからない」をなくす情報基盤の作り方

    問い合わせ削減に取り組む企業の多くが、まずFAQやマニュアルの整備を進めます。しかし、それだけで問い合わせが減るとは限りません。現場では「マニュアルはあるのに誰も見ない」「FAQがどこにあるかわからない」といった状況が頻繁に発生しています。

    こうした問題の原因は、情報量の不足ではなく、情報が活用される基盤が整っていないことにあります。

    例えば、同じ業務に関する資料が共有フォルダやポータルサイト、チャットツールなど複数の場所に散在していると、利用者は必要な情報へたどり着くまでに時間がかかります。また、更新された資料と古い資料が混在していると、どちらが正しい情報なのか判断できず、結局は担当者へ問い合わせるという行動につながります。

     

    自己解決を促進するためには、「まずここを見れば答えが見つかる」という信頼できる情報基盤を作る必要があります。そのために重要なのが、正しい情報だけを管理すること、情報品質を担保すること、常に最新版を維持すること、そして必要な情報をすぐに検索できることです。

     

    利用者が安心して情報を探せる環境が整えば、「人に聞く前に調べる」という行動が自然に定着します。問い合わせ削減はFAQの数ではなく、情報へたどり着ける体験によって実現されるのです。

    ※参考:コニカミノルタ様のセッション
    マニュアルを整備しても問い合わせが減らないのはなぜか

    ― “読まれない・更新されない”を防ぐ情報基盤のつくり方

    定型業務を標準フロー化し、自動化を進める方法

    問い合わせ削減に成功しても、情報システム部門の負荷が思うように下がらないケースがあります。その理由は、担当者の工数が問い合わせ対応そのものではなく、その後に発生する処理業務に費やされているためです。

    例えばアカウント発行や権限設定、新入社員の受け入れ対応などでは、申請確認、承認確認、システム登録、完了連絡といった複数の工程が発生します。これらは毎回同じ流れで実施されるにもかかわらず、多くの企業では担当者が手作業で処理しています。

    業務負荷を軽減するためには、まず依頼の受付方法を整理し、業務フローを標準化することが重要です。メールやチャット、口頭依頼など複数の窓口が存在すると、確認や転記といった余計な作業が発生しやすくなります。まずは入口を統一し、誰が対応しても同じ流れになる状態を作ることが改善の第一歩です。

     

    そのうえで、自動化できる業務と人が判断すべき業務を切り分けます。アカウント登録やデータ転記のような定型業務は自動化の効果を得やすく、一方で例外対応や判断が必要な業務は人が担うべき領域です。重要なのは、すべてを自動化することではなく、人が対応する価値の高い業務へ時間を振り向けることにあります。

     

    本来、情シスが担うべき役割は、繰り返し作業を処理することではなく、業務改善やDX推進を前進させることです。だからこそ、問い合わせ削減の次の一手として、定型業務の標準化と自動化に取り組む価値があります。

    ※参考:オートロ様のセッション

    「問い合わせ対応を“仕事化”させない 定型依頼を標準フローに変える方法」


    社内ヘルプデスク改善を成功させる3つの実践ポイント

    社内ヘルプデスクの改善というと、FAQの整備やチャットボット導入、業務自動化など個別の施策に注目が集まりがちです。しかし、どれか一つを導入しただけで問い合わせ削減や業務負荷軽減が実現するわけではありません。


      実際には、「自己解決できる環境をつくる」「必要な情報へ迷わずたどり着ける状態をつくる」「担当者しかできない仕事に集中できる体制をつくる」という3つの視点を組み合わせて取り組むことが重要です。ヘルプデスク改善はツール導入のプロジェクトではなく、業務の進め方そのものを見直す取り組みと捉えるべきでしょう。

    自己解決できるナレッジ運用を設計する

    問い合わせ削減の出発点は、社員が「誰かに聞く前に、自分で調べて解決できる状態」をつくることです。

    そのためにはFAQやマニュアルを増やすのではなく、社員が実際に困ったタイミングで必要な情報へたどり着ける仕組みを整える必要があります。また、一度作ったナレッジを放置するのではなく、問い合わせ内容や検索キーワードをもとに改善し続けることも欠かせません。


      問い合わせを処理することではなく、「次回同じ問い合わせを発生させないこと」を目的に運用できるかどうかが、自己解決率向上の分かれ目になります。

    信頼できる情報基盤を整備する

    自己解決を促したくても、情報が見つからなければ利用者はすぐに問い合わせへ戻ってしまいます。

    そのため重要なのは、情報を蓄積することではなく、「ここを見れば答えがある」と利用者が信頼できる場所を用意することです。どの部署でも同じ情報を参照できる状態を作り、古い情報や重複した情報を減らしながら情報の鮮度を維持することで、社員は迷うことなく必要な情報へアクセスできるようになります。


    問い合わせ件数を減らす組織には、例外なく信頼できる情報基盤が存在しています。自己解決の文化は、探しやすく整理された情報環境の上ではじめて定着することできます。

    定型業務は標準化・自動化する

    ヘルプデスク改善の目的は、問い合わせ件数を減らすことではありません。

    本当に目指すべきなのは、担当者が定型作業に追われる状態から脱却し、改善活動や企画業務など付加価値の高い仕事へ時間を使えるようになることです。そのためには、繰り返し発生する業務を標準化し、人でなくても処理できる業務は自動化していく必要があります。

    特にアカウント管理や権限付与、各種登録作業など、ルールが明確な業務は標準化との相性が良く、大きな効果を得やすい領域です。まずは小さな定型業務から見直し、担当者ごとのやり方に依存しない運用へ変えていくことが、持続的な業務改善につながります。

    ヘルプデスクの運用改善ならパーソルビジネスプロセスデザインへ

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    社内ヘルプデスクの課題は、FAQやマニュアルを整備するだけでは解決できません。問い合わせを減らし、担当者が本来注力すべき業務に集中できる環境を実現するためには、ナレッジ運用、情報基盤整備、業務プロセス改善を一体で進めることが重要です。

     

    パーソルビジネスプロセスデザインでは、ヘルプデスクやコンタクトセンター運営で培った知見をもとに、現状分析から運用設計、定着支援までをトータルでサポートしています。ナレッジ活用の仕組みづくりやFAQ運用の最適化、自己解決率向上に向けた改善サイクルの構築など、現場で成果につながる運用改善をご支援します。

     

    「問い合わせ対応に追われている」「FAQが活用されない」「ヘルプデスク業務を効率化したい」といった課題をお持ちの場合は、ぜひお気軽にご相談ください。運用の見直しから定着化まで伴走し、継続的な業務改善をご提案・支援します。

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