アルコールチェック義務化の対象事業所
アルコールチェックが必要なのは、安全運転管理者の選任義務がある事業所です。
自動車の使用の本拠となる事業所ごとに、次のいずれかに該当すると対象になります。
乗車定員11人以上の自動車を1台以上使用している
その他の自動車を5台以上使用している
原動機付自転車を除く自動二輪車は、1台を0.5台として計算します。対象になるかどうかは、会社全体ではなく事業所ごとに判断します。
なお、マイカーやレンタカーであっても、会社の業務に使用し、事業所が運行を管理している場合は対象になり得ます。一方、マイカーを通勤にしか使用しない場合、その通勤運転まで一律に確認対象になるわけではありません。
2023年12月からアルコール検知器の使用が必須
現在のアルコールチェックでは、運転者の顔色や応答の声の調子などを確認するだけでなく、アルコール検知器を使用して酒気帯びの有無を確認する必要があります。
また、使用するアルコール検知器は、正常に作動する状態を保たなければなりません。警察庁は、取扱説明書に基づく管理や保守、定期的な故障確認を求めています。
アルコールチェックを行うタイミング
アルコールチェックは、原則として「運転を含む一連の業務」の開始前と終了後に行います。
営業先を複数回る場合でも、乗車や降車のたびに行う必要はありません。その日の一連の運転業務を始める前と、すべての運転を終えた後に確認します。
直行直帰の場合は、次のタイミングが目安です。
| 直行時 | 自宅などから業務上の運転を始める前 |
|---|---|
| 直帰時 | その日の業務上の運転をすべて終えた後 |
勤怠システム上の出勤・退勤時刻ではなく、運転を含む業務の開始・終了に合わせることがポイントです。
また、運転後の確認が終わる前に飲酒すると、運転中の状態を適切に確認できません。運転後のチェックが完了するまでは飲酒しないルールを設けましょう。
アルコールチェックの義務を怠った場合のペナルティ
アルコールチェックを実施しなかったこと自体に、直ちに適用される独立した罰則が設けられているわけではありません。
ただし、管理状況によっては、安全運転管理者等の解任命令や、自動車の使用者に対する是正措置命令の対象となる可能性があります。
これらの命令に違反した場合は、50万円以下の罰金が科される可能性があります。
| 違反行為 | 罰則 |
|---|---|
| 安全運転管理者または副安全運転管理者を選任していない | 50万円以下の罰金 |
| 安全運転管理者等の選任・解任を届け出ていない | 5万円以下の罰金 |
| 解任命令または是正措置命令に違反した | 50万円以下の罰金 |
| 酒酔い運転 | 5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
| 酒気帯び運転 | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
※参考:警視庁「罰則・その他」
アルコールチェックの確認方法
アルコールチェックは対面で行うことが原則です。
対面時は、アルコール検知器の測定結果に加えて、運転者の顔色や応答の声の調子などを確認します。
アルコール検知器の結果だけで、運転の可否を機械的に判断しないことが重要です。検知器が反応した場合は、道路交通法上の基準値未満であることだけを理由に運転を認めず、運転を中止したうえで、安全運転管理者への報告や再測定など、社内ルールに従って対応します。
直行直帰時のアルコールチェックはどうする?
直行直帰などにより対面での確認が難しい場合は、対面に準ずる方法でアルコールチェックを行うことが認められています。
具体的には、運転者に携帯型アルコール検知器を持たせたうえで、次のいずれかの方法を用います。
ビデオ通話で確認する方法
ビデオ通話では、安全運転管理者または指定された補助者が、次の内容を確認します。
運転者の顔色や表情
声の調子や受け答え
アルコール検知器の測定結果
運転者が測定する様子や検知器の画面をカメラに映せば、本人による測定かどうかも確認しやすくなります。
電話で確認する方法
電話や業務無線による確認も可能です。
確認者は、運転者の声の調子や受け答えを確認し、アルコール検知器の測定結果を報告させます。
ただし、電話で会話するだけでは不十分です。必ずアルコール検知器を使用してください。
また、メールやチャットで測定結果の写真だけを送る方法では、直接対話による確認になりません。写真は記録の補助として利用できますが、電話やビデオ通話と組み合わせる必要があります。
自宅でアルコールチェックをする場合の実施手順
直行直帰により自宅などで確認する場合は、次の手順で行います。
- 運転者が携帯型アルコール検知器を準備する
- 安全運転管理者または指定された補助者へ連絡する
- 確認者が顔色、声の調子、受け答えを確認する
- 運転者がアルコール検知器で測定する
- 確認者が測定結果を確認する
- 確認日時、確認方法、結果、指示事項などを記録する
- 問題がなければ運転を開始する
- 運転終了後も同様に確認する
運転者が自分で測定し、結果を入力するだけでは不十分です。安全運転管理者または指定された補助者が、運転者の状態と測定結果を確認する必要があります。
アルコールが検知された場合
アルコール検知器が反応した場合は、法定基準値未満であることだけを理由に運転を認めないようにします。
まず運転を中止させ、安全運転管理者へ報告してください。そのうえで、社内ルールに従い、再測定や代替運転者の手配、公共交通機関への切り替えなどを行います。
安全運転管理者以外でも確認できる
酒気帯び確認は、安全運転管理者が行うことが原則です。
ただし、安全運転管理者が不在の場合や、他の業務によって確認時間を確保しにくい場合は、副安全運転管理者や、あらかじめ指定した補助者に確認を行わせることができます。補助者には、アルコールチェック業務を委託した外部事業者も含まれます。
補助者に確認を任せる場合は、あらかじめ補助者を指定し、具体的な確認方法や、酒気帯びが確認された場合の報告・指示体制について指導します。あわせて、記録方法や、安全運転管理者へ引き継ぐ基準も社内ルールとして定めておきましょう。
単に「担当者がいないから運転者本人に任せる」という対応では不十分です。
早朝・深夜に確認者がいない場合の対応
早朝、深夜、休日であっても、業務として運転する場合はアルコールチェックが必要です。
確認者が不在になる時間帯がある場合は、次のような体制を事前に整えます。
- 副安全運転管理者が対応する
- 補助者を当番制で配置する
- 警察庁Q&Aが示す条件を満たす場合に、他事業所で確認する
- 外部事業者へ確認業務を委託する
他事業所で確認してもらう場合は、無条件に認められるわけではありません。他事業所での確認結果を所属事業所の安全運転管理者へ報告し、異常時には運転中止を指示できる体制が必要です。
別法人と共同で対応する場合など、運用の適法性に判断が必要なときは、事業所を管轄する警察署へ事前に確認しましょう。
なお、確認担当者が早朝や深夜に対応する場合、その時間が労働時間に当たるか、割増賃金が必要かといった労務管理も別途検討する必要があります。
直行直帰時に、安全運転管理者がやるべきこと
直行直帰時の運用を始める前に、安全運転管理者は次の準備を行います。
安全運転管理者の選出と届出
対象事業所では、資格要件を満たす安全運転管理者を選任します。自動車を20台以上使用する事業所では、副安全運転管理者の選任も必要です。
安全運転管理者等を選任した場合は、選任日から15日以内に、事業所を管轄する公安委員会へ届け出ます。通常は、管轄警察署の窓口、郵送、e-Gov等を通じて手続きを行います。
必要書類、提出方法、安全運転管理者証の取扱いは都道府県によって異なるため、管轄する都道府県警察または警察署の最新案内を確認してください。
アルコール検知器を正常に保つ
使用する検知器は、呼気中のアルコールを検知し、その有無または濃度を音、光、数値などで示す機能を備えたものに限られます。
安全運転管理者は、次の点を管理します。
- 電池切れや故障がないか
- センサーの使用期限を超えていないか
- メーカー指定の校正や交換を行っているか
- 必要な台数と予備機を確保しているか
- 誰にどの機器を貸与しているか
検知器が故障した場合に、電話や自己申告だけで運転を認める運用は避けてください。予備機への交換など、代替手順を決めておきましょう。
アルコールチェックの記録を1年間保存する
チェックした記録は1年間保管する義務があります。保管方法については、書面か電子かは問われませんが、以下の内容についてはわかるように記載しておくことが必須です。
- 確認者名
- 運転者名
- 運転者の業務に係る自動車の自動車登録番号または識別できる記号、番号など
- 確認日時
- 確認方法(対面でない場合は、電話やビデオ通話などの具体的な方法)
- 酒気帯びの有無
- 指示事項
- その他必要な事項
書式も決まったものは特にありません。自社で作成するのが難しい場合には、各警察署のホームページに必要事項を網羅した帳票が掲載されていますので、活用しましょう。
直行直帰時のアルコールチェックを効率化するポイント
確認方法を社内ルールにまとめる
運転者ごとに対応が異なると、確認漏れや記録漏れが起こります。
次の内容をマニュアルにまとめておきましょう。
- 確認するタイミング
- 連絡する確認者
- 使用する電話番号やツール
- 測定結果の報告方法
- 記録の入力先
- アルコールが検知された場合の対応
- 確認者につながらない場合の連絡先
アルコール検知器を必要数確保する
直行直帰の従業員が多い場合、事業所共用の検知器だけでは対応できません。
携帯対象者、予備機、故障時の交換分を含めて必要台数を算出し、貸出状況と使用期限を管理します。
ITツールや外部委託を活用する
検知器とスマートフォンを連携し、測定結果や確認時刻を自動記録できるサービスもあります。
ただし、システムへ数値を送信するだけで法令上必要な確認がすべて完了するとは限りません。電話やビデオ通話、本人確認、異常時の運転中止指示まで含めた運用設計が必要です。
早朝・深夜や休日の対応が多い場合は、外部のアルコールチェック代行サービスを利用することで、確認担当者の負担軽減と確認漏れの防止につながります。
直行直帰時のアルコールチェック対応なら、パーソルビジネスプロセスデザインへ
従業員が直行直帰する際のアルコールチェックについて解説してまいりましたが、結果の記録や情報のとりまとめ、環境の整備など「負荷が高いな」と感じる方も多いかと思います。
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