マイナンバー業務は委託できる?
マイナンバーは特定個人情報に該当するため、「自治体が外部事業者へ委託しても問題ないのか」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
実際には、マイナンバー業務の委託は法令上認められています。ただし、一般的な業務委託と同様に行えるわけではなく、委託先の選定や安全管理措置、委託後の監督などについて適切な対応が求められます。
ここでは、マイナンバー業務を委託する際に押さえておきたい基本的な考え方について解説します。
結論:マイナンバー業務の委託は可能
結論からいうと、マイナンバーを取り扱う業務は委託可能です。
自治体では、マイナンバーカードの交付・更新に関する窓口対応や問い合わせ対応、事務処理業務などを外部事業者へ委託するケースがあります。
マイナンバーは重要な個人情報であるため、「外部へ委託してはいけない」と考えられることもありますが、法令上、必要な安全管理措置や監督を行うことを前提として委託することは認められています。
ただし、委託できるからといって、すべての責任を委託先へ移せるわけではありません。委託元である自治体には、適切な委託先の選定や管理・監督が求められます。
委託しても自治体の責任はなくならない
マイナンバー業務を委託する際に注意したいのが、「委託=責任移転ではない」という点です。
委託先が実際の業務を担当するとしても、マイナンバーを適切に管理する責任は自治体側にも残ります。
例えば、委託先で情報漏えいが発生した場合でも、委託元である自治体が適切な選定や管理を行っていたかが問われます。また、契約内容や安全管理措置、再委託のルールなどについても事前に十分な確認が必要です。
そのため、マイナンバー業務の委託を検討する際は、「どこまで任せるか」だけでなく、「どのように管理・監督するか」まで含めて設計することが重要です。
マイナンバー業務委託に関する法的な考え方
マイナンバーは、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(マイナンバー法)」に基づき運用されています。
マイナンバーを含む特定個人情報の取り扱いには厳格なルールが定められていますが、法令やガイドラインでは委託そのものは禁止されていません。
一方で、委託元には以下のような対応が求められます。
- 委託先の適切な選定
- 安全管理措置の確認
- 契約内容の整備
- 委託先への必要かつ適切な監督
- 再委託時の管理
このように、マイナンバー業務の委託は可能である一方、高い情報管理レベルが求められます。
また近年では、単なる業務委託にとどまらず、窓口業務やバックオフィス業務全体を見直しながら、より効率的な運営体制を構築する自治体も増えています。本記事の後半では、その考え方についても解説します。
委託できるマイナンバー関連業務
マイナンバー業務は、窓口対応から事務処理までさまざまな業務で構成されています。
一方で、すべての業務を自治体職員のみで対応し続けることは容易ではありません。特に、マイナンバーカードの交付件数増加や問い合わせ対応の増加により、繁忙期の負担が課題となる自治体も少なくありません。
そのため近年では、業務の特性や運営体制に応じて、外部事業者へ業務委託を行う自治体が増えています。
では実際に、どのような業務を委託できるのかここで見ていきます。
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問い合わせ対応
マイナンバーに関する問い合わせ対応は、多くの自治体で大きな負荷となっています。
例えば、以下のような問い合わせが想定されます。
- マイナンバーカードの申請方法
- 交付予約方法
- 電子証明書の更新手続き
- 暗証番号の再設定
- カードの受け取り方法
など、住民からの問い合わせ内容は多岐にわたります。
これらの問い合わせ対応は一定のルールやマニュアルに沿って対応できるケースも多いため、コールセンター運営などを含めて委託されることがあります。
問い合わせ対応を委託することで、住民対応の品質を維持しながら職員負担の軽減を図ることができます。
予約受付
マイナンバーカードの交付や各種手続きでは、予約受付業務が発生します。
電話やWebによる予約受付、日程調整、予約変更対応などは、繁忙期になると大きな業務負担につながります。
特に制度変更やカード更新時期には予約件数が集中することもあるため、予約受付業務を委託することで住民対応を安定化しやすくなります。
また、予約業務を専門事業者へ委託することで、受付時間の拡大や住民利便性の向上につながるケースもあります。
窓口案内業務
マイナンバー窓口では、来庁者案内や申請サポートなどの業務も発生します。
例えば、以下のような業務です。
- 必要書類の案内
- 記載内容の確認支援
- 窓口への誘導
- 発券機や案内システムのサポート
こうした業務は住民との接点となる重要な業務である一方、繁忙期には職員負担が大きくなる傾向があります。
窓口案内業務を委託することで、住民対応の円滑化や待ち時間の削減につながる可能性も高いでしょう。
カード交付関連業務
マイナンバーカード交付に関連する業務も、自治体によっては委託対象となっています。
例えば、以下のような業務です。
- 交付準備
- 交付会場の運営
- 本人確認の補助業務
- 交付案内
マイナンバーカードの申請促進施策や交付件数の増加に伴い、一時的に交付業務が集中するケースもあります。
こうした繁忙期に外部事業者を活用することで、安定した窓口運営を実現しやすくなります。
更新手続き支援業務
電子証明書の有効期限更新やカード更新に関連する業務も、今後さらに需要の増加が見込まれます。
更新時期が集中すると、以下のような業務が増加し、自治体職員への負担も大きくなります。
- 更新案内
- 窓口対応
- 問い合わせ対応
更新手続き支援業務を委託することで、住民対応体制を強化しながら円滑な更新手続きを実現しやすくなります。
バックオフィス業務
マイナンバー関連業務には、窓口対応以外にも多くの事務処理業務があります。
例えば、以下のような業務です。
- 申請内容の確認
- データ入力
- 書類整理
- 発送準備
- カード発行進捗管理
これらのバックオフィス業務は住民から見えにくい業務ですが、正確かつ迅速な行政サービスを支える重要な役割を担っています。
また、窓口業務のみを効率化しても、バックオフィス業務が属人化していたり処理能力が不足していたりすると、業務全体の最適化にはつながりません。
そのため近年では、窓口業務だけでなくバックオフィス業務も含めて運営体制を見直し、業務全体の効率化を目指す自治体が増えています。
マイナンバー業務を委託する際の注意点
ここまで見てきたように、マイナンバー関連業務は問い合わせ対応や窓口業務、バックオフィス業務など幅広い業務が委託可能です。
一方で、マイナンバーは特定個人情報に該当するため、一般的な業務委託以上に適切な管理や運営体制が求められます。
また、委託先を選定すれば課題が解決するわけではありません。委託後も自治体が適切に管理・監督を行いながら、安全かつ安定した運営体制を構築することが重要です。
ここでは、マイナンバー業務を委託する際に押さえておきたい主なポイントを解説します。
委託先の適正な選定
マイナンバー業務を委託する際は、委託先を適切に選定することが重要です。
価格や人員数だけで判断するのではなく、個人情報保護体制や業務運営実績、自治体業務に関する知見などを総合的に確認する必要があります。
特にマイナンバー業務では、以下のような項目を確認しておくことが重要です。
- 個人情報の取り扱い実績
- セキュリティ管理体制
- 自治体業務の受託実績
- 教育・研修体制
- 緊急時の対応体制
また、単純な業務代行に留まらず、業務改善や運営効率化の提案ができる事業者を選定することで、より高い導入効果が期待できます。
安全管理措置の確認
マイナンバーを取り扱う業務では、適切な安全管理措置が講じられていることを確認しなければなりません。
例えば、以下のような項目が挙げられます。
- 入退室管理
- アクセス権限管理
- 端末やネットワークのセキュリティ対策
- 書類保管方法
- 情報持ち出し防止対策
委託先の説明だけで判断するのではなく、必要に応じて実際の運用状況や管理体制を確認することも有効です。
住民から預かった重要な情報を安全に管理するためにも、契約前の確認を徹底することが求められます。
再委託時の管理
委託先がさらに別の事業者へ業務を再委託するケースもあります。
再委託そのものが直ちに問題となるわけではありませんが、自治体が把握しないまま業務が再委託されると、管理が行き届かなくなるリスクがあります。
そのため、以下のような項目をあらかじめ契約で明確にしておくことが重要です。
- 再委託の可否
- 再委託時の承認ルール
- 再委託先の管理方法
- 責任範囲
特にマイナンバー業務では、どの事業者がどの工程を担うのかを把握し、適切に管理できる体制を整える必要があります。
委託後の監督体制
委託契約を締結した後も、自治体の役割がなくなるわけではありません。
マイナンバー業務を適切に運営するためには、委託後も継続的な監督が欠かせません。
例えば、以下のような対応が必要になります。
- 定期的な運営状況の確認
- 業務報告の実施
- セキュリティ対策の確認
- 問題発生時の報告・対応ルール整備
また、委託後に業務量や運営方法が変化することもあるため、定期的に運営状況を見直し、改善を行うことも重要です。
単に業務を委託するだけでなく、自治体と委託先が連携しながら継続的に運営品質を高めていくことで、安定した住民サービスの提供につながります。
マイナンバー業務委託を成功させるポイント
マイナンバー業務の委託は、職員負担の軽減や住民サービス向上に有効な手段です。 一方で、委託する業務範囲や運営体制の設計を誤ると、期待した効果が得られない場合もあります。
マイナンバー業務委託を成功させるためには、個別業務だけではなく業務全体を俯瞰しながら運営体制を見直すことが重要です。
ここでは、マイナンバー業務委託を成功させるために押さえておきたいポイントを解説します。
一部業務のみの委託では効果が限定的になる理由
マイナンバー業務は、窓口対応だけで完結する業務ではありません。
問い合わせ対応や予約受付、窓口案内といった住民対応業務の裏側には、申請内容の確認やデータ入力、通知発送などのバックオフィス業務が存在します。
そのため、窓口業務だけを委託してもバックオフィス業務が従来のままであれば、職員負担が十分に軽減されない場合があります。
また、業務プロセスが整理されていない状態で委託を行うと、自治体と委託先の間で作業が分断され、かえって運営が複雑になることもあります。
委託による効果を最大化するためには、「どの業務を委託するか」だけではなく、「業務全体をどのように設計するか」という視点が欠かせません。
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窓口業務とバックヤード業務を一体で見直す重要性
住民サービスの向上と業務効率化を両立するためには、窓口業務とバックヤード業務を一体で見直すことが重要です。
例えば、窓口で受け付けた申請情報を紙で受け渡している場合、バックヤードでは転記作業や確認作業が発生します。窓口対応が効率化されても、バックヤードで多くの手作業が残っていれば、業務全体の改善効果は限定的です。
また、窓口対応と事務処理業務の連携が整理されていない場合、委託後に業務の受け渡しが複雑になったり、確認作業が増えたりすることがあります。その結果、委託したにもかかわらず十分な効率化につながらないケースも少なくありません。
そのため、委託を検討する際は現行業務の棚卸しや業務フローの整理を行い、業務全体の最適化を図ることが重要です。
フロントヤード改革・バックヤード改革という考え方
近年、自治体では「フロントヤード改革」と「バックヤード改革」が注目されています。
フロントヤード改革とは、窓口や電話、オンライン申請など住民との接点を見直し、より利用しやすい行政サービスを実現する取り組みです。
一方、バックヤード改革は、庁内の事務処理や審査業務、データ管理などの業務プロセスを見直し、標準化や効率化を進める取り組みを指します。
マイナンバー業務も同様に、窓口対応だけを改善しても十分な効果は得られません。住民対応を担うフロントヤードと、その裏側で業務を支えるバックヤードを一体で見直すことで、はじめて業務効率化と住民サービス向上の両立が実現できます。
特に職員不足や業務量の増加が課題となっている自治体では、業務委託を単なる人員補完として捉えるのではなく、業務改革の一環として位置付けることが重要です。
フロントヤード改革・バックヤード改革資料
自治体業務の窓口対応とバックオフィス業務を一体で見直し、住民サービス向上と業務効率化を進めるための考え方をまとめた資料です。
マイナンバー業務の効率化・業務改革はパーソルビジネスプロセスデザインへ
マイナンバー業務の課題は、単なる人員不足だけではありません。窓口業務とバックオフィス業務の分断や、属人化した業務プロセスなどが原因となり、業務負荷が増加しているケースも少なくありません。
そのため、業務委託を検討する際は、個別業務を切り出すだけでなく、業務全体を見直しながら最適な運営体制を構築することが重要です。
パーソルビジネスプロセスデザインでは、マイナンバー関連業務をはじめとした自治体業務のBPO支援を行っています。問い合わせ対応や窓口運営、バックオフィス業務まで含めて業務全体を設計し、自治体ごとの課題に合わせた最適な運営体制の構築を支援します。
また、近年注目されるフロントヤード改革・バックヤード改革の観点から、住民サービス向上と業務効率化を両立する業務改革もご提案しています。
以下のようなお悩みをお持ちの自治体担当者の方は、ぜひフロントヤード改革・バックヤード改革に関する資料をご覧ください。
- マイナンバー業務の負荷を軽減したい
- 窓口運営を見直したい
- 業務委託を検討しているが何から始めればよいかわからない
フロントヤード改革・バックヤード改革資料
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