経理アウトソーシングでよくある失敗例
経理アウトソーシングは、導入の進め方や委託先との相性によっては、次のようなトラブルにつながるケースがあります。
- コスト削減のつもりが、かえって費用が増えた
- 自社フローと委託先の業務プロセスが合わなかった
- 担当者とのコミュニケーション不足でトラブルに発展した
- 柔軟に対応してもらえず、追加業務に支障が出た
- 専門知識や経験が足りず、処理ミスが発生した
- 経営状況の把握が遅れ、意思決定が遅れた
- セキュリティ対策が甘く、情報漏えいリスクが高まった
- 社内の経理人材が育たなくなった
ここでは、実際によく見られる失敗例を整理し、注意すべきポイントを解説します。
経理業務におけるトラブルや課題について詳しく知りたい方は、経理業務の課題や改善方法、改善を行う手順もご確認ください。
1.コスト削減のつもりが、かえって費用が増えた
経理アウトソーシングはコストを抑える目的で導入されますが、契約内容が曖昧だと費用が増える可能性があります。
なぜなら、業務範囲を明確にしないまま契約すると、追加の仕訳処理や海外取引対応など想定外の作業が発生し、追加料金がかかるためです。実際に、料金体系を比較せず契約した結果、依頼範囲が広がるごとに都度見積もりが必要となり、社内人件費を上回るケースがあります。
契約前に業務範囲や追加料金の条件を細かく確認しましょう。
2.自社フローと委託先の業務プロセスが合わなかった
業務プロセスが合わないと、経理処理がスムーズに進まなくなります。
委託先と請求書発行や決算のタイミングが合わなかったり、使用するシステムや書式が異なったりすると、入力や変換作業の手間が増えることもあるかもしれません。さらに、勘定科目や仕訳ルールが異なることで修正の工数が発生し、新しい会計ソフト導入に伴う社内教育が必要になる場合もあります。
そのため、依頼前に自社の業務フローと委託先の運用方法が一致しているかを確認することが欠かせません。
3.担当者とのコミュニケーション不足でトラブルに発展した
委託先との連携が不足すると、経理処理の精度が低下し、やり直しが発生する可能性があります。
経理処理の変更点や必要資料の共有ができないと、数カ月分の処理を修正する事態につながるためです。また、税理士や社労士との連携が取れていないと、資料共有に無駄な時間が発生します。
定期的な打ち合わせや情報共有のルールを、事前に設定しておきましょう。
4.柔軟に対応してもらえず、追加業務に支障が出た
契約外の業務に対応できない委託先だと、突発的な処理に対応できません。
臨時業務がすべて追加料金扱いとなり、費用が膨らむ可能性も考えられます。さらに、範囲変更時に再契約が必要となると、導入コストが余計にかかります。
そのため、柔軟性があるかどうかを契約前に確認することが大切です。
5.専門知識や経験が足りず、処理ミスが発生した
専門性が不足した委託先に依頼すると、経理品質の低下につながります。
収益認識基準などの会計ルールや業界特有の処理に対応できないと、税務上の誤りが発生するためです。また、法改正への対応が遅れると修正作業が必要になります。
そのため、業界知識や法改正対応力がある委託先を選ぶ必要があります。
6.経営状況の把握が遅れ、意思決定が遅れた
会計データの提供が遅いと、経営判断に影響が出ます。
報告書提出が遅れ、データ共有に時間がかかると、資金繰りや戦略立案に支障が出ることもあります。さらに、データが外部に集中するとリアルタイム確認が難しくなるでしょう。
そのため、報告頻度や共有方法を事前に取り決めることが重要です。
7.セキュリティ対策が甘く、情報漏えいリスクが高まった
セキュリティ意識の低い委託先に依頼すると、情報漏えいのリスクが高まります。
なぜなら、情報管理ポリシーや教育体制を確認していないと、管理責任が曖昧になるためです。さらに、契約書にセキュリティ条項を明記しないと、アクセス制限の不備が残る可能性があります。
そのため、委託前にセキュリティ体制を必ず確認しておきましょう。
8.社内の経理人材が育たなくなった
アウトソーシングに依存しすぎると、社内に経理知識が残らなくなります。
業務理解が浅くなると、トラブルが発生した際に社内で対応できません。ノウハウ継承が途絶えると、長期的な経理体制の安定が難しくなるでしょう。
そのため、社内担当者が一定の知識を持ち続けられる仕組みを作ることが重要です。
経理アウトソーシングの失敗を防ぐための5つのポイント
経理アウトソーシングの失敗を防ぐポイントは、以下のとおりです。それぞれ、詳しく解説していきます。
- 段階的な導入でリスクを最小化する
- 委託範囲と契約内容を明確に定義する
- コミュニケーション体制と担当者を一本化する
- 委託先の実績・専門性・セキュリティ体制を確認する
- アフターフォローとトラブル対応の有無を確認する
1.段階的な導入でリスクを最小化する
経理アウトソーシングは、いきなりすべてを任せるのではなく、段階的に導入することで失敗のリスクを抑えられます。
まずは、記帳や支払処理など限定的な業務から始め、自社フローとのズレや改善点を早期に確認しましょう。導入初期に成果を検証し、改善点を洗い出してから委託範囲を徐々に拡大していく流れが効果的です。
評価・改善・拡大のサイクルを繰り返し、無理なくアウトソーシングを定着させるのがおすすめです。
2.委託範囲と契約内容を明確に定義する
委託範囲や契約内容を曖昧にしたまま進めると、想定外の追加料金や業務トラブルにつながります。
なぜなら、業務範囲・納期・エラー対応・追加業務の条件などが明確でなければ、状況に応じた柔軟な対応が難しくなるためです。追加業務や料金条件の事前すり合わせを行い、契約書へ詳細に明記することが重要です。
そのため、契約前には料金体系・対応範囲・変更時の条件を複数業者で比較検討しておきましょう。
3.コミュニケーション体制と担当者を一本化する
委託先との情報共有が不十分だと、仕訳ミスや報告の遅れが発生しやすくなります。
対策としては、自社内の窓口担当者を一本化し、連絡経路を明確にしておくことが効果的です。さらに、定期的な打ち合わせや報告会を設定することで、経理方針や業務変更の情報をスムーズに共有できます。
担当者間で綿密に連携することで、意思疎通のズレを最小限に抑えられます。
4.委託先の実績・専門性・セキュリティ体制を確認する
委託先の専門性が不足していると、最新の会計基準や税制改正に対応できずミスが発生する可能性があります。また、情報漏えいを防ぐために、セキュリティ認証や情報管理ポリシーの有無を確認することも欠かせません。
実績が豊富な業者は、業界特有の処理にも対応できる傾向があります。契約前には担当者の経験・対応範囲・管理体制を細かく確認しておきましょう。
5.アフターフォローとトラブル対応の有無を確認する
アウトソーシング導入後のフォロー体制が不十分だと、トラブル発生時に対応が遅れ、業務が停止してしまう恐れがあります。法改正や会計基準の変更があった際に、対応方針を案内・支援してもらえるかどうかも重要です。
契約時には、担当者との連絡体制やサポート範囲、対応スピードを明確にしておく必要があります。経理の品質を長期的に安定させるためにも、アフターフォローが充実している業者を選びましょう。
実際にアフターフォローまで充実しているアウトソーシング先をお探しなら、パーソルビジネスプロセスデザインの経理BPOがおすすめです。
経理BPOサービスのご紹介
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成功する経理アウトソーシング先の選び方【信頼できる業者の見極め方】
信頼できる経理アウトソーシング先を選ぶためにも、次の3つのポイントを把握しておきましょう。
- 実績・経験・口コミをチェックする
- 自社の目的に合ったサービス内容かを比較する
- 柔軟な対応・サポート体制が整っているか確認する
ここでは、成功する経理アウトソーシング先の選び方を具体的に解説します。
実績・経験・口コミをチェックする
経理アウトソーシングを成功させるためには、実績と経験が豊富な業者を選ぶことが重要です。
導入事例や顧客数が多い業者ほど業務品質が安定しており、さまざまな企業の事情に合わせた柔軟な対応が期待できます。さらに、経験豊富な業者は、業界特有の会計処理や税務対応にも強いため、トラブル防止にもつながるでしょう。
また、口コミや利用企業の評判を確認することで、担当者の対応スピードやサポート品質を事前に把握できます。一般的な経理業務にとどまらず、改善提案やコンサルティングまで行えるかどうかも選定の判断材料です。
より安心できる業者への依頼を求めるのであれば、資格保有者や専門家が在籍しているかを確認することで、業務の信頼性をさらに高められます。
自社の目的に合ったサービス内容かを比較する
経理アウトソーシングは、自社の目的に合ったサービスを選ばなければ効果を得られません。なぜなら、コスト削減・業務効率化・専門知識の補完など、導入目的によって最適なサービス内容は異なるためです。
希望に合う業者を見つけるためには、料金体系やサービス範囲を比較し、取引件数や決算頻度に応じた最適なプランを選ぶことが重要です。さらに、一部業務から段階的に委託することで、業務フローのズレやコスト超過を防げるでしょう。
また、自社独自のシステムや書式に対応できるか確認し、無理なフォーマット変更や作業の二重化を回避することもポイントです。契約範囲と追加業務の費用発生条件を事前に把握しておけば、トラブルを未然に防ぐことができます。
柔軟な対応・サポート体制が整っているか確認する
経理業務は、制度改正や取引量の変化などの影響を受けやすいため、柔軟な対応力がある業者を選ぶことが欠かせません。突発的な業務増加や仕様変更への対応が遅れると、会計処理に遅延が発生し、経営判断に影響が出る可能性が高まります。
リスクを避けるためには、導入後のアフターフォローが充実しているか、担当者との定期的な打ち合わせが可能か、連絡手段やレスポンスのスピードが早いかを確認することが重要です。
また、情報管理体制やセキュリティ対策が徹底されている業者を選ぶことで、情報漏えいリスクを抑えることができます。担当者交代時の引継ぎサポートや、トラブル発生時の対応体制も重要なポイントです。
経理アウトソーシングを導入するメリット
経理アウトソーシングを導入することで、主に次のような効果を得られます。
- コア業務(経営・企画)への集中が可能
- コスト削減と人件費の最適化
- 専門知識を持つプロによる業務品質の向上
- 属人化の防止と業務継続性の確保
- 業務効率化とミスの削減
ここでは、経理アウトソーシングを導入するメリットを詳しく解説します。
コア業務(経営・企画)への集中が可能
経理業務を外部に委託することで、社内の経理担当者は本来の役割である中核業務に集中できるようになります。これまで記帳や請求処理、伝票作成などの定型業務に充てていた時間を、経営分析や戦略立案、事業計画の策定といった付加価値の高い業務へ振り向けられるためです。
また、経営層はリアルタイムな会計データを基に判断できるため、意思決定のスピードも向上します。社内のリソースを新規事業やサービス改善へ回すことができ、残業削減や働き方改革にもつながります。
経理アウトソーシングを導入するメリットについてより詳しく知りたい方は、経理アウトソーシングの基本や外注のメリット・デメリット、活用方法もご確認ください。
コスト削減と人件費の最適化
経理アウトソーシングは、経理担当者の採用・教育・福利厚生にかかるコストを削減し、固定費の最適化に寄与します。経理業務を外部に委託することで、業務量に応じて費用を調整できるため、繁忙期や閑散期に合わせた柔軟な運用が可能になります。
さらに、経理システムやクラウドサービスの維持費も抑えられるため、全体的な経費削減につながります。加えて、複数業者の見積もりを比較し、契約内容を事前に精査することで、想定外の追加コストを防止することも可能です。
専門知識を持つプロによる業務品質の向上
経理アウトソーシングでは、会計・税務・労務に精通した専門家が業務を担当するため、処理の正確性とスピードが向上します。専門知識を持つ担当者であれば、法改正や会計基準の変更にも迅速に対応でき、税務トラブルや誤処理のリスクを最小限に抑えられるでしょう。
さらに、決算や申告、仕訳といった業務品質が高まることで、経営判断に必要な財務データの信頼性も向上します。加えて、業界特有の経理処理にも柔軟に対応できるため、より実務に即した支援が受けられます。
属人化の防止と業務継続性の確保
経理業務を特定の担当者に依存していると、退職や休職によって業務が停滞するリスクがあります。アウトソーシングを導入することで、業務のマニュアル化と可視化が進み、誰でも同じ手順で対応できる体制を構築できます。
これにより、不正防止や内部統制の強化が図れるほか、人員不足や急な欠勤にも柔軟に対応できるようになります。その結果、経理処理を安定的に継続できる環境が整えられるでしょう。
経理業務の属人化についてより詳しく知りたい方は、経理業務が属人化しやすい原因や解消方法もご確認ください。
業務効率化とミスの削減
経理アウトソーシングでは、クラウドサービスや自動化ツールの活用により、経理処理のスピードと精度を向上できます。
統一された業務フローを導入することで、手戻りや重複作業が減り、データ整理が効率化されます。さらに、手入力作業を減らすことでミス発生率が低下し、会計監査や税務対応の負担も軽減可能です。
経理アウトソーシングを成功させるならパーソルビジネスプロセスデザインの経理BPOがおすすめ!
経理アウトソーシングで失敗が起こる背景には、単なる委託先の選定ミスだけでなく、委託範囲の曖昧さや情報共有体制の不備といった業務設計そのものの問題が存在します。
そのため、経理アウトソーシングを成功させるには、契約内容の明確化やコミュニケーション体制の整備など、仕組み面での改善が欠かせません。
自社だけで改善が難しい場合は、経理業務の一部またはすべてを外部に委託することで、業務標準化・属人化防止・処理品質向上を同時に進められます。とくに、経理の専門性を備えたBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の活用は、属人化や体制の標準化不足といった長期的な課題を根本から解決する効果的な手段です。
なかでも、パーソルビジネスプロセスデザインの経理BPOは次の理由から多くの企業に選ばれています。
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- 高い業務品質と効率化
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経理負担を減らしながら、経営判断に活かせる会計体制を整えたい企業は、経理BPOの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
経理BPOサービスのご紹介
- 外部企業に委託できる経理業務の内容を知りたい
- 経理業務をBPO化した他社の事例を知りたい
- 経理部門のノンコア業務を外部へ切り出して、生産性UPや従業員エンゲージメントの向上に努めたい