組織運営のメソッド化と自走化で成果を出し続けるチームを作る
組織運営のメソッド化と自走化で成果を出し続けるチームを作る
人材がそろっているのにプロジェクトがうまく回らない。知見のあるスタッフに負担が集中して疲弊するも、どうしてよいかわからず、対応策に悩んでいる。今回は、そんなお悩みを持つ組織に対して、より良い仕事の進め方を学んでいただく「ライトPM研修」の提供や、チーム運営メソッド「COROPS」に基づく業務改善を行って大幅な効率アップを実現し、メンバー同士のコミュニケーションを深めながら、業務の属人化を防いでチームとして成果を継続的に出していくための環境づくりを行う、仕組み構築のスペシャリストにお話を伺いました。
ーー 仕事の内容を教えてください
ーー 仕事の内容を教えてください
私の仕事は、個人の頑張りに依存せずに、チームとして成果を出し続けられる状態や環境を設計することです。所属している部署のミッションは大きく2つ。1つ目は、私たちのチームが提供している知見を広く知ってもらうこと。そのために、チーム運営メソッドをご紹介する「COROPS WEB」という無料で登録できるサイトの会員数や、ウェビナーへの参加者数といった指標を意識して活動しています。2つ目は、実際にサービスを使っていただいたお客様が、自分たちで成果を出せるようになること。単に知識を届けるだけではなく、現場に具体的な変化が起きているか、ポジティブな変容を感じてもらえるかというところに重きを置いています。メソッドは、ただ知っているだけでなく、使いこなして初めて価値になるものですから、そこまでを支援することが私たちの仕事です。
これまでのキャリアの中でチーム運営に関心を持つようになったきっかけは、シンプルに「個人では限界がある」と痛感したからです。どれだけ能力が高い人でも、一人で抱えられる仕事量には限りがあります。でも、チームになると「ジャイアントキリング」みたいなことを起こせるのです。
自分一人では到底太刀打ちできないような大きな相手や難しい課題に対しても、チームで役割を分担し、お互いの状況を可視化して、フィードバックのループを回していく。そういう組織としての成長を目の当たりにする中で、うまくいっているチームとそうでないチームの差は何なのか、どうすればチームを機能させられるのかを考えるようになりました。
専門性という点では、プロジェクトマネジメント(PM)や、スクラムマスター(※1)、プロダクトオーナー(※2)としての経験がベースにあります。現場に入って状況を整理したり、対話や運営のやり方を変えたりすることで、停滞していたチームを動かしていく。そこが私の強みだと思っています。
※1 短いサイクルで成果物を継続的に改善しながら価値を最大化することを目的としたアジャイルフレームワーク「スクラム」を用いて、プロセスの健全性の担保や、チームの障害除去・ファシリテーションを行う役割
※2 同じく、「スクラム」を元に、やるべきことの優先順位を決定し、プロダクト価値の最大化に責任を持つ役割
ーー COROPSとはどのようなものですか?
ーー COROPSとはどのようなものですか?
COROPSというのは、チームが機能不全に陥らないようにするための、いわば「チーム運営の型」であり「対話のメソッド」です。当社がこれまでBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の現場で20年以上活動してきた中で、1,600以上のチームと関わってきた経験をベースとし、その中で見てきた数多くの失敗や成功のパターンを凝縮して、誰でも使える形にまとめたのがこのサービスです。
業務の課題というのは、特定のツールを導入すれば解決するという話ではありません。チーム内での情報の扱い方や、対話の進め方そのものをアップデートしていくことが求められます。そのノウハウを社内の人間だけでなく、アウトソーシング先も含めたプロジェクト全体で使える形にパッケージ化したものがCOROPSなのです。
チームが機能するための3箇条と失敗の最大要因
チームが機能するための3箇条と失敗の最大要因
ーー 優れたチームに求められるものは何でしょうか?
ーー 優れたチームに求められるものは何でしょうか?
チームが機能するために、絶対に欠かせない要素を3つ挙げるとすれば、まずは「目的の共有」。何のために集まっているのか、どこを目指しているのかが曖昧だと、力は分散してしまいます。2つ目は「情報の整理と可視化」。誰が何を考えているのか、今どんな状況なのかが見えないと、誤解が生まれてしまいます。そして3つ目が「言語化ベースの対話」。感覚的なものも含めて、ちゃんと言葉にして共有し、フィードバックし合える関係性があること。この3つが揃って初めて、チームは安定します。
一方、これが欠けると一気にチームやプロジェクトが崩れると感じる要素は、「心理的な安全性」、もっといえば「言いたいことが言えない空気感」です。何か違和感があっても「これを言ったら角が立つかな」とか「自分が我慢すればいいや」と個人の中に閉じ込めてしまう。そうした小さなズレが積み重なっていくと、ある時ポロッとプロジェクトが崩壊したり、メンバーが疲弊して離脱したりすることに繋がります。現場で起きている情報の目詰まりこそが、最大の危機なのです。
ーー 支援の際に大切にしていることは何ですか?
ーー 支援の際に大切にしていることは何ですか?
私が支援に入る際に一番初めに確認するのは、「目的、役割、プロセス」がどこまで共有されているかという点です。皆さん、意外とわかっているつもりで、実は会話の中で微妙に食い違っていたり、詰まっていたりする部分がある。そこを観察しながら、何がボトルネックになっているのかを探っていきます。
また、心理的安全性を高めるために意識しているのは、相手を否定しないことです。まずは現場の皆さんがこれまで積み上げてきたものをリスペクトした上で、「皆さんの仕事がもっと楽しくなるように、こういうやり方を試してみませんか」というスタンスで取り組みます。ファシリテーションをする時も、ただ議論を回すのではなく、本音で話してもらえるような空気づくりが大切です。感謝やリスペクトといった感情を意図的に循環させることで、チームの雰囲気がはっきり変わっていくことを、これまでに何度も見てきました。
ーー この仕事をして良かったと思うこと、大変なことは何ですか?
この仕事をやっていて良かったと思うのは、支援対象のメンバーたちの表情が変わる瞬間です。最初はどこか暗い顔をしていた人たちが、対話を通じて状況が整理され、自分たちの役割が見えてくると、生き生きと仕事をし始める。チームの空気がガラッと変わって「仕事が楽しくなった」と言ってもらえるのが一番の喜びです。
直近では、2025年8月に静岡県磐田市と締結した地域連携協定の取り組みが印象に残っています。市職員約20名を対象に、部門横断でCOROPSのライトPM研修を実施し、チームとして同じ課題に取り組む形式で進めたのですが、参加者からは「これまで一人で抱えていた仕事も、可視化して対話しながら進めると、こんなに早く精度高く進められるとは思わなかった」という声をいただきました。また、「周囲に助言を求めやすくなり、自然と感謝やリスペクトの気持ちが生まれた」との言葉も印象的でした。小さな体験の積み重ねが、チームの関係性を大きく変えていくことを改めて実感した瞬間でした。
一方、もちろん困難もあります。特に、情報が適切に伝達されていなかったり、意図的に隠されていたりするような状況だと、非常に難しいですね。でも、それも対話を重ねて情報を構造化し、一つずつ紐解いていけば必ず前進できますから、粘り強く向き合うようにしています。そして、昨今のコンプライアンス強化によって、業務の進め方や意思決定の根拠を言語化・記録する必要性も高まってきました。その結果、これまで暗黙知として曖昧にされがちだったプロセスが整理されやすくなり、私たちが支援している「情報の可視化」や「対話の設計」とは非常に相性が良い流れだと感じています。
さらに、最近、特に意識しているのは、「リモート環境での情報の扱い方」です。対面なら雰囲気で伝わっていたことが、リモートだとはっきり言語化しないと伝わりません。情報の伝達ステップをどう設計するか、誤解が起こらないようにどう工夫するか、という点は非常に細かく意識しています。
8割以上の組織が抱えている「情報の目詰まり」
ーーどのような課題を持ったお客様が多いですか?
ーーどのような課題を持ったお客様が多いですか?
主なお客様は、業界を問わず「今の進め方ではうまくいかない」と感じているリーダーやマネジャーの方々が多いです。最近では、新しい取り組みを始めようとしている自治体からもお声がけいただくことが増えています。
よくある課題のパターンとしては、1つ目は部門間の連携不足。隣の部署が何をやっているか分からず、情報の壁がある場合です。2つ目はプレイヤーからマネジャーになった方が、チームとしての成果の出し方に悩んでいるケース。これは、特にプレイヤーとして非常に優秀だった方がマネジャーになった場合に多いのですが、プレイヤー時代は個人で成果を出すことに長けていたためにチームで成果を出すことに苦戦し、「自分ならこれくらいできるのに、なぜ部下にはできないのか?」というギャップに苦しんだり、自身がプレイヤーのように動いてしまい、チーム全体の機能不全を招いたりします。これは、優れた野球選手が、そのまま名監督になれるとは限らないことに似ていますね。そして3つ目は、新しいプロジェクトを立ち上げたけれど、関係者が多すぎて意思決定がスムーズにいかない、といった状況です。
こうした課題の多くは、実は表面的な問題よりも、その奥にある「情報の目詰まり」や「対話の欠如」が根本原因であることがほとんどです。割合でいうと、8割以上はそうかもしれません。見た目はシステムの問題やスキルの問題に見えても、掘り下げていくと「実は話が通じていなかった」というところに行き着くのです。
ーー業務の属人化を解消するために、どのようなステップを踏みますか?
ーー業務の属人化を解消するために、どのようなステップを踏みますか?
支援のステップとしては、まず徹底的なヒアリングから始めます。状況を可視化して、課題を構造化し、その上でチームに適した運営ルールを設計していく。いきなり完成形を目指すのではなく、小さな成功体験を積み重ねながら、徐々に定着させていくプロセスを大事にしています。
組織として仕事のノウハウを個人任せにしないためには、やはり『仕組み化』が必要です。特定のリーダーの資質に頼るのではなく、誰が参加しても一定のパフォーマンスが出せるような、対話のルールや情報の扱い方を組織の文化として根付かせていく。それが、COROPSの目指している価値でもあります。
はたらくことで充実感を実感し、笑い合える環境を作り続ける
ーー今後、チームのあり方や仕事の進め方は、どのように変わっていくでしょうか?
これからの時代、AIの活用が進めば進むほど、人間同士のチームワークの重要性は逆に高まっていくと思います。情報の整理や分析といった作業はAIがやってくれるようになりますが、「何のためにやるのか」という目的を定めたり、メンバー間の信頼関係を築いたりするのは、人間にしかできないことだからです。チームとしてどう意思決定し、どう感情を共有しながら進んでいくのか、その「人間らしさ」がプロジェクトの成否を分ける決定的な要因になっていくはずです。
今後、COROPSで挑戦したいのは、このメソッドをもっと広い領域に届けていくことです。企業だけではなく、学校や地域活動、あらゆる『人が集まって何かを成し遂げる場所』で、この考え方が役立つと信じています。
私が最終的にお客様に届けたいのは、単なる業務の効率化ではありません。チームがうまく回ることで、はたらく人たちが自分の存在意義を感じられ、お互いにリスペクトし合える。そんな「Well-being」な状態を作りたいのです。仕事を通じて笑い合える、その充実感を一人でも多くの人に味わってもらいたい。どんなに厳しい状況であっても、COROPSというメソッドがあれば前を向ける、そう思ってもらえるような価値を提供し続けたいと考えています。