ストレスチェックでの高ストレス者への対応とは?判定基準や対応策について解説

ストレスチェックでの高ストレス者への対応とは?判定基準や対応策について解説

ストレスチェックで高ストレス者が出た場合、企業には面接指導を申し出やすい体制の整備と、実施者等による勧奨が行われる運用が求められます。しかし、「点数の見方が曖昧」「面談を拒否されたらどうする?」「対応しないと違法になる?」と、実務で迷う担当者は少なくありません。

対応を誤ると、従業員のメンタルヘルス不調の悪化にとどまらず、安全配慮義務違反として是正勧告や損害賠償リスクに発展する可能性もあります。「本人が希望しないから」と放置するのは、決して安全な選択ではないのです。

本記事では、高ストレス者の判定基準から面接指導の流れ、拒否された場合の代替対応、集団分析を活用した組織改善まで、わかりやすく解説します。法令遵守と従業員ケアを両立させたい人事・総務担当者の方は、ぜひ最後までお読みください。


目次

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    ストレスチェックとは?

    ストレスチェックとは、主に質問票を用いた心理的な調査のことを指します。従業員自身が回答する形式で行われ、心理的なストレスの程度やその要因を評価します。

    このチェックは、労働者が自分のストレス状態を認識し、専門家が適切な助言を行うための重要な手段です。具体的には、質問票には職場環境、仕事量、人間関係などに関する項目が含まれ、それに基づいてストレスの程度を数値化します。

    これにより、個々の従業員のストレスレベルが客観的に評価されます。

    ストレスチェックの目的

    ストレスチェックの主な目的は、職場におけるメンタルヘルスの向上です。具体的には、高ストレス状態の従業員を早期に発見し、適切な対応を取ることで心身の健康被害を未然に防ぐことを目指しています。

    また、労働者自身が自分のストレス状態を客観的に把握し、自己管理能力を高めることも目的に含まれます。ストレスチェックを通じて、従業員は自身のメンタルヘルスを認識し、適切な対策やストレス対処法を学ぶことで、自分でストレスを管理する力が養われるのです。

    さらに職場全体のストレス状況を把握することで、「環境改善の促進」も可能となります。

    ストレスチェック結果の集団分析により、特定の集団(部署やチーム)のストレス傾向を解析し、組織全体の健康課題を明確にすることで、業務プロセスの効率化やコミュニケーションの改善、労働環境の見直しを実現します。

    例えば、業務の分担見直しや休暇制度の充実、チームビルディングの強化など具体的な改善策を講じることで、メンタルヘルスケアの不備によるリスクを減少させ、従業員の満足度や職場の士気を向上させることができるでしょう。

    ストレスチェックの義務化

    ストレスチェックの実施は、2015年12月に、改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度が施行され、常時50人以上の労働者を雇用する事業場に義務付けられました。また、2025年5月の法改正により、50人未満の事業場にも義務化が決定しています。(施行は公布後3年以内に政令で定める日(遅くとも2028年5月まで))

    この法律改正により、企業におけるストレスチェックの実施は法的義務となり、定期的にチェックを行わなければならなくなりました。

    この義務化の背景には、労働者のメンタルヘルス問題が深刻化している現状があります。

    疾患による長期休業や労災認定の増加は、企業にとって重大なリスクとなり得るため、健全な職場環境を維持し、労働者の健康を守ることが法的にも重要視されています。

    そのため企業は、ストレスチェックを実施し、その結果に基づいて適切な対策を講じる義務があります。また、高ストレス者への対応や職場改善を行うことで、従業員全体のメンタルヘルスの向上を図り、効率的かつ安全な職場環境を提供する責任が定められているのです。

    ※参考:厚生労働省「労働安全衛生法が改正されました」

    ストレスチェックの義務化について、対象者の要件や具体的な実施の流れ、注意点をさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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    ~あわせて読みたい~

    「ストレスチェックの義務化とは|実施の流れと注意点を解説!」



    高ストレス者の判定基準

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    高ストレス者とは

    高ストレス者とは、ストレスチェックの結果、心理的ストレスの程度が一定の基準を超えた従業員を指します。

    この基準は、主に質問票の回答内容に基づいて決定されるもので、具体的には、仕事の負荷、人間関係の問題、環境の変化などの項目に高いストレスを感じていると回答した人が該当します。

    また、この基準は厚生労働省のマニュアルの例を参考に、衛生委員会等で審議のうえ事業場ごとに設定されており、具体的な数値や評価方法は企業ごとに異なりますが、総得点が一定の閾値を超える場合や特定の項目で高得点を記録した場合に、高ストレス者と判定されます。

    高ストレス者と判定される点数・数値基準を詳しく解説

    高ストレス者かどうかは、具体的な数値基準をもとに判定されます。主観や感覚に頼らず客観的な根拠に基づくことで、本人への適切な支援と企業の法的リスク管理を両立できるためです。


    厚生労働省が示す標準的な判定方式には「合計点数方式」と「素点換算表方式」の2種類があり、職業性ストレス簡易調査票(57項目版)では、それぞれ以下例のような数値基準例が紹介されています。


    合計点数方式の判定基準例

    領域ごとに合計点を算出し、以下のいずれかを満たす場合に高ストレス者と判定します。


    • 領域B(心身のストレス反応・29問)の合計点数が77点以上(最高116点)
    • 領域A(仕事のストレス要因)と領域C(周囲のサポート)の合算が76点以上、かつ領域Bの合計が63点以上

    素点換算表方式の判定基準例

    各尺度の得点を素点換算表で5段階評価点(1〜5点)に変換し、以下のいずれかを満たす場合に高ストレス者と判定します。


    • 領域Bの評価点の合計が12点以下(最低6点)
    • 領域A+Cの評価点合計が26点以下、かつ領域Bの評価点合計が17点以下
    ンケート用紙:職業性ストレス簡易調査票(57項目)。A あなたの仕事について(例:仕事量が多い、時間的余裕がない、仕事の裁量が少ない、周囲の支援が少ない等)を1〜4の尺度で回答。B 最近1か月のあなたの状態(例:疲れている、気分が晴れない、イライラする、眠れない等)を1〜4の尺度で回答。C あなたの周囲の方々について(例:上司・同僚・家族友人からの支援や相談のしやすさ)を1〜4の尺度で評価。D 職場環境について(例:職場満足度、職場の一体感)を1〜4の尺度で回答。全体は横書きで小さな文字の設問が並ぶ評価式アンケート用紙。



    なお、上記はあくまで厚生労働省が示す「設定例」です。実際の判定基準は各企業が衛生委員会等での審議を経て設定する必要があります。


    なお、厚生労働省のストレスチェック制度実施マニュアルでは、基準の目安として、受検者のおおむね10%が高ストレス者に該当するよう設計することが推奨されています。


    また、手計算が難しい場合は、厚生労働省が提供する「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」(無料)を利用すると、高ストレス者の判定を自動で行うことができます。




    合計点数・素点換算表を使った判定方法

    数値基準を正しく適用するには、2つの方式それぞれの集計手順を正確に理解しておくことが必要です。計算を誤ると、本来支援が必要な方を見落とすリスクがあるため、特に手作業による集計では逆転項目の処理に注意が求められます。


    合計点数方式の手順

    ① 逆転項目の処理 点数が低いほどストレスが高いと評価される設問(逆転項目)は、点数を反転させてから合計します。
    対象は領域AのNo.1〜7・11〜13・15、領域BのNo.1〜3です。
    回答を「1→4、2→3、3→2、4→1」に置き換えてください。
    ② 領域ごとに合計点を算出 逆転処理後の点数をA・B・C領域ごとに合算します。
    ③ 判定基準と照合 上記の判定基準例(条件ア・イ)のどちらかを満たせば高ストレス者と判定します

    素点換算表方式の手順

    ① 尺度ごとの素点を算出 各設問の回答点数をもとに、尺度ごとの合計点(素点)を計算します。
    ② 素点換算表で評価点に変換 性別ごとの換算表を使い、各尺度の評価点(1〜5点)を算出します。
    同じ回答でも性別によって評価点が変わる点に注意してください。
    ③ 領域ごとに評価点を合計 A・B・C領域ごとに評価点を合算します。
    ④ 判定基準と照合 上記の判定基準例(条件ア・イ)と比較します。
    この方式では評価点が低いほど高ストレスを意味するため、合計点数方式とは見方が逆になる点に注意してください。

    合計点数方式はシンプルで扱いやすい反面、設問数の多い領域の影響を受けやすい特性があります。素点換算表方式は計算が複雑になるものの、尺度ごとの評価を踏まえた精度の高い判定が期待できます。


    いずれの方式でも手作業での集計はミスが生じやすいため、専用ツールやシステムの活用をおすすめします。どちらの方式を採用するかは、産業医や衛生委員会と事前に協議しておくと安心です。



    ストレス値が「高い」「やや高め」の違いと注意点

    素点換算表方式では、ストレスの状態は「低い」から「高い」までの5段階で示されます。このうち「やや高め」と判定されても、それだけで高ストレス者と判断されるわけではありません。高ストレス者かどうかは、複数の尺度を合算した総合点をもとに判定されます。


    一方で、「やや高め」は見過ごしてよい状態でもありません。複数の尺度で「やや高め」が重なると、総合的に高ストレス判定に近づく場合があります。また、現時点では基準に達していなくても、状況が続けば次回以降に高ストレスと判定される可能性があります。


    実務上、「高い」と判定された場合は、法律に基づき面接指導の勧奨対象となり、本人への通知や申出を受け付ける体制整備が必要です。一方、「やや高め」は高ストレス者には該当しませんが、いわゆるグレーゾーンとして、個別の声かけや集団分析で注意深く扱うことが望まれます。


    受検者にとっても、「やや高め」はすぐに面接指導が必要という意味ではありません。ただし、体調や気分の変化が続く場合は、社内の相談窓口や保健師などに早めに相談することが大切です。



    【従業員向け】高ストレス判定だった場合どうなる?受検者が抱く不安

    「高ストレス者と判定されたら会社にバレるのか」「人事評価に影響するのか」。そんな不安を感じる方も多いのではないでしょうか。


    結論として、ストレスチェックの結果は本人の同意なしに会社へ提供されることはありません。また、高ストレス判定や面接指導を受けたことを理由とした不利益な取り扱いは、法令で禁止されています。


    ここでは、受検者が抱きやすい疑問にお答えします。人事担当者の方は、社内の制度案内にそのままご活用いただける内容です。


    高ストレス状態が続くと現れる症状

    高ストレス状態にある方にとって大切なのは、まず「自分の状態に気づくこと」です。早めに変化に気づき、適切なサポートにつながることで、深刻な不調を未然に防ぐことができます。


    高ストレスが慢性的に続くと、自律神経の乱れを引き起こし、心身や行動にさまざまな影響が現れやすくなります。職業性ストレス簡易調査票の領域B(心身のストレス反応)をもとに、代表的な症状を整理しました。 


    心理的な症状
    • 気分が落ち込む、憂うつな気持ちが続く
    • 不安感やイライラが増す、怒りっぽくなる
    • 意欲・やる気の低下、何もしたくない気持ち
    • 集中力の低下、ミスが増える
    • 将来への悲観や無力感
    身体的な症状
    • 睡眠の乱れ(寝つけない、途中で目が覚める)
    • 頭痛、肩こり、めまいが続く
    • 胃腸の不調(食欲不振、胃痛、下痢)
    • 慢性的な疲労感、体がだるい
    行動面の変化
    • 遅刻・早退・欠勤が増える
    • コミュニケーションを避けるようになる
    • 業務のミスや判断の遅れが目立つ

    思い当たる症状が複数あったり、2週間以上続いていたりする場合は、セルフケアだけでの回復が難しいサインかもしれません。


    一人で抱え込まず、社内の相談窓口・保健師・産業医、あるいは外部のカウンセリングサービスへの相談を検討してください。


    面接指導の内容とメリット・デメリット

    高ストレス者と判定された場合の面接指導は、医師から専門的なアドバイスを受けられる貴重な機会です。


    面談を通じてご自身の状況を専門家に客観視してもらい、必要に応じて業務負荷の軽減など、就業上の配慮につなげることができるためです。


    事業場や産業医によって所要時間は異なりますが、現在のストレス状況や勤務時間、生活習慣などを聞かれます。「人事に内容が詳細まで知られるのでは」と懸念(デメリット)を抱く方もいますが、労働安全衛生法により実施者には厳しい守秘義務があり、本人の同意なしに企業へ詳細が提供されることはありません。


    また、申出や受検等を理由に異動や不利益な扱いを行うことは法律で固く禁じられています。早期発見・早期支援の制度として、安心して面談を活用してみましょう。(医師意見に基づく必要な就業上措置が行われることはあります)


    「高ストレスにならないように」回答を操作するのはNG

    ストレスチェックを受検する際、意図的に結果を良く見せようと回答を操作するのは避けるべきです。ご自身の正確な状態が把握できないと、本当に必要なサポートや職場の環境改善を受ける機会を失ってしまうからです。


    「引っかかると会社での評価に響くのでは」と不安に思い、無難な回答をしてしまうケースがあります。


    しかし前述の通り、ストレスチェックの結果を理由とした、制度利用や申出等を理由とした不利益取扱いは禁止されています。また、回答を操作すると部署ごとの「集団分析」の精度も落ち、業務過多などの職場環境を改善するきっかけも失われます。


    ストレスチェックは、あくまでご自身の健康を守るための一次予防の取り組みです。ありのままの状態で、正直に回答するように心がけてください。


    【企業向け】高ストレス者への対応フローと実務

    高ストレス者が判定された後、迅速かつ適切な対応を取ることが重要です。効果的な対応フローを構築することで、従業員のメンタルヘルスを守り、健全な職場環境を維持することができます。

    このセクションでは、高ストレス者が判定された直後から集団分析の活用まで、人事・総務担当者が実務で使える手順を順に解説します。

    なお、集団分析の基本的な概念や結果の読み解き方については、下記の記事で詳しく解説しています。高ストレス者への対応と合わせてご確認ください。

    ~あわせて読みたい~

    「ストレスチェックの集団分析とは|結果・判定図の見方・計算式・活用法を徹底解説」



    高ストレス者への初期対応と「面談勧奨」のポイント

    高ストレス者が判定された直後の初期対応では、プライバシーに十分配慮した結果通知と「面談勧奨」が最も重要になります。従業員に不要な不安を与えず、安心して面接指導を申し出やすい環境を整えることが、制度の実効性を高める鍵となるからです。


    結果通知は、他の従業員に見られないよう封書や個別メールで行います。その際、面接指導の案内文には以下のポイントを必ず盛り込みます。


    • 個人の秘密やプライバシーが厳守されること

    • 面談の申出により不利益な取り扱いを受けないこと
    • 具体的な申出窓口(連絡先)と期限

    面接指導はあくまで本人の希望によるため強制はできませんが、企業には勧奨する義務があります。


    案内文の言葉ひとつが、従業員が「受けてみよう」と思えるかどうかを左右します。プライバシーへの配慮と前向きなメッセージを意識した文面を心がけてください。なお、厚生労働省のポータルサイトでは勧奨文書の参考様式も公開されています。




    産業保健スタッフよる面接指導の流れと事前準備

    面接指導のプロセスでは、医師(産業医)が主体となって指導を行い、企業側は適切な事前情報の提供に努める必要があります。法令上、従業員の状況を医学的に評価し、就業上の措置に関する意見を述べるのは医師の役割と定められているためです。


    具体的な流れは、「申出受付→日程調整→医師による実施→意見書の受領→就業上の措置の検討」となります。


    この際、人事側が事前に医師へ共有すべき情報として、直近の残業時間、定期健診の結果、現在の業務内容、勤怠記録などをリスト化して準備しておくと面談がスムーズに進行します。


    保健師がいる場合は事前フォローや橋渡し役を担ってもらうなど、誰が何を準備するか役割分担を明確にし、質の高い面接指導を実現しましょう。



    従業員が面接指導を「希望しない(拒否)」従業員への代替対応

    実務担当者が頭を悩ませやすい問題のひとつが、面接指導を拒否する従業員への対応です。厚生労働省の調査によると、高ストレス者と判定された従業員のうち、医師による面接指導を申し出る人が5%未満という事業場は76.8%にのぼります。


    アンケート用紙:職業性ストレス簡易調査票(57項目)。A あなたの仕事について(例:仕事量が多い、時間的余裕がない、仕事の裁量が少ない、周囲の支援が少ない等)を1〜4の尺度で回答。B 最近1か月のあなたの状態(例:疲れている、気分が晴れない、イライラする、眠れない等)を1〜4の尺度で回答。C あなたの周囲の方々について(例:上司・同僚・家族友人からの支援や相談のしやすさ)を1〜4の尺度で評価。D 職場環境について(例:職場満足度、職場の一体感)を1〜4の尺度で回答。全体は横書きで小さな文字の設問が並ぶ評価式アンケート用紙。

    面接指導はあくまで本人の申出が前提であり、企業が強制することはできません。しかし、申し出がなかったからといって放置してよいわけではなく、企業が負う安全配慮義務の観点から、何らかの代替フォローを用意しておくことが求められます。

     

    具体的な対応例としては、次のような方法が挙げられます。


    【面接指導を希望しない従業員への代替対応例】

    外部EAP・相談窓口の案内

    社外のカウンセリングサービスや従業員相談窓口を案内します。社内に情報が共有されず、個人が自発的に相談できる環境を整えることがポイントです。

    50人未満の事業場であれば、地域産業保健センターを通じて、無料で医師による健康相談や面接指導のサポートを受けることも可能です。(ストレスチェックの実施や実施者の引き受けは行っていないため、検査自体は自社または外部委託で行う必要があります)


    ※参考:JOHAS(労働者健康安全機構)「地域窓口(地域産業保健センター)」
    産業保健スタッフによる任意の健康相談 「面接指導」ではなく、産業保健スタッフとの「任意の健康相談」として対話の場を設けることができます。本人の心理的なハードルを下げながら、状態の把握や支援につなげられます。
    管理職へのラインケア促進 個人を特定しない形で、管理職にメンタルヘルスに関する研修や声かけのポイントを共有します。
    集団分析を通じた組織改善 個人の面接に頼らず、部署やチーム単位でストレス傾向を分析し、業務量や職場環境の改善につなげます。

    また、当社のカウンセリングサービス「KATAruru(カタルル)」のように、臨床心理士・公認心理師による個別カウンセリングを通じて、医師面接とは異なる形でサポートできる外部サービスを活用するのも有効な選択肢のひとつです。


    「申し出なかった従業員にはそれ以上対応しなくてよい」ではありません。個人が特定されない範囲で相談しやすい代替の選択肢を複数用意し、フォローを絶やさない運用体制を整えることが、健全な職場環境づくりと企業リスクの低減につながります。


    こうした代替対応の仕組みを社内だけで構築・維持するには、専門知識や継続的な運用体制が必要です。外部の専門機関への委託を検討する際は、選び方や費用感をまとめた以下の記事が参考になります。



    ~あわせて読みたい~

    「ストレスチェックの外部委託完全ガイド|失敗しない業者選びと費用の考え方」



    職場全体の対応(集団分析の活用)

    高ストレス者への対応は個別のサポートだけではなく、職場全体の改善にもつなげることができます。

    特定の部署やチームに高ストレス者が集中している場合、その背景には業務過多や人間関係のこじれ、裁量権の少なさといった組織的な課題が潜んでいることがほとんどです。個人へのケアだけでは、こうした根本原因には対処できません。

    まず、ストレスチェックの結果を集団単位で分析し、共通するストレス要因を把握します。その結果をもとに職場環境の見直しや業務プロセスの改善、人間関係へのサポートなど、組織全体としての改善策を検討・実行します。

    法令上、事業者には集団分析結果を活用した職場環境改善への取り組みが努力義務として位置づけられていますが、50人未満の事業場に向けて2026年に厚生労働省により公表された小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアルでも、集団分析・職場環境改善の章が設けられています。


    あわせて、メンタルヘルスに関する教育や啓発活動を継続的に行い、全従業員がストレスマネジメントの重要性を理解して取り組める環境を整えることも大切です。


    パーソルビジネスプロセスデザインのストレスチェックサービスでは、組織課題を一目で特定できる集団分析レポートを提供しています。改善ポイントが明確に示されるため、衛生委員会や経営層への説明・意思決定にもそのままご活用いただけます。


    この対応フローを整えることで、高ストレス者が適切なサポートを受けられるだけでなく、職場全体のメンタルヘルス向上にも貢献できます。個人のケアと組織レベルのアプローチを組み合わせることが、メンタルヘルス対策の本質です。


    ストレスチェック制度の基礎知識から、集団分析レポートの読み解き方、職場環境改善の進め方、さらには健康経営優良法人認定への活用方法まで、職場全体のメンタルヘルス対策を、どこから・どのように進めればよいか、具体的な手順やポイントをまとめた資料を無料でご用意しています。


    まずは資料をダウンロードして、自社の対応フローを整えるヒントにしてみてください。


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    高ストレス者を放置するリスクと企業の責任

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    高ストレス状態が続くリスク

    高ストレス状態が続くことは、従業員の心身に深刻な影響を与えます。

    まず、心理的な面では、うつ病や不安障害といった精神疾患の発症リスクが高まります。また、精神疾患の発症や高ストレス状態が続いてしまうと従業員は仕事に対する意欲を失い、日常生活にも支障をきたす場合もあるでしょう。

    身体的な面では、持続的なストレスが原因となって頭痛、胃痛、疲労感、不眠症などの症状が発生し、さらには高血圧や心疾患のリスクも増大します。この影響は、従業員個人の生活の質を著しく低下させるだけでなく、職場全体の雰囲気や生産性にも悪影響を及ぼします。

    放置すれば、メンタル不調の悪化から休職・長期離職の連鎖を招き、代替人員コストや生産性損失が企業に重くのしかかるだけでなく、高ストレスはチーム全体へ影響しモチベーション低下や離職連鎖といった組織的なダメージにも発展しかねません。

    だからこそ、個人の不調を早期に組織の課題として捉える視点が重要です。

    企業における法的リスク(安全配慮義務違反と損害賠償)

    個人のリスクは当然ながら、高ストレス者を適切に対応せず放置することは、企業にとっても多くの法的リスクを伴います。

    企業は「労働安全衛生法」および「労働契約法第5条(安全配慮義務)」に基づき、従業員の安全と健康を守る責任を負っています。高ストレス状態にある従業員を放置し、必要な措置(産業医による面接指導や業務軽減など)を怠ることは、労働安全衛生法違反として労働基準監督署からの是正勧告を受けたり、安全配慮義務違反として損害賠償責任を問われたりする可能性があります。

    さらに、従業員が精神疾患を発症し、休業や退職を余儀なくされた場合、民法415条(債務不履行)や民法709条(不法行為責任)に基づく損害賠償請求に発展することで、判例によっては高額の賠償が認められることもあり、企業の社会的信用や採用力に大きなダメージを与えるリスクもあります。

    また、「ストレスチェックの結果を把握し、適切な対応を行った」という対応の相当性判断の為、面接指導の勧奨記録や就業上の措置の決定プロセスを適切に文書化・保存しておくことも、リスク管理の基本となります。



    従業員の健康と生産性への影響

    高ストレス状態を放置することは、従業員の健康と生産性に直接的な悪影響を及ぼします。

    まず、高ストレス状態にある従業員は業務効率が低下し、簡易的なミスや業務遅延が頻発するようになります。その結果、他の従業員にも負担がかかり、チーム全体のパフォーマンス低下にまで発展するのです。

    また、心身の疲労や病気の発症による休暇取得の増加や長期の離職に至ることも少なくありません。このような状況が続くと、職場全体の士気も低下し、人材の定着率が悪化にも影響があるでしょう。これにより、企業は新たな人材の採用や育成に多大なコストと時間を費やすことになるため、長期的な成長にとって大きな障害となることは避けられません。

    これらのリスクを回避するためには、高ストレス者を迅速かつ適切に対応し、従業員の健康と安全を確保する体制を整えることが重要です。企業は、ストレスチェックの結果を積極的に活用し、継続的なフォローアップを行うことで、従業員のメンタルヘルスを守り、健全な職場環境を維持することが求められています。



    ストレスチェック高ストレス者に関するよくある質問(FAQ)

    ストレスチェックの高ストレス者について、受検者・企業担当者の双方からよく寄せられる疑問をまとめました。


    Q1: ストレスチェックで高ストレス者と判定されるとどうなる?

    結果はまず本人に通知され、会社から面接指導の案内(勧奨)が届きます。受けるかどうかはご自身の判断で、本人の同意なく個人の結果が会社へ提供されることはありません。


    また、面接指導の申出や受診を理由とした不利益な取り扱いは法令で禁止されています。


    Q2: 高ストレス者の判定基準(点数・数値)は?

    57項目版では、合計点数方式(①領域Bが77点以上、または②領域A+Cが76点以上かつ領域Bが63点以上)と、素点換算表方式(①領域Bの評価点が12点以下、または②領域A+Cの評価点が26点以下かつ領域Bが17点以下)の2方式があります。


    ただし、最終的な判定基準は自社の衛生委員会等で設定する必要があります。詳しくは本記事の「高ストレス者と判定される点数・数値基準を詳しく解説」をご参照ください。


    Q3: 高ストレス者への面接指導は強制できる?

    強制はできません。面接指導は本人が希望して申し出た場合にのみ実施します。一方で、企業には申出を受け付ける体制整備と周知や、実施者等が勧奨を行う運用が必要です。


    申し出がない場合も「対応不要」とはならず、外部相談窓口やカウンセリングサービスへの案内など、代替フォローの体制を整えることが重要です。


    Q4: 高ストレス者を放置すると企業にどんなリスクがある?

    メンタル不調の悪化による休職・離職の増加や採用・育成コストの増大に加え、安全配慮義務違反(労働契約法第5条)として損害賠償を請求されるリスク、労働基準監督署からの指導・是正勧告といった法的リスクも生じます。


    「実施しただけで放置」という運用は最もリスクが高い状態です。


    Q5: ストレスチェックで高ストレスだった場合、会社にバレる?

    本人の同意がなければ、個人の結果を事業者へ提供することは禁止されています(労働安全衛生法第66条の10第2項)。実施者(医師・保健師等)には守秘義務があるため、安心して受検してください。


    なお、本人が面接指導を申し出た場合など、必要な範囲で事業者が情報を把握する場面は生じます。


    Q6: 面接指導を受けたくない場合はどうすればいい?

    面接指導は任意であり、申し出なくても不利益はありません。ただし、不調が続いている場合は放置せず、社内外の相談窓口や保健師への相談、外部のEAP・カウンセリングサービスの利用を検討してください。


    「どこに相談すればいいかわからない」という状況をなくすためにも、企業側の体制整備が欠かせません。自社に合ったサービスをお探しの担当者の方は、以下の比較記事もあわせてご覧ください。


    ~あわせて読みたい~

    「【ストレスチェックサービス15選】失敗しない選び方や導入メリットを解説」



    高ストレス者が面接指導を受けやすい環境構築が重要

    ここまで、ストレスチェックや高ストレス者への対応について解説しました。

    ストレスチェックは、従業員50名以上の事業場においては年に1回以上の義務化されています。単に、義務的な対応として実施すれば終わりというものではなく、その後の分析とフォローアップの環境構築が最も重要となります。

    高ストレス者が申出しやすい環境を整え、申出があった場合は速やかに医師面接につなげることが基本ですが、面接指導のやり方や、面接を希望しない従業員へのフォローなども必要です。高ストレス者を放置せず、フォローアップを行うための職場環境・仕組みづくりをしていくことで、健康経営への取組みも進むでしょう。

    ストレスチェックに関するお悩みはパーソルビジネスプロセスデザインへ

    パーソルビジネスプロセスデザインの「ストレスチェックサービス」は、毎年のストレスチェック業務に関する準備・実施代行にとどまらず、分析結果の読み解きや高ストレス者への支援までを含めたサービスを提供しています。

    現状の課題や委託したい範囲に応じて、必要な支援をご選択いただけるため、「今のやり方で十分か」を整理するところからご相談いただけます。

    ストレスチェック制度を単なる法令対応にとどめず、従業員一人ひとりが心身ともに健康にはたらける環境づくりにつなげるためにも、信頼できるパートナーの活用をご検討ください。



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