RPO(採用代行)とは?
RPOとは、企業の採用業務の一部あるいは全部を外部の専門会社に委託する仕組みです。
正式名称は「Recruitment Process Outsourcing(リクルートメント・プロセス・アウトソーシング)」で、日本語に翻訳すると「採用代行」や「採用アウトソーシング」と呼ばれます。
RPO事業者によっては、応募者対応や面接調整といった採用実務だけでなく、採用計画の策定や母集団形成、採用データの分析・改善まで委託できます。ただし、対応範囲はRPO事業者や契約内容によって異なるため、依頼時には要件を確認しておきましょう。
RPOは採用業務の一部または全部を外部委託する仕組み
注意すべき点は、RPOサービスは、単に採用活動を外部へ丸投げできるものではないということです。
RPOとは、自社の採用課題に応じて必要な業務を切り出し、外部ベンダーと役割を分担する仕組みを指します。
採用活動は繁雑で、採用計画の策定から母集団形成、応募者対応、面接調整、内定者フォローなど、多くのプロセスが発生するため、採用人数や利用する採用チャネルが増えるほど、担当者が抱える実務も増加します。
例えば、次のような業務をRPOへ委託できます。
- 求める人材像や募集要件の整理
- 採用プロセスの設計
- 求人媒体や人材紹介会社の運用
- スカウトメールの作成・配信
- 応募受付や問い合わせ対応
- 面接の日程調整
- 採用管理システム(ATS)への情報登録・運用
- 合否連絡や内定者フォロー
- 採用データの集計・レポーティング
すべての業務を委託する必要はありません。面接調整や応募者対応だけを切り出すなど、部分的な利用も可能です。
一方、採用基準の最終決定や候補者の合否判断、採用条件の決定などは、自社が主体となることが一般的です。RPOを検討する際は、自社が担う業務と外部へ委託する業務を明確に分けることが重要です。
採用代行を利用する際に確認したい、委託募集・職業紹介との違いや必要な許認可について、以下の記事で詳しく解説しています。
RPOと人材紹介・人材派遣・採用コンサルティングの違い
組織の採用課題を解消する目的で利用するサービスとして、人材紹介、人材派遣、採用コンサルティングなども挙げられます。RPO(採用代行)とは、提供価値や契約形態の考え方が異なります。主な違いを表にまとめました。
| 比較項目 | RPO | 人材紹介 | 人材派遣 | 採用コンサルティング |
|---|---|---|---|---|
| 主な目的 | 採用プロセスの設計・運用・改善 | 条件に合う候補者の紹介 | 採用業務を担う人員の確保 | 採用課題に対する分析・助言 |
| 主な支援範囲 | 採用計画から応募者対応、分析まで | 候補者の探索・推薦・入社支援 | 派遣契約で定めた業務 | 戦略策定、課題分析、改善提案 |
| 指揮命令 | 業務委託型では、受託事業者が自社の従業員を管理。契約形態と実態による | 該当なし | 派遣先企業が派遣スタッフへ指示 | 該当なし |
| 料金の考え方 | 業務範囲や業務量に応じた委託料 | 採用決定時の成功報酬が多い | 稼働時間等に応じた派遣料金 | プロジェクト単位や月額の支援料 |
| 適している課題 | 採用業務の負荷・属人化・プロセス改善 | 特定ポジションの候補者確保 | 採用部門の人員不足 | 採用戦略や制度を見直したい場合 |
「人材派遣」は、採用業務を担う人員を受け入れる仕組みです。派遣スタッフは派遣先企業の指揮命令を受けて業務を行います。これに対し、業務委託型のRPOでは、業務の進め方や担当者の管理を原則として受託事業者が担います。厚生労働省も、労働者派遣と請負・業務委託は、契約の名称ではなく実態に基づいて判断するとしています。
※参考:厚生労働省『「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」について』
l一般的に、「採用コンサルティング」は、採用課題の分析や戦略策定、改善提案を中心とするサービスです。なお、コンサルティング会社によっては、実行支援もサービスに含まれることもあります。提案された採用施策を実行するリソースが自社に不足している場合は、実務まで支援するRPOとの併用が適していると言えるでしょう。
どのサービスが適しているかは、解決したい課題によって変わります。候補者を紹介してほしいのか、実務を担う人員が必要なのか、採用プロセスそのものを改善したいのかを整理して選びましょう。
RPO(採用代行)に委託できる主な業務
具体的に代行してもらえる採用業務としては、以下のものが挙げられます。
- 募集要件の策定
- 採用プロセスの設計
- 採用企画の立案と実施
- 母集団形成
- エントリーへの対応、応募の管理
- 応募者のスクリーニング・面接調整
- レジュメの管理
- 求人サイト等の媒体管理
- 内定者のフォロー
それぞれの業務内容を具体的に見ていきましょう。
募集要件の策定
そもそも自社が求める人物像が明確になっていなければ、採用活動を成功させることはできません。RPOを活用すると、マーケットの状況と照らし合わせながら、自社の求める求人要件を作り上げることが可能となります。
採用プロセスの設計
募集要件を策定した後には、求める人物像にマッチした人材を獲得するための「採用プロセス」を設計することが大切です。
RPOサービスでは、近年の採用トレンドや企業内にある採用活動のデータを利用して設計を進めます。そのため、採用のコストパフォーマンスを高めることができるでしょう。
採用企画の立案と実施
採用目標を達成するためのシステム導入やインターンシップの企画なども代行してもらうことが可能です。
特に新卒採用の場合には、インターンシップの他にもグループディスカッションや説明会などさまざまな企画を行う必要があります。企画の準備から実施まで委託すると、担当者の負担も軽減できるでしょう。
母集団形成
応募者を集める母集団形成も委託が可能です。RPOサービスでは以下のような幅広い業務を代行してもらうことができます。
- 求人媒体の活用
- 求人広告の利用
- オウンドメディアの企画
- リファラル採用の促進
- ダイレクトソーシング
- 人材紹介の活用
RPOサービスを行っている企業は多くの採用業務を代行する中で培ったノウハウを持っているため、実績のあるRPO事業者を選べば、知見を活用した手法の選定が期待できるでしょう。
エントリーへの対応、応募の管理
求人へ応募してきた際に発生する、さまざまな業務へ対応してもらうことも可能です。応募内容の確認、履歴書の情報登録、問い合わせ窓口の対応、その後の進捗確認など細かく手のかかる業務を委託できます。
応募者のスクリーニング・面接調整
応募者から届いた応募書類のスクリーニングや、面接の日程調整も任せることができます。電話、メール、チャットなど自社が使っているツールに合わせて、実施をしてもらいましょう。応募者とのコミュニケーションは大きな負担となりやすい業務であるため、工数の大幅な削減にもつながります。
また、RPOサービスを提供する企業は面接後の合否連絡を代行することもできます。合否連絡はミスが許されない業務であるため、委託する場合は丁寧に行ってもらえる企業を選ぶことが大切です。
レジュメの管理
履歴書や職務経歴書など、レジュメの管理もお願いすることができます。応募書類は個人情報ですので、慎重に取り扱う必要があります。適切なセキュリティ体制が敷かれているか入念に確認するようにしましょう。
求人サイト等の媒体管理
求人広告や求人サイトなどを活用している場合でも、それらの運用を代行してもらうことが可能です。一度設定して終わりではなく、継続的に改善活動をしてくれる企業を選ぶことで、採用成功に大きく近づくことができます。
内定者のフォロー
採用人数を増やすにあたり、内定者へのフォローはとても大切な業務です。定期的な意思確認や入社後に行う業務内容の説明などを丁寧に実施することで、不安の解消や入社意向の醸成につながり、内定辞退率の減少が期待できるでしょう。【3ステップ】委託する業務と自社に残す業務の切り分け方
RPOの導入効果を高めるには、いきなり採用業務のすべてを委託するのではなく、採用課題に応じて委託範囲を設計することが重要です。
委託範囲が曖昧なまま導入すると、確認や差し戻しが増え、期待していたほど負荷を軽減できない場合があります。反対に、自社が担うべき役割や判断業務まで委託すると、採用基準のズレや採用ミスマッチが起こるリスクも伴います。
次の3ステップで、委託する業務と自社に残す業務を整理しましょう。
- 採用業務の工数とボトルネックを可視化する
- 定型業務・大量処理業務はRPOの利用を検討する
- 最終的な採用判断・条件決定は自社に残す
ステップ1.採用業務の工数とボトルネックを可視化する
最初に行うのは、採用業務の棚卸しです。採用工程ごとに、担当者、作業内容、件数、所要時間、発生頻度を整理します。
例えば、次のような項目を洗い出します。
- 求人票の作成・更新
- 求人媒体への掲載
- 人材紹介会社との連絡
- スカウト対象者の選定・配信
- 応募受付
- 書類選考の依頼
- 面接日程の調整
- 面接官への情報共有
- 合否連絡、内定者フォロー
- 採用データの集計
- 採用会議用の資料作成
業務を洗い出したら、「工数が多い業務」と「採用成果を妨げている業務」を分けて確認します。
例えば、面接調整に時間がかかり、候補者への連絡が遅れている場合、問題は単なる業務量ではありません。対応の遅れが選考辞退につながっている可能性があります。
このように、工数と採用KPIを合わせて確認すると、優先して改善すべき業務を特定しやすくなります。
なお、採用プロセスのどこに課題があるかを特定するには、工程ごとのKPIを設定し、継続的に確認することが重要です。採用KPIの具体例や設定方法は、以下の記事で解説しています。
ステップ2.定型業務・大量処理業務はRPOの利用を検討する
次に、手順を標準化しやすく、処理件数の多い業務からRPOの利用を検討します。採用プロセスは多岐にわたる一方で、定型化された工程も多くあります。
例えば、次のような業務は外部ベンダーへ委託することで担当者の負荷軽減効果が特に見込めるでしょう。
- 応募受付と応募者情報の登録
- 面接日程の調整
- 面接前日のリマインド
- 合否連絡
- 書類選考の依頼・回収
- 求人媒体の更新
- 採用管理システム(ATS)への入力・運用
- 採用データの集計
- 定型的な問い合わせへの回答
これらの業務は、一件ごとの難易度が高くなくても、件数が増えると担当者の負担になります。採用繁忙期や大量採用を予定する場合、対応の遅れや入力ミスが発生、ひいては、採用計画に支障をきたすリスクも高まります。
RPOへ委託する際は、単に業務名を伝えるだけでは不十分です。対応期限、判断基準、イレギュラーな対応が発生した際のエスカレーション先まで決めておくことで、安定した運用につながるでしょう。
ステップ3.最終的な採用判断・条件決定は自社に残す
候補者の最終的な合否判断や採用条件の決定は、原則として自社が主体となって行います。
採用は、事業計画や組織構成、現場の期待と深く関わる意思決定です。候補者の経験やスキルだけでなく、配属先との適合性や入社後に期待する役割も踏まえて判断する必要があります。
自社に残す業務の例は、次のとおりです。
- 事業計画と採用計画の最終的な整合
- 求める人物像(採用ペルソナ)の最終決定
- 書類選考や面接の合否判断
- 採用条件の決定
- オファー内容の承認
- 経営層や現場責任者との調整
ただし、これらの判断に必要な情報整理や選考基準の言語化は、RPO事業者と共同で進めることもできます。
RPOは判断そのものを手放すためではなく、自社が重要な判断に集中できる状態をつくるために利用するよう意識しておきましょう。
RPO(採用代行)が広がってきた背景とは
RPOが広がっている背景には、採用難だけでなく、採用手法の多様化や採用業務の複雑化があります。2026年6月の有効求人倍率は1.18倍、新規求人倍率は2.16倍(いずれも季節調整値)でした。求人全体の動きは業種によって異なりますが、企業には引き続き、自社が求める人材を獲得するための戦略的な採用活動が求められています。
※参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年6月分)について」
採用担当者が日々のオペレーションに追われると、採用市場の分析や選考プロセスの改善に十分な時間を使えません。そこで、採用実務を外部ベンダーと分担し、自社の担当者が戦略的な業務に集中する手段として、RPOが選択されています。
採用難により母集団形成の難易度が高まっている
採用市場の状況は業種や職種によって異なるため、求人を掲載するだけでは、自社が求める人材を集めにくい場合があります。また、採用ターゲットによっても、有効なチャネルや訴求内容は変わります。
そのため、母集団形成を行うためには、求人媒体、人材紹介、ダイレクトリクルーティング、リファラル採用、採用サイト、採用マーケティングなど、複数の手法を組み合わせる必要があるでしょう。
例えば、専門職やエンジニアを採用する場合、求人媒体への掲載だけでなく、候補者を直接探して接触するスカウト活動が必要になることがあります。人材紹介会社を利用する場合も、募集背景や採用要件を的確に共有し、推薦を促す取り組みが欠かせません。
RPOを活用すると、採用市場や過去の実績を踏まえ、採用チャネルの選定や運用を支援してもらえます。母集団の「数」だけでなく、自社が求める人材との接点を増やしたい(採用の「質」を向上させたい)企業にとっても、有効な選択肢となるでしょう。
採用チャネルの多様化で業務が複雑化している
前述の通り、採用難の時代において、採用チャネルの効果的な活用が重要です。一方でチャネル数が増えるほど、採用担当者が管理する業務も複雑になることが懸念されます。
求人媒体ごとに掲載情報を更新し、人材紹介会社ごとに求人情報を共有しながら、スカウトの配信状況も確認しなければなりません。応募後は、複数の経路から届く候補者情報を採用管理システムへ集約する必要があります。
さらに、採用チャネルごとに、応募数・移行率・面接参加率・内定率/内定承諾率、採用単価、リードタイムといった指標を確認することも重要です。これらの業務を担当者個人の経験だけで管理すると、対応漏れや属人化が生じるだけでなく、採用歩留まりの低下を招くリスクが高まるでしょう。
RPOを活用して運用手順やデータ管理方法を標準化すれば、採用チャネルが増えた場合でも、安定した対応を行いやすくなります。
採用担当者に戦略業務と候補者対応の両立が求められている
採用担当者には、採用戦略の策定と、候補者への迅速で丁寧な対応の両方が求められます。
戦略業務には、採用市場の分析、採用要件の策定、採用チャネルの選定、選考プロセスの設計などがあります。一方で、応募受付や面接調整、面接官への連絡など、日々のオペレーションも止められません。
この2つを限られた人員・リソースだけで両立しようとすると、緊急性の高い応募者対応が優先されます。その結果、中長期的な改善施策を検討する時間が不足しやすくなります。
RPOは、このような状況を解消する方法の一つです。定型的な採用業務を外部へ委託することで、採用担当者は次のコア業務に時間を使いやすくなります。
- 現場部門との採用要件のすり合わせ
- 面接での見極めと候補者への動機づけ
- 採用KPIの分析
- 求人内容や選考プロセスの改善
- 採用ブランディングの検討
RPOの目的は、単に担当者の作業を減らすことではありません。自社の人事担当者が、採用成果に影響する業務へ集中できる状態をつくることにあります。
応募受付や面接調整などの候補者対応は、選考辞退や内定承諾にも影響する重要な接点です。候補者体験を改善する考え方や具体策は、以下の記事で詳しく解説しています。
RPO(採用代行)を利用する3つのメリット
RPOサービスを利用するメリットは、大きく分けて以下の3つになります。
メリット(1)煩雑なオペレーションの負荷を軽減できる
特に、以下のような業務を外注することで負荷が軽減できるでしょう。
- 求人媒体の管理
- 面接の日程調整やリマインド
- 合否連絡
- 進捗管理や月次、週次のレポート作成
採用代行サービスを効果的に活用することで、応募者の「見極め」など自社社員にしかできないコア業務へ専念できる環境になります。
メリット(2)採用成果を向上させる仕組みを構築できる
近年、採用の現場では職種や地域によって差はあるものの、人材獲得競争が続く領域があり、今までの手法では成果が出ないケースも少なくありません。RPOサービスを導入することで、外部パートナーの知見を得ることができ、採用力強化を図ることができます。
RPOサービス導入前と導入後で面接設定率や採用率が上昇した企業事例を、実際の数字とあわせて下記にご紹介します。
メリット(3)採用要件や選考基準を整理することで、採用ミスマッチの抑制につながる
採用業務でよくある悩みの1つとして、「ミスマッチが多くて、採用後の離職率が高い」ことがあります。
中途採用の場合、1人あたりの採用コストは、決して安価ではありません。採用人数、業種、職種、採用手法、地域など、あらゆる要素が重なることで数百万~一千万円になる場合もあります。
そのため、採用ミスマッチの発生は、事業成長の観点からもコストの観点からも大きなデメリットになると言えるでしょう。
RPOサービスを活用し「自社の社風や求める人物像に合っている人材なのか」など、要件や評価基準を言語化でき、自社が一貫した判断を行うことで、ミスマッチを減らす効果が期待できるでしょう。
RPO(採用代行)のデメリットと対策
RPOを利用することで、採用担当者の負荷軽減や採用プロセスの改善が期待できます。一方で、委託範囲や運用方法が適切でなければ、期待した効果を得られない可能性があります。
主なデメリットは、次の4つです。
- 委託範囲によっては費用が割高になる
- 採用ノウハウが社内に蓄積しにくい
- 情報漏えいのリスクがある
- 連携不足により候補者対応や採用基準にずれが生じる
いずれも、導入前の責任の所在や運用ルールを整理しておくことで、リスクを低減することができるでしょう。
企業によっては割高になる可能性もある
RPO事業者の料金体系は、月額固定型、業務量に応じた従量課金型、採用人数に応じた成果報酬型などさまざまです。依頼する業務や採用人数に適していない料金体系を選ぶと、想定以上の費用が発生する場合があります。
また、採用課題や委託目的が明確でないまま広範囲の業務を依頼すると、内製で実行できる業務まで委託してしまい、費用対効果が低下する可能性があります。契約後に追加業務が発生し、オプション料金や契約変更に伴う費用が必要になるケースにも注意が必要です。
費用が割高になることを防ぐには、導入前に次の項目を整理しましょう。
RPOを導入する目的
現在の採用課題
委託する業務と自社で行う業務
採用予定人数と採用期間
月ごとの業務量
基本料金に含まれる業務
追加料金が発生する条件
契約期間と解約条件
導入によって削減できる工数
費用対効果を判断する指標
複数のRPO事業者から見積もりを取得する際は、金額だけでなく、対応範囲や支援体制、追加料金の条件も比較します。見積もりの前提となる採用人数や業務量をそろえることで、各社の費用を比較しやすくなるでしょう。
導入後も、採用単価や採用担当者の削減工数などを定期的に確認し、費用に見合った効果が得られているかを検証することが重要です。
RPOの費用は、料金体系、採用人数、委託する業務範囲によって異なります。料金体系ごとの特徴や費用を比較したい方は、以下の記事をご覧ください。
採用ノウハウが社内に蓄積しにくい
採用活動を通して、候補者から反応を得やすい求人内容、応募につながる採用チャネル、辞退が発生する理由など、さまざまな知見が得られます。一方で、RPO事業者に実務を任せたまま対応内容や結果の共有を怠った場合、自社の採用担当者がこれらの知見を把握できません。
また、判断の経緯や業務手順がRPO事業者のみに蓄積されると、契約終了後に自社で採用業務を継続することが難しくなる可能性もあります。担当者の変更時に情報が十分に引き継がれず、採用活動の品質が低下することにも注意が必要です。
採用ノウハウを蓄積するには、導入時に次の項目を整理しましょう。
- 自社に残す業務の範囲
- RPO事業者から共有を受ける情報
- 業務手順と判断基準の記録方法
- 対応履歴の保存場所
- 採用データの管理方法
- レポートに含める項目
- 定例会の頻度
- 改善施策の検討方法
- 担当者変更時の引き継ぎ手順
- 契約終了時のデータ返却と業務移管の方法
導入後は、応募数や選考通過率などの結果だけでなく、実施した施策や判断の理由も共有してもらいます。候補者の反応、選考辞退の理由、採用チャネルごとの傾向などを記録すれば、今後の採用計画や求人内容の改善に活用できます。
RPO事業者に業務を任せきりにするのではなく、定例会や業務マニュアルを通じて知見を共有し、自社でも採用活動を再現できる状態を整えることが重要です。
情報漏えいのリスクがある
採用業務では、候補者の氏名、住所、連絡先、職歴などが記載された応募書類を扱います。また、採用予定人数、募集背景、配属先の状況、今後の事業計画など、社外に公開していない情報をRPO事業者へ共有する場合もあります。
これらの情報が誤送信や不正アクセス、端末の紛失などによって外部へ漏えいすると、候補者への被害だけでなく、企業の信用低下につながりかねません。RPO事業者が再委託先を利用している場合は、再委託先を含めた情報管理体制の確認も必要です。
情報漏えいのリスクを抑えるには、導入前に最低限次の項目を確認しましょう。
- 個人情報と機密情報の管理方法
- 情報へアクセスできる担当者の範囲
- アカウントと権限の管理方法
- データの保存場所と保存期間
- データの暗号化やバックアップの方法
- メールの誤送信を防止する仕組み
- 端末の紛失や不正アクセスへの対策
- 再委託の有無と再委託先の管理方法
- 契約終了時のデータ削除方法
- 情報事故が発生した場合の連絡体制
RPO事業者を選ぶ際は、ISMSやプライバシーマークなどの認証取得状況を確認する方法があります。ただし、認証の有無だけで判断せず、実際の運用ルールや従業員への教育、インシデント発生時の対応手順まで確認することが大切です。
契約時には、秘密保持義務、情報の利用目的、再委託の条件、事故発生時の報告期限、損害が発生した場合の責任範囲を明確にします。導入後もアクセス権限や情報の取り扱い状況を定期的に確認し、不要になったデータやアカウントを速やかに削除することが重要です。
連携不足により候補者対応や採用基準にずれが生じる
RPO事業者との連携が不十分な場合、候補者への案内内容や採用基準にずれが生じる可能性があります。
採用活動では、求人票に記載された条件だけでなく、募集背景、配属先の状況、候補者に伝えるべき魅力など、多くの情報を扱います。これらがRPO事業者へ十分に共有されていないと、候補者からの質問に適切に答えられない場合があります。
また、書類選考の支援を依頼する際に判断基準が曖昧であれば、自社が求める人材と異なる候補者が選考へ進む可能性もあります。ずれを防ぐには、導入時に次の項目を整理しましょう。
- 募集背景と採用目的
- 求める人物像
- 必須要件と歓迎要件
- 選考基準
- 候補者へ伝える情報
- 回答してよい質問の範囲
- 判断に迷った場合の連絡先
- 緊急時の対応手順
- 定例会とレポートの頻度
導入後も、定例会を通じて対応履歴や採用KPIを確認します。候補者から寄せられた質問や辞退理由を共有すれば、求人内容や選考プロセスの改善にも活用できます。
RPO事業者を単なる作業の委託先と捉えるのではなく、採用目標や判断基準を共有するパートナーとして連携することが重要です。
RPO事業者を選ぶ際は、料金だけでなく、対応範囲、得意な採用領域、支援体制、情報セキュリティ、改善提案の有無などを比較する必要があります。選定基準と各サービスの特徴は、以下の記事で整理しています。
RPO(採用代行)の導入に向いている企業
RPOは、採用業務の負荷だけでなく、採用プロセスや成果に課題を抱えている企業に向いています。
特に、次のような企業では活用を検討する余地があるでしょう。
- 採用業務が多く、戦略立案に手が回らない
- 採用数の拡大に対応できる人員がいない
- 採用活動で期待した成果を得られていない
- 求める人材を競合他社に取られている
- 複数の採用領域を横断して標準化したい
採用業務が多く、戦略立案に手が回らない企業
そんな場合には、RPOサービスを提供する企業にノンコア業務を代行してもらうことが効果的です。業務過多が解消されるため、採用成功に大きく近づくことができるでしょう。
採用数の拡大に対応できる人員がいない企業
例えば、「採用媒体の調整」や「応募者の受付対応」、「面接の日程調整」などの業務が負担になりやすいです。
そのような場合において、RPOサービスを利用することで、リソースの不足を補うことが可能です。採用経験が豊富なベンダーだからこそスピーディーな採用活動の実施、採用数の拡大への丁寧な対応が実現できるでしょう。
採用活動で期待した成果を得られていない企業
自社で採用活動をしていても、「歩留まり率がなかなか上がらない」や「母集団形成が上手くいかない」などの悩みを抱えている企業にとっても、RPOサービスは効果的です。採用活動で得たデータを基にレポーティングを行うため、改善点を簡単に把握することができます。また、他社での成功事例を踏まえて改善提案も実施してもらうことで、採用課題の特定と改善に着手できるでしょう。
求める人材を競合他社に取られている企業
募集要件の策定からサポートしてもらうことで、「誰に対して、どんな魅力を伝えるのか」明確になります。そのため、今までは競合に取られていた人材を獲得しやすくなるでしょう。また、内定後のフォローまで実施してもらうことで、内定承諾率の向上も期待できます。
このようにRPOを導入することで、求める人材を採用できる環境を整えやすくなるでしょう。
新卒・中途・アルバイト採用を横断して標準化したい企業
新卒・中途・アルバイト採用を複数の部署や拠点で行っている企業にも、RPOは向いています。
採用領域ごとに担当者や利用媒体、選考フローが異なると、業務手順や応募者対応の品質に差が生じやすくなります。各担当者が独自の方法でデータを管理している場合、全社の採用状況も把握しにくくなります。
例えば、多店舗企業では、店舗ごとに応募者対応を行っていることがあります。店舗の繁忙状況によって連絡速度に差が出ると、面接設定までに時間がかかり、応募者を取りこぼす原因になりかねません。
そこで共通化できる業務を集約し、採用領域ごとの判断業務を各担当部署に残すことで、効率と柔軟性を両立できます。また、対応履歴や採用KPIを共通の形式で管理すれば、採用領域や拠点ごとの課題も比較しやすいでしょう。
複数の採用活動を一元的に把握し、継続的に改善したい企業にとって、RPOは有効な選択肢です。
RPO(採用代行)の導入事例
ここでは、採用オペレーションの改善、多店舗採用の集約、新卒採用担当者の負荷軽減という3つの事例を紹介します。
なお、導入効果は委託範囲や運用条件により異なるため、各事例の「導入前の課題」「委託した業務」「導入後の成果」を確認し、自社で活用する際の参考にしてください。
一度目のRPO導入で失敗し、再選定後に稼働とリードタイムを改善した事例
株式会社NTTデータ・スマートソーシング様では、事業拡大に伴い、中途採用の業務量が増加していました。募集職種が多岐にわたり、面接調整や応募者対応、人材紹介会社への対応などが採用担当者の負担になっていました。
そこでRPOを導入しましたが、当初の委託先では、対応範囲や役割が十分に共有されていませんでした。マニュアルやレポートの品質にも課題があり、社内担当者の稼働を期待どおりに減らせなかったといいます。加えて、9か月間に3件のミスが発生など、業務を委託しても確認やインシデント対応が必要となり、負荷軽減につながりにくい状態でした。
こうした状況からRPO事業者を再選定し、パーソルビジネスプロセスデザインへ切り替えを実行しました。切り替え後は、業務内容を整理し、再現性のあるマニュアルを作成しました。採用活動を把握できるレポートも整備し、改善提案を含む運用へ変更しています。
その結果、書類選考から最終選考までのリードタイムは、45営業日から22営業日へ短縮しました。また、移行後の1年間はミス0件となり、社内担当者の稼働も大幅に軽減しています。
この事例から分かるのは、RPO事業者を選ぶ際、対応業務の数だけを確認しても十分ではないという点です。次の項目まで事前に確認する必要があります。
- 業務品質を担保する仕組み
- マニュアルの作成・更新方法
- レポートの内容
- ミス発生時の報告体制
- 改善提案の有無
- 採用管理システムへの対応力
RPOの成果は、委託範囲だけでなく、運用設計と品質管理によっても変わるといえるでしょう。
【関連事例】株式会社NTTデータ・スマートソーシング
RPOを導入するも一度目は失敗。業者選定をし直すと、稼働を減らせてリードタイムも半分以下に!
多店舗のアルバイト採用を集約し、担当者負荷と応募者の取りこぼしを削減した事例
日本ピザハット・コーポレーション株式会社様では、各店舗の店長がアルバイト採用を担っていました。
店舗ごとに採用活動を行っていたため、本部が全体の進捗を把握しにくいことが課題でした。また、繁忙期には店舗での応募者対応が遅れ、面接までの日程調整が長引く場合もありました。
そこで、応募者からの電話受付や面接調整などの業務を、パーソルビジネスプロセスデザインへ集約しました。結果として、店長が担う採用業務は、面接と合格者への連絡が中心となり、採用オペレーションの負荷が軽減され、店舗運営や候補者との面接に時間を使いやすくなっています。
また、数値面でも改善が見られました。応募から面接日設定までの日数は平均3.7日から1日に短縮し、面接参加率は40%から76%へ向上しました。1店舗当たりの月間採用人数は0.8人から1.3人となり、採用単価も1人当たり約5,000円改善しています。
多店舗採用では、各店舗の裁量をすべてなくす必要はありません。応募受付と面接調整を集約し、候補者を見極める面接は店舗に残すなど、役割を分ける方法があります。本部で共通化する業務と、店舗で担う業務を整理することが、多店舗採用を改善するポイントです。
【関連事例】日本ピザハット・コーポレーション株式会社
応募者の面接参加率が約2倍、採用率や採用単価も改善
RPOの活用により、担当者負荷の軽減と採用施策を検討する時間を創出した事例
株式会社NTTドコモ様では、新卒採用に関する多くの業務を社内で担っていました。
インターンシップや内定者イベントの企画・運営、社内関係者との調整、採用管理システムの設計など、業務は多岐にわたります。採用担当者は通常期も残業が続き、新しい施策やコンテンツを検討する時間を確保しにくい状況でした。
RPO導入にあたり、まず行ったのが業務の棚卸しです。
既存の業務を洗い出し、必要な業務、効率化できる業務、外部へ委託できる業務を整理しました。そのうえで、採用管理システムに関する業務や、学生対応を含む採用オペレーションをパーソルビジネスプロセスデザインが支援しました。
導入後は採用担当者の稼働が減り、残業時間も通常期と同程度まで減少しました。また、採用活動を振り返り、コンテンツを改善する時間や、新しい施策を考える時間を確保できるようになりました。結果的に、学生への対応品質も向上しています。
この事例が示しているのは、RPO導入の目的を「業務削減」だけにしないことの重要性です。削減した時間を次の業務へ振り向けることで、採用活動全体の改善につながります。RPOによって生まれた時間を何に使うのかまで決めておくと、導入効果をより明確にできるでしょう。
【関連事例】株式会社NTTドコモ
残業が減り、『新しいことを考える時間』を創出。「もっと早くお願いすれば良かった」
パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社のRPOサービス
応募者対応や面接調整といった採用オペレーションだけでなく、採用戦略の設計、募集要件の整理、母集団形成、採用データの分析・改善まで支援可能です。
また、採用プロセスの一部を切り出した委託にも対応しています。スクリーニングやリクルーター業務など、課題に応じた支援範囲を設計できます。新卒・中途・アルバイト/パート採用を横断した支援や、採用業務の自走化を見据えた改善も可能です。
RPOの導入を検討しているものの、委託すべき業務が決まっていない場合は、採用業務の棚卸しからご相談ください。採用課題や現在の運用体制を確認し、適切な支援範囲をご提案します。
まとめ|RPOは自社の採用課題に合わせて委託範囲を設計する
RPOは、採用業務の一部または全部を外部の専門会社へ委託する仕組みです。
応募者対応や面接調整などの採用オペレーションだけでなく、採用計画、母集団形成、採用データの分析・改善まで支援対象となります。ただし、業務を広く委託すれば、必ず成果が高まるわけではありません。
RPOを効果的に活用するには、次の点を整理する必要があります。
- 自社が解決したい採用課題
- 現在の業務量とボトルネック
- RPOへ委託する業務
- 自社に残す判断業務
- RPO事業者と共同で行う業務
- 導入後に確認する採用KPI
- 情報共有と品質管理の方法
- ノウハウを社内へ残す方法
特に重要なのは、採用業務の負荷軽減を最終目的にしないことです。RPOで創出した時間を、採用要件の見直しや候補者との関係構築、採用施策の改善へ活用することで、採用力の強化につながります。
自社だけで委託範囲を決めることが難しい場合は、現在の採用業務を棚卸しするところから始めてみてはいかがでしょうか。パーソルビジネスプロセスデザインでは、採用課題や体制に合わせたRPOの支援範囲をご提案しています。
