人手不足を解消できない企業はどのくらい多い?
帝国データバンクによる「人手不足に対する企業の動向調査(2026年)」によれば、2026年4月時点で正社員の人手が不足している企業の割合は50.6%、非正社員は28.3%でした。
リーマンショックが起きた後の2009年を境に、正社員・非正社員ともに人手不足に陥る企業の割合は高水準で推移しています。そして、少子高齢化などの影響もあり、この流れは今後も継続すると予想されます。
【チェックリスト】「募集しても人が来ない会社」の5つの特徴
求人を出しても応募が来ない会社には、いくつかの特徴があります。
景気や少子化など外部環境の影響もありますが、求人票の内容や媒体選定、応募導線など、企業側で改善できるポイントが原因になっているケースも少なくありません。
まずは、以下の項目に当てはまるものがないか確認してみましょう。
- 仕事内容が抽象的で、入社後の働き方をイメージしづらい
- 給与・休日・勤務地などの条件が分かりにくい、または競合より見劣りしている
- 採用したいターゲットと求人媒体が合っていない
- 応募条件が厳しく、応募できる人材が限られている
- 会社の魅力や職場の雰囲気が十分に伝わっていない
複数該当する場合は、求人票・求人媒体・採用条件・情報発信のいずれかに改善余地がある可能性があります。次の章では、求人に応募が来ない代表的な理由を詳しく解説します。
人財不足を解消したいが「求人に応募が来ない」4つの理由
人材不足に課題を抱えている企業の中には、求人を掲載しても応募が集まらないことも少なくありません。
大きな要因として以下の4つが挙げられます。ここでは、それぞれのポイントについて解説します。
- 業務内容の伝え方
- 求人媒体の選び方
- 応募条件の厳しさ
- 競合他社との条件の差
理由(1)業務内容があいまいで、求職者がイメージしづらい
求人票における仕事内容が曖昧だと、求職者は「自分にできる業務なのか(求められるスキルや質)」「どんな働き方になるのか」を想像することができません。結果、はたらく姿をイメージできない不安から応募を見送る可能性が高まります。
また中途半端な記述のまま掲載をしても、積極的に採用に取り組んでいないというレッテルを貼られ、優秀な人材からの募集は集まりにくいといえるでしょう。
昨今は、業務内容の透明性や具体性を重視する求職者も多いため、以下の情報は明記することが重要です。
- 具体的な業務内容(職種ごとの一日の流れ・ルーティン、担当業務の範囲等)
- 求めるスキル要件、経験
- 配属部署、チーム体制
- 入社後の教育体制や研修内容
- キャリアパス
詳細に記載することで、求職者は「入社後の勤務する姿」を具体的にイメージすることができ、応募意欲の向上だけでなく、入社した際の仕事のモチベーションにもつながりやすくなるでしょう。また、ミスマッチの防止にも有効です。
理由(2)ターゲットに適していない求人媒体を使っている
求人サイト、求人誌、ハローワークなど求人媒体には様々な種類があります。しかし登録している求職者の属性(年齢層・職種・志向性など)は大きく異なるため、自社の採用ターゲットと媒体の特徴が一致していなければ、多額の広告費用を投じても満足のいく成果は得づらいといえるでしょう。
若手採用向けには「第二新卒向け転職サイト/SNS採用」、専門人材や即戦力を採りたい際には「スカウト型/専門人材特化のエージェント」を利用するなど、目的・ターゲットに応じた媒体を使い分けることが重要です。
媒体選びは、応募数・応募者の質の両方を左右する重要な要素です。そのため、自社の採用ターゲット(またはペルソナ)の明確化から始め、最適な採用媒体を選定しましょう。
理由(3)応募条件が厳しいことで母集団形成に苦戦
応募条件を過度に厳しく設定すると、マッチする人材が少なくなり、結果として応募数が伸びません。また、仮に条件と合致していても「自分に不足している要素が多い…」と委縮してしまい、応募を諦めてしまう心理的ハードルも発生します。
ただし、専門職など特定スキルが求められる職種においては、基準を下げ過ぎるとかえって業務に支障をきたすリスクもあります。そのため、「自社が求める人物像」と「採用可能な水準」のバランスを取ることが重要です。
▼見直すべき条件の例
- 必須条件と歓迎条件のバランス(Must/Wantの棲み分け)
- 経験年数、資格要件などの緩和
- ポテンシャル採用の検討
理由(4)競合と比較して求人条件・魅力が弱い
就職・転職活動をする求職者の多くは複数の求人を比較し、より自身に適した/良い条件のもと意思決定を行います。
給与水準や勤務時間・年間休日・残業などの労働条件、福利厚生、勤務形態(フレックス、リモートワークの可否)といった諸条件が競合企業より劣っている場合、選択肢から外されてしまう恐れがあります。
特に職種や勤務地が同一の企業は直接比較されやすい傾向にあるため、採用市場、競合調査を行い、可能な範囲で要件を見直すことが必要といえるでしょう。なお、実際には競合と同等以上の条件の場合でも情報の不透明さから魅力が伝わっていないことで、見送られるケースも少なくありません。
「理由(1)業務内容があいまいで、求職者がイメージしづらい」で解説したように業務内容を始め、求人票には詳細を明記するよう心掛けましょう。求職者が入社後にどのような勤務状況になるのかを、明確にイメージできる求人を作成することが重要なのです。
応募はあるのに「いい人が来ない」「変な人しか来ない」のはなぜ?
応募数はあるのに「求めている人材と違う」という場合、問題は"量"ではなく"質"にあります。
ターゲットが曖昧なまま求人を掲載すると、要件に合わない応募ばかりが増え、面接工数だけが膨らむ悪循環に陥りがちです。よくある原因として、以下のようなケースが挙げられます。
- ペルソナ設定があいまい|例:「誰に向けた求人なのか」が不明確だと、ターゲット以外の応募が増える。
- 訴求内容とターゲットのズレ|例:即戦力を求めているのに「未経験歓迎」「人柄重視」を前面に出すと、経験の浅い層ばかりが集まる。
- 必須条件・歓迎条件が粗い|例:必須条件が厳しく母集団が形成されない。歓迎条件が緩く求める水準以下の候補者が増える。
- 選考基準や評価基準のバラつき|例:面接官ごとで評価基準が曖昧。合否判断がブレ、採用ミスマッチが増加する。
2025年版中小企業白書でも、人材が不足している企業では、採用した従業員の定着率が3割未満となる割合が高いことが示されています。応募数を増やすだけでなく、「自社が本当に必要としている人材と出会えているか」という視点が欠かせません。
※引用元:中小企業庁「2025年版 中小企業白書(HTML版) 第4節 人材戦略」
この課題を解決するために有効なのが、企業側から候補者に直接アプローチする「ダイレクトソーシング(スカウト採用)」です。
求めるスキルや経験を持つ人材をピンポイントで選定し、個別にアプローチできるため、求人広告のような「待ちの採用」では出会えない潜在層にも接点を持てます。
「応募を増やす」から「採りたい人材との接点をつくる」へ視点を切り替えることが、質の高い母集団形成への第一歩です。
応募者が転職の際に求めている3つの条件
転職サービス「doda」が2,000名のビジネスパーソンを対象に実施した「ビジネスパーソン2,000人の転職意識調査」によると、22歳~59歳のホワイトカラー系職種の男女の36.5%が転職に対してポジティブな見解を持っており、今、転職を考えている人は24%にも及びました。
※参考:doda「ビジネスパーソン2,000人の転職意識調査」
このことから、求人に人が集まらない企業が多く存在するなかで、掲載している求人自体は企業の想像よりも非常に多くの人にチェックされている可能性があるといえます。
では、応募者はどのような条件を見かけた際に、応募に至るのでしょうか。3つの条件を挙げて解説してみましょう。
条件(1)給与や昇格が見込めるのか
条件(1)給与や昇格が見込めるのか
実際に、上述の調査では、転職する際に重視する条件の第1位が「月収額」でした。
| 順位 | 転職理由 | 割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 給与が低い・昇給が見込めない | 36.6% |
| 2位 | 労働時間に不満(残業が多い/休日出勤がある) | 26.3% |
| 3位 | 個人の成果で評価されない | 22.8% |
- 今よりも年収を上げられるのか
- 将来的に年収がどのように上がっていくのか
- どのようなキャリアアップができるのか
- どのような役職に昇進できるのか
- 年収アップに関わる評価制度はどのようなものか
条件(2)求める勤務地で働けるのか
条件(2)求める勤務地で働けるのか
勤務地の条件の詳細としては、以下のようなものが挙げられます。
- 自分の家から通える範囲なのか
- 将来、住んでみたかった地域に住めるのか
- 在宅で働くことができるのか
社会状況の変化を受けて、新しい働き方である「在宅勤務」の需要は高まりつつあります。自社の業務を在宅勤務でもおこなえるよう調整することが、今後多くの応募者を獲得するうえで重要になってくるでしょう。
条件(3)労働時間や休暇日数がどのくらいあるのか
条件(3)労働時間や休暇日数がどのくらいあるのか
実際に、前述の『転職に関する意識調査』では、休暇日数が3位(15.5%)、労働時間が7位(9.5%)でした。
人手不足で一人ひとりの業務量が多くなっているなかで、長時間労働の解消や休日増加は実現がなかなか難しいですが、これらへの対応も求められていることを理解しておきましょう。
【ターゲット別】応募が来ない・人が集まらない時の具体的な解決策
【ターゲット別】応募が来ない・人が集まらない時の具体的な解決策
応募を増やすための対策は、採用ターゲットによって大きく異なります。アルバイト・パートと中途採用・専門職では、求職者が重視するポイントも効果的なアプローチ方法も違うためです。
前述のとおり、人手不足は業種や雇用形態によって偏りがあります。求人票を一律に修正するだけでは不十分で、採用したい人材ごとに"詰まりどころ"を見極めることが大切です。自社の採用ターゲットに合った箇所を重点的に確認してください。
アルバイト・パートの場合(求人票・条件・掲載時期の見直し)
アルバイト・パートの採用では、「時給」「シフトの柔軟性」「勤務地」の3つが応募数を大きく左右します。
正社員採用に比べて応募までの意思決定が早い一方、条件がわかりにくい求人は候補から外されやすくなります。そのため、近年は時給だけでなく、シフトの柔軟性も重視されやすい点にも注目が必要でしょう。
具体的には、以下の点を見直しましょう。
- 近隣の同職種・同エリアの時給相場と比較し、相場を下回っていないか確認する
- 「週2日から」「1日4時間から」「平日のみOK」など、シフトの柔軟性を具体的に明記する
- 最寄り駅、通勤手段、交通費支給の有無をわかりやすく書く
- 未経験者が安心できる研修内容を記載する
- スマートフォンから短時間で応募できる導線にし、入力項目は必要最低限に絞る
- 学生が動き始める2〜3月や繁忙期の1〜2か月前など、ターゲットが動く時期に合わせて早めに掲載する
- 「主婦スタッフが○名活躍中」「20代が中心」など、どんな人が働いているかを写真とあわせて伝える
時給を大幅に上げられなくても、シフトの柔軟性や職場の雰囲気、研修体制を具体的に伝えるだけで応募が変わるケースは多くあります。まずは「すぐに直せる改善策」から取り組んでみてください。
中途採用・専門職の場合(ダイレクトソーシング等「攻めの採用」へ転換)
中途採用や専門職の採用では、求人媒体に掲載して待つだけでは必要な人材を確保しにくくなっています。
即戦力人材や専門スキルを持つ人材は市場に少なく、積極的に転職活動をしていない「潜在層」に多く存在するためです。帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2026年)」によると、情報サービス業では正社員不足が66.7%と高く、AIやDX関連の案件増加もあいまって、スキルに合う人材の確保が特に難しい状況です。
※参考:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)」
こうした職種で有効なのが、前章でも触れたダイレクトソーシングです。企業側から候補者の経歴やスキルを確認したうえでスカウトメッセージを送ることで、以下のようなメリットがあります。
-
転職潜在層にアプローチできる
「今すぐ転職するつもりはないが良い話があれば聞きたい」という層にもリーチできます。 - 応募の"質"を高められる
候補者のスキルや経歴を事前に確認したうえでアプローチするため、ミスマッチを減らせます。 - 自社の魅力を個別に伝えられる
パーソナライズされたメッセージで、他社との差別化が図れます。
一方で、候補者の検索、スカウト文面の作成、配信、返信対応、効果分析など多くの工数がかかるのも事実です。採用担当者の人数が少ない企業では、スカウト運用が途中で止まってしまうこともあります。社内のリソースだけで継続的に運用するのが難しい場合は、外部の支援サービスの活用も選択肢に入れてみてください。
「待っていても来ない人材には、企業から会いに行く」。この発想の転換が、中途採用・専門職の採用成功への鍵になります。
求人から応募者が来ないという悩みを解消する3つの方法
方法(1)自社とマッチした求人媒体に変更する
方法(1)自社とマッチした求人媒体に変更する
『採用チャネル』とは、企業が求職者の採用のためにアプローチを行う経路を指しますが、近年では求職者のニーズが多様化していることから、採用チャネルも多様化しています。
| ・各種求人媒体(就職・転職サイト、Webサイト、求人誌など) 求職者に広く情報を伝えられる。会社の知名度によって応募数が左右されやすい。 |
| ・ハローワーク(公的機関による就職・転職支援) 費用をかけずに募集できる。無料で利用できる一方、応募者層や応募数は地域・職種で差があるため、チャネル特定を踏まえた運用が必要。 |
| ・企業ホームページ ・オウンドメディア 自由に自社のアピールが可能。ただ、会社の知名度が低い場合には人が集まりにくい。 |
方法(2)自社の魅力が伝わるように求人内容の見直しを行う
方法(2)自社の魅力が伝わるように求人内容の見直しを行う
見直しをする際には、以下の事項を満たしているかも注意しましょう。
- 本来記載しておくべき内容に漏れがないか
- 誰が見てもわかる内容になっているか
- 抽象的な内容になっていないか
また、具体的な数字や事実を用いて説明すると具体性が増し、より応募者の関心を惹きつけやすくなります。
| 抽象的 | 具体的 |
|---|---|
| 20代30代の若い人材が多い | 20代30代の割合が6割 |
| 20代30代が活躍 | 20代30代の管理職が活躍中 |
方法(3)採用支援サービス(RPO)を活用し工数不足を解消する
方法(3)採用支援サービス(RPO)を活用し工数不足を解消する
| サービス | 説明 |
|---|---|
| 新卒採用支援 | 新卒採用のナビサイトの設定や運用、説明会など、新卒採用の実務を支援 |
| 中途採用支援 | 適正な媒体選定、書類選考、各選考プロセス調整など、中途採用の実務を代行 |
| アルバイト・パート採用支援 | 適正な媒体選定、書類選考、各選考プロセス調整など、アルバイト・パート採用の実務を代行 |
| ダイレクトソーシング支援 | 求職者データベース/SNSを活用し、採用ターゲットにアプローチする採用実務の支援 |
| 採用市場・競合調査 | 自社のターゲット領域や競合の採用状況の調査 |
| 採用面接官トレーニング | オリジナルの研修プログラムによる、面接評定の一様化 |
このような採用支援サービスの活用により、自社に十分な採用リソースがなくとも、効率的・効果的な採用を実現することができます。
求人の応募者数を増やすだけでは人手不足を解消できないこともある
理由(1)ミスマッチによる内定辞退
理由(1)ミスマッチによる内定辞退
こういった問題に対処するためには、応募者数や内定数といった数値面だけに意識を向けるのではなく、採用基準の整備や内定者へのフォローアップにより、ミスマッチや早期辞退の対策に注力することも重要です。
理由(2)人事担当者のリソース不足による対応漏れ
理由(2)人事担当者のリソース不足による対応漏れ
とくに採用計画の立案やスケジュール計画、採用基準の選定、見極め・スクリーニングといった、上流の意思決定が必要なコア業務がおろそかになってしまうと、採用活動全体のクオリティが低下してしまう恐れがあります。
一方で、ノンコア業務も軽視できるものではなく、面接の日程調整や内定者へのフォローアップなども手厚く実施する必要があります。
採用担当者が注力すべきコア業務に集中するためにも、選考イベントや応募者・内定者とのコンタクトなど、外部に代替できるノンコア業務を積極的に代行業者に依頼することが重要になります。また、エントリーから内定に至るまでの選考プロセスを見直すことも必要になるでしょう。
目の前の「面接」にだけ気をとられずに、代行業者を活用するなどして、採用活動全体の業務を高い精度でおこなっていきましょう。
理由(3)面接や評価の属人化
理由(3)面接や評価の属人化
また、面接や評価の属人化は、担当社員が要領よく業務をこなせていたとしても注意が必要です。優秀な担当社員が抜けてしまった際に、別の社員では同等のクオリティで業務をこなすのが難しく、採用のクオリティが低下してしまうリスクがあります。
外部の「面接官トレーニング」の活用などによる面接官のスキル向上や評価の統一化により、誰が担当しても同じ結果になるように整備していきましょう。
求人に応募者が来なくてお困りならパーソルビジネスプロセスデザインへ
応募者数を増加させ、人材不足を解消するためには、採用代行会社に依頼をすることが効果的な選択肢の1つとなっております。
当社の採用代行サービス(RPO)では、転職潜在層に対して直接アプローチを行う「ダイレクトソーシング」をはじめ、採用戦略の設計から母集団形成、選考プロセスの最適化、採用実務支援まで一気通貫で支援します。
また、リファラル採用支援ツール「リファ楽」、採用データ分析サービス「レポラビ」、採用市場調査、面接官トレーニングなど、多様なソリューションを組み合わせることで、企業ごとの課題に応じた最適な打ち手を設計。現場に入り込みながら改善を実行し、再現性のある採用体制の構築まで伴走します。
人材不足の解消に向けた施策をご検討の方、採用課題の本質から見直したい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。