【無料】
現場が迷わず動ける、実効性のあるカスハラ対策へ
自社に合った対応マニュアルや体制を、どこから整えるべきかお悩みの方へ。
基本方針/マニュアル/研修/相談・ケアから導入の流れまで、自社に必要な対策を整理できる資料です。
カスタマーハラスメント対応に必要な基礎知識
カスタマーハラスメントに適切に対応するために、まずはその定義や正当なクレームとの違い、企業への影響などの基礎知識を理解しましょう。
カスタマーハラスメントとは
カスタマーハラスメントとは、顧客や取引先、施設利用者などによる言動のうち、業務の性質や事情に照らして社会通念上許容される範囲を超え、労働者の就業環境を害するものです。
改正法では、次の3つをすべて満たすものがカスハラとされています。
| 判断要素 | 内容 |
|---|---|
| 顧客等による言動である | 顧客、取引先、施設利用者、今後サービスを利用する可能性がある者などによる言動 |
| 社会通念上許容される範囲を超えている | 要求内容、手段、態様などが、業務の性質や事情に照らして許容範囲を超えている |
| 労働者の就業環境を害している | 心身に苦痛を与え、通常どおり働くことが難しくなるなど、就業環境に悪影響を及ぼしている |
暴行、脅迫、侮辱、暴言、土下座の強要、長時間の居座り、執拗な電話、SNS上での中傷などが該当する可能性があります。電話やSNSなど、インターネット上の言動も対象です。
厚生労働省は2022年に「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を公表しています。さらに、2025年の法改正と2026年の指針により、企業には自主的な対応にとどまらず、法令に沿った体制整備が求められるようになりました。
※参考:厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」
※参考:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」
正当なクレームとカスハラの違い
正当なクレームとカスハラを適切に見極めることは、初動対応の重要なポイントです。判断する際は、要求内容に妥当性があるか、要求の手段や態様が社会通念上許容される範囲かを確認します。正当な申入れには真摯に対応する一方、次のような言動はカスハラに該当する可能性があります。
- 発生した事実に対して相応の対応をしているにもかかわらず、さらなる過度な要求をする
- 土下座や従業員の解雇など、社会通念上不適切な要求をする
- 暴言、暴力、威嚇などの行為を伴う
- 長時間にわたって執拗に対応を求める
- 実現不可能な要求を繰り返す
この違いを明確に理解しておくことで、現場での判断ミスを防ぎ、必要な場合には迅速に組織的な対応へと切り替えることが可能になります。
正当なクレームとの線引きや自社に必要な対策を整理し、
現場が迷わず判断できる方針・マニュアルづくりの検討に役立てられます。
※所要時間1分で完了|PDF形式で即閲覧可能
カスハラが企業に与える影響
カスハラを放置することで、企業には深刻な影響が生じます。まず、対応にあたる従業員の精神的負担が増大し、メンタルヘルスの悪化や離職率の上昇につながります。
さらに、カスハラ対応に多くの時間とリソースが割かれることで、本来の業務効率が低下する可能性があります。最終的には、企業の生産性低下と収益悪化という結果を招くことがあります。
企業の安全配慮義務
労働契約法第5条により、企業には従業員が安全に働けるよう配慮する「安全配慮義務」があります。カスハラから従業員を守ることも、この義務との関係で重要です。
さらに、2026年10月1日から、事業主には次のような措置が義務付けられています。
- 企業方針の明確化と周知
- 相談窓口の設置
- 事実関係の迅速な確認
- 被害を受けた従業員への配慮
- 再発防止
- 悪質なカスハラへの対処体制
- 相談者などのプライバシー保護
- 相談を理由とする不利益な取扱いの禁止
東京都では、2025年4月1日に「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が施行されました。事業者には防止措置に努めることが求められる一方、正当なクレームなどの権利を不当に侵害しないことも定められています。国の法令と併せて、事業地域の条例も確認しましょう。
カスタマーハラスメント対応の基本原則
まず重要なのは、組織全体でカスハラに毅然として対応する姿勢を明確にすることです。個々の従業員が場当たり的に対応するのではなく、企業としての統一された方針のもとで行動することが求められます。
原則(1)毅然とした態度で対応する
カスハラに対しては冷静かつ毅然とした態度を維持することが最も重要です。感情的な反論や過度な謝罪は、かえって状況を悪化させる可能性があります。
相手の不当な要求には明確に「お応えできません」と伝え、その理由を冷静に説明します。このとき、相手の感情に流されることなく、事実関係、契約内容、社内規程などに基づいて対応することが重要です。
原則(2)組織的に対応する
カスハラ対応は決して従業員任せにしてはいけません。組織として統一された対応方針を策定し、エスカレーション体制を明確にしておくことが必要です。
特に重要なのは、現場の従業員が一人で抱え込まないよう、適切なタイミングで上司や専門部署に相談できる体制を構築することです。これにより、従業員の心理的負担を軽減し、より適切な対応が可能になります。
原則(3)記録を徹底する
カスハラに該当する可能性がある事案について、詳細な記録を残すことが重要です。発生日時、相手の氏名・連絡先、具体的な言動、対応内容などを正確に記録し、必要に応じて音声や動画による証拠も保全します。
これらの記録は、後に法的措置を検討する際の重要な証拠となるだけでなく、類似事案の対応改善や従業員教育にも活用することができます。
カスタマーハラスメント初動対応の5つのステップ
カスハラが発生した際の初動対応は、その後の事態の推移を大きく左右します。基本的なカスハラ対応フローは、「安全確保と状況把握」「聞き取り」「事実確認」「組織的な判断」「回答と対応」の5段階です。以下の手順に沿って対応しましょう。
ステップ(1):安全を確保し状況を把握する
まず何よりも従業員の安全を確保し、周囲への影響を最小限に抑えることから始めましょう。相手が興奮している場合は、他の顧客や従業員への迷惑を避けるため、可能であれば別室への移動を提案します。
同時に、緊急時の連絡手段を確認し、必要に応じて他の従業員に支援を要請できる体制を整えます。また、緊急時には速やかに警察へ通報できるよう、警備員との連携体制や通報手順をマニュアル化し、事前に確認しておくことが重要です。
ステップ(2):相手の話を冷静に聞く
相手の主張を冷静に聞き、何が問題となっているのかを正確に把握します。このとき、相手の感情に同調することなく、事実関係の確認に集中することが重要です。
聞き取りの際は、相手の話を遮らず最後まで聞き、必要に応じてメモを取ります。ただし、この段階では安易な謝罪や約束は避け、「承知いたしました」「確認いたします」といった中立的な返答にとどめましょう。
ステップ(3):事実関係を確認する
相手の主張の内容について、客観的な事実関係を確認します。関係する従業員への聞き取り、関連資料の確認、防犯カメラの映像チェックなどを行い、正確な事実を把握します。
この段階では「事実を確認させていただきますので、少しお時間をいただけますでしょうか」と相手に伝え、必要な調査を行います。急いで回答する必要はなく、正確性を優先することが重要です。
ステップ(4):法的責任と対応方針を判断する
確認した事実関係に基づき、自社の商品やサービスに問題があったか、相手の要求に妥当性があるか、要求の手段や態様が許容範囲を超えていないかを組織として判断します。現場担当者だけで結論を出さず、上司や法務担当者などへ報告しましょう。
自社に問題がある場合は、謝罪や改善策、再発防止策を検討します。一方、不当または過度な要求には、対応できない範囲を明確に伝えます。暴行、脅迫、不退去など、犯罪に該当する可能性がある場合は、安全確保を優先し、必要に応じて警察への通報や弁護士への相談を検討しましょう。
方針策定から事業単位のマニュアル、研修、相談窓口までの支援範囲を確認し、
自社に不足する対策と導入の進め方を具体的に整理できます。
※所要時間1分で完了|PDF形式で即閲覧可能
ステップ(5):適切に回答し対応する
判断結果に基づいて、相手に対する回答と対応を決定します。自社に問題がある場合は、事実関係を説明したうえで、必要に応じて謝罪や改善策を提示します。不当または過度な要求には、契約内容や社内方針を踏まえ、対応できない旨を明確に伝えます。
回答方法は事案の内容や重大性に応じて決定します。同じ要求が繰り返されている場合、対応を終了する場合、補償や法的措置に関係する場合は、回答内容を記録し、必要に応じて書面やメールで通知しましょう。
カスタマーハラスメント対応で避けるべきNG行動
カスハラ対応では、適切な行動と同じくらい、避けるべきNG行動を理解することが重要です。NG行動を避けることで、より効果的で安全なカスハラ対応が可能になります。
NG行動(1)感情的な対応
相手の挑発に乗って感情的になることは、最も避けるべき行動の一つです。怒りや不安を表に出すと、相手をさらに刺激し、事態がエスカレートする可能性があります。
どんなに理不尽な要求や暴言を浴びせられても、常に冷静さを保つことが重要です。感情が高ぶった場合は、一度席を外して冷静になる時間を作ることも有効です。
NG行動(2)安易な謝罪や約束
事実関係を十分に確認する前に、自社の過失を断定したり、返金、補償、従業員の処分などを約束したりすることは避けましょう。
初動段階では、相手の心情への配慮と、事実関係や責任の判断を分けて対応します。例えば、「ご不快な思いをさせてしまい申し訳ございません。事実関係を確認したうえで、改めて回答します」と伝えます。
NG行動(3)一人での対応継続
カスハラ事案を一人で抱え込み、長時間対応を続けることは危険です。従業員の安全確保の観点からも、適切なタイミングで上司や同僚に相談し、複数人での対応に切り替えることが重要です。
特に相手が興奮状態にある場合や、威嚇的な言動がある場合は、速やかに他の従業員に応援を求めるか、外部の機関への連絡を検討しましょう。
NG行動(4)場当たり的な回答
十分な検討なしに場当たり的な回答をすることは、後に大きな問題となる可能性があります。「とりあえず」「おそらく」といった曖昧な表現は避け、不明な点は「確認します」と答えることが適切です。
即答を求められても、「重要な件ですので、しっかりと確認してからお答えいたします」と伝え、十分な検討時間を確保することが重要です。
NG行動(5)記録の不備
カスハラ対応において記録を残さないことは、後に大きな問題となる可能性があります。相手の言動、対応内容、日時などの詳細な記録は、法的措置を検討する際の重要な証拠となります。
「この程度なら記録しなくても大丈夫」と安易に判断せず、カスハラに該当する可能性がある事案について、統一された様式で記録を残すことが重要です。
カスタマーハラスメント対応のための組織体制の構築方法
カスハラ対策を成功させるためには、個々の対応スキルだけでなく、組織全体での体制構築が不可欠です。明確な方針と役割分担、適切なエスカレーション体制を整備することで、効果的な対応が可能になります。
方法(1)2026年10月の義務化を踏まえてマニュアルに盛り込む項目
2026年10月1日から、カスタマーハラスメント防止のために必要な措置を講じることが事業主に義務付けられています。対応マニュアルには、厚生労働省の指針で示された措置を現場で実行できるよう、次の項目を整理して記載しましょう。
| 基本方針 | 従業員を保護し、カスハラに毅然と対応する方針 |
|---|---|
| 定義・判断基準 | カスハラの定義、正当なクレームとの違い、言動の具体例 |
| 対処方法 | 管理監督者への報告、複数人対応、本社・本部への情報共有、警察への通報基準 |
| 相談体制 | 相談窓口、相談方法、窓口担当者の役割 |
| 事後対応 | 事実関係の迅速かつ正確な確認、被害を受けた従業員への配慮 |
| 悪質事案への対応 | 特に悪質なカスハラへの対処方針と、対処できる体制 |
| 情報管理 | 相談者等のプライバシー保護、相談を理由とする不利益な取扱いの禁止 |
| 再発防止 | 再発防止措置、従業員研修、運用状況の把握と必要な見直し |
マニュアルを整備するだけでなく、全従業員への周知、相談窓口担当者への教育、定期的な研修を実施し、実際に発生した事案や法令・指針の変更に応じて内容を見直すことが重要です。
※参考:厚生労働省「令和8年10月1日からハラスメント対策が強化されます!」
※参考:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」
※参考:厚生労働省「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」
方法(2)基本方針の策定
企業としてカスハラへの対応方針を策定し、全従業員に周知します。方針には、カスハラの定義、対応の基本姿勢、エスカレーション基準などを含めます。
正当な申入れには真摯に対応する一方、従業員の就業環境を害する言動には組織として毅然と対応する姿勢を明確にしましょう。
方法(3)相談窓口の設置
従業員がカスハラ被害を受けた際に相談できる窓口をあらかじめ定め、全従業員に周知します。2026年10月1日からは、相談窓口の整備と、窓口担当者が適切に対応できる体制づくりが事業主に義務付けられています。
この窓口は、カスハラに限らず、さまざまなハラスメント問題に対応できる体制とすることが効果的です。
相談窓口は社内関係者だけでなく、外部の専門機関や弁護士との連携も含めた体制とすることで、より適切な対応が可能になります。また、相談しやすい環境を整え、必要に応じて匿名相談の受付も検討しましょう。
方法(4)エスカレーション体制の構築
カスハラ事案の重要度や緊急度に応じて、適切にエスカレーションできる体制を構築します。現場担当者から管理監督者、相談窓口、本社・本部などへの報告ルートを明確にし、各段階での判断基準と対応権限を定めておきます。
特に、法的措置の検討が必要な重大事案については、早期に法務部門や外部の弁護士に相談できる体制を整備することが重要です。
相談窓口や被害者ケア、事例蓄積を含む対策の全体像を把握し、
研修だけで終わらない継続運用と再発防止策を社内で検討する材料にできます。
※所要時間1分で完了|PDF形式で即閲覧可能
カスタマーハラスメント対応のための人材育成
効果的なカスハラ対策のためには、全従業員に対する継続的な教育と研修が欠かせません。座学での知識習得だけでなく、実践的なスキルを身につけるためのロールプレイングなども取り入れることが重要です。
育成(1)基礎知識の習得
すべての従業員がカスハラの基本的な知識と対応方法を理解することが、効果的な対策の前提条件です。正当なクレームとカスハラの違い、企業の方針、基本的な対応手順などを体系的に学習させます。
特に、新入社員や顧客対応業務に初めて就く従業員に対しては、詳細な研修を実施し、実際の業務開始前に必要なスキルを身につけさせることが重要です。
育成(2)ロールプレイング研修
実際のカスハラ場面を想定したロールプレイング研修を実施することで、理論だけでなく実践的なスキルを身につけることができます。さまざまなパターンのカスハラ事例を用意し、適切な対応方法を体験的に学習させます。
ロールプレイング後は参加者同士で対応方法について議論し、改善点を共有することで、より効果的な学習が可能になります。また、管理職向けには、エスカレーション対応やチームマネジメントに焦点を当てた研修も実施しましょう。
育成(3)継続的なスキルアップ
カスハラ対応スキルは一度身につければ十分というものではありません。新しい事例や手法を継続的に学習し、スキルのアップデートを図ることが重要です。
定期的な研修に加えて、実際に発生した事例を基にした事例検討会や、外部講師による最新動向の講習会なども効果的です。また、従業員同士で対応経験を共有する場を設けることも有効です。
まとめ
カスタマーハラスメントの初動対応では、従業員の安全を確保し、相手の話を冷静に聞いたうえで事実関係を確認し、組織として対応方針を判断することが重要です。安易な謝罪や約束、担当者一人での対応継続、場当たり的な回答は避け、必要に応じて管理者や関係部署へ引き継ぎましょう。
対応マニュアルには、正当なクレームとの判断基準、初動対応、エスカレーション、対応の中断・終了、記録・報告、悪質な事案への対処などを明記します。作成後も、従業員への研修や相談体制を整え、発生事例をもとに内容を継続的に見直すことが大切です。
現場で機能するカスタマーハラスメント対応マニュアルの作成ならパーソルビジネスプロセスデザインへ
パーソルビジネスプロセスデザインの「カスタマーハラスメント対策サービス」では、社内の実態調査をもとに、貴社におけるカスハラの定義づけと基本方針の策定を支援します。現場で発生している事案や判断に迷う場面を整理し、正当なクレームとの判断基準、初期対応、管理者への報告、複数人対応への切り替え、対応の中断・終了などを、事業単位の実用的なマニュアルへ落とし込みます。策定した方針や対応手順を従業員が実践できるよう、教育・研修にも対応しています。
正当なクレームとの線引きや対応手順を自社の現場に即して整理することで、担当者や管理者が共通の基準に沿って対応しやすくなります。
当社の強みは、マニュアルを作成して終わらず、一次相談窓口の代行、被害を受けた従業員への配慮・ケア、発生事例の蓄積まで支援できることです。従業員が一人で抱え込まない相談体制を整えるとともに、把握した事例を今後のマニュアルや研修に生かし、対策の継続的な改善につなげます。
基本方針の策定から一連の対策をまとめて支援するほか、マニュアル作成、研修、相談窓口など、自社に不足している支援を組み合わせることも可能です。
「自社に合った対応マニュアルを作成したい」「既存のマニュアルを現場で使える内容に見直したい」「相談や被害者ケア、事例の活用まで運用できる体制を整えたい」といった課題をお持ちの場合は、パーソルビジネスプロセスデザインへご相談ください。
【無料】
現場が迷わず動ける、実効性のあるカスハラ対策へ
自社に合った対応マニュアルや体制を、どこから整えるべきかお悩みの方へ。
基本方針/マニュアル/研修/相談・ケアから導入の流れまで、自社に必要な対策を整理できる資料です。