大学事務においてアウトソーシングが求められている理由
大学事務においてアウトソーシングが求められる背景には、職員の業務負担の増大という課題があります。
大学経営・政策研究センターの調査によると、コロナ禍以降、6割以上の大学教員が業務の増加を実感していると回答しました。
近年の学生支援ニーズの多様化や外国人留学生対応の増加により、大学事務が担うべき役割はますます拡大しており、これが主な背景と考えられます。
さらに、働き方改革による残業時間の見直しや慢性的な人員不足により、職員の業務負担が増加している現状もあります。
このような大学事務の業務負担を軽減する目的でアウトソーシングが求められているのです。
参考: 大学事務組織の現状と将来第2回 全国大学事務職員調査報告書|東京大学大学院教育学研究科大学経営・政策研究センター
大学事務でアウトソーシングできる業務
大学事務のアウトソーシングでは、定型的な業務から専門性が求められる業務まで、幅広い領域を外部に委託することが可能です。
たとえば、パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社が提供する大学事務BPOサービスでは、下記のような多岐にわたる業務に対応しています。
| 支援範囲 | 具体的な業務内容 |
|---|---|
| 奨学金関連業務 |
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| 研究費執行関連業務 |
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| 学生課・学務関連業務 |
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| 留学生受入業務 |
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| キャリア支援業務 |
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| その他 |
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【大学事務BPOサービス】のご紹介
- パーソルビジネスプロセスデザインが選ばれる3つの理由
- 導入から運用までのステップ
- 大学様でのBPOサービス導入事例:慶應義塾大学様、愛知大学様、日本体育大学様、学校法人中部大学様 など
大学事務で活用できる3つのアウトソーシングサービス
ここでは、3つのアウトソーシングサービスの具体的な内容と、大学事務における活用例をわかりやすく解説します。
- ITO
- KPO
- BPO
ITO
ITO(インフォメーション・テクノロジー・アウトソーシング)は、BPOの中でも特にIT関連の業務に特化したアウトソーシングサービスです。
大学の運営では、以下のようなITの知識を要する業務が多くあります。
- 学生や教職員のアカウント管理
- 学内ネットワークにおけるセキュリティの維持・運用
- 膨大な情報の管理
これらの業務に対応するためには高度な専門知識が必要であり、学内の人材だけで対応するには限界があることも。
ITOを活用することで、情報システムの運用・保守やヘルプデスク業務などを専門業者に委託でき、情報セキュリティの強化と安定したIT環境の維持を実現します。
KPO
KPO(ナレッジ・プロセス・アウトソーシング)とは、データ収集や分析といった、高度な知識や判断が求められる知的処理業務を外部に委託するサービスです。
近年、多くの大学では「大学IR」という、学内のさまざまなデータを収集・分析し、大学運営の改善や意思決定に役立てる活動に注力しています。
大学事務職員も大学IRに関わっており、データの収集や整理、分析といった専門的な作業が求められます。
KPOを活用することで、データ分析の専門家に業務を委託できるため、客観的で質の高い分析結果から、効果的な大学運営の改善につなげることが可能になるでしょう。
BPO
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは、業務プロセスの一部、あるいは全体を設計から運用まで一括して外部の専門業者に委託する手法のことです。
大学事務において、以下のような特定の時期に集中しやすい業務や定型的な業務を委託するのに適しています。
- 奨学金の申請受付や説明会の運営
- 留学生の受け入れに伴う事務手続き
定型のノンコア業務をBPOによって外部委託することで、職員は学生サービスの企画・改善といった、より専門性が求められるコア業務にリソースを集中させられます。
関連記事:BPOコンサルティングとは?基礎知識から選定ポイントまで解説
大学事務のアウトソーシングにはBPOがおすすめ
大学事務が抱える多岐にわたる課題を解決するためには、BPOの活用が特におすすめです。
BPOは単なる業務の代行ではなく、業務プロセス全体の設計から運用、改善までを専門業者に一括して委託できるサービスです。
奨学金申請の受付や各種証明書の発行といったノンコア業務を効率化できるだけでなく、業務フローそのものを見直すことで、属人化の解消や生産性の向上も期待できます。
職員が学生支援や教育プログラムの企画といったコア業務に集中できる環境を整え、大学全体の価値向上につなげることが可能です。
【大学事務BPOサービス】のご紹介
- パーソルビジネスプロセスデザインが選ばれる3つの理由
- 導入から運用までのステップ
- 大学様でのBPOサービス導入事例:慶應義塾大学様、愛知大学様、日本体育大学様、学校法人中部大学様 など
大学事務でアウトソーシングを導入するメリット
ここでは、アウトソーシングがもたらす具体的な4つのメリットについて詳しく解説します。
- 業務の標準化と属人化の解消
- 専門ノウハウの活用による品質向上
- コストの最適化
- サービスの質が向上して学生の満足度があがる
業務の標準化と属人化の解消
アウトソーシング業者は業務を効率的に遂行するため、マニュアル作成などを通じて作業プロセスを可視化・標準化します。
作業プロセスを可視化・標準化することで、今後人事異動や担当者の変更があっても、業務の品質を一定に保てるため、属人化の解消にもつながります。
また、職員は業務を外部に委託することでノンコア業務から解放され、企画立案や業務改善といったコア業務に専念できる環境を整えられるでしょう。
専門ノウハウの活用による品質向上
アウトソーシング業者は、豊富な実務経験と業務を効率化するための専門的なノウハウを持ちあわせています。
そのため、自組織内には存在しない知見を活用することで、業務プロセスの改善や効率化を加速させることが可能です。
たとえば、毎年度変更される国や自治体の奨学金制度などの最新情報を収集し、業務フローとして最適化する作業は、従業員の負担となります。
アウトソーシングを活用すれば、制度変更への対応も含めて専門業者に一任できるため、正確かつ迅速な業務遂行が可能となります。
コストの最適化
アウトソーシングは、長期的な視点で見るとコストの最適化につなげられる点が特徴です。
自前で職員を採用する場合、採用活動にかかる費用や、研修・教育コスト、さらには人件費といった固定費が発生し続けます。アウトソーシングを活用すれば、従来必要であったコストを抑制し、業務の繁閑にあわせて人員を調整できるため人件費を変動費化できます。
状況にあわせて柔軟に対応できるためコストの適正化が可能です。
サービスの質が向上して学生の満足度があがる
ノンコア業務をアウトソーシングすることで、職員のリソースに余裕が生まれます。そのようなリソースを学生サービスの企画や改善といったコア業務に再投資できるため、学生の満足度をあげられます。
たとえば、学生のニーズを的確に捉えた新しいサポートプログラムを企画・立案することも可能です。
このように、職員が本来注力すべきコア業務に集中できる環境を整えることは、結果的に学生に提供するサービスの質の向上につながり、満足度の向上に影響します。
大学事務にアウトソーシングを導入する際に注意すべきポイント
ここでは、大学事務にアウトソーシングを導入する際に注意すべきポイントを3つ紹介します。
- セキュリティと情報管理体制の確認
- 業者選定時の品質管理チェック
- ノウハウの社内共有と連携体制の構築
セキュリティと情報管理体制の確認
アウトソーシングを導入する際、セキュリティと情報管理体制の確認は十分に行いましょう。
サービスを利用する際には学生や教職員の個人情報、大学の機密情報などを外部業者に預けることになります。万が一情報が漏えいしてしまった場合は、大学の信頼を著しく損なう事態につながりかねません。
そのため、委託を検討している業者が、プライバシーマークやISMS認証といった第三者認証を取得しているか必ず確認しましょう。また、具体的な情報管理体制もあわせて確認しておくことで、安心して委託できます。
業者選定時の品質管理チェック
アウトソーシング業者によって、サービスの対応品質には大きな差があるため、選ぶ際には品質管理チェックを実施しましょう。
具体的には自学と同じような大学での導入事例があるかといった実績を確認することが重要です。また、契約前に業務の品質をどのように担保するのか、具体的な管理体制についてもあわせて確認します。
たとえば、定期的な業務報告会や問題が発生した際の対応フローなど、品質を維持・向上させるための具体的な仕組みを持っている業者を選ぶようにしましょう。
ノウハウの社内共有と連携体制の構築
業務を完全に外部へ任せてしまうと、ノウハウが学内に蓄積されにくくなるというリスクがあります。将来的に再び内製化を検討する際や、緊急時に学内で対応する必要が生じた際に、業務が円滑に進まなくなる可能性があるため注意が必要です。
このようなトラブルが発生した際でも、滞りなく業務を進めるために委託業者と密にコミュニケーションを取り、定期的な報告会や意見交換会などを通じてノウハウを共有しましょう。
学内に知識が蓄積される仕組みを構築するため、委託会社と連携体制を整えることを意識するのがおすすめです。
大学事務にBPOを導入した実際の事例
実際にBPOを導入した大学では、業務効率化や職員の負担軽減といった多くの成果が報告されています。
ここでは、具体的な3つの大学の事例を紹介します。
- 慶應義塾大学
- 日本体育大学
- 追手門学院大学
慶應義塾大学
福澤諭吉が江戸に開いた「蘭学塾」を起源に、長い歴史を持つ慶應義塾大学様。同大学では、奨学金関連の業務が他の業務と並行して行われており、職員の負担が大きい状態でした。
一時は派遣社員を採用していましたが、専門性の高い業務内容を教えるのに時間がかかり、根本的な負担軽減にはつながらなかったそうです。
他大学からの推薦やパーソルビジネスプロセスデザイン側からの提案などからBPOの導入を決意。
BPOスタッフが大学内に駐在しないオフサイト形式での業務委託体制を稼働しました。
結果として、対象業務の約9割を外部に委託することに成功し、職員は本来注力すべき「学生に寄り添った支援」に専念できるようになりました。
現在では職員の残業時間も削減され、精神的なプレッシャーからも解放されたことで、余裕を持ってコア業務に取り組める環境が実現したそうです。
関連記事:奨学金の申請に対応する業務で負担大。試しに委託してみたら『天国と地獄ほど違う』
日本体育大学
創立以来オリンピック選手をはじめとする数多くのアスリートを輩出してきた日本体育大学様。同大学では、奨学金に関する手続きが年々複雑化する中、ミスが許されないというプレッシャーを抱えながら業務を行っていました。
外部委託を検討課題として認識していたものの、業務の性質上、当初は委託に消極的であったそうです。しかし、現状を打破するためにパーソルビジネスプロセスデザインとの慎重な検討を重ね、BPOの導入を決断されました。
導入後は、わずか5カ月という短期間で、スムーズに運用を開始。BPOにより、業務プロセスの見直しで効率化が図られ、現在では職員は心に余裕を持って学生をサポートできるそうです。
関連記事:外部委託に強い不安。それでも円滑に立ち上げ、『心からのサポート』を実施
追手門学院大学
大阪府茨木市に複数のキャンパスを有する私立大学の追手門学院大学。同大学は、人事異動によって担当職員が変わるたびに、業務の指示内容や指導方針にばらつきが出てしまうという課題を抱えていました。
また、派遣社員が入れ替わるたびに一から教育をやり直す必要があり、その負担も大きなものとなっていました。
業務を見直し、限られたリソースの中で成果をあげるためにパーソルビジネスプロセスデザインのBPOを導入。
実は、教務課の仕事は学生や教員に関わることが多いという理由から委託化しにくい部署だと考えられています。パーソルビジネスプロセスデザインでも教務課から受託している案件が少なかったため、業務構築をゼロから構築し、大学側に提案をしました。
導入後は業務内容を徹底的に可視化した「完璧に近い」業務マニュアルが作成され、人事異動があっても誰でも迅速かつ均質に対応できる体制が整いました。
現在では、業務のスリム化を実現し、コア業務への第一歩を踏み出しているそうです。
関連記事:「予想以上に委託できる業務は多い」“完璧に近い”業務マニュアルで広がるBPO
大学事務のアウトソーシングならパーソルビジネスプロセスデザイン
大学事務に活用できるアウトソーシングは3つあり、各サービスの特徴を理解して状況にあわせて導入するのがおすすめです。特に、業務効率化や人材不足の解消を期待している担当者の方はBPOの活用が有力な選択肢となります。
パーソルビジネスプロセスデザインでは、多くの大学で奨学金業務や教務課業務などを支援してきた豊富な実績とノウハウをもとに、お客さまの要望にあわせたBPOサービスを提供しております。
業務プロセスの分析から最適な運用体制の構築までを高いセキュリティで支援し、大学ごとの課題にあわせた柔軟な解決策を提案することが可能です。
「大学事務BPOについて詳しく知りたい」と興味をお持ちの方は、以下の資料で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
【大学事務BPOサービス】のご紹介
- パーソルビジネスプロセスデザインが選ばれる3つの理由
- 導入から運用までのステップ
- 大学様でのBPOサービス導入事例:慶應義塾大学様、愛知大学様、日本体育大学様、学校法人中部大学様 など