総務が必要とするDXとは
はじめに、DXについての理解を深めましょう。
- DXとは?
- 総務がDXを求められている理由
ここでは、基本的な考え方から総務部門がDXを求められている理由について、詳しく解説します。あらかじめ、DXについて理解することで、部署内でどのように活用するか明確になるでしょう。
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DXとは?
経済産業省が2020年に策定した「デジタルガバナンス・コード」では、DXについて以下のように定義されています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
つまりDXとは、IT技術を活用して、業務フローの見直しや組織風土の改革を試みようという考え方です。
総務がDXを求められている理由
コロナ禍以降、各企業ではリモートワークやフレックス勤務の対応が求められました。しかし、オフィス出勤が前提だった押印や書類回覧などのアナログ業務が、リモート勤務によって対応が困難となった側面もあります。
さらに、政府が推進する働き方改革により、労働時間の短縮や多様なはたらき方が求められました。
こうした状況の中で、今までどおり円滑に業務を進め、企業が成長していくためにも、総務部門のDX導入は不可欠です。
DX化の推進により、場所を問わず業務を円滑に進められたり、仕事の手順を自動化できたりするため、総務部門全体の業務効率化と生産性の向上につなげられるでしょう。
総務がDX化で抱えている課題点
総務部門がDX化を進めるうえで、主に4つの課題点があります。
- 業務が属人化している
- 情報セキュリティに関する不安
- DXを推進するだけの余裕がない
- 従業員のITリテラシーが不足している
現在の課題点を正しく理解することで、対策方法を事前に用意できるためトラブルを未然に防げるでしょう。
業務が属人化している
総務部門では幅広い事務や専門業務を担当するため、特定の社員が同じ業務を継続的にこなすケースも少なくありません。
その結果、担当者しか業務のやり方を知らない状態が続き、標準化が進まずに属人化が深刻化します。
たとえば、備品管理の発注手順や契約書類の取り扱いなどは、担当者が口頭で進めることが多く、業務フローが文書化されていない状態になってしまいます。
属人化した業務は、DXの導入時に業務フローを正確に把握できないため、導入計画の段階でつまずいてしまうケースもあるでしょう。
情報セキュリティに関する不安
総務部門がDX化を進めるうえで大きな障害となるのが、情報セキュリティに対する不安です。
総務部門は社内文書や従業員の個人情報、外部との契約書類など機密度の高いデータを日常的に扱います。
セキュリティに関する知識や対策が十分でないと、情報漏えいにつながるリスクへの懸念から、「本当に大丈夫なのか」という不安が生まれやすくなります。その結果、リスクを避けようとDX化自体を敬遠するケースが少なくありません。
安心してDX化に踏み切るためにも、総務部門が主体的にセキュリティ知識を高め、対策を徹底することが不可欠です。
DXを推進するだけの余裕がない
総務部門はDXを進めたくても、リソース不足や時間的余裕のなさから、なかなか実行に移せないという課題を抱えています。
総務部門は、社内調整や問い合わせ対応など、常に突発的な業務が発生する部門です。さらに、施設管理や備品の補充など多岐にわたる業務があり、少人数で担当しているケースも珍しくありません。
突発的な業務が多いうえに、教育・研修が追いついていないのが現状です。そのため、総務部門がDX化に本腰を入れるだけの余裕が持てず、推進が滞ってしまう傾向にあります。
従業員のITリテラシーが不足している
従業員のITリテラシー不足も、DX化を妨げる要因のひとつです。
月刊総務が2023年に実施した調査では、総務のDX担当者が感じている課題の1位が、「従業員のITリテラシー不足」でした。
DXの推進として、操作手順が複雑なシステムを導入しても、現場が混乱してしまったり、抵抗感を示したりする従業員も少なくありません。
結果的に「書類とデジタルの併用」という中途半端な運用が長引き、業務効率化が実現しない恐れがあります。
総務がDXを導入するメリット
総務がDX化を進めることで、次のようなメリットが得られます。
- 業務プロセスの効率化と生産性の向上
- 業務の精度向上
- 多様なはたらき方への柔軟な対応
- 属人化の軽減
課題点ばかりに目を向けてしまうと、導入に躊躇し、適切な判断が難しくなります。メリットも十分に理解して、総合的に判断することが大切です。
業務プロセスの効率化と生産性の向上
DXを推進し業務を自動化することで、人材を要した一部の仕事をシステムが代替し、業務効率化と生産性の向上を実現できます。
たとえば、これまで紙の申請書を提出する際は、責任者の元へ直接向かい、押印をもらう必要がありました。しかし電子申請システムを導入すれば、入力や承認状況が一元管理できるため、場所や時間に縛られず、スムーズに業務を完了できます。
業務フローの最適化により、業務効率や生産性が向上し、中長期的なコスト削減が期待できるでしょう。
業務の精度向上
DXの導入により、デジタルツールを活用して作業手順を最適化することで、ヒューマンエラーを抑制し、業務精度を向上できます。
紙での記入やExcelの手作業入力では、転記漏れや数字の打ち間違い、ファイルの紛失といったヒューマンエラーが発生しやすくなります。電子承認システムを導入すれば、入力必須項目のチェックや誤入力の自動検知などにより、エラーを未然に防ぐ対策が可能です。
さらに、操作履歴が残るシステムであれば、万が一問題が発生した際に原因を特定しやすくなり、早期に再発防止策を打ち出せるでしょう。
多様なはたらき方への柔軟な対応
クラウド活用やオンラインシステムの整備によって、リモートワークやフレックスタイムなど、多様なはたらき方に対応できます。
総務部門は、従業員からの申請対応や施設管理などの業務を抱えているため、出勤が求められるケースが多くありました。しかし、近年は働き方改革によって、オフィス勤務に限定されない業務スタイルを望む従業員が増加しています。
DXの推進に必要なシステムを導入することで、オフィス外からでも業務を滞りなく進められるため、従業員の満足度向上にもつながります。
属人化の軽減
総務部門では、業務知識や手続きの流れを、経験豊富な個人のノウハウに依存してしまい、属人化しているケースがあります。
DX導入によって業務内容が標準化され、誰が担当しても一定水準の業務を実施できる体制を構築できます。
たとえば、業務マニュアルや手順書をクラウド上に集約し、必要な情報を誰でもすぐに参照できる状態に整備することで、属人化の軽減が可能です。担当者が変更しても早期に業務を覚えることが可能になり、従業員の異動や退職にともなうリスクを最小限に抑えられます。
社内全体のノウハウが蓄積されることで、今後の事業拡大にも柔軟に対応できる体制を築けるでしょう。
総務の業務を効率化させるための手法
総務部門が、DX化を活用して業務効率化を図るための手法が、主に4つあります。
- 現状の業務プロセスの見直し
- 業務に合わせたデジタルツールの導入
- 社員への社内研修
- BPOもあわせて活用する
それぞれの内容を理解しておくことで、DX化の際に円滑に導入を進められるでしょう。
現状の業務プロセスの見直し
まず、総務で実施している業務のプロセスを見直しましょう。理由として、業務プロセスを見直すことで不要なタスクを洗い出し、適切な状態に整備できるためです。また、属人化している業務の標準化にもつながります。
たとえば、以下のような業務プロセスがある場合は、改善の余地があるでしょう。
- 紙ベースでしか運用していない作業
- 複数部署で重複しておこなっている作業
- 簡略化が可能な業務
業務プロセスの全体像を洗い出すことで総務部門の現状が明確になり、効率化やDX化に向けた具体的な取り組みを実施しやすくなります。
業務に合わせたデジタルツールの導入
業務プロセスの見直しが完了したら、改善すべき業務や規模感に最適なデジタルツールを導入しましょう。
たとえば、以下のようなデジタルツールが導入できます。
- 文書管理システム:社内規定や各種フォーマットを一元管理
- 電子稟議システム:承認プロセスのスピードアップ
- 勤怠管理システム:勤務状況の正確な把握と給与計算の効率化
デジタルツールの選定においては、自社の業務プロセスとの相性や使いやすさ、拡張性のバランスを考慮することが重要です。また、導入後の運用負荷も考慮し、メンテナンスや更新が容易なツールを選ぶことで、長期的な効率化を実現できます。
社員への社内研修
新しいシステムやソフトウェアを導入しても、社員が操作方法を理解し機能を使いこなせなければ、業務効率が下がる可能性があります。また、デジタル化に慣れていない社員はシステムへの抵抗感もあるため、段階的な研修やサポート体制の構築が重要です。
たとえば、オンラインの研修コンテンツやマニュアルを整備することで、社員が必要なときに学習できるようになり、習熟度のばらつきを防げます。
継続的なフォロー体制を整えることで、ツールのアップデートや機能拡張にも柔軟に適応できます。
BPOもあわせて活用する
総務部門のDX化を進めるために、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の併用も有効です。BPOとは、定型的なノンコア業務を外部に委託し、自社はコア業務に集中できるようにする仕組みです。
DX化を推進するうえで、すべての業務を自社内で改革していくためには、限られたリソースでは難しいでしょう。しかし、BPOを戦略的に活用することで、自社のコア業務に集中しながら、効率的にDXを推進できます。
さらに、BPO導入のために業務プロセスを整理し、マニュアル化する過程が、DX化の大きな後押しになるケースも少なくはありません。
BPOはDXを加速させるトリガーとして、多くの企業が導入に動いています。
関連記事: パーソルビジネスプロセスデザインの【BPOサービス】のご紹介
BPOを導入した部署の事例
ここでは、BPOを活用して、組織全体の生産性を向上させた株式会社NTTドコモ様の事例を紹介します。
当時、社内では同じ業務を異なる方法で実施していることが課題となり、法人ビジネス本部内の担当者は「統一した方が、業務効率が向上するのではないか」と考えておられました。
すでに、株式会社NTTドコモ様の他部門では、パーソルビジネスプロセスデザイン(旧パーソルテンプスタッフ)が端末管理の仕事で携わっており、業務効率化の実績があったことからご相談をいただきました。
現在では、以下の業務に携わらせていただいています。
- 総括業務全般
- 会計事務
- 検証用の携帯電話など、端末管理
株式会社NTTドコモ様からは、BPOを活用したことで、業務に集中できる環境が整ったとの声をいただいています。
関連記事: 膨大な業務、非効率な仕事、属人的な環境……。「もしBPOをお願いしなければ、首が回らなかった」
総務部がBPOを導入するまでの流れ
BPOサービスの導入を成功させるためには、以下のステップで進めるのが一般的です。
- 現在の業務と問題点を洗い出す
- BPOに委託する業務の範囲を明確にする
- 委託先を選定する
- BPOの企業に相談して導入する
まず自社の総務業務をすべて書き出し、業務プロセスや現在抱えている問題点を洗い出します。問題点を洗い出すことで、導入の目的から逆算した活用ができます。
次に、必要に応じて業務をコア業務とノンコア業務に分類し、外部委託の優先順位と業務範囲を決めましょう。
業務範囲が決まったら、目的にあった委託先を選定します。費用やサービス内容、実績など、複数の会社から比較検討することが重要です。
委託先が決まり次第、担当者と連携を取りながら、BPOの導入を進めていきましょう。
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BPOサービスを導入し業務の効率化を図ろう
総務部門がDX化を進めれば、業務を自動化でき、効率化や生産性の向上につながります。また、業務の属人化やヒューマンエラーを減少できることも大きなメリットです。
総務部門の業務を改善し、組織全体のさらなる発展を目指す方は、ぜひDX化を検討しましょう。
また「DX化を推進したいが、日常業務に追われ余力がない」とお困りの方は、BPOサービスの導入が有効です。
パーソルビジネスプロセスデザインでは、豊富な実績とノウハウをもとに、お客さまの要望にあわせた、BPOサービスを提供しております。BPOやアウトソーシングサービスの導入について、ご不明な点やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
また、総務部門に特化したBPOサービスの詳細は、以下のページから資料請求が可能です。ぜひ、こちらもあわせてご覧ください。
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