業務に影響するコストの種類4選
ここでは、業務に影響するコストの種類を4つ紹介します。
- 固定費
- 変動費
- 初期コスト
- 人的コスト
固定費
固定費とは、売上高や生産量の増減に関わらず、毎月決まって発生する費用のことです。
事業を継続していく上で常に必要となる基本的な経費であり、「ランニングコスト」の一つとしても考えられます。
固定費の例として、以下のようなコストが挙げられます。
- 地代家賃
- 人件費
- 減価償却費
- 広告宣伝費
固定費は売上に関わらず支払う必要があるため、経営の安定性を高めるには適切なコントロールが必要です。
変動費
変動費とは、売上高や生産量、販売数に比例して変動する費用のことです。
業務量が増えれば変動費も増加し、逆に業務量が減少すれば変動費も減少するため、事業の拡大縮小に対応しやすいコストといえます。
具体的な項目としては以下の通りです。
- 原材料の仕入費
- 仕入原価
- 販売手数料
- 外注加工費
変動費は固定費と比べて短期的にコントロールしやすいため、取引先の選定や調達方法の見直しによって削減効果を生み出せる可能性があります。
初期コスト
初期コスト(イニシャルコスト)とは、新しい事業やプロジェクトを開始する際や、新たな設備を導入する際に、最初に一度だけ発生する費用のことです。
具体的には、以下のような費用が該当します。
- 設備投資
- システム導入費用
- 施工費用
- 物件取得費
- 内装工事費
事業の開始時点で集中的に投資が必要となる重要なコストです。
人的コスト
人的コストとは、従業員を雇用することによって発生する費用の総称です。
人件費は固定費に含まれることもありますが、採用や教育、退職金など変動要素が多いため、独立させることで管理しやすくなります。
人的コストには、給与や賞与はもちろんのこと、社会保険料や通勤手当、退職金も含まれます。さらに、新たな人材を採用するための「採用コスト」や、従業員のスキルアップを目的とした「教育研修コスト」も人的コストの一部です。
企業にとって人材はもっとも重要な経営資源である一方、適切に管理しなければコスト負担となる可能性があります。
具体的なコストの削減方法7選
ここでは、具体的なコストの削減方法を7つ解説します。
- エネルギー使用の見直し
- 資料の電子化
- オフィススペースの見直し
- リースサービスの利用
- 労働環境の見直し
- サプライチェーンの見直し
- 業務のアウトソーシング化
また、コストの適正化にはBPOの活用がおすすめです。「BPOの市場規模や利活用シーンを知りたい方」や「人材をはじめとした経営資源を有効に活用したい方」はあわせてご覧ください。
【資料】概要と事例でよく分かる!BPO解説ブック
- BPOの今と未来予測
- BPOの基礎知識
- アウトソーシング・BPOと派遣の違い
- BPOを導入する3つのメリット
- BPOを導入する4つの注意点
- BPOを活用した5つの事例(営業事務、金融関連業務、経理・財務事務、総務、官公庁)
エネルギー使用の見直し
コスト削減のために、エネルギー使用についての見直しを検討しましょう。
例えば、オフィスの照明を消費電力の少ないLEDに切り替えたり、省エネ性能の高い最新の空調設備を導入したりすると、電気代の削減につながります。
また、現在契約している電力会社とのプランを見直すのもおすすめです。企業の電力使用状況にあわせて最適な料金プランに変更することで毎月かかるコストの削減が可能です。
エネルギー使用に関する見直しは、電気代という「変動費」の削減につながります。
資料の電子化
現在使用している資料の電子化もコスト削減に有効です。
例えば、会議資料や稟議書、契約書といった書類を電子化しペーパーレス化を推進することで、紙代や印刷代といった費用の削減が可能です。書類の電子化により印刷に関係する「変動費」の削減が期待できます。
さらに、紙の書類を保管するスペースが不要になり、オフィススペースの有効活用や、場合によっては賃料の削減が可能です。結果として、保管スペースにかかる賃料の「固定費」の削減につながります。
オフィススペースの見直し
はたらき方の多様化にあわせてオフィススペースを見直すこともコスト削減になるでしょう。
例えば、リモートワークを導入して、オンラインでの業務を中心にすることでオフィスの面積を縮小し、賃料を削減できます。
また、フリーアドレスやコワーキングスペースのように、同じデスクを別の人と共有しながら活用することも有効な手段です。
オフィススペースを見直してエリアの縮小を実現できると、月々の賃料という「固定費」の削減につながります。
リースサービスの利用
リースサービスとは、リース会社が事前に購入した設備や機器を企業側が長期間借りられるサービスのことです。
コピー機や社用車、パソコンなど会社に必要な設備を自社で購入するのではなく、リースサービスに切り替えることで、導入時の初期投資を抑制できます。
また、古くなった場合でもリース会社に手続きをすることで新しい機種を利用できるため、所有機器が故障して再購入する場合と比べて、費用の削減も可能です。
設備や機器をリース契約で利用することは、初期コストの削減に効果的な手法といえるでしょう。
労働環境の見直し
現在の労働環境を見直すことも、長期的なコスト削減につなげられる方法の一つです。
業務プロセスを見直して長時間労働を解消させることで残業代などの人件費を削減できます。
また、従業員のスキルアップを支援する研修制度を充実させ、一人ひとりの生産性を向上させることも、長期的に見れば人件費の最適化につながります。
はたらきやすい環境を整備して離職率が低下することで、新たな人材の採用や教育にかかる「人的コスト」の削減が可能です。
サプライチェーンの見直し
サプライチェーンとは、製品の原材料や部品の調達から配送を経て消費者の手元に届くまでの、一連の流れ全体を指します。
一連の流れの中で発生するさまざまな費用を見直すこともコスト削減の効果が期待可能です。
例えば、原材料の仕入先を現在の業者だけでなく複数社で比較検討し、より安価で品質の高い業者の選定ができれば、「変動費」に関わる材料費を削減できます。
また、在庫管理の最適化や配送ルートの効率化なども、サプライチェーン全体のコスト削減につながるでしょう。
業務のアウトソーシング化
専門性の高いノンコア業務を外部の専門企業に委託することで、複数の種類のコスト削減を同時に実現できます。
専門業務を外部に委託することで、自社で専任人材の雇用・育成を最適化でき、固定費や人的コストの削減が可能です。
ノンコア業務を委託した分、自社の従業員は、顧客対応や新規事業開発といった利益に直結するコア業務に集中できるため、企業全体の生産性向上が期待できます。
また、専門家による業務プロセスの見直しもできるため、業務効率化も実現可能です。
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コストの最適化にはBPOの活用がおすすめ
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは、業務プロセスの一部またはすべてを外部の専門企業に委託するアウトソーシングの一つです。
まず、コストの削減を効果的に進めるには、現状の業務内容や構造を正確に洗い出し、自社の状況にあわせて改善していく必要があります。
情報を把握して的確な施策を実行するには専門的な知識や分析能力が必要となるケースが多く、自社だけで取り組むには限界がある場合も少なくありません。
BPOを活用することで、専門家の客観的な視点で現状把握から適正化まで一貫して委託できるため、効率的にコスト削減を進められるでしょう。
さらに、業務プロセスの遂行まで委託できるため、人件費の適正化などが実現可能です。
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- 導入事例
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BPOとは?活用するメリットと注意点
ここでは、アウトソーシングの一つであるBPOの基本情報とメリット・注意点を解説します。
- BPOの定義と特徴
- BPOを活用するメリット
- BPOを活用する注意点
- BPOを検討する際のポイント
【資料】概要と事例でよく分かる!BPO解説ブック
- BPOの今と未来予測
- BPOの基礎知識
- アウトソーシング・BPOと派遣の違い
- BPOを導入する3つのメリット
- BPOを導入する4つの注意点
- BPOを活用した5つの事例(営業事務、金融関連業務、経理・財務事務、総務、官公庁)
BPOの定義と特徴
BPOとは、企業の特定部門の業務プロセスの一部、または全体を外部の専門企業に委託する仕組みのことです。
作業を代行してもらうだけでなく、業務プロセスの分析や改善提案、法令対応のサポートまで包括的に支援を受けられる点が特徴です。業務プロセスの分析などを実施して適正化をすることで、業務のムダを減らし、効率化や生産性の向上が実現できます。
さらに、作業手順を標準化することで属人化を防ぎ、安定した品質を維持できる体制の構築も可能です。
BPOは長期的にみたコスト削減の手段だけではなく、企業の競争力強化につながる戦略的なパートナーシップといえます。
BPOを活用するメリット
BPO導入によって得られる代表的なメリットとして以下のポイントが挙げられます。
| メリット | 理由 |
|---|---|
| 業務効率化と属人化リスクの解消 | 専門家による業務プロセスの分析により手順が標準化できるため、業務の無駄を減らし、誰が担当しても同じ品質の作業ができる |
| 繁閑対応で柔軟な体制構築 | 自社で人材を抱える場合は固定的な人件費が発生するが、BPOを活用すれば必要な時期に必要な分だけリソースを確保できる |
| 法改正対応や監査リスクの軽減 | 専門企業は法令や規制の変更に関する情報を常に把握しており、適切な対応を迅速に実施できる体制を整えているため、企業のコンプライアンス強化につなげられる |
BPOを活用することで、企業は本来のコア業務に注力できる環境を整えられます。
BPOを活用する注意点
BPOは企業の業務効率化や生産性の向上などのメリットがありますが、いくつかの注意点を理解しておくことが重要です。
まず、BPOは必ずしも短期的な経費削減に直結するわけではなく、むしろ業務の質向上や長期的な効率化を目的として導入を検討しましょう。
また、システム導入や業務の移行作業など、初期段階である程度コストが発生する場合があることも認識しておく必要があります。
さらに、企業の規模や業務量によっては、社内で運用を続けた方がコストを抑えられるケースもあるでしょう。
これらの注意点を事前に把握し、現実的な期待値を設定しておくことで、より効果的なBPO導入が可能になります。適切な準備と理解のもとでBPOを活用すれば、企業の成長を支える強力なパートナーとなるでしょう。
BPOを検討する際のポイント
BPO導入を検討する際には、単なる費用削減ではなく、業務最適化やリスク回避、長期的な効率化を目的として検討することが重要です。
目先のコスト削減だけを目的とすると、期待した効果が得られず、かえって業務の質が低下するリスクがあるためです。
また、BPO事業者を選定する際は以下の項目を確認し、導入を十分に検討しましょう。
- 過去の実績
- 導入事例
- 自社と同じ業界や業務での成功実績の有無
- 情報セキュリティ対策
- プライバシーマークの取得状況
- データ管理体制
さらに、BPO事業者とのコミュニケーション体制や業務改善提案の頻度、緊急時の対応体制なども事前に確認しておくと良いでしょう。
各ポイントを総合的に評価することで、自社にとって最適なBPOパートナーを選定できます。
BPOを活用した際に実現できるコスト適正化の具体策
BPOサービスは、多岐にわたるアプローチで企業のコスト構造を改善します。
例えば、以下のようなコスト適正化の具体例が考えられるでしょう。
| 具体策 | 理由 | 適正化が期待できるコスト |
|---|---|---|
| 業務プロセスの標準化と自動化 | BPO事業者は専門的な知見を活かし、委託された業務のプロセスを分析して非効率な部分を特定し、標準化を進める | 人的コスト |
| ノンコア業務の外部委託 | ノンコア業務をBPOで外部委託することにより、自社の従業員をより付加価値の高いコア業務に集中させるため生産性や業務効率の向上が期待できる | 固定費 |
| 繁閑に応じた業務体制の柔軟化 | BPOを活用すれば、業務量の増減に応じて委託作業量を調整でき、人件費を変動費化できるため、適正化につながる | 人的コスト |
| 法改正対応の外部化 | 法改正に関する情報収集や実務対応を専門知識が豊富なBPO事業者に委託することで、自社の負担を軽減できる | 人的コスト |
| デジタル化による効率化 | 紙媒体でのやり取りをなくし、データでの管理に移行することで、情報の検索性向上、ペーパーレス化によるコスト見直しができる | 人的コスト/固定費/変動費 |
| 属人化リスクの解消 | 業務プロセスを標準化・マニュアル化することで、属人化を解消できる | 人的コスト |
| コストの見える化と改善提案 | BPO事業者は業務プロセスを客観的に分析し、各工程で発生しているコストを定量的に可視化する | 固定費/変動費 |
BPOを活用した実際の事例紹介
個人向けの通信サービスや金融決済サービスなど幅広く展開されている株式会社NTTドコモ。同社では、部門ごとに同じような事務処理を別々のやり方で行っており、全体として非効率だった点が課題として挙げられていました。
また、業務の属人化が進んでおり「その人がいなくなったら業務がわからない」という状況も発生していたそうです。
同社は課題を解決するために、パーソルビジネスプロセスデザインのBPOを導入。
専門家による業務プロセスの見直しとRPA導入により、コスト削減と業務効率化を実現できました。
現在では、従業員が集中すべき業務に力を入れられる体制が整い、さらなる売上の拡大につながるといった声をいただいています。
関連記事|膨大な業務、非効率な仕事、属人的な環境……。「もしBPOをお願いしなければ、首が回らなかった」
コストの適正化や業務効率化はパーソルビジネスプロセスデザインへご相談ください
企業の持続的な成長のためには、さまざまな種類のコストを総合的に把握し、業務プロセスの見直しを通じて適正化していく視点が必要です。
特に、専門的な知識を要する業務や、ノンコア業務におけるコストの適正化と業務効率化を両立させるためには、BPOの活用が有効な手段となります。
パーソルビジネスプロセスデザインでは、豊富な実績とノウハウをもとに、お客さまの要望にあわせたBPOを提供しています。
「さらにBPOの事例について詳しく知りたい」と興味をお持ちの方は、以下の資料で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
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