経費精算とは?業務の流れや必要書類・対象費用から効率化の5つのポイントまで徹底解説

経費精算とは?業務の流れや必要書類・対象費用から効率化の5つのポイントまで徹底解説

経費精算をスムーズに進めるには、仕組みの整備と効率化の工夫が欠かせません。属人化の防止や業務の標準化を図ることで、申請・承認のスピード向上や不正防止にもつながります。

経費精算を効率化するための5つのポイントは、以下のとおりです。

  1. 社内ルールを明確にしてマニュアル化する
  2. 表計算ソフト(Excel)を活用して管理する
  3. 経費精算システムの導入で業務全体を自動化する
  4. 法人カードの導入で立替えを削減する
  5. 経費精算アウトソーシングの活用を検討する

本記事では、経費精算の基本から業務フロー、必要書類、対象費用、そして効率化の具体策やBPO事例まで段階的に解説します。自社の経理業務改善にぜひ参考にしてみてください。

経理の業務改善まるわかりBOOK

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  • 経理の業務を改善するために何をすべきか
  • 経理課題の紐解き
  • 経理業務改善につながる解決策


目次

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    経費精算とは

    経費精算とは

    経費精算とは、従業員が業務上必要な支出を一時的に立替え、後日会社に申請して精算する仕組みです。支払いの都度会社が直接対応するのではなく、一定期間ごとにまとめて処理することで経理業務を効率化できます。

    さらに、精算には領収書や明細などの証憑が必要であり、不正防止や税務調査への対応にも役立ちます。

    一方で、プライベートな支出や業務と無関係な費用は対象外です。主な精算対象には、交通費、旅費、交際費、消耗品費など業務に直接関連する支出があります。


    経費精算の主な種類

    経費精算の主な種類

    経費精算には目的や支出内容に応じていくつかの種類があります。

    • 小口精算
    • 交通費精算
    • 旅費精算

    それぞれの特徴を理解することで、効率的かつ正確な処理につながります。

    小口精算

    小口精算は、少額の経費を立替えた際に利用する方法です。

    日常的な文具の購入や軽微な交通費などに適用され、原則としてレシートや領収書の提出が必要になります。少額で頻繁に発生する支出に対応する仕組みです。


    交通費精算

    交通費精算は、営業活動や通勤、出張に伴う電車・バス・タクシー代などを対象とします。

    交通手段や経路、金額の記録が求められ、一部の企業ではICカードや交通費検索サービスと連携し、自動化を実現しています。


    旅費精算

    旅費精算は、出張時に発生する宿泊費・航空券・食費などの支出を処理する方法です。

    一般的には「旅費精算書」や「出張旅費精算書」が用いられ、長期や高額の出張では事前に仮払いを行うケースも多く見られます。


    経費精算業務の流れ【5STEP】

    経費精算業務の流れ【5STEP】

    経費精算は、従業員が業務上で立替えた支出を正しく処理し、会社が精算するための重要な業務です。一般的な流れは次の5ステップに分かれています。

    1. 経費の支出と領収書の取得
    2. 経費精算書の作成・申請
    3. 上司からの承認
    4. 経理担当者による確認・支払い
    5. 経理記録・書類の保管

    各段階で必要な対応を正しく行うことで、精算の遅延や不備を防ぎ、スムーズな業務進行につながります。


    1.経費の支出と領収書の取得

    従業員は業務に必要な支出を立替える際、必ずレシートや領収書を受け取ることが必要です。

    記載内容には日付や金額、取引先、購入品目などが含まれていることが望ましく、不足がある場合は、必要事項を記入した領収書を取得します。

    とくに交通費や交際費、備品購入などは経費対象の判断が分かれることもあるため、事前に上司へ確認するケースも多く、適切な対応が重要となります。


    2.経費精算書の作成・申請

    経費精算書は領収書を添付し、支出の目的や日時、金額、同行者などを正確に記載して申請します。

    飲食費の場合は相手先企業名や参加人数も必要となり、交通費では乗車券や経路情報の提示が必要です。また、仮払金を受けている場合には、仮払経費精算書を用いて過不足を清算します。

    情報の記入漏れや誤りがあると差し戻しの原因となるため、丁寧に作成することが大切です。


    3.上司からの承認

    提出された経費精算書は、上司による内容確認と承認を経て次の工程へ進みます。

    社内ルールによって承認期限が設けられている場合もあるため、期日を守って提出することが必要です。記載内容に不備があると差し戻され、再度修正が求められる可能性もあります。

    承認が下りた精算書は経理部門へ提出され、正式に処理が進められる流れとなります。正確な記載と期限遵守が重要です。


    4.経理担当者による確認・支払い

    経理担当者は、提出された経費精算書や添付された領収書を照合し、内容の正当性を確認します。

    不備がなければ、立替金や仮払差額を小口現金や銀行振込、給与支給などで精算します。不備があった場合には差し戻され、再提出によって支払いが遅れる可能性があります。

    とくに仮払精算の場合には、支出実績と仮払額との差額を調整し、正しい精算処理を行うことが必要です。


    5.経理記録・書類の保管

    精算が完了した後、経費精算書や添付資料は法令に基づき所定期間保管されます。

    原則として保存期間は7年間ですが、繰越欠損金控除がある場合には10年間です。さらに、電子帳簿保存法やインボイス制度に対応した形での保存が必要となる場合もあり、社内での管理体制整備が欠かせません。

    また、現金出納帳への記録を行うケースもあり、正確な会計処理と証憑管理が重要です。


    経費精算に必要な書類一覧

    経費精算に必要な書類一覧

    経費精算では、申請や差額処理、証憑の提出が正しく行われることが求められます。主な書類は以下のとおりです。

    経費精算に必要な書類一覧
    書類名 内容
    仮払経費申請書 出張などで事前に概算金額を仮払いで受ける際に使用する書類
    仮払経費精算書 仮払金の使用明細を記入し、実費との差額を精算する際に使用する書類
    立替経費精算書 従業員が自己負担した経費を会社に精算する際に使用する書類
    出張旅費精算書・旅費精算書 出張や業務に伴う移動費や宿泊費などを精算する専用書類
    添付書類(領収書、請求書、納品書、見積書など)
    • 支出の証拠となる必須書類
    • 再発行が困難な場合もあるため、従業員に事前周知が必要

    経費精算は書類の種類や証憑の管理が煩雑になりやすいため、準備に不安がある場合はBPOサービスの利用も有効です。専門家への外注を活用すれば、業務の効率化と不備防止につながります。

    経理の業務改善まるわかりBOOK

    経理の業務改善まるわかりBOOK

    • 経理の業務を改善するために何をすべきか
    • 経理課題の紐解き
    • 経理業務改善につながる解決策


    経費精算の対象になる費用

    経費精算の対象になる費用

    経費精算の対象となる費用は、業務遂行に必要な支出に限られます。具体的な費用は、次の5つです。

    • 旅費交通費
    • 交際費
    • 消耗品費・事務用品費
    • 図書費・研修費
    • 通信費・広告費・その他雑費

    各費用の特徴や対象を確認していきましょう。


    旅費交通費

    出張時の宿泊費や電車・バス・飛行機などの交通費が対象です。

    営業活動での移動費も含まれ、ICカードの履歴や乗車券の提出が必要な場合があります。交通費申請では経路、利用手段、金額を正確に記録し、海外出張時の航空券や現地宿泊費も精算できます。


    交際費

    取引先との会食費や飲食代、慶弔関連の費用が対象です。

    会食では開催日や相手先、人数などの詳細な記録が求められます。さらに、接待や贈答品といった対人関係を円滑に進めるための支出も精算可能です。会議時に提供する飲食物も場合によって対象に含まれます。


    消耗品費・事務用品費

    10万円未満または耐用年数1年未満の、文房具や日用品などの備品にかかる費用が対象です。

    オフィスで使用する筆記用具や什器、家具も含まれます。さらに、印紙代や印鑑証明の取得費も精算対象になりますが、場合によっては租税公課として処理されることもあります。


    図書費・研修費

    業務に必要な書籍や新聞、雑誌の購入費が対象です。

    さらに、業務に関連するセミナーや研修、イベントの参加費も含まれます。加えて、業務の参考に活用するWebサービスの利用料やDVDなどの資料費も経費として精算可能です。知識向上やスキル習得に直結する費用が認められます。


    通信費・広告費・その他雑費

    業務利用の携帯電話やインターネット料金、広告掲載費やWebサイト運用費が対象です。

    また、専門家への報酬や銀行振込手数料などの支払手数料も含まれます。さらに、ハガキに使用する切手にかかる費用も対象となります。


    経費精算の対象にならない費用

    経費精算の対象にならない費用

    経費精算は業務に関連する支出のみが対象となり、私的な費用や税金、罰金などは含まれません。以下のような支出は経費精算の対象外となります。

    • 個人的な飲食費や旅行などのプライベートな支出
    • 家庭用として購入した日用品や雑貨
    • 仕事用とされるスーツ(私用にも使用できるため対象外)
    • 友人や知人との会食など、業務と関係のない飲食費
    • 出張中の観光費用や観光地での移動費
    • 法人税や法人住民税などの納税義務による税金
    • 個人事業主が支払う所得税や社会保険料(国保、年金など)
    • 駐車違反などの罰金

    これらは業務上必要な支出とは認められないため、経費精算で処理することはできません。


    経費精算を効率化する5つのポイント

    経費精算を効率化する5つのポイント

    経費精算は従業員と経理部門双方の負担が大きいため、効率化の工夫が欠かせません。以下5つのポイントを確認することが重要です。

    • 社内ルールを明確にしてマニュアル化する
    • 表計算ソフト(Excel)を活用して管理する
    • 経費精算システムの導入で業務全体を自動化する
    • 法人カードの導入で立替えを削減する
    • 経費精算アウトソーシングの活用を検討する

    これらの取り組みを組み合わせることで、経費精算を大幅に効率化することが可能です。


    社内ルールを明確にしてマニュアル化する

    経費精算の効率化には、まず対象範囲や金額上限、申請期限などを明文化することが欠かせません。

    ルールが曖昧だと社員ごとの判断に左右され、対応が属人化しやすくなります。マニュアルを作成し、必要な書類や添付資料を明示すれば、承認や処理にかかる時間を短縮可能です。

    さらにマニュアルを社内に配布・公開することで周知徹底が可能となり、ルールの形骸化を防げます。違反が発生した場合は厳正な対応を取ることが、制度の信頼性を高めるために重要です。


    表計算ソフト(Excel)を活用して管理する

    経費精算の管理には、Excelなどの表計算ソフトを利用する方法があります。

    紙の管理に比べ、紛失や劣化のリスクを抑え、データを一元管理できます。導入コストも低く、既存環境で活用できる点が利点です。関数やテンプレートを使えば計算ミスを防げますが、設定ミスによる誤集計に注意が必要です。

    また、操作に長けた社員に依存しないよう複数人で運用できる体制が求められます。さらにファイル破損や保存ミスによるデータ消失リスクに備え、定期的なバックアップを行うことが望まれます。

    Excelよりも便利な方法について詳しく知りたい方は、自動仕訳の方法 も確認しておきましょう。


    経費精算システムの導入で業務全体を自動化する

    近年はクラウド型や会計ソフト連携型の経費精算システムが普及し、申請から仕訳までの工程を大幅に削減できます。

    スマホ対応やAI-OCR機能により、申請者・承認者・経理担当者の負担が軽くなります。さらにワークフロー機能を使えば承認がオンラインで完結し、ペーパーレス化が可能です。

    会計システムと連携すれば仕訳の自動化や決算書作成も効率化されます。ただし、利用料や教育コストが発生するため、自社に合ったシステムを選定することが欠かせません。

    経費精算システムの導入を考えている方は、導入時の課題や選び方も確認しておきましょう。


    法人カードの導入で立替えを削減する

    法人カードを導入すれば、従業員が自費で経費を立替える必要がなくなり、申請や払い戻しの手間を削減可能です。

    カードの明細データを取り込むことで経費申請が自動化され、不正利用防止にもつながります。さらに経費データがリアルタイムで可視化されるため、経理部門の処理効率も向上します。

    証憑管理も一元化されるため、後からの監査や調査への対応も容易です。このように法人カードの活用は、経費精算のスピードと透明性を高める効果があります。


    経費精算アウトソーシングの活用を検討する

    経費精算業務を外部に委託すれば、社内経理部門の負担を大幅に軽減可能です。

    アウトソーシングにより、制度運用時のミスや不正リスクを抑えつつ、専門家による法改正対応やチェックも受けられます。さらに月次決算のスピードアップやバックオフィス全体の合理化が可能となります。

    外注により固定コストを変動費化できる点も財務面でのメリットです。効率化と正確性を両立させたい企業にとって、有効な選択肢の一つとなります。

    経費精算アウトソーシングを検討中の方は、経理にBPOを導入するメリットも確認しておきましょう。


    経費精算業務をBPOで効率化した中外製薬株式会社様の事例

    経費精算業務をBPOで効率化した中外製薬株式会社様の事例

    ここでは、製薬会社が経費精算業務を効率化するためにBPOを導入した事例を紹介します。本事例では、以下の課題への対応が求められていました。

    • 属人化していた経費処理業務を標準化し、対応のバラつきを解消したかった
    • 病院や施設ごとに異なる伝票形式への対応など、業務の複雑性を軽減したかった
    • 派遣労働者の教育や労務管理の負担を軽減し、安定した運用を目指したかった
    • コア業務である医薬品開発に集中できる体制を整えたかった

    そこで同社が導入したのが、経費精算業務のBPOです。

    まず、業務の可視化とプロセス改善を進めたことで、業務がシンプルになり効率が大幅に向上しました。さらに、RPAと人を組み合わせた仕組みによって経費処理の一部を自動化し、業務時間を大幅に削減できました。

    定期的な報告会や常駐対応を通じて信頼関係を構築したことで、コロナ禍における安定的な運用の維持にもつながっています。加えて、製薬業界に特化した提案だけでなく、他業界の知見を取り入れた改善が可能となり、柔軟で持続的な業務体制を整えられました。

    経費処理業務をBPOで効率化した事例をより詳しく知りたい方は、コア業務とノンコア業務の仕分けに成功した本事例をご確認ください。


    経費精算業務の効率化を行うならBPOがおすすめ!

    経費精算業務の効率化を行うならBPOがおすすめ!

    経費精算業務に課題を抱える企業にとって、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の活用は、業務効率化と安定運用を両立する有効な手段です。

    領収書処理や承認フローなどの煩雑で属人化しやすい業務を外部に委託することで、経理部門は本来注力すべき会計・財務戦略に集中できます。また、教育・採用コストを削減しながら、即戦力の確保やガバナンス強化も可能になります。

    とくに、システム導入やRPAとの組み合わせに強みを持つBPO事業者を選定すれば、経費精算業務の標準化・自動化を進められ、不正防止や税務調査対応にも効果的です。

    経費精算を単なる事務作業ではなく、企業の成長を支える戦略的な仕組みへと進化させるために、信頼できるBPOパートナーへの相談を検討してみてはいかがでしょうか。導入に関するご質問やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

    経理BPOサービスのご紹介

    パーソルビジネスプロセスデザインの経理BPOサービス

    • 外部企業に委託できる経理業務の内容を知りたい
    • 経理業務をBPO化した他社の事例を知りたい
    • 経理部門のノンコア業務を外部へ切り出して、生産性UPや従業員エンゲージメントの向上に努めたい


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