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AIと人の最適な役割分担を設計する業務設計のスペシャリスト

大下 佑衣

YUI OHSHITA

ビジネスエンジニアリング事業本部 プロフェッショナルアウトソーシング第1統括部 ITサービスインテグレーション部 第3グループ / マネジャー

精鋭6名のDXチームを率い、クライアントに寄り添いながらAI導入と業務変革を主導。AIと人が最適に役割分担する新たなサービスデスクの姿を構想。現場の運用知見をもとに業務を再設計し、AI導入から定着までを推進する業務設計のスペシャリスト。

  • 業務コンサルティング,DXコンサルティング

経歴・専門領域

■経歴
・学生時代に情報系学科でプログラミングを学ぶ。
・入社後、VBAを用いた業務改善に従事し、デジタル技術を業務改善手段として活用する原点となる。
・DX・AI担当に抜擢され、社内での検証段階から取り組んで、DX推進をスタートさせる。
・現在は、ITサービスインテグレーション部にて大手通信事業者を中心に計6つのプロジェクトを担当し、約40名のメンバーを管掌するマネーを務める。

■専門領域
AI・DXを活用した業務設計・改善。
専門用語に頼らない納得感のある説明・提案・コミュニケーション。
AI教育、運用組織育成を含む、組織全体のDX推進体制の構築。

実績

運用現場のリアルタイム業務にAIを導入し、特定の対応において作業時間を半分以下に短縮。
AIによる業務の履歴自動作成、自動ナレッジ生成。
担当現場で、ベテラン層も含むチーム全員が継続してAI施策を活用する体制の構築。


AI導入の先にある「業務の再設計」が、組織変革を成功へ導く

人手不足や技能の属人化の悩みを抱える組織が多い中、AIの導入で業務の効率化や人の代替を図ろうとするケースは少なくありません。しかし、それだけでは本当の意味での組織の活性化や働きやすい職場を作ることにはつながりません。今回は、業務そのものを再設計するための強力な手段としてAIを活用し、現場の知見を活かしながら、人とAIの最適な共存をデザインする、業務設計のスペシャリストにお話を伺いました。  


ーー仕事の内容を教えてください。

大下:現在、私は大手通信事業者様に常駐しているプロジェクトに所属しています。そこでは故障対応窓口のサービスデスクの運用を中心に行うプロジェクトが主で、基本的には電話やメールを使いながらお客様の故障を解決していくという形です。私のいるDXチームは、直接的には運用にかかわらないのですが、運用を経験したメンバーもおり、過去の知見や運用チームとも連携しながら業務改善を行なっています。

DXチームでは、リーダーかメンバーかを問わず、各自がそれぞれの施策のオーナーとして回しているのですが、我々のチームのほうが、クライアントよりもエンドユーザーに近いところで運用に接していることから、今の運用のリアルを知っていますし、お客様からも「DXはパーソルに任せたい」と言っていただけていることがありがたいです。運用の現場を離れすぎずにAIなどのスキルを活用し、お客様をリードしていく提案をすることが期待されている役割だと思っています。  


ーーキャリアの礎となった出来事はありましたか?

大下:学生時代は情報系の学科に通っていてプログラミングも学んではいたのですが、それを仕事にするとは思っていませんでした。入社1年目に改善の手段としてVBA(※1)を使う機会をいただいたことが原点になり、その後はデジタルに直接関係ないプロジェクトを経験しながらも、必要に応じて改善提案にデジタル技術を適用してきました。 

大きな転機は、当時の部長から「AIの利用について検証してみないか」と声をかけていただいたことです。最初は1人きりの検証ポジションからのスタートで、私自身もAIについては初心者同然だったので、色々と学びながら、お客様の環境で何ができるのかをひとつずつ検証してきたことが今のキャリアに繋がりました。 

※1 VBA:Visual Basic for Applicationsの略。Microsoft Officeシリーズに搭載されているプログラミング言語 。 


ーーご自身の強みはどこにありますか?

大下:AIやDXを手段として使いながら「業務改善」を行う中でも、特に、専門用語を使わずにお客様に説明をして、ご理解いただくというところが強みだと思っています。実は、私は今のチームの中で唯一、窓口対応の現場経験がないまま入ってきた人間です。そのため、知識や経験のある方に提案をするのに苦戦した過去がありました。だからこそ、どうすればお客様にご納得いただけるかを深く考え、私なりの言い方や伝え方を工夫して、わかりやすく説明できるようになったことから、他のプレゼンの場でも説明力が上がったと言えるでしょう。  


現場を理解した設計が、DXを成功へ導く

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ーーお客様と向き合う際に心がけていることは?

大下:状況に応じて柔軟な対応を行うことです。たとえば、AI活用についても、最初は「AIを使いましょう、活用率を上げましょう」という活用推進から始めます。組織としてAIを使うことに慣れる必要があるためです。しかし、ある程度浸透してくると「AIを使うこと自体が目的」になってしまう場面も出てきます。そこで、この段階では「AIはあくまで手段である」と捉えていただくことを促すように方針を切り替えます。そして、より適したやり方があれば、そうなるように現場への落とし込み、改善、仕組み化までやるのが我々の取り組みです。いずれにしても、AIの精度が劇的に進化してできることが増えていく中で、「人でなければならない業務」を確立していくことが重要だと思っています。 


ーーどのような課題を持ったお客様が多いですか? 

大下:やはり人手不足が一番にあります。また、スキルを持った人材が固定化してしまう属人化も大きな課題です。AIを導入するにしても、使い方のエキスパートだけでなく、全体を設計できる人を育てることが必要になります。今の運用現場では、ベテランの頭の中にある知識で対応していることが多々あります。これをいかにナレッジとして落とし込んでいくかが課題です。一方で、対人窓口では手順通りにいかないイレギュラーな場面も多く、最終的な判断は人が担う必要があります。 

最近では、お客様からの相談内容も変わってきました。以前は「AIをどう使えばいいか」という使い方の相談が多かったのですが、今は、DXコンサルのような立ち位置を求められるようになってきました。ツールをどう使うかではなく、業務にどう組み込むかという知見を求められていると感じます。  

 

ーープロジェクトはどのように進めていますか?

大下:DXプロジェクトを成功させるために最も重要なのは、最初の「設計の部分」をいかに正しく行うかです。そこで、まずチームメンバーが「現状の何が問題で、どうなるのが理想か」を整理して、毎週行われるチーム内レビューに持ち込みます。そこでマネージャー陣や他のDXメンバーも交えて、「その解決方法で本当に合っているのか?」「そもそもその工程は必要なのか?」といったことを徹底的に議論します。運用経験者は「自分にとっての当たり前」に引っ張られがちなので、あえて他者の目線で議論し、内容が固まってから資料に起こして提案するようにしています。 

一人だけの視点では視野が狭くなるので、全員で議論して設計を固めるプロセスが不可欠なのです。 

また、AIを導入する際にお客様が不安に感じられるのは、主にセキュリティと精度になります。特に運用プロジェクトでは対応履歴を扱うため、顧客情報のマスク処理などのルール決めを徹底してきました。また、精度についても、AIが作ったものをそのままお客様に出すことにはリスクがあるため、「どこで人がカバーすべきか」を合わせてお伝えし、不安を払拭するようにしています。 


AI導入の先にある、本当の業務改革

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ーーどのようなときに、仕事のやりがいを感じますか?


大下:ここ半年ほど取り組んでいる「運用へのリアルタイムな業務へのAI導入」に、とてもやりがいを感じています。リスクの少ないバックヤード業務とは異なり、リアルタイム業務は応答速度やSLA(サービス品質保証)が厳しく、検証に非常に時間を要しました。しかし、少しずつ検証と改善を繰り返しながら導入していった結果、1回の対応時間が半分以下になったケースもあり、大きな前進を感じています。 

また、組織的な改善のため、各運用チームに「AI担当」を任命し育成したことも、大きな成果としてやりがいがありました。DXチームだけがAIを分かっている状態では、改善のための意見も上がりにくいと感じ、現場と知識を共有して連携し合える体制を作り上げたのです。 

さらに、定量的な成果としては、フロント業務全体で、毎期約200時間の工数削減を継続的に達成しています。これは対応履歴の作成をAIで自動化したり、対応内容からAIが自動でナレッジを生成したりするなどの細かい施策の積み重ねによる結果です。 

そして、現場からの反応で嬉しかったのは、ベテランの方々もAI施策を使ってくれるようになったことです。以前は「自分でやったほうが早い」と考えていたような方々も含め、チームの大多数が継続してAI施策を活用してくれているのを見ると、しっかりと設計し、導入して良かったと実感しています。 

 

今後、 どのようなことに挑戦していきたいですか?

大下: サービスデスクの未来については、人は判断が難しい部分だけに対応する形にシフトしていくでしょう。その分、求められるスキルも上がりますが、人にしかできないことを任されるという点で、非常に価値のある仕事に変わっていくはずです。 今後は、メインのお客様で培った知見を活かし、スポットのDXコンサルとして他のお客様の現場でも成果を上げられるような体制を整えていく計画です。ナレッジ生成やAIによる作業チェックなどは、通信業界に限らず他業界でも確実に応用可能な施策なので、今後は横展開していきたいと考えています。
その意味からも、これからAI時代に求められるのは、技術的なスキル以上に「正しく業務設計ができるスキル」を持った人材です。AIの技術自体は学べば身につきますが、業務をどう変えるかを設計する力こそが重要であり、DXチームの全員でこのスキルを磨いていきたいと思っています。
業務改善を考えている企業や部門の方にお伝えしたいのは、AI活用がまだ個人レベルで止まっている現場が多いので、今からでも決して遅くはないということです。まずは「一部の業務をAI化する」というような、小さな施策からのスタートでまったく問題ありません。小さな成功体験を積み重ねることで、次にやれることが見えてきます。その第一歩をぜひ我々にご支援させていただき、一緒に可能性を広げていければ幸いです。