離職防止ツールとは?
離職防止ツールとは、従業員の離職リスクを早期に発見し、組織全体の離職率を低下させることを目的としたHRツールです。
従業員のコンディション把握、エンゲージメント測定、コミュニケーション活性化などの機能を通じて、離職につながる要因を事前に察知し対策を講じることができます。
従来のストレスチェックだけでは対応しきれない課題が数多く存在しているのが現状です。また「第三者へ相談する」ことは心理的ハードルが高く、本当に困っている従業員ほど声を上げにくく、ストレスチェックの形骸化や建前の回答ばかりで実態を把握できないケースも珍しくありません。
その結果、データは集まっても具体的な施策に結びつかず、離職防止効果を実感できないのです。
こうした課題を受けて、現代の離職防止ツールは、匿名性を保ちながら継続的なモニタリングを行い、AIによる分析で微細な変化も察知できるものが増えてきています。単なるデータ収集ツールではなく、収集したデータを基に具体的なアクション提案まで行う包括的なソリューションとして進化を続けているのが特徴です。
組織の健康状態を見える化し、予防的なアプローチで離職リスクを軽減することで、企業の人材確保と組織力向上を同時に実現する現代的なソリューションといえるでしょう。
離職防止ツールの導入によるメリット
離職防止ツールの導入により、企業は複数の観点から大きな改善効果を期待できます。
具体的なメリットを以下で詳しく解説していきます。
メリット(1)従業員の定着率向上
離職リスクの早期発見により予防的な対応が可能となり、特に採用・教育コストを回収する前の早期離職を効果的に防止できます。
優秀な人材の流出を防ぐことで、組織の安定性と事業場継続性を向上することができるでしょう。
また定期的な状況把握により、離職に至る前の段階での適切なフォローアップが実現されます。従業員が「会社に理解されている」と感じることで、エンゲージメント向上と長期定着の好循環が期待できます。
メリット(2)企業の人的コスト削減効果
採用費用や教育研修コスト、業務引き継ぎ工数などの削減により、大幅なコスト削減効果が期待されます。
数名の離職防止でツール導入にかかる費用を回収できる場合が多く、中長期的な投資対効果の高さが注目されています。
人材獲得競争が激化する中、既存人材の定着によるコスト優位性は重要な経営メリットとなるでしょう。また、新規採用にかかる時間とコストを既存社員のスキルアップや組織改善の施策に投資できるため、組織全体の生産性向上にもつながります。
メリット(3)職場環境と組織風土の改善
部署別・職種別の課題を可視化することで、根本的な職場環境の改善が可能となります。
従業員エンゲージメントの向上やコミュニケーションが活性化することで、離職しにくい組織づくりが実現されるでしょう。
【タイプ別】おすすめの離職防止ツール
離職防止ツールは大きく次の3つのタイプにカテゴライズされます。
- コンディションケア型
- コミュニケーション強化型
- データ分析・ダッシュボード型
各タイプの特徴と代表的なサービスを詳しく紹介していきましょう。
コンディションケア型
コンディションケア型は、従業員の心理状態やメンタルヘルスを重視した離職防止ツールです。
定期的なサーベイやAIによる感情分析、匿名相談窓口、ストレス度の可視化といった機能を備えています。特にアバターを活用した相談システムや、科学的根拠に基づいたストレス診断により、従業員が安心して本音を話せる環境を作り出すことができます。
リアルタイムで心理状態の変化を検知し、管理者向けに適切な対応方法をアドバイスしてくれるため、組織全体のメンタルヘルス向上に効果的です。
ツール名 | 特徴 |
---|---|
Kataruru | 東京大学との共同開発による科学的根拠に基づいたアバター心理相談サービス |
ラフールサーベイ | 従業員のセルフケア促進と組織改善の両面を支援するサーベイ運用サービス |
Wevox | 組織の状態を4つの要素で多面的に分析し、チーム単位での詳細な状況把握が可能 |
ミキワメ | 性格特性と職場適性の科学的マッチングで、採用から定着まで一貫した人材マネジメント |
Carely | 産業保健業務に特化し、健康診断結果とストレスチェックを一元管理 |
Kataruru -アバターメンタルケアサービス-
パーソルビジネスプロセスデザインと東京大学が共同開発した、科学的根拠に基づくサービスです。アバターを通した心理相談で、従業員が抱える悩みを早期に察知し、離職につながる心理的問題を事前に解決できます。
主な特徴:
- アバターを活用したオンラインメンタルヘルス支援サービス
- 相談者と心理師の双方がアバターで対話
- 素顔が見えないため気軽に本音で相談可能
- 予約から相談実施まですべてWEBで完結
料金体系:
- 料金:要問い合わせ
- 初期費用:要問い合わせ
- 無料デモ・相談あり
ラフールサーベイ
従業員の心理状態を多角的に分析し、離職リスクの高い従業員を早期発見できます。管理者向けには適切な対応方法もアドバイスしてくれるため、効果的なフォローアップが実現できます。
主な特徴:
- スマホ対応で高い回答率を誇る使いやすいサーベイ運用サービス
- 個人のセルフケアを促進する動画・コラム・ゲーミフィケーション機能を搭載
- 組織の課題を根本原因まで分析し具体的な改善提案が可能な詳細レポートを提供
料金体系:
- 月額16,000円~(税抜)
- 初期費用:要問い合わせ
- 従業員数に応じた見積もり制
- 無料トライアル期間あり
参考:ラフールサーベイ
Wevox
短時間で回答できるサーベイを定期実施し、組織のエンゲージメント状況をリアルタイムで把握します。チームや部署ごとの詳細分析で、離職リスクの高い組織を特定し、ピンポイントでの改善策実施が可能です。
主な特徴:
- 継続的なエンゲージメント測定に特化
- 組織の状態を4つの要素で多面的に分析
- チーム単位での詳細な状況把握が可能
料金体系:
- 月額300円/人~(Basic Plan)
- 初期費用:無料
- 1ヶ月間無料トライアルあり
参考:Wevox
ミキワメ
従業員の性格特性を詳細に分析し、職場環境との適合度を測定します。採用段階からの適性把握で入社後の定着率向上に貢献し、既存従業員に対しても継続的な適性分析を行って、最適な配置や育成方針の策定をサポートします。
主な特徴:
- 採用時から定着まで一貫した人材マネジメント
- 性格特性と職場適性の科学的マッチング
- 心理・統計の知見を組み合わせて、信頼性の高いアルゴリズムを構築
料金体系:
- 基本料金:要問い合わせ
- 料金:要問い合わせ
- 初期費用:要問い合わせ
- サービスごとに料金形体が異なる
参考:ミキワメ
Carely
従業員の健康状態を総合的に管理し、健康起因の離職リスクを軽減します。法定のストレスチェック実施から事後措置まで一貫してサポートし、産業保健体制の強化を通じて従業員が安心できる職場環境の構築に貢献します。
主な特徴:
産業保健業務の効率化に特化
- 健康診断結果とストレスチェックの一元管理
- 産業医との連携機能を充実
料金体系:
- 料金:要問い合わせ
- 初期費用:要問い合わせ
- 利用機能や従業員規模に応じてプランが選択可能
- 詳細は要問い合わせ
参考:Carely
コミュニケーション強化型
コミュニケーション強化型は、組織内のコミュニケーション活性化を目的とした離職防止ツールです。
社内SNSや感謝・称賛を送り合うピアボーナス、1on1ミーティング支援、チーム内の交流促進といった機能があります。
従業員同士の関係性を可視化したり、コミュニケーション頻度をAIで分析したり、企業理念浸透のためのバッジ機能なども特徴的です。タレントマネジメント機能と組み合わせることで、人事評価の透明性を高め、適切な人材配置を実現し、組織全体のエンゲージメント向上につなげられます。
ツール名 | 特徴 |
---|---|
Talknote | 独自AIで従業員のエンゲージメントを可視化し、アクセス時間や投稿量から離職兆候を早期発見 |
RECOG | 従業員同士が感謝と社内ポイントを贈り合い、AIが一人一人の強みを自動分析してグラフ化 |
HRBrain | 人事評価からタレントマネジメントまで一元管理でき、評価の甘辛調整機能で公平性を確保 |
Unipos | ピアボーナス制度で従業員同士が感謝をポイント化して贈り合い、高い満足度 |
TeamUp | 1on1ミーティングに特化し、事前トピック提出機能で効果的な1on1を実現 |
Talknote
独自AIで従業員のエンゲージメントを可視化し、アクセス時間や投稿量から離職の兆候を早期発見できます。専任コンサルタントが導入から運用まで手厚くサポートしてくれるので安心です。
主な特徴:
- 従業員のモチベーションを可視化する社内コミュニケーションツール
- アクションリズム解析でオーバーワークやモチベーション低下を検知
- 専任コンサルタントによる導入支援・運用サポート付き
- 1,100社以上の企業から導入実績
料金体系:
- 年間契約一括払い
- 1ユーザーライセンス:1,180円/月
- 1アルバイトライセンス:580円/月
- 月契約月々払い
- 1ユーザーライセンス:1,380円/月
- 1アルバイトライセンス:680円/月
- エンタープライズプラン:要お問い合せ
- 14日間無料トライアルあり
参考:Talknote
RECOG
感謝と称賛を軸とした組織活性化ツールです。従業員同士がレターで称賛を送り合い、普段見えにくい貢献を可視化してモチベーション向上と離職防止を実現します。AIが個人の強みを分析し、約5,500種類の商品交換システムも特徴です。
主な特徴:
- 従業員同士が感謝と称賛の「レター」や社内ポイントを贈りあえるツール
- AIが従業員一人一人の強みを自動分析
- バリュー浸透プログラムで企業理念の浸透をサポート
- 累計1,500社以上の導入実績
料金体系:
- 料金:要問い合わせ
- 初期費用:要問い合わせ
- 無料トライアルあり
参考:RECOG
HRBrain
人事業務の効率化とデータ活用を両立する包括的なタレントマネジメントシステムです。現在の人事評価制度をそのまま再現でき、評価の甘辛調整機能で公平性を確保します。業界・規模を問わず多くの企業で実績があります。
主な特徴:
- 人事評価からタレントマネジメントまで一元管理できるクラウドサービス
- 評価の甘辛調整機能で公平な評価を実現
- 累計導入社数は3,500社を超え(2025年4月時点)、業界・規模を問わず多くの企業で導入
- オプション料金なしでサポートも料金内に含む
料金体系:
- 初期費用:要問い合わせ
- 月額費用:利用人数に応じて変動
参考:HRBrain
Unipos
「ピアボーナス」の商標を持つ先駆的なサービスで、従業員同士の感謝をポイント化して心理的安全性の向上を図ります。実際の成果給として還元される仕組みと、タイムライン形式でのオープンな称賛共有で高い満足度を実現しています。
主な特徴:
- ピアボーナス制度で従業員同士が感謝をポイント化して贈り合うシステム
- ポイントは給与やインセンティブに還元可能な成果給システム
- 累計200,000アカウントの開設実績
料金体系:
- 料金:要お問い合わせ
- 詳細は要問い合わせ
参考:Unipos
TeamUp
1on1ミーティングの定着と質向上に特化したツールです。システム提供だけでなく、組織の文化に合わせた1on1の型を設計から支援します。事前トピック提出機能と豊富な導入ノウハウで、形骸化しがちな1on1を確実に定着させます。
主な特徴:
- 1on1ミーティングに特化したクラウド型ツール
- 150社以上への導入支援実績とノウハウ
- トピックの事前提出機能で効果的な1on1を実現
- 構想設計から運用まで一気通貫でサポート
料金体系:
- 料金:アカウント数に応じて変動(詳細は要問い合わせ)
- 導入支援・研修などのオプションサポートあり
- 15日間無料トライアルあり
参考:TeamUp
データ分析・ダッシュボード型
データ分析・ダッシュボード型は、人事データの統合管理と高度な分析機能を提供する離職防止ツールです。
従業員データベースやダッシュボード、離職予測AI、退職要因分析、組織診断サーベイといった機能を備えています。
勤怠データや評価データ、エンゲージメントデータを一元管理し、視覚的なレポートで組織状況を直感的に把握できるのが大きな特徴です。顔写真付きの人材管理や外部システムとの連携、労務手続きの自動化なども可能で、人事業務全体の効率化と戦略的な人材活用を実現できます。
ツール名 | 特徴 |
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退職のホンネ | 心理師がアバターを通じて退職予定者にインタビューし、退職理由を数値化して市場データと比較分析 |
SmartHR | 労務管理クラウド7年連続シェアNo.1で70,000社以上が導入し、政府の電子申請システムと連携 |
カオナビ | 顔写真付きの人材データベースで視覚的な組織把握を実現し、ドラッグ&ドロップで直感的に操作 |
ミツカリ | ビッグファイブ理論をベースにした独自検査で性格・価値観を分析し、人間関係の相性を可視化 |
HRMOSタレントマネジメント | Visionalグループが提供する包括的人財活用システムで、直感的なUI/UXと手厚いサポート体制 |
退職のホンネ
パーソルビジネスプロセスデザインが提供する退職要因可視化サービスです。心理師が秘匿性の高いアバターを通じて退職予定者にインタビューを行い、本音を引き出します。10カテゴリの設問によるサーベイと組み合わせ、退職理由を数値化して市場データと比較分析します。
主な特徴:
- 心理師とアバターを活用した退職者インタビューサービス
- 退職要因の可視化と組織課題の洗い出しを支援
- 実施率80%程度の高い協力率
- 35項目×5段階で退職理由を数値化し市場データと比較
料金体系:
- 料金:要問い合わせ(人数やレポート内容により変動)
- 初期費用:要問い合わせ
- 四半期毎のレポート提供(頻度調整可能)
参考:退職のホンネ
SmartHR
労務管理業務のデジタル化を包括的に支援するクラウドサービスです。従業員自身がスマートフォンから必要情報を入力でき、人事担当者の作業負担を大幅削減します。政府の電子申請システムとの連携で、従来の紙手続きを完全デジタル化できます。
主な特徴:
- 労務管理クラウド7年連続シェアNo.1、70,000社以上の導入実績
- 雇用契約から年末調整まで従業員が直接入力で完結
- 120の外部サービスと連携可能な高い拡張性
- 「電子申請API」と連携し、役所・ハローワークへの書類提出もWEB完結
料金体系:
- 料金:3つのプラン(詳細は要問い合わせ)
- 無料トライアル:15日間(利用人数制限なし)
- 初期費用:要問い合わせ
参考:SmartHR
カオナビ
「顔と名前が一致する」人材管理を実現する独特なタレントマネジメントシステムです。従業員の顔写真とともに詳細な人材情報を管理し、直感的で分かりやすい組織把握を可能にします。ドラッグ&ドロップで項目追加でき、エンジニア支援なしで人事データベースを構築できます。
主な特徴:
- 顔写真付きの人材データベースで視覚的な組織把握を実現
- 約4,000社導入のシェアNo.1タレントマネジメントシステム
- 検索機能で必要なスキルを持つ人材を即座に発見
料金体系:
- 料金:要お問い合わせ
- 機能プランと利用人数でシンプルに料金決定
- 無料トライアルあり
参考:カオナビ
ミツカリ
社会心理学に基づく科学的なアプローチで人材分析を行う適性検査・エンゲージメントサーベイツールです。ビッグファイブ理論とBasic Human Valuesをベースにした独自検査で個人の深層心理を把握し、相手に好まれる・嫌われる接し方まで具体的に提示します。
主な特徴:
- 性格・価値観をAIが分析して人間関係の相性を可視化
- 5,000社以上導入、受検者40万人以上の実績
- 部下に適したコミュニケーション方法を具体的に提案
- ISMS・Pマーク取得など充実したセキュリティ対策
料金体系:
ライトプラン:基本料金無料+月額2,000円/人(採用のみ)
- スタンダードプラン:基本料金20,000円+月額2,000円/人(採用・マネジメント・組織改善)
- 14日間の無料トライアルあり
参考:ミツカリ
HRMOSタレントマネジメント
Visionalグループが提供する人財活用システムです。従業員の一元管理データベースを中心に、評価管理から組織分析まで幅広い機能を提供します。直感的なUI/UXと手厚いサポート体制で、人事業務の効率化と組織状態の見える化を実現します。
主な特徴:
- Visionalグループが提供する人財活用プラットフォーム
- 従業員情報を一元管理するデータベースを中心とした包括的システム
- 目標・評価管理、組織診断サーベイ、1on1支援等の多彩な機能
- HRMOS採用との連携で採用時から入社後まで一括管理可能
料金体系:
- 料金:要お問い合わせ
- 初期費用:要お問い合わせ
- 無料トライアルあり
- 詳細は要問い合わせ
離職防止ツールを選ぶポイント
離職防止ツールの選定では、以下の5つの観点から慎重に検討することが重要です。
- 従業員にとって利用しやすいツールか?
- 課題の早期発見と有効な施策につながるか?
- 導入の目的が明確で費用対効果は見合うか?
- 継続的に活用できる体制があるか?
- 離職要因に対する解決方法が一致しているか?
ツール導入が目的化せず、本質的な離職防止効果を得るために必要なポイントを詳しく解説します。
ポイント(1)従業員にとって利用しやすいツールか?
どれだけ優秀な機能があっても、従業員が使わなければ意味がありません。操作が複雑で面倒なツール、回答内容が人事に筒抜けになる不安があるツールは敬遠される傾向にあります。
直感的で使いやすいインターフェース、匿名性が保たれる安心感、回答負担が少ない設計など、従業員目線での使いやすさを重視したツール選定が重要となります。心理的安全性が確保され、従業員が本音で回答できる環境づくりがツール成功の前提条件といえるでしょう。
ポイント(2)課題の早期発見と有効な施策につながるか?
単にデータを集めるだけでなく、離職リスクの早期発見から具体的な対策実行まで一貫してサポートできるかが重要となります。アラート機能による異変の察知、リスク要因の詳細分析、改善施策の提案機能など、実際の離職防止アクションにつながる仕組みが整っているツールを選ぶ必要があります。
データ収集で満足してしまわない設計かどうかが選定の鍵となるでしょう。収集したデータを基に、具体的で実行可能な改善提案が得られるツールを選択することが成果につながります。
ポイント(3)導入の目的が明確で費用対効果は見合うか?
「とりあえずツールを入れれば離職が減る」という発想では失敗する可能性が高くなります。自社の離職課題を明確にし、解決策としてツールが適切かを判断する必要があります。
導入コスト、運用コスト、期待される効果を具体的に算出し、投資対効果を慎重に検討することが重要となります。ツール導入自体が目的化していないかの確認も欠かせません。離職防止により削減できるコストと比較して、ROIを明確にすることが経営層への説得材料にもなるでしょう。
ポイント(4)継続的に活用できる体制があるか?
ツール導入は手段であり、継続的な運用こそが成果を生みます。社内に運用担当者を配置できるか、定期的なデータ分析と改善施策の実行ができるか、従業員への継続的な周知や啓発活動が可能かなど、導入後の運用体制を事前に検討する必要があります。
ベンダーからの運用サポートがどの程度受けられるかも重要な判断材料となります。特に人事担当者が少ない企業では、ベンダーサポートの充実度が成功を左右する場合が多いでしょう。
ポイント(5)離職要因に対する解決方法が一致しているか?
離職要因は企業によって異なるため、自社の課題に適したツールを選ぶ必要があります。労働環境の問題なのか、人間関係の課題なのか、キャリア不安なのかによって必要な機能は変わってきます。
表面的な機能の豊富さではなく、自社の本質的な離職要因に対してピンポイントで効果を発揮できるツールかどうかを見極めることが重要となります。事前に自社の離職原因を分析し、最も効果的なアプローチを取れるツールを選択しましょう。
離職防止ツールのよくある質問
離職防止ツール導入時によく寄せられる質問とその回答をまとめました。導入前の不安解消にお役立てください。
よくある質問(1)相談内容は、本当に匿名で守られていますか?
多くのツールで個人を特定できない形での集計・分析が行われており、匿名性を重視した設計となっています。ただし、各サービスの匿名化レベルは導入前に確認が必要です。
完全匿名型、統計的匿名型、管理者限定開示型など、サービスによって匿名性のレベルが異なりますので、従業員が安心して回答できるレベルの匿名性が確保されているかを事前に確認しましょう。
よくある質問(2)相談内容が人事部や上司・上長に伝わることはないですか?
一般的に個別の相談内容が直接人事部に開示されることはなく、統計的なデータとして活用される仕組みが多くなっています。
しかし、具体的な情報管理の方法は各ツールによって異なる場合もあるため、事前に確認を行いましょう。なお、メンタルヘルス系のツールでは、秘匿性が厳格に管理されているケースが多いです。
緊急性の高い状況における対応方法についても、導入前にベンダーと詳細を確認しておくことが重要です。
よくある質問(3)リモートワーク中心ですが効果が見込めますか?
むしろリモート環境では対面での状況把握が困難なため、ツールによる定期的なチェックがより重要になります。オンライン完結で運用できる設計が一般的です。
リモートワーク環境では従業員の変化に気づきにくいため、デジタルツールによる継続的なモニタリングの価値が高まっています。モバイル対応やクラウドベースのツールを選択することで、場所を選ばない運用が可能になります。
よくある質問(4)ストレスチェックとの違いは何ですか?
ストレスチェックは年1回の法定義務として実施される心理的負担の測定ですが、離職防止ツールは継続的なエンゲージメント測定と改善アクションを目的としています。
法定ストレスチェックが静的な健康状態の把握に対し、離職防止ツールは動的な組織状態の変化を捉え、予防的な改善施策につなげることを重視しています。
両者を組み合わせることで、より包括的な従業員ケアが実現できるでしょう。
よくある質問(5)導入前にどのような準備が必要でしょうか?
「導入目的の明確化」「社内ルールの策定」「従業員への事前説明と理解を得ること」などが主な準備となります。
特に重要なのは、「従業員への事前説明と理解を得ること」です。ツール導入の目的と匿名性の確保について丁寧に説明し、従業員の協力を得ることが成功の鍵となります。あわせて、社内ルールの整備や運用体制の構築を進めることも必要となります。
なお、多くのツールでテンプレートや導入支援があり、準備期間は1-2ヶ月程度が目安です。
まとめ
離職防止の取り組みを成功させるには、まず自社の課題を正しく捉え、その課題を“行動レベルで解決できる”ツールを選ぶことが欠かせません。
なかでも、離職・退職の根本にある「声にならない不満」や「相談できない悩み」にどう向き合うかが、離職防止に取り組んでいく上で重要となります。
パーソルビジネスプロセスデザインでは、アバターを通じて匿名で相談できる「Kataruru(カタルル)」や、退職予定者の本音を探る「退職のホンネ」をご提供しています。
「KATAruru」は、従業員が上司や人事に直接話しづらい本音を、安心して伝えられる設計となっており、未然に離職を防ぐ“対話のインフラ”として導入をいただいております。また、ツール単体で完結するのではなく、その声を施策につなげるサポートも充実しており、現場の運用負荷を抑えながら着実に成果を上げられるのが特長です。
すでに退職者が増加傾向にある場合に導入いただいております「退職のホンネ」では、退職理由(退職者の本音)を可視化し、組織課題の改善に役立てることも有効です。
“辞めさせない”と“繰り返させない”の両輪を整えることが、人材定着には不可欠となりますので、まずは「Kataruru」を通じて、社内に「安心して本音を話せる環境」を整えることから始めてみませんか?