企業が取るべき飲酒運転対策を徹底解説|事故防止と法令遵守を両立する方法を紹介

企業が取るべき飲酒運転対策を徹底解説|事故防止と法令遵守を両立する方法を紹介

飲酒運転は、企業にとって従業員の安全と社会的信用の両面で重大なリスクとなります。道路交通法の改正により、アルコールチェックの義務化が段階的に進められ、2023年12月からは検知器を使用したチェックが完全義務化されました。企業は法令遵守だけでなく、実効性のある飲酒運転防止体制の構築が求められています。

本記事では、企業が負う法的責任の全体像から、アルコールチェック義務化への実務対応、具体的な飲酒運転対策の実装方法まで、企業規模や業種に応じた実践的なアプローチを詳しく解説します。


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    企業が負う飲酒運転の法的責任

    企業は従業員が業務中に飲酒運転事故を起こした場合、複数の法的責任を同時に負うことになります。刑事責任、行政処分、民事責任という3つの側面から、企業が直面する法的リスクの全容を把握することが重要です。


    刑事責任の法的基準

    従業員が業務中に飲酒運転事故を起こした場合、企業にも刑事責任が問われる可能性があります。道路交通法では、車両提供者や酒類提供者に対する罰則が明確に定められており、従業員に社用車を提供した企業は車両提供罪の対象となります。


    飲酒運転の場合、車両提供者には5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科されます。酒気帯び運転でも3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金となり、企業として重大な刑事処分を受けることになります。


    行政処分の種類

    企業が安全運転管理者の選任義務を怠った場合、公安委員会から行政処分を受けます。安全運転管理者を選任していない企業には、50万円以下の罰金が科されます。この罰金額は令和4年10月1日に従来の5万円以下から10倍に引き上げられました。


    選任や解任の届出を15日以内に行わなかった場合も、5万円以下の罰金となります。アルコールチェック業務の不履行自体には直接的な罰金規定はありませんが、業務が常態化していないと判断されれば、企業に対する是正措置命令が発令される可能性もあります。


    安全運転管理者個人に対しては、法定業務を遵守していない場合に解任命令が出されます。総務部長など担当者が名指しで解任されると、キャリアに対して重大な影響を及ぼす可能性もあるため注意が必要です。


    民事責任の範囲

    従業員の飲酒運転事故により被害者が発生した場合、企業は民法第715条の使用者責任に基づき、損害賠償責任を負います。従業員の業務中の事故に対し、企業が連帯して賠償する義務があります。


    損害賠償額は被害の程度により大きく変動しますが、死亡事故の場合は億単位の賠償金を請求されることも珍しくありません。安全配慮義務違反が認められれば、企業の過失として賠償額がさらに増額される可能性があります。


    車両提供罪の適用要件

    道路交通法第65条第2項では、車両提供罪の適用要件が明確に定められています。企業が従業員に業務用車両を提供し、その従業員が飲酒運転を行った場合、企業は車両提供者として刑事責任を問われます。


    車両提供罪が成立するためには、企業側が従業員の飲酒を認識していたか、認識可能であったことが要件となります。アルコールチェックを実施していなかった事実は、企業が飲酒の可能性を認識すべきであったという過失を示すものになります。


    社会的信用の喪失リスク

    飲酒運転事故が発生すると、企業の社会的信用は瞬時に失墜します。メディアによる報道により企業名が広く知られ、取引先からの契約解除や新規取引の停止といった直接的な経済損失も発生するでしょう。信用回復には長期間を要し、その間の機会損失は計り知れません。


    採用活動への影響も深刻です。求職者は企業の安全管理体制を重視するため、飲酒運転事故を起こした企業は優秀な人材の確保が困難になります。また、既存の従業員の士気低下や離職率の上昇も懸念されます。


    アルコールチェック義務化に伴う企業の実務対応

    2022年4月から段階的に開始されたアルコールチェック義務化は、2023年12月に検知器使用の完全義務化の規定が追加されました。企業は法令に準拠した実務体制の構築が求められており、対応の遅れは行政処分や事故時の責任追及につながります。


    義務化の対象範囲

    アルコールチェック義務化の対象は、安全運転管理者の選任義務がある事業所です。乗車定員11名以上の自動車を1台以上、またはその他の自動車を5台以上使用する事業所が該当します。自動二輪車は1台を0.5台として計算されます。


    対象となる運転者は、業務目的で車を運転するすべての従業員です。正社員だけでなく、契約社員、パート、アルバイト、派遣社員も含まれます。営業車、社用車、マイカー通勤(ただし営業先に直行するなど、業務の一環として運転する場合)で業務利用する車両すべてが対象となります。


    複数の拠点を持つ企業では、事業所ごとに安全運転管理者を選任する必要があります。そのため、各拠点で適切な体制を整備することが求められ、本社だけで一括管理する体制では法令上の要件を満たすことはできません。



    検査方法の要件

    アルコールチェックは、目視等による確認と検知器使用の両方を必ず実施する必要があります。どちらか一方だけでは法令要件を満たしません。


    目視等による確認では、安全運転管理者または補助者が運転者の顔色、呼気の臭い、応答の声の調子を五感で確認します。遠隔地の運転者に対しては、ビデオ通話または電話による双方向の確認が認められています。メールやチャットなど一方的な報告では要件を満たしません。


    検知器は、呼気中のアルコールを検知しその有無または濃度を警告音、警告灯、数値などにより示す機能を有する機器である必要があります。常時有効に保持する義務があり、メーカーの取扱説明書に基づく適切な使用、管理、保守が求められます。


    記録保存のルール

    アルコールチェックの確認内容は1年間保存しなければなりません。記録媒体は紙、Excel、クラウドシステムなど形式は問われませんが、必須8項目をすべて記録する必要があります。必須記録項目は、確認者名、運転者の氏名、自動車登録番号等、確認の日時、確認の方法、酒気帯びの有無、指示事項、その他必要な事項です。


    記録は事故発生時に警察や裁判所から提出を求められます。記録が不完全または提示できない場合、企業の安全配慮義務違反の証拠となり、損害賠償責任が重くなる可能性があります。記録管理の重要性を認識し、確実な保存体制を構築することが必要です。


    検知器の選定基準

    検知器の選定では、精度、耐久性、メンテナンス性を総合的に判断します。センサー方式には半導体式と電気化学式があり、電気化学式の方が精度は高いものの価格も高額です。使用頻度や予算に応じて選定します。


    センサーには使用期限があり、定期的な交換または校正が必要です。常時有効に保持する義務があり、期限切れの検知器を使用していた場合、法令違反となります。直行直帰者用には、携帯型の検知器が必要です。


    直行直帰者の対応方法

    直行直帰者のアルコールチェックは、企業が直面する最大の実務課題です。原則として対面での確認が必須ですが、物理的に不可能な場合はビデオ通話または電話による双方向の確認が認められています。


    ビデオ通話方式では、スマートフォンなどを使用し、安全運転管理者が顔色と声の調子を映像と音声で確認します。検知器の測定結果も画面越しに確認できるため、最も確実な方法です。電話方式では、声の調子を音声で確認し、検知器の測定結果を報告させます。


    企業が実施する飲酒運転対策の具体例

    アルコールチェック義務化への対応だけでなく、企業は飲酒運転を根本的に防止する包括的な対策が必要です。従業員の意識改革から制度整備、技術的な防止策まで、多層的なアプローチが求められます。


    ハンドルキーパー運動の導入手順

    ハンドルキーパー運動は、飲酒する場合に運転を担当しない者を決め、その者は飲酒しないという取り組みです。企業として制度化することで、従業員の飲酒機会での事故リスクを低減できます。


    導入にあたっては、社内規程として明文化し、全従業員に周知することが重要です。業務後の懇親会や接待では、参加者の中から必ずハンドルキーパーを選び、その者の飲酒を禁止します。もしハンドルキーパーを確保できない場合には、タクシーや運転代行の利用を義務付けましょう。


    社内教育の設計

    飲酒運転防止には、従業員の意識向上が不可欠です。定期的な安全運転教育プログラムを実施し、飲酒運転の危険性と法的責任を理解させます。教育内容には、飲酒運転に関する法令知識、飲酒が運転能力に与える影響、過去の事故事例とその影響、企業と個人が負う責任を含めます。


    新入社員研修、定期研修、運転業務従事者向け特別研修など、対象に応じたプログラムを設計します。研修の受講状況と理解度を記録し、未受講者へのフォローアップも徹底します。


    就業規則の規定整備

    飲酒運転に対する企業の姿勢を明確にするため、就業規則に具体的な規定を設けます。飲酒運転の禁止、違反時の懲戒処分の内容、アルコールチェックへの協力義務を明記し、全従業員に周知します。


    懲戒処分の基準は、事故の有無や酒気帯びの程度に応じて段階的に定めましょう。飲酒運転による重大事故の場合は懲戒解雇、酒気帯び運転は出勤停止または減給など、明確な基準を設けることで抑止力を高めます。


    インターロック導入の検討

    アルコール・インターロックは、呼気を吹き込みアルコールが検知されるとエンジンが始動しなくなる装置です。技術的に飲酒運転を物理的に防止するため、欧米では広く普及しています。米国の研究では、インターロックの装着により飲酒運転の再犯を大幅に削減する効果が確認されています。


    日本でもインターロックの導入が可能ですが、現時点では義務化されておらず、企業の自主的な取り組みとなります。初期費用と定期的なメンテナンス費用が発生しますが、飲酒運転事故のリスクとコストを考慮すれば、長期的には投資対効果が高いと評価されています。


    企業規模別の飲酒運転対策の実装モデル

    飲酒運転対策は、企業規模や業種により最適な実装方法が異なります。中小企業では限られた人員と予算の中で効率的な体制を構築する必要があり、大手企業では複数拠点の統一的な管理が課題です。


    中小企業での低コスト運用方法

    中小企業では、専任の安全運転管理者を配置することが難しい場合があります。総務担当者が兼務するケースが多く、業務負担の増加が課題です。


    低コストで実効性のある体制を構築するには、クラウド型のアルコールチェック管理システムの活用が有効です。初期費用を抑えながら、記録管理の自動化と法令要件の確実な履行が可能になります。検知器も必要最小限の台数から始め、段階的に増やしていく方法が現実的です。


    直行直帰者への対応では、スマートフォンのビデオ通話アプリを活用することで、専用システムの導入コストを抑えられます。ただし、早朝や深夜の対応が必要な場合、担当者の負担が大きくなるため、アウトソーシングの検討も選択肢となります。


    運送業向けの管理体制

    運送業では、ドライバーが早朝や深夜に出庫し、不規則な時間に帰庫するため、24時間対応のアルコールチェック体制が必須です。対面での確認が原則であるため、安全運転管理者の勤務時間の調整が課題となります。


    大規模な運送会社では、シフト制で複数の安全運転管理者を配置する方法があります。副安全運転管理者を含めた体制を構築し、時間帯ごとに担当者を割り当てます。この場合、人件費の増加が避けられません。


    中小の運送会社では、アルコールチェック業務のアウトソーシングが現実的な解決策です。専門のコールセンターが24時間365日対応し、電話またはビデオ通話でアルコールチェックを代行します。記録管理も含めて委託できるため、社内の業務負担を大幅に削減できます。


    複数拠点のシステム統合

    複数拠点を持つ企業では、各拠点で安全運転管理者を選任し、統一的な管理体制を構築する必要があります。拠点ごとに運用方法が異なると、法令遵守の徹底が困難になり、監査時に問題が発覚するリスクがあります。


    クラウド型の管理システムを導入することで、全拠点のアルコールチェック記録を本社で一元管理できます。各拠点の実施状況をリアルタイムで把握し、未実施者への警告や記録の不備の早期発見が可能になります。


    導入後の運用監査体制

    アルコールチェック体制を構築した後も、継続的な監査により実効性を維持する必要があります。形骸化を防ぎ、法令遵守を徹底するため、定期的な内部監査を実施しましょう。


    監査項目には、アルコールチェックの実施率、記録の完全性、検知器の保守状況、安全運転管理者の業務遂行状況が含まれます。加えて抜き打ち監査を取り入れることで、日常的に遵守意識を維持することが可能です。


    監査結果は経営層に報告し、問題が発見された場合は速やかに是正措置を講じます。その実施状況も追跡し、PDCAサイクルを回すことで継続的な改善を実現します。加えて、監査担当者には安全運転管理の知識と法令理解が求められるため、専門的な研修を受けさせることが推奨されます。


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    企業が飲酒運転対策として取り組むべき課題は、法令遵守と実効性のある管理体制の両立です。アルコールチェック義務化により、目視等による確認と検知器使用の両方が必須となり、1年間の記録保存も義務付けられました。飲酒運転防止には、ハンドルキーパー運動の導入、社内教育の実施、就業規則の整備、安全運転管理者の適切な配置など、包括的な対策が求められます。企業規模や業種に応じた実装モデルを選択し、継続的な監査により実効性を維持することが重要です。


    わたしたちパーソルビジネスプロセスデザインでは、アルコールチェックに関する業務を代行させていただいております。24時間365日、早朝・深夜のみ、土日祝日のみなど、お客様の状況に応じてコールセンター窓口を開設したり、記録や管理にかかる業務において担当者さまの工数を削減したりと、お客様のご要望に合わせた対応をしております。


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