リソース不足とは|一般的な意味
リソース不足とは、日常生活やビジネス以外の場面でも「必要なものが足りない状態」を示す際に使われる言葉です。
リソースは、一般的に「資源」や「供給源」を意味し、ヒトやモノ、時間など幅広い対象を含みます。
WebやIT分野では、CPUやメモリなどのコンピュータ資源を指すことが多く、文脈に応じた使い分けが必要です。
企業・ビジネスにおけるリソース不足の意味
企業におけるリソースとは、ヒト・モノ・カネ・情報・時間・知的財産など、経営に必要な要素全体のことです。リソース不足になると、これらの要素が必要量に達しておらず、業務の遂行や組織の維持に支障をきたす状態になってしまいます。
特に人材の不足が深刻で、属人化や業務停滞、人材の流出といった問題を引き起こす傾向があります。不足しているリソースの種類を明確にし、適切に補う戦略を立てることが、企業の持続的な成長には欠かせません。
企業が持つリソースの種類
企業が必要とする次の3つのリソースは、事業を円滑に運営し、成長を支えるために必要な要素です。
- ヒューマンリソース
- 経営リソース
- 外部リソース
まずは、それぞれの役割を確認しましょう。
ヒューマンリソース
ヒューマンリソースとは、従業員を単なる労働力ではなく、企業を動かす要素として捉えた資源のことです。
優れた事業計画やアイデアがあっても、それを実行できる人材がいなければ成果にはつながりません。タレントマネジメントや教育制度を通じて、従業員の能力を最大限に引き出すことが重要です。
経営リソース
経営リソースとは、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」「時間・知的財産」など、企業活動に欠かせない資源のことです。
これらの資源は相互に関係しており、有効に活用することで競争力や他社との差別化につながります。たとえば、資金は人材の採用や設備投資に不可欠であり、情報は市場戦略の基盤となります。
外部リソース
外部リソースとは、アウトソーシングや人材派遣など、社外の資源のことです。
社内に専門スキルを持つ人材が不足している場合でも、外部の力を借りることで即戦力を確保できます。業務委託を活用すれば、教育コストや管理の負担を抑えながら成果を出すことが可能です。
外部リソースを活用する場合は、コア業務とノンコア業務の違いを把握したうえで行いましょう。
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企業で不足しやすい5つの経営リソース
企業が事業運営を行う中で、常に十分なリソースを保つことは難しく、特に不足しやすい項目が5つ存在します。
- ヒト
- モノ
- カネ
- 情報
- 時間・知的財産
これらは相互に関係しており、一つでも欠けると他のリソースにも影響を及ぼす恐れがあるため、必ず確認しましょう。
ヒト
ヒトは、意思決定や創造性を持つ唯一の自律的なリソースであり、他の経営資源を動かす中心的な存在です。
人材が不足すると、業務の停滞や生産性の低下を招き、結果として従業員の離職など負の連鎖を引き起こします。また、業務が属人化していると、退職により重要な業務が停止するリスクが高まります。
組織としての持続性を確保するためには、早期の人材確保と適切な配置が欠かせません。
モノ
モノは、業務に必要な設備や備品、ソフトウェア、社用車などの物的資産のことです。
これらの資産は、ヒトが効果的に活用することで初めて価値を生み出し、経済活動が成り立ちます。不足している場合には業務効率が下がり、従業員の負担増加や離職につながることもあります。
効率化を図るために高品質な設備を導入する際は、導入コストや維持費とのバランスを慎重に見極めましょう。
カネ
カネは、他の経営リソースを獲得・活用するために不可欠な基盤であり、企業運営の根幹を担います。
資金が不足すれば、有望なアイデアや優秀な人材がいても、それらを活かせず、ビジネスの拡大を妨げる原因となります。
資金の健全な管理のためには、各部門が予算配分を意識して無駄を省くことが重要です。また、金融機関や投資家と良好な関係を築くことも資金調達には欠かせません。
情報
情報は、顧客データやノウハウ、市場分析、特許技術などの無形資産のことです。
意思決定の質やスピードに直結するため、情報が欠如していると判断ミスや競合への遅れを招くリスクがあります。
社内に十分な情報がない場合でも、外部の専門家と連携すれば必要な知見を補うことが可能です。情報を効果的に活用する体制を整えることで、企業の競争力向上につながります。
時間・知的財産
時間は、すべての人に平等に与えられた有限のリソースであり、その使い方によって成果が大きく変わります。
また、特許や商標、著作権、ブランドなどの知的財産は、一朝一夕では得られない貴重な資産です。
これらを蓄積・活用するには、長期的な投資と戦略が必要です。ツールの導入やアウトソーシングによって時間を生み出し、知的財産を経営に活かす体制づくりが求められます。
企業がリソース不足に陥る4つの原因
企業がリソース不足に悩まされる背景には、主に次の4つの原因があります。
- 労働人口減少で人員数が不足している
- 業務量や労働条件が適切でない
- 社内の業務体制が古い
- 教育環境が整っていない
こうした要因が複合的に重なり、企業の持続的な成長を妨げているのが現状です。
労働人口減少で人員数が不足している
日本では少子高齢化の進行により、労働人口が年々減少しています。企業の人材確保が困難になっており、新規採用の競争激化や人件費の高騰を招いている状況です。
特に中小企業では、大企業との採用競争に後れを取るケースが増えています。総務省の統計によれば、生産年齢人口は1995年をピークに減少し続け、2050年には2020年比で26.2%減となる見通しです。
労働人口の母数が減ることで、企業は持続的な成長のためのリソース確保に苦戦しています。労働力不足に悩んでいる方は、働き方改革に合わせた改善策を確認しておきましょう。
出典| 令和7年版情報通信白書(概要)|2025年7月 総務省
業務量や労働条件が適切でない
企業の中には、過剰な業務量や長時間労働、過酷な勤務環境が常態化しているところがあります。こうした職場環境は従業員の疲弊や離職を招き、優秀な人材確保につながりません。
加えて、評価制度が不適切な場合、従業員は努力が報われず、スキルアップへの意欲を失いやすくなります。
過重な負荷をかけ続ける企業文化のもとでは、優秀な人材ほど早期に離職する傾向があります。結果として、育成に投資しても期待した成果が得られない状況に陥ってしまうのです。
社内の業務体制が古い
社内の業務体制が時代に合っていない企業では、業務の効率が大きく損なわれています。たとえば、デジタル化やクラウド化が進まず、手作業や紙ベースでの運用が残っているため、情報の管理や共有に無駄が多く発生するケースも少なくありません。
さらに、部門間の連携が不十分で、社内コミュニケーションの非効率さが全体の生産性を下げる要因となっています。このような古い体制では、社外リソースの活用やテレワークといった柔軟なはたらき方も導入しにくく、リソース活用の幅を狭めてしまいます。
教育環境が整っていない
教育環境が不十分な企業では、必要なスキルや資格を持つ人が限られ、業務が特定の個人に依存する傾向があります。業務の属人化が、業務継続のリスクを高める原因です。
新人教育が行き届かないことで、育成スピードが遅れ、モチベーションの低下や早期離職につながっています。また、継続的なスキル育成の仕組みが整っていないと、現場の対応力が落ち、業務品質にも影響が出ます。
スキルの標準化がされていない職場では、チーム全体の成長が進まず、育成コストが無駄になることも考えられるため、早急な改善が必要です。
企業がリソース不足に陥った際の影響
企業がリソース不足に陥ると、さまざまな面で深刻な影響が生じます。
- 従業員の離職が増加する可能性がある
- 生産性が低下する可能性がある
- 市場における競争力低下につながる可能性がある
それぞれの問題が連鎖的に発生することで、組織全体の成長や安定にも大きな支障をきたす可能性があるため、事前に確認を行いましょう。
従業員の離職が増加する可能性がある
人的リソースが不足すると、従業員一人ひとりの業務負担が増し、過重労働に陥りやすくなります。長時間労働や業務の属人化が常態化するため、モチベーションの低下やバーンアウトを招くケースも少なくありません。
また、スキル不足へのフォロー体制が整っていない場合、育成に不安を感じた社員が早期に離職する可能性も高まります。職場環境の改善が見込めない場合、優秀な人材の流出にもつながりかねません。
生産性が低下する可能性がある
必要な人員を確保できないことで、作業効率が落ち、同じ時間内での成果が減少します。少ない人員に業務量が集中することでヒューマンエラーが増加し、その対応にリソースが割かれる状況になることも珍しくありません。
また、一部の社員に業務が集中することで、属人化が進行してしまい、全体の処理能力が大きく低下してしまいます。
そのほか、適切なツールやシステムが導入されていない場合、非効率な手作業に多くの時間を取られる可能性も考えられます。
市場における競争力低下につながる可能性がある
リソース不足により、情報収集や市場分析に割ける時間が減り、トレンドの変化に対応しきれません。その結果、サービス品質や顧客対応力が他社に比べて劣り、競合企業に顧客を奪われるリスクが高まります。
また、スキルアップや社員教育に十分な投資ができず、組織の専門性や柔軟性が失われていきます。組織の弱体化により、競争力のある商品やサービスの開発が遅れ、新規顧客の獲得が難しくなるでしょう。
企業のリソース不足を解消する4つの方法
企業のリソース不足を解消するためには、社内の体制や仕組みを見直すことが不可欠です。
- 職場環境を改善する
- 人材の採用や育成を推進する
- プロジェクト管理ツールを導入する
- 外部リソースを活用する
長期的なリソース強化のためにも、次の方法を押さえておきましょう。
職場環境を改善する
職場環境が悪いと人材が定着せず、離職率の上昇や生産性の低下を招きます。こうした問題に対処するには、制度や社内風土の見直しが必要です。
ITツールの導入や評価制度の刷新により、はたらきやすさやモチベーションを向上できます。部門間の壁をなくし、従業員同士が円滑にコミュニケーションを取れる環境づくりも重要です。
福利厚生や社風といった目に見えにくい要素にも配慮することで、職場満足度の向上につなげましょう。
人材の採用や育成を推進する
人材の採用や育成に力を入れることで、企業全体の戦力が底上げされ、将来的なリソースの安定につながります。テレワークや時短勤務など、柔軟なはたらき方に対応することにより、これまで確保が難しかった人材も取り込むことが可能です。
また、社員研修や階層別教育を実施することで、業務の属人化を避け、スキルの標準化が図れます。さらに、評価制度の見直しやキャリアパスの明確化によって、従業員の定着率と成長意欲を高める効果が期待できます。
プロジェクト管理ツールを導入する
プロジェクト管理ツールを導入することで、業務の進捗やタスクが可視化され、情報格差や作業のムラを減らせます。
たとえば、クラウド型ツールを活用すれば、テレワーク中や出張先でも業務の管理が可能です。また、リアルタイムでの情報共有が実現し、意思決定や対応スピードの向上にもつながります。
加えて、単純作業の効率化により、人的リソースをより重要な業務に集中できる点も大きなメリットです。
外部リソースを活用する
アウトソーシングやフリーランスの活用は、短期間で即戦力となる人材を確保できる手段としておすすめです。社内の人的リソースを経営戦略や中核業務に集中させることが可能になり、全体の生産性向上が期待できます。
また、専門スキルを持つ外部人材を柔軟に活用することで、教育や採用にかかるコストも削減可能です。特に単純業務を外注化することで、社員の工数を減らし、戦略的な活動に集中しやすい環境を整備できます。
実際に外部リソースを活用したい方は、アウトソーシングのメリット・デメリットを押さえておきましょう。
BPOでリソース不足を解決した通信業界の成功事例
ここでは、通信業界においてリソース不足や業務の属人化といった課題を解決するためにBPOを導入した事例を紹介します。
本事例では、以下の課題への対応が求められていました。
- 部門ごとに分散していた業務を統合して効率化を図りたかった
- 業務の属人化を解消し、誰でも一定の品質で対応できる体制を整えたかった
- 増加する部署や人材に対応し、今後の業務拡大にも柔軟に備えたかった
- 実績のあるBPO会社に業務を集約し、安定的な運用を実現したかった
そこで同社では、総括業務・会計事務・端末管理の3センター体制を構築しました。RPAの導入により、入金処理が自動化され、2000件を超えるデータ処理が10時間で完了するなど、業務効率の大幅な向上につながっています。
また、繁忙期にはチーム間で人員の補完ができる柔軟な体制を確立し、属人化の排除と業務品質の安定に成功 したほか、新たな付加価値の創出にもつながりました。
業務効率化を行うならBPOがおすすめ!
リソース不足に悩む企業にとって、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の活用は、業務の効率化と持続的成長を両立する有効な手段です。
人材・資金・時間など、限られた経営資源を有効に活用するためには、ノンコア業務を外部に委託し、社内リソースを中核業務に集中させることが欠かせません。
特に、属人化の解消や業務品質の安定が求められる中、実績あるBPO事業者に委託することで、教育・採用コストの削減と同時に、即戦力の確保が可能になります。
リソース不足の抜本的な解決を検討している企業様は、まずは信頼できるBPOパートナーへの相談から始めてみてはいかがでしょうか。アウトソーシング導入に関するご相談やご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
パーソルビジネスプロセスデザインの【BPO サービス】のご紹介
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