人件費とは?
人件費とは、企業が従業員を雇用することで発生するすべての費用のことです。従業員に直接支払われる金銭だけでなく、従業員がはたらく環境を整え、安心してキャリアを築くために企業が間接的に負担している費用も含まれます。
具体的には、以下のような費用が人件費に該当します。
給与手当/専従者給与/賞与/時間外手当/福利厚生/法定福利費/旅費交通費/採用教育費/退職金 など
人件費は企業の財務諸表における「販売費および一般管理費」に計上され、企業の利益に直接影響を与える重要な経営指標の一つとされています。
人件費が肥大化してしまう原因
企業の想定を超えて人件費が肥大化する原因は、大きく2つ挙げられます。
- 非効率な業務フローにより生産性が低下している
- ノンコア業務に人件費を使用している
非効率な業務フローにより生産性が低下している
業務における「ムリ・ムラ・ムダ」といった非効率な要素が改善されないままでは、生産性の低い状態が常態化してしまいます。
生産性の低い状態では、製品やサービスの品質低下、納期の遅延が発生してしまい、トラブルを補うための残業や長時間労働といった状況を引き起こします。
品質の悪化や納期の遅れを取り戻すためには、追加の人員や時間が必要となり、人件費がさらに肥大化する原因となるでしょう。
ノンコア業務に過剰に人件費を使用している
企業の利益に直接結びつかないノンコア業務に対し、必要以上の人員を配置することも問題のひとつです。
企業の全業務のうち、売上に直結するコア業務は全体の2?3割程度で、残りの7?8割はノンコア業務だと言われています。ノンコア業務に多くの正社員が時間を費やす状況は、組織全体のコストパフォーマンスを低下させます。
特に経費精算や申込受付といった、月次や年次で業務量に差が生じる業務に正社員を固定配置すると、閑散期に人員が余り、コストに無駄が生じるでしょう。
企業が人件費を削減する4つのメリット
人件費の削減は、企業の支出を減らすだけでなく、経営全体に大きなメリットを及ぼします。
ここでは、人件費削減がもたらす4つのメリットについて、具体的に解説します。
- 他の経費も見直しができる
- 削減した資金で事業の投資ができる
- 融資を受けやすい状況を作れる
- 業績・株価UPが期待できる
人件費の削減には、BPOの活用がおすすめです。BPOについての概要や事例は下記の資料で詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。
【資料】概要と事例でよく分かる!BPO解説ブック
- BPOの今と未来予測
- BPOの基礎知識
- BPOを導入する3つのメリット
- BPOを導入する4つの注意点
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他の経費も見直しができる
人件費削減に向けた取り組みは、業務プロセス全体を根本から見直すきっかけとなり、他の経費削減にもつながります。
人件費を最適化する過程では、必然的に既存の業務フローが精査され、これまで見過ごされてきた不要な作業の洗い出しや業務の効率化を進められるためです。
また、残業時間を削減する取り組みは、オフィスの光熱費やその他の経費を同時に削減する効果にもつながります。
一部の業務を外部に委託するアウトソーシングを選択すれば、自社で直接行う採用活動や従業員の教育にかかるコストも圧縮できるでしょう。
削減した資金で事業の投資ができる
人件費の最適化によって、削減された資金を事業の投資に当てられます。
企業の経費の中でも大きな割合を占める人件費は、一部削減できるだけでも大きな余剰資金を生み出せます。生み出した余剰資金を活用して新規事業の開発や、マーケティング活動の強化などに再投資することで、変化の激しい現代への柔軟な対応が可能です。
また、人件費の見直しは資金面だけでなく、人材リソースの再配置がしやすくなります。人的リソースを新規事業や営業などに集中投下することで、企業の成長につなげられるでしょう。
融資を受けやすい状況を作れる
人件費を計画的に見直すことで、金融機関からの融資を受けやすい状況を作れます。金融機関が企業の融資審査を行う際、現在の財務状況と将来にわたる収益性の見通しなどを評価するためです。
人件費の最適化を通じて企業内部のキャッシュフローを改善することで、財務の状況が向上し、金融機関からの評価も高まります。
融資を受けやすい状況を作ることで資金調達において有利にはたらきやすくなるため、事業への投資がしやすくなるでしょう。
業績・株価UPが期待できる
人件費の削減による利益率の改善は、企業の業績向上に直接的に貢献するため、投資家からの評価を高め、株価の上昇につながる可能性があります。人件費を効率化することで、売上高に占める人件費の割合を示す売上高人件費率が改善され、営業利益の向上につながるためです。
さらに利益を、営業活動を効率化するITシステムの導入や、さらなる業務改善に再投資すれば、売上高の増加も期待できます。
業績改善の好循環は、企業の成長性と収益性を外部に示せるため、株価の上昇が期待できるでしょう。
リスクの高い人件費削減のやり方
人件費の削減は方法を誤ると、従業員のモチベーションが下がったり、長期的な人材不足につながったりするなどのトラブルに発展しやすくなります。
ここでは、特に注意すべきリスクの高い人件費削減の手法として、以下の3つを紹介します
- 人員を削減する
- 新入社員の募集を停止する
- 給与や賞与を削減する
人員を削減する
人員の削減は、短期的なコスト削減が見込まれる一方、従業員に過度な負担をかける手法です。
残された従業員は業務量が増加するため、長時間労働や心身の過労が発生しやすく、職場全体の生産性が低下します。また、会社の将来性に不安を感じた従業員は、仕事へのモチベーションを失う恐れがあり、離職を選択するケースも少なくありません。
優秀な人材の流出は事業の競争力を低下させるため、長期的にリスクが高い方法といえます。
将来的に人員を増やすために採用活動をしても、工数やコストがさらにかかるため削減した人件費以上の損失につながるでしょう。
新入社員の募集を停止する
新卒や中途採用の募集を停止するという判断は、採用コストや人件費を一時的に抑制できます。しかし、長期的にみると企業の将来性に影響がでるためリスクのある施策です。
新入社員の募集を停止することで、事業の継続や拡大に必要な専門スキルを持つ人材が徐々に不足し、次世代を担うリーダーの育成も難しくなるおそれがあるためです。
短期的にみると、人件費の削減につながりますが、中長期でみると人材不足やリソース不足につながりやすくなります。
給与や賞与を削減する
従業員の給与や賞与を削減することも、リスクの高い人件費削減の方法です。給与や賞与を減らされることで、従業員は意欲が低下し、会社に対して不信感を覚えてしまいます。
また、正規の手続きを踏まずに一方的に労働条件を不利益に変更することは、労働契約法第9条の違反となり、法的な問題に発展するかもしれません。
法的リスクを避けたとしても、給与削減は優秀な人材を流出させ、組織力の弱体化につながります。
一度失った従業員の信頼を取り戻すことは難しく、取り返しのつかない結果を招く恐れがあります。
労働契約法 第九条
使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。
人件費削減にBPOの導入がおすすめ
従業員の満足度を維持しつつ、効果的に人件費を削減するための選択肢として、BPOの活用がおすすめです。
BPOとは、自社の業務プロセスの一部を、専門的なノウハウを持つ外部企業に委託することです。
ここでは、BPO導入がもたらす具体的なメリットを2つの観点から解説します。
- 業務の適正化により長時間労働を解消できる
- コア業務に集中ができるため生産性が向上する
BPOの導入を検討しており、サービス比較検討の資料が必要な方は以下の資料もあわせてご覧ください。
パーソルビジネスプロセスデザインの【BPO サービス】のご紹介
- パーソルビジネスプロセスデザインのBPOサービスが選ばれる理由
- 日本全国に広がるBPOサービスの拠点
- BPOソリューション紹介
- 導入事例
- お問い合わせ先
業務の適正化により長時間労働を解消できる
BPOの活用により業務を適正化でき、長時間労働を解消できます。
BPOベンダーは豊富な実績と知見に基づき、現状の業務プロセスに潜むボトルネックや重複作業といったムダを特定します。発見したムダを業務プロセスから削減することで、作業を最適化でき、効率化が図れるためです。
結果として、これまで不要なプロセスに費やされていた時間が大幅に削減され、残業の発生を抑制します。社内の働き方改革にもつながり、従業員の満足度向上と離職率の低下という効果も期待できます。
コア業務に集中ができるため生産性が向上する
BPOを導入することで経理や人事、総務といった定型的なノンコア業務を外部委託できるため、従業員はコア業務に集中できます。
結果として従業員が商品開発やマーケティング、営業戦略の立案といった、より付加価値の高い業務に注力でき、組織全体の生産性が向上し、企業の競争力強化に直結します。
また、BPO事業者は該当業務の専門家集団であるため、自社で行うよりも高品質かつ効率的に業務の遂行が可能です。業務品質の安定化により、顧客満足度の向上や業務ミスの削減といった効果も同時に得られます。
BPOを活用した際に削減できる人件費
BPOの導入により、人件費の構造を根本から見直せるため、大幅なコスト削減が実現可能です。ここでは、BPOの活用によって削減できる人件費関連コストを3つのポイントで解説します。
- 繁閑に応じてスタッフ人数を調整できる
- 採用や面接に必要なコストを削減できる
- 従業員の教育のコストを削減できる
繁閑に応じてスタッフ人数を調整できる
自社で人員を抱える場合、繁忙期にあわせて従業員を採用すると、閑散期には余剰人員となるリスクがあります。一方、BPOサービスの多くは、実際の業務量に応じて人員体制を調整できるため、人員のコントロールが可能です。
特に繁忙期には必要な人員を確保し、閑散期には最小限の体制に縮小することで、無駄な人件費の発生を防げます。
例えば、年末調整や決算期の経理業務、季節商品の受注処理など、時期によって業務量が大きく変動する業務に最適です。
BPOを活用し、固定費としての人件費を変動費として管理することで、無駄なコストを削減するなど効率的に事業を運営できます。
採用や面接に必要なコストを削減できる
一般的に一人の社員を採用するためには、求人広告費、書類選考や複数回の面接に要する時間など、さまざまなコストが発生します。しかし、BPOを活用すれば、採用プロセス全体を委託先に一任できるため、自社の採用に関わる負担を軽減することが可能です。
採用活動にかけていた貴重なリソースを、より戦略的な人事施策や事業開発といったコア業務に再投資できるようになります。
BPOを活用することで、効率的に採用活動を進めながら事業のコア業務にも注力できる体制を整えられます。
従業員の教育のコストを削減できる
BPOを活用することで従業員にかかっていた教育のコストを削減できます。
BPOベンダーは、特定の業務分野において高度な専門スキルと豊富な実務経験を持つ人材が在籍しています。業務を委託する企業側は、自社で新人教育やスキルアップ研修を実施する必要がなくなり、教育にかかるコストと時間を削減することが可能です。
また、専門性の高い業務においては専門家であるBPOに委託することで、品質とコストを安定させられます。
さらに、既存の社員が自身の業務に集中できる環境も整えられるでしょう。
人件費を含むあらゆる費用を検討して、従業員と企業の双方が納得できる形で計画的に人件費を削減しましょう
人件費は、企業の固定費の中で大部分を占める経費です。人件費の削減を成功させるためには、従業員と企業の双方が満足できる形を目指し、計画的に実行しましょう。
人件費を安全に削減したいと考えたときには、BPOの活用がおすすめです。BPOを導入することで業務効率化やコア業務へ注力ができ、長期的な人件費の削減が可能です。
パーソルビジネスプロセスデザインでは、豊富な実績とノウハウをもとに、お客さまの要望にあわせたBPOサービスを提供しております。
BPOやアウトソーシングサービスについて、導入経験のないお客さまからはさまざまなお問い合わせをいただいております。なかでも代表的な「BPOの事例を知りたい」という内容については、以下の資料にて補足説明しておりますので、ぜひあわせてご覧ください。
【資料】成功に導くBPO導入事例集
- パーソルビジネスプロセスデザインがご支援してきたBPOの導入事例
- 導入した企業の効果