業務効率化とは?
業務効率化とは、業務の中に潜むムリ・ムダ・ムラを取り除き、作業時間や工数を削減することで、生産性の向上を目指す取り組みです。
過度な負荷である「ムリ」、不要な時間や資源の浪費である「ムダ」、品質のばらつきを意味する「ムラ」を改善対象とし、不要な手順や人的負荷を減らします。その結果、従業員が本来注力すべき業務に集中できる状態をつくり出すことが可能です。
業務の属人化や情報共有の非効率性を見える化し、業務フローの見直しやITツールの導入を通じて解決を図ることで、企業の利益だけでなく従業員のはたらきやすさやモチベーションの向上にもつながるでしょう。
業務効率化と生産性向上の違い
業務効率化は、業務の中にある無駄や負担を排除することに焦点を当てた取り組みのことです。一方で、生産性向上は、限られた資源で最大の成果を生み出すことです。
業務効率化は「どのように行うか」に重点を置いており、生産性向上を実現するための方法として位置づけられます。一方、生産性向上は「何を達成するか」に重きを置き、経営判断や会議などの場で用いられることが多いです。
業務効率化により時間やコストが削減され、その結果として生産性向上が実現するという関係性があります。
業務効率化が必要とされている理由
業務効率化が求められている背景には、少子高齢化による深刻な人材不足があります。限られた人材で業務を円滑に進めるには、効率的な運営が欠かせません。人材不足解消のために、企業ができる改善策 を把握しておきましょう。
また、働き方改革やリモートワークの普及により、多様なはたらき方に対応するための業務見直しが急務となっています。長時間労働や属人化を解消することで、従業員のワークライフバランスを保ち、モチベーションの向上を目指します。業務の見直しをこれから行う場合は、働き方改革に合わせた改善策 もご確認ください。
さらに、非効率な業務によるコストや人材の浪費を防ぐことが、企業の利益拡大や新規事業への挑戦を可能にします。情報管理の一元化やマニュアル整備により、業務の質を安定させることも、競争力の強化につながります。
業務効率化を行う3つのメリット
業務効率化には、企業活動をより円滑に進められるメリットがあります。
- 作業時間短縮でコア業務に集中
- 従業員のモチベーションと満足度向上
- 生産性の向上・利益拡大
これらを実現することで、日々の業務における無駄を省き、組織全体のパフォーマンスを高めることが可能です。それぞれのメリットを具体的に見ていきましょう。
作業時間短縮でコア業務に集中
作業の機械化や自動化によって、ヒューマンエラーが減少し、業務がスムーズに進むようになります。さらに、作業時間の短縮により浮いた時間をコア業務に活用できるため、業務全体の効率化が可能です。
また、非効率な業務フローや重複作業も見直され、長時間労働の抑制にもつながります。顧客情報を一元管理することで情報の取り違いや二重対応のリスクも軽減でき、アウトソーシングやツールの導入によって不要な業務の削減が可能です。
従業員のモチベーションと満足度向上
はたらきやすい環境を整えることで、従業員のやる気や集中力が高まり、業務の質向上が可能です。
リモートワークや時差出勤といった多様なはたらき方が可能になり、柔軟なはたらき方が実現できます。ワークライフバランスの改善によって残業時間が減り、私生活の充実にもつながります。
業務効率化を行ったことによる業務改善の成果を、従業員に還元することでエンゲージメント強化にも効果を発揮できるでしょう。
生産性の向上・利益拡大
業務効率化によって、不要な業務や会議、書類作成などを削減することで、利益率の向上が見込めます。ムダな時間やリソースの削減により、コスト構造の改善も実現可能です。
浮いた人的資源を新規事業や既存業務の強化に振り分けることが可能になり、企業の成長につながります。限られたリソースを最大限活用できる体制が整うため、安定的な成果を出しやすくなります。
さらに、適切な業務フローの設計により、プロセス全体の無駄を最小限に抑えることも可能です。
業務効率化の進め方・手順【5STEP】
業務効率化を実現するためには、現状の業務を正確に把握し、課題を明確にした上で、改善策を立てて実行し、その効果を検証することが大切です。
- 現状の業務プロセスを可視化する
- 課題・問題点を洗い出す
- 改善のスケジュールと施策を検討する
- 改善策を実行する
- 効果検証とPDCAを回す
ここでは、業務効率化を進めるための5つの手順をご紹介します。
1.現状の業務プロセスを可視化する
最初のステップでは、現状の業務内容を明らかにすることが重要です。
業務の棚卸しを行い、担当者や作業時間、頻度、必要なスキルを把握します。そのうえで、業務フローを図やリストで整理し、全体像を可視化します。
実務担当者を巻き込むことで、実態に即した正確な可視化が可能です。タスクを明確に区分することで、後の分析がスムーズに行えるでしょう。業務プロセスを改善する際には、成功させるポイント も確認することをおすすめします。
2.課題・問題点を洗い出す
業務を見直す際には、「ムリ・ムダ・ムラ」がないかを見極めることが重要です。
重複している業務や属人的な作業、処理に時間がかかる工程を特定します。特に、単純で頻度が高く、マニュアル化しやすい業務には改善の余地が多くあります。
また、業務の実施タイミングが適切でないものも、課題として洗い出しておきましょう。
3.改善のスケジュールと施策を検討する
課題を把握した後は、改善策を具体的に検討しましょう。
「排除・結合・交換・簡略化」の4原則を活用し、業務の流れを見直します。工程の順序を変え、不要な作業を削除することで、作業を簡素化できます。
また、高額なツール導入に頼らず、既存の資源や無料ツールを活用することも有効です。改善の実施時期や期間を明確にし、段階的な計画を立てます。
4.改善策を実行する
立案した改善策は、計画に沿って実行に移しましょう。
関係するチームには事前に内容を共有し、必要に応じて研修やマニュアルを整備します。業務フロー図やマニュアルを用いて、現場でのスムーズな導入を図ります。
また、業務プロセスの可視化ツールを活用することで、改善作業の進行をより効果的に管理することが可能です。
5.効果検証とPDCAを回す
改善後は、業務の効率化がどの程度達成されたかを数値で検証しましょう。
作業時間の変化や負荷の軽減、ミスの減少などをデータで比較します。もし効果が限定的であれば、PDCAサイクルを活用してさらなる改善策を模索することも重要です。
小さな成果を積み重ねながら、業務全体への展開を進めます。成果を社内で共有することで、組織全体への波及効果を高められるでしょう。
業務効率化を進める上で成功につながる5つのポイント
業務効率化を成功させるためには、ただ業務を減らすだけでは不十分です。現場の実情に即した施策を講じることで、持続的な成果につなげられます。
- マニュアル作成による業務の標準化を行う
- 現場ではたらく人への配慮を検討しておく
- 小さく始めてPDCAサイクルで継続的に改善する
- 業務の自動化・ツール導入を試す
- アウトソーシングを活用する
ここでは、効果的な5つのポイントについて解説します。どの施策も、計画的かつ段階的に進めることで、業務品質を保ちながら効率化を実現することが可能です。
マニュアル作成による業務の標準化を行う
業務マニュアルを整備することで、誰が担当しても一定のクオリティで業務を遂行でき、属人化を防げます。
マニュアルには業務の手順だけでなく、企業文化やルールへの理解が深まるような設計が求められます。図解や動画を活用し、誰にとっても視覚的に理解しやすい内容にすることが重要です。
新人や異動者でもすぐに業務に取りかかれるようになり、教育時間の短縮と品質の向上が期待できます。また、定期的なアップデートを行うことで、常に現場の実態に即した内容を維持することが可能です。
現場ではたらく人への配慮を検討しておく
効率化を無理に進めると、現場の理解が得られず、従業員のモチベーション低下を招く恐れがあります。
そのため、導入するツールや施策は、現場のITリテラシーや業務負荷に配慮して設計を行いましょう。作業時間や負荷の変化に応じて、適切なサポート体制や教育を整えることが求められます。
また、従業員の得意・不得意を把握した上で、適正な配置や担当変更を行うことで、はたらきやすい環境を維持しましょう。現場に寄り添ったアプローチが、業務効率化の成功につながります。
小さく始めてPDCAサイクルで継続的に改善する
業務改善は一度にすべてを導入するのではなく、現場の状況やキャパシティを考慮し、段階的に取り組むことが重要です。
改善策の実行後には、必ず効果検証を行い、成果を数値で確認しましょう。PDCAサイクルを活用し、「計画・実行・評価・改善」の流れを繰り返すことで、継続的な業務改善が実現します。
また、実際の業務に携わる人の声を反映させることで、改善の質を高めることも可能です。失敗やミスも前向きに捉え、次の改善に活かす姿勢が、組織全体の成長につながります。
業務の自動化・ツール導入を試す
定型業務やルーチン作業をRPAやノーコードツールで自動化することで、ヒューマンエラーの削減と効率化を実現できます。
メモ機能やスクリーンショット、チャットツール、クラウドストレージの活用により、情報共有もスムーズになります。CRMやSFAの導入により顧客情報を一元管理でき、営業の重複やムダな作業の削減も可能です。
ツール導入時には、組織のITリテラシーや構造に合ったものを選定することで、スムーズな定着と効果発揮につなげましょう。
アウトソーシングを活用する
社内で対応する必要のない業務については、アウトソーシングの活用がおすすめです。
属人化しがちな業務や定型的な作業は外部に委託することで、時間とコストの両面で業務の効率化が図れます。これにより、社内の人材はコア業務に集中でき、全体の生産性向上にもつながります。
アウトソーシングを導入する際は、業務フローやマニュアルの整備、成果物の品質管理体制を構築することが欠かせません。特にノンコア業務を一括で外部に任せたい場合は、企画から実施まで一貫して依頼できるBPOの活用を検討しましょう。
【資料】概要と事例でよく分かる!BPO解説ブック
- BPOの今と未来予測
- BPOの基礎知識
- BPOを導入する3つのメリット
- BPOを導入する4つの注意点
- BPOを活用した5つの事例(営業事務、金融関連業務、経理・財務事務、総務、官公庁)
業務改善をBPOで解決した通信業界の成功事例
ここでは、NTTドコモ様の業務改善を目的としたBPO導入の成功事例を紹介します。
本事例では、以下の課題への対応が求められていました。
- 部門ごとに非効率に分散していた総括業務や会計事務、端末管理の効率化
- 属人化の解消と標準化された運用体制の整備
- 人員や部門の拡大に伴う業務品質の維持
- 膨大な業務量の中でもコア業務に集中できる体制の構築
同社は、段階的なBPO導入を通じて、こうした課題の解決に成功しています。
まず、RPAの導入によって月末・月初の入金処理が大幅に効率化され、残業時間の削減につながりました。また、繁忙期にはチーム間で相互にフォローできる体制を構築し、業務の柔軟な運用が可能となりました。
さらに、誰でも一定の品質で対応できる標準的な運用体制が整ったことで、業務の属人化解消にもつながっています。BPOは単なる外部委託先ではなく、「仲間」として業務改善を支える存在となり、安心して業務拡大を任せられる信頼関係を築けました。
本件の詳細については、「株式会社NTTドコモ様の導入事例 」をご覧ください。
【資料】成功に導くBPO導入事例集
- パーソルビジネスプロセスデザインがご支援してきたBPOの導入事例
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業務効率化を行うならBPOがおすすめ!
業務効率化を本格的に推進するには、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の活用が有効です。属人化しやすい定型業務や膨大な手作業を外部の専門業者に委託することで、社内の業務負担を軽減し、生産性の向上が期待できます。
特に、アウトソーシングや業務標準化と組み合わせれば、自動化・ミス削減・スピード向上を同時に実現できます。実際に通信業界の企業では、BPOの段階的な導入によって入金処理の効率化や残業時間の削減、柔軟な業務体制の構築など、目に見える成果を挙げています。
BPOは単なる外注先ではなく、業務改善のパートナーとして、企業の成長をサポートする存在です。業務の可視化・改善を進めたい企業にとって、BPOの導入は効率化と競争力強化の両立を可能にする選択肢といえるでしょう。
自社の業務改善にお悩みの方は、まずは専門業者へのご相談からはじめてみてはいかがでしょうか。BPOやアウトソーシングサービスの導入について、ご不明な点やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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