1.インサイドセールスとは
インサイドセールスとは、電話やメール・Web会議ツールを用いて、非対面で見込み客にアプローチする営業手法です。国土が広大ですべての顧客を訪問することが難しいという問題の解決策として、アメリカで発祥しました。2010年代後半から徐々に日本でも浸透し、今では多くの企業が何らかの形でインサイドセールスの仕組みを取り入れています。
2.テレアポとは
テレアポとは、電話で見込み客にアプローチして、商談の約束を取り付ける営業手法です。テレアポの実施前に顧客リストを用意することが一般的で、顧客リストに記載されている電話番号に順番に電話をかけていきます。飛び込み営業では移動時間が発生するため、一日にアプローチできる顧客数には限界があります。それに対し、テレアポは移動時間がかからないことから、一日に多くの顧客にアプローチすることが可能です。
3.インサイドセールスとテレアポの主な違い
インサイドセールスとテレアポは、内勤型の営業手法という点で共通しています。しかし、以下の5つの点で大きく異なっています。- 活動目的
- 成果指標と商談の質・商談化率の重要性
- リード育成のプロセスとアプローチの時間軸
- アプローチする対象
- フィールドセールスとの機能分担とシームレスな情報連携
3-1.活動目的
インサイドセールスとテレアポの違いの中でも、最も大きな違いは活動目的です。インサイドセールスでは、見込み客との関係を構築するためにアプローチします。アポイントの獲得や受注を目的としておらず、見込み客の育成に重点を置いているのです。
一方、テレアポの活動目的はアポイントの獲得です。見込み客の抱えている課題をヒアリングして、ある程度は信頼関係を構築する必要があるものの、その先にあるアポイントの獲得を目的としています。
3-2.成果指標と商談の質・商談化率の重要性
インサイドセールスとテレアポは活動目的が異なるため、当然ながら成果指標も異なります。以下で、よく設定される成果指標の例をまとめました。
3-3.リード育成のプロセスとアプローチの時間軸
インサイドセールスはリード(見込み客)に対して定期的にアプローチを行い、徐々に信頼関係を構築する「リード育成(リードナーチャリング)」を重視します。1回の架電で終わるのではなく、数ヶ月単位の長期的な時間軸で活動することが前提です。これにより、受注確度が高まった最適なタイミングで商談をパスすることが可能になります。一方、テレアポでは一斉に顧客リストに電話をかけて、多くのアポイント獲得を目指します。インサイドセールスのようにじっくり信頼関係を構築するわけではなく、可能な限り短期的におこなわれることが一般的です。
3-4.アプローチする対象
インサイドセールスとテレアポでは、アプローチする対象も異なっています。インサイドセールスでは同じ相手に複数回アプローチするため、自社に興味を持っている対象が相手となります。アプローチ当初は受注確度が低かったとしても、時間をかけて育成することから、一度興味がない態度を取られたからといってリストを消費しません。
一方、テレアポでは展示会などで獲得した見込み客の情報をもとに、電話をかけます。顧客フォローはおこなわないことから、一度興味がない態度を取られた場合にはリストを消費します。
3-5.フィールドセールスとの機能分担とシームレスな情報連携
インサイドセールスでは、フィールドセールスと密に連携し、最終的な受注を最大化させることが求められます。単に商談を渡すだけでなく、ヒアリングした顧客の課題や懸念点をCRMなどでシームレスに共有する情報連携が不可欠です。また、受注に至らなかったリードを再びインサイドセールスで再育成するといった循環型の運用が必要となります。一方、テレアポは獲得したアポイントをフィールドセールスに引き渡すものの、基本的にはそれ以外の関わりはありません。テレアポでは顧客フォローをおこなわないため、フィールドセールスから戻されることもなく、独立した組織として扱われることが一般的です。
4.インサイドセールスとテレアポ導入の向き・不向き
インサイドセールスやテレアポを導入すると、必ず大きな効果が得られるわけではありません。それぞれの導入にも向き・不向きがあるため、自社がどちらに当てはまるのか確認しておきましょう。4-1. 自社に適した手法を選択するための判断基準
どちらの手法を選択すべきかは、商材の単価や検討期間によって決まります。高単価で複雑な説明を要する商材や、BtoBで検討に関与する人数が多い場合は、リード育成を行うインサイドセールスが適しています。
一方で、低単価で即決性が高い商材や、とにかく広範囲に認知を広げたい新規市場開拓の場合は、テレアポによる大量架電が有効です。
4-2. ターゲットリストの選定基準とアプローチの優先順位
ターゲットリストの優先順位付けも重要です。過去の問い合わせ履歴がある「温かいリード」に対してはインサイドセールスが担当し、全く接点のないホワイトリストに対してはテレアポが担当するなど、リストの確度によって手法を使い分けることで、商談化率と生産性を最大化できます。5.インサイドセールスの導入を成功させるポイント
インサイドセールスの導入を成功させるポイントを3つ紹介します。少人数で立ち上げる
インサイドセールスの部門を立ち上げたばかりの状態は、部署内・他部署間ともに多くのコミュニケーションコストが発生します。慣れるまでは模索しながらの活動となるため、最初から大人数が参加した場合は混乱を招く可能性があります。
意思決定はトップダウンでおこなう
インサイドセールスについて知見のある人は少ないため、意思決定はトップダウンでおこないましょう。また、導入時に問題が発生した場合に、社内の不満の矛先がインサイドセールスに向くことを防止できます。
商談化率を高めるヒアリング精度の追求
商談化率を向上させるためには、アポイントを打診する前にBANT情報(予算、決裁権、必要性、導入時期)を的確にヒアリングする精度が求められます。顧客の現状の課題だけでなく、将来的なビジョンや優先順位を深く引き出すことで、フィールドセールスが受注しやすい「質の高い商談」を生み出すことができます。
6.テレアポを成功させるポイント
テレアポを成功させるポイントを3つ紹介します。断られる度に落ち込まない
自社に興味のない見込み顧客にもアプローチするため、断られる可能性が高いです。断られる度に落ち込んでいるとモチベーションが下がるため、断られることが当然ぐらいに思っておくとよいでしょう。
断る理由を自分から与えない
挨拶の際に「ただ今、お時間よろしいでしょうか」と質問することは、「時間がありません」と断る理由を与えたようなものです。そのため、「お忙しいところ、失礼します」と簡潔に挨拶することがおすすめです。
セールス感が出る言葉の使用を避ける
押し売りされると判断されれば、本題に入る前に電話を切られる可能性が高いです。そのため、「販売」などセールス感が出る言葉の使用は避けて、「提案」など聞くことにメリットがあると判断してもらえる言葉を使用しましょう。
7.インサイドセールス部隊がテレアポ部隊化しないために注意が必要
インサイドセールスを導入したものの、気付いたらテレアポ部隊化していた事態が多くの企業で起こっています。インサイドセールスを導入した目的を達成するためにも、テレアポ部隊化してしまう理由や注意点を理解しておきましょう。7-1.インサイドセールス部隊がテレアポ部隊化してしまう理由
インサイドセールス部隊がテレアポ部隊化してしまう主な理由には、以下のようなものがあります。アポ獲得数のみを成果指標に設定している
成果指標にアポ獲得数のみを設定すると、担当者はアポ獲得のプレッシャーを感じてしまう。本来の目的である見込み客の育成よりも、アポ獲得を優先することにつながる。
使用しているトークスクリプトの内容が不適切である
インサイドセールスでは顧客の抱える課題をヒアリングしなければなりません。しかし、「はい」「いいえ」で答えるようなクローズドクエスチョンのみでトークスクリプトを構成している場合、見込み客から課題を聞き出すことは難しいです。
インサイドセールスとテレアポでは実施目的が異なります。「受注確度の高い見込み客を引き渡して、営業活動を効率化したい」と思ってインサイドセールスを導入したにも関わらず、信頼関係が構築されていない見込み客ばかりが引き渡されてしまい、業務がなかなか効率化しないなんてことが起こります。
7-2.インサイドセールス部隊がテレアポ部隊化しないための注意点
インサイドセールス部隊がテレアポ部隊化しないためにも、以下の点に注意しましょう。適切な成果指標を設定する
アポ獲得数だけではなく、見込み客の育成の点でも評価できるような成果指標の設定も必要です。
社内でインサイドセールスによる成果を共有する
インサイドセールスは見込み客の育成が主な目的であり、フィールドセールスよりも成果が見えにくいです。成果が見えにくいと、焦って短期的な成果を追ってしまう可能性があるため、顧客の声などを活用して成果を共有しましょう。
トークスクリプトを改善する
見込み客の抱える課題を引き出せるよう、「どう思いますか?」といったような回答範囲に制限を持たせないオープンクエスチョンを含めた内容に改善しましょう。
8.まとめ
インサイドセールスとテレアポは、電話を用いて見込み客にアプローチする点で共通しています。しかし、インサイドセールスの活動目的は見込み客の育成であるのに対し、テレアポの活動目的はアポイントの獲得です。その他にも、成果指標や活動にかかる時間なども異なっており、別物であることがわかるでしょう。インサイドセールスを導入したにも関わらず、テレアポ部隊化してしまうことはよくあることです。それでは受注確度の高い見込み客をフィールドセールスに引き渡すという目的を達成できないため、KPIやトークスクリプトなどを見直すことでテレアポ部隊化を防止しましょう。
ちなみに、当社パーソルビジネスプロセスデザインでは、インサイドセールスの構築・運用に関するご相談を承っております。
- インサイドセールス部隊をテレアポ部隊にしたくない
- インサイドセールスの導入が初めてで不安
- インサイドセールスの導入にはどのような手順を踏めばよい?
自社に合った体制づくりにお悩みの方は、ぜひご相談ください。
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