1.リテンション営業とは?LTV向上と利益最大化の鍵
リテンションとは既存顧客との関係を維持するための活動を指し、既存顧客にアプローチをかけて、良好な関係を維持するための手法です。
繰り返しリピートする既存顧客と強い信頼関係を築くことで、企業の収益性と安定性を高められます。
1-1. リテンションが重要とされる理由
企業存続において限られた資源で効率よく売上を上げるために
・「新規顧客を開拓すること」
・「既存顧客を大事にすること」
どちらに注力すべきなのかは重要なテーマです。
マーケティング業界や経営戦略の場面でよく引用されている法則に「1:5の法則/5:25の法則」というものがあります。
・1:5の法則:新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの5倍かかる、という法則
・5:25の法則:顧客離れを5%改善すれば、利益が最低でも25%改善される、という法則
「新規顧客の獲得」と「既存顧客への注力」はどちらも重要ですが、企業は既存顧客に注力をしなければ利益を得づらく、コストばかりかかってしまう悪循環に陥るといわれています。
1-2. 単なる維持ではない、利益率向上のための戦略的営業
リテンション営業は、単に既存顧客の離脱を防ぐための「守り」の活動ではありません。顧客との信頼関係を深める中でニーズを引き出し、アップセルやクロスセルへと繋げることでLTV(顧客生涯価値)を最大化させる「攻め」の戦略です。新規獲得に頼りすぎない安定した収益基盤を築くことで、営業全体の利益率を大幅に向上させることが可能になります。1-3. 追うべき定量指標:顧客維持率(CRR)と解約率(チャーンレート)
リテンション営業の成果を可視化するためには、以下の主要指標を継続的に管理することが不可欠です。顧客維持率(CRR):特定の期間において、どれだけの割合の顧客が継続して利用したかを示す指標。
解約率(チャーンレート):契約を終了した顧客の割合。特にサブスクリプションモデルでは収益に直結する重要指標です。
2. 既存顧客の関係性を強化するリテンション営業の具体策とポイント
リテンション活動には様々な取り組みがありますが、本項では4つに絞ってご紹介します。
2-1. 顧客の危険信号を察知する
一度サービスや製品を導入した顧客であっても、顧客が感じる製品価値が向上しなければ離れていってしまいます。顧客の危険信号(サービスや製品に対する心境の変化)を察知できるよう施策を策定し、危険信号を検知したらデータに基づいて行動することが重要です。
2-2. 個々の顧客に合った訴求ポイントの分析
まずは”顧客が望んでいるのは何か”を理解しましょう。
顧客が望んでいるのは、自社のサービスや製品の導入を通し、実現したい目的が達成された状態です。
顧客は製品の特徴や機能を使うために投資するのではなく、自らの事業目標達成のために購買行動をします。そのため、購入後に迅速な価値発揮がなければ顧客の心証は損なわれてしまいます。
顧客を成功に導くためには大きく下記の3つを理解する必要があるといわれています。
(1)顧客はどうやって成功を測っているか
(2)その指標から判断して顧客は成功しているか
(3)成功への過程で、顧客はどんな期待をしているか
顧客の成功指標を理解出来たなら、次に行うべきは定期的なビジネスレビューです。
対話の上で目標を定量化し、QBR(4半期ビジネスレビュー)で進捗を確認することで顧客と同じビジョンを持ち、指標に対する進捗を互いに認識できます。
2-3. 顧客満足度の向上(ロイヤルカスタマーの醸成)
まずは“ロイヤルティ”について解説します。ロイヤルティとは、企業や商品に対して信頼や愛着を持つことであり、ロイヤルティを持った顧客、すなわちロイヤルカスタマーの獲得が重要視されています。
また、ロイヤルティは個人的感情ではなく、製品に対する評価から想起されるものとされています。
絶えずカスタマーヘルスを把握・管理する:
製品定着率やカスタマーサポートへの問い合わせ回数など、数値的に顧客の満足度を測る指標を定義し、その変化を継続的に追うことが重要です。
オンボーディング活動:
顧客に対してサービスの機能や使い方を理解してもらい、導入を支援し成果創出までサポートするプロセス。継続的な活用を促し、サービスから得られる体験の満足度を高めます。
2-4. 休眠顧客の掘り起こしによる再活性化
過去に接点があったものの現在は取引が途絶えている「休眠顧客」へのアプローチも重要です。過去の購買データや失注・解約の理由を分析し、現在の状況に合わせた再提案を行うことで、新規開拓よりも低いコストで契約を再開させられる可能性があります。
3. CRM・SFAを活用したデータ駆動型リテンション営業
近年のCRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)は、AIを搭載しこれまででは考えられない示唆を担当者に与えることが可能になっています。
この章では、最新ツールを活用した「データ駆動型」のリテンション営業について紹介します。
3-1. 顧客データの一元管理によるパーソナライズの実現
データ駆動型のリテンション営業の実現に欠かせないのが、CRM・SFAを活用した顧客データの一元管理です。商談履歴や問い合わせ内容、契約更新日、製品の利用状況、過去の提案内容などの情報を個人管理ではなく組織の資産として蓄積することで、顧客一人ひとりに合わせた最適なアプローチが可能になります。例えば、あるITサービス企業では、契約更新の6か月前からCRM上でアラートが通知される仕組みを構築し、利用頻度の低下や問い合わせ内容の変化をもとに解約リスクを可視化しました。
その結果、更新前のフォローや活用支援をタイムリーに実施できるようになり、契約継続率の向上につながりました。
また、顧客ごとの利用状況を分析することでアップセル候補も把握できるようになり、既存顧客売上の拡大にも成功しています。
顧客データを一元化することで、営業担当者の経験や勘に依存しない再現性の高い営業活動が実現できるのです。
3-2. ツール活用における課題解決と営業現場での定着
CRM・SFAは導入しただけで成果が出るわけではありません。実際には、「入力が面倒」「活用方法がわからない」「営業担当者ごとに運用ルールが異なる」といった理由から、十分に活用されないケースも少なくありません。データ駆動型のリテンション営業を実現するためには、ツール導入そのものではなく、営業現場への定着と継続的な活用を促進する仕組みづくりが重要になります。例えば、ある製造業では営業担当者ごとに案件管理方法が異なり、顧客との接点履歴や提案状況が属人化していました。その結果、担当者の異動や退職時に顧客情報が引き継がれず、継続提案の機会損失が発生していました。
そこで、案件ステータスや活動履歴の登録ルールを統一し、CRMのダッシュボードを活用した案件レビューを定例化。さらに、入力されたデータを営業会議やマネジメントに活用することで、「入力するためのツール」から「成果を生み出すためのツール」へと認識が変化しました。
CRM・SFAの定着には、運用ルールの標準化と現場が価値を実感できる活用サイクルの構築が欠かせません。
4. 既存顧客へのリテンション営業成功事例
ここからは、リテンション営業活動を実際に行った事例についてご紹介いたします。4-1. 情報通信系・A社様の事例
まずは情報通信系のA社様の事例をご紹介します。この企業様は、日々の対応が逼迫しているなどリソース不足によるリテンション活動が実施出来ていない状況でした。 また、アップセル/クロスセル提案の体制が整っていないことにより、既存顧客に応じたアプローチが出来ていないことに課題を感じていました。
弊社は、顧客セグメンテーションを行った上で適切なアプローチスキーム構築などの体制整備と、アップセル/クロスセル活動対応のオペレーション支援を実施しました。
これにより、既存顧客の状況に応じたリテンション営業を実現し、売上規模のベースアップと顧客離脱の防止に貢献しました。
4-2. 電力/エネルギー系・B社様の事例
次に、電力/エネルギー系のB社様の事例についてご紹介します。電力自由化に伴う市場競争が激化し新規顧客獲得が困難な状況下で、既存顧客の離脱防止が急務となる一方、リテンション営業の運用構築が出来ておらず慢性的に顧客流出が起きていることが課題でした。
弊社にてリテンション営業の体制構築から運用を一気通貫で支援し、既存顧客との関係性強化や競合動静の取得を行った結果、既存顧客の離脱防止を実現しました。
さらに、SFAを活用した案件毎の歩留まり可視化や業種・業態別のモデルケース化により、既存顧客の営業強化だけでなく新規顧客の獲得にも貢献しました。
5. まとめ
今回は、「リテンション活動」についてご紹介しました。これらの活動を通じて顧客にサービスや製品の価値を体験してもらい、継続利用してもらうことが重要です。
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