ラインケア研修とは?目的やメンタルケアに効果的な実施方法を解説

ラインケア研修とは?目的やメンタルケアに効果的な実施方法を解説

社内でメンタルヘルス不調による休職者が増加し、経営層から「管理職のマネジメント力強化」と「メンタルヘルス対策の体制構築」を急務として求められていませんか?

健康経営の取り組みの一環で、すでにストレスチェックの実施や相談窓口の設置など、法令に沿った対応は行っている場合でも、予防的な取り組みが不十分なケースも少なくありません。不調者が出てからの対応は容易ではないでしょう。

そこで本記事では、メンタルヘルス対策の要となる「ラインケア研修」について、基本的な知識から効果的な実施方法まで徹底的に解説します。ラインケアとは何か、なぜ必要なのか、研修で何を実現できるのか、どのようなプログラムがあるのか…。自社に合った研修の選び方や具体的な実施方法まで、実践的な情報をお届けします。

最後まで読むことで、自社のメンタルヘルス対策強化に向けて、どのような研修を・誰に・どのように実施すべきかを理解したうえで、研修導入に向けた準備を始められるでしょう。


目次

    もっと見る▼

    pwdbanner-wp-stress-management02 (3482) (11030)

    従業員のメンタルヘルス対策や健康経営への取り組み事例をご紹介!人事労務担当者の課題解消のヒントをまとめています。



    ラインケア研修とは|管理職が知るべき基本知識

    ラインケア研修の導入を検討する前に、まずはラインケアの定義や背景、習得できるスキルについて理解しておきましょう。管理職が知っておくべき基本知識を解説します。

    ラインケアの定義と厚生労働省の指針

    ラインケアとは、職場の管理監督者が部下の心の健康を守り、職場環境を改善するために行うケアを指します。厚生労働省が示す「労働者の心の健康の保持増進のための指針」では、以下4つのケアが推奨されています。

    • セルフケア
    • ラインによるケア
    • 事業場内産業保健スタッフ等によるケア
    • 事業場外資源によるケア

    ラインケア研修は、4つのケアの中でも特に重要な「ラインによるケア」を実践するための教育プログラムです。

    管理職が部下の心の健康を守る最前線に立つため、適切な知識とスキルを体系的に学ぶ研修であり、メンタルヘルスケアを実行するうえで必要な知識とスキルを習得する研修のことなのです。


    なぜ今ラインケア研修が注目されているのか

    厚生労働省の調査によると、仕事や職業生活に関する強いストレスを感じている労働者は約7割であり、メンタルヘルス不調による休職者も約1割存在します。メンタルヘルス不調は現代の職場において無視できない課題となっており、組織的な対応が求められています。

    昨今はリモートワークの普及により、部下の表情や様子を直接観察する機会が減少しました。不調のサインに気づきにくくなっている現状もあり、管理職には意識的に部下の状態を把握するスキルが必要になっています。

    また、労働契約法第5条により、企業には従業員の心身の健康を守る安全配慮義務があります。適切な対策を講じていない場合は損害賠償責任を問われるリスクがあるため、法的な観点からも組織的な取り組みが不可欠です。

    このようにさまざまな背景から、管理職のメンタルヘルス対応力を組織的に強化する必要性が高まっているのです。


    ラインケア研修で管理職が習得できるスキル

    ラインケア研修では、メンタルヘルスの基礎知識から実践的な対応方法まで、体系的に学ぶことが可能です。具体的には以下のスキルの習得が見込めるでしょう。

    ■ラインケア研修の受講で習得できるスキル例

                                       
    スキル 詳細
    メンタルヘルスの基礎知識

    ・ストレスやメンタルヘルス不調の基本的なメカニズム

    ・科学的な根拠に基づいた知識を習得することで、適切な判断と対応が可能となる
    メンタルヘルス不調を早期に発見する方法

    ・遅刻・欠勤の増加、表情の変化、作業効率の低下など、部下の不調サインに気づく観察力を養う

    ・日常的なコミュニケーションの中で変化を察知できるようになることが重要
    部下に対するコミュニケーションスキル

    ・傾聴の基本姿勢、適切な声かけのタイミング、相談を受ける際の対応方法を習得する

    ・部下が安心して相談できる関係性を築くためのスキルが身につく
    ハラスメント防止スキル

    ・パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントの定義と具体例を学び、心理的安全性の高い職場環境をつくる方法を理解する

    ・ハラスメントはメンタルヘルス不調の主要な原因の一つであるため、予防的な対応が欠かせない
    復職支援に関するスキル

    ・休職前の対応、復職時の段階的な業務復帰プラン、復職後のフォローアップ方法を習得する

    ・スムーズな職場復帰を支援し、再発を防ぐための実践的なスキルを学べる



    ラインケア研修が組織にもたらす4つの効果

    ラインケア研修を実施することで、組織にはさまざまなメリットがもたらされます。
    具体的な効果を4つの観点から見ていきましょう。

    効果(1)社員の離職・休職を防止でき社員定着率が改善する

    管理職が部下の不調に早期に気づき適切に対応することで、重症化を防ぎ、離職・休職を未然に防げます。メンタルヘルス不調は早期発見・早期対応が重要となるため、適切なタイミングでサポートすることで重症化リスクの軽減が可能です。

    ラインケア研修を受けた管理職は、部下の変化に気づく「観察力」と「適切な声かけのスキル」を習得できるため、問題が大きくなる前に対処することができるのです。

    なお、従業員が離職・休職することで「採用/育成に掛かるコストの増加」、「引き継ぎ対応にようる業務停滞」、「既存社員の負担増」など、大きな損失が伴います。そのため、未然に防ぐアプローチ(予防)による損失削減効果は大きく、組織全体の人材定着率の改善に寄与するといえるでしょう。

    prevention-of-turnover_main.jpg (4145)

    ~あわせて読みたい~

    「離職防止の対策とは?メンタルヘルス支援や定着率の改善方法について解説 ! 」



    効果(2)管理職のマネジメント力が向上する

    ラインケア研修で習得したスキルは、メンタルヘルス対応だけでなく、日常のマネジメント全般に活かせます。具体的には以下のようなスキルが挙げられます。

    • 傾聴スキル:部下の気持ちを受け止め、信頼関係を構築する
    • 適切なフィードバックの方法:従業員の成長を促す個別最適化されたサポート
    • 心理的安全性の確保:安心して意見を言える職場環境を作る

    また、部下の成長を支援する育成力や、チームの心理的安全性を高めるリーダーシップが身につくため、マネジメント全般の質が向上します。結果として、チームのパフォーマンスが最大化されるでしょう。

    効果(3)職場全体の生産性を高める

    メンタル不調による欠勤、遅刻、作業効率の低下、ミスの増加などを防ぐことで、業務が円滑に進み生産性向上が見込めます。

    例えば、業務負荷やストレスが少なく心理的安全性の高い職場では、従業員同士のコミュニケーションの増加や積極的な意見交換が多く、アイデア・イノベーションが生まれやすいとされています(Google re:Work:「効果的な​チームとは​何か」を​知る)。また、エンゲージメントの向上により、社員の主体性やモチベーションが高まり、組織全体のパフォーマンスが最大化されます。

    結果として、売上向上や業務効率化など、経営指標にもポジティブな影響をもたらすでしょう。ラインケア研修を通し管理職が職場環境への意識を変えることで、メンタル不調による業務停滞の抑制心理的安全性の高い職場づくりが実現でき、組織全体の生産性が向上するのです。

    ※参考:Google re:Work|「効果的なチームとは何か」を知る

    効果(4)企業の安全配慮義務を果たし、法的リスクを軽減する

    企業は従業員の生命・身体の安全を確保する義務(安全配慮義務)を負っています(労働契約法 第五条)。

    メンタルヘルス不調を放置した結果、従業員が休職・離職に至った場合、企業が損害賠償責任を問われ可能性もあります。ラインケア研修を実施していることは、企業が適切な対策を講じている証拠となり、前述のような法的リスクを軽減できるといえるでしょう。

    それだけではなくコンプライアンスの観点からも、企業は組織的にメンタルヘルス対策を行う社会的責任」があります。ラインケア研修を実施することで、管理職のスキル向上だけでなく、社会的責任や法的に求められる安全配慮義務を適切に果たせるのです。



    自社に合ったラインケア研修の選び方

    ラインケア研修を導入する際には、自社の状況に合った研修を選ぶことが重要です。研修の効果を最大化するための4つの選定ポイントを解説します。

    適切な研修形式を選ぶ(集合研修・オンライン・eラーニング)

    自社の管理職の人数、勤務地の分散状況、予算、求める学習効果のレベルに応じて、最適な研修形式を選択することが重要です。例えば、以下の形式から単一の形式または複数の形式を組み合わせて選択すると効果的でしょう。

    集合研修
    対面でのロールプレイングや質疑応答が可能で、参加者同士の交流も生まれます。
    実践的なスキル習得に適していますが、日程調整が難しく場合によっては会場費用が発生するといった点がデメリットに挙げられます。

    一方で、場所を選ばず実施できる方法として、「オンライン研修」と「eラーニング」があります。

    オンライン研修
    在宅ワークをしながらの参加や期間外でも録画視聴による復習が可能です。
    そのため、遠隔地の拠点からでも参加しやすく受講者の負担も軽減できるでしょう。ですが、集中力の維持や双方向性の確保など、一定の課題が残る点には注意が必要です。

    eラーニング
    個人のペースで学習でき、繰り返し視聴可能で費用も抑えられる点が特徴です。
    基礎知識の習得には効果的ですが、座学形式の学習となるため、実践的なスキル習得には限界がある点がデメリットです。

    それぞれのメリット・デメリットについて詳細をまとめましたので、ご確認ください。

    ■一般的なラインケア研修の形式

    研修形式 メリット デメリット
    集合研修

    ・対面でのロールプレイングや質疑応答が可能

    ・参加者同士の交流が生まれる

    ・実践的なスキル習得に適している

    ・参加者の日程調整が難しい

    ・会場費用がかかる

    オンライン研修

    ・参加者が場所を選ばず参加できる

    ・録画視聴で後から復習も可能

    ・遠隔地の拠点にも展開しやすい

    ・参加者の集中力維持に気を配る必要がある

    ・双方向性の確保が難しい
    eラーニング

    ・参加者が個人のペースで学習でき、繰り返し視聴も可能

    ・費用が抑えられる

    ・基礎知識の習得に効果的

    ・参加者のモチベーション維持が難しい

    ・実践的なスキル習得には限界がある



    研修内容が自社の課題に合っているか確認する

    業界によってメンタルヘルス不調の要因や対応方法が異なるため、自社の業界特性を理解した内容であることが重要です。

    例えば医療・介護業界、製造業、IT業界では、それぞれストレス要因や職場環境が大きく異なります。自社の業界特性や現在の課題に特化した内容かを確認しましょう。

    また、現在抱えている具体的な課題(ハラスメント対策、離職率改善、リモートワーク下でのマネジメントなど)に焦点を当てたプログラムがあるかについて確認することも重要です。標準プログラムをそのまま実施するのではなく、自社の状況に応じてカスタマイズできる柔軟性があるかを事前に確認しておきましょう。

    なお、既定の研修に自社の事例やケーススタディを研修に組み込めると、管理職にとってより実践的な学びとなり、研修受講後の実践イメージを把握できます。

    講師の専門性と実績を確認する

    研修の質を大きく左右するのは、「講師の専門性」「自社への理解力」です。

    そのため、メンタルヘルスの専門資格を持ち企業研修の豊富な実績を有する講師の選定が重要となります。産業医、臨床心理士、公認心理師など、メンタルヘルスに関する専門資格を持つ講師が担当しているかを確認しましょう。

    また、企業での研修実績が豊富かつ管理職が直面する実務的な課題を理解し、具体的な解決策を提示できる能力があるかも大切なポイントです。過去の受講者からの評価やフィードバックを参考にし、講師の質を見極めてください。可能であれば、事前に講師と面談し、自社の課題や要望を伝えて、対応可能かを確認するとよいでしょう。

    アフターフォロー体制があるか確認する

    ラインケア研修は「受講して終わり」では意味がありません。研修実施後の継続的なサポート体制があることで、学びを実践に定着させられます。

    研修後に疑問点や実務上の悩みが生じることも考えれるため、別途質問が可能な窓口や個別相談を受け付けているかを確認しましょう。定期的なフォローアップ研修や、学習内容を振り返る機会が設けられているかも重要です。

    また、研修で学んだことを実践に移すためのツール(チェックリスト、対応マニュアル、事例集など)が提供されるかを確認してください。厚生労働省の指針でも継続的な取り組みがメンタルヘルス対策として重要とされていますので、アフターフォローの体制が充実していれば、研修の効果が一過性で終わらず組織全体に浸透していくでしょう。

    pwdbanner-wp-stress-management02 (3482) (11030)

    従業員のメンタルヘルス対策や健康経営への取り組み事例をご紹介!人事労務担当者の課題解消のヒントをまとめています。



    おすすめのラインケア研修プログラム

    ラインケア研修にはさまざまな種類があります。自社の課題や目的に応じて、適切なプログラムを選択しましょう。

    いくつかの研修を組み合わせて実践することで、より精度の高い研修が実現できます。以下主な研修プログラムの種類と特徴を紹介します。

    座学型研修

    座学型研修では、メンタルヘルスケアの基礎知識や法的責任を体系的に学びます。

    メンタルヘルス不調のメカニズム、ストレスの仕組み、労働契約法に基づく安全配慮義務など、管理職が知っておくべき基本的な知識を講義形式で習得します。専門家による解説を通じて、正確な知識を効率的に学べる点が特徴です。

    この座学型研修は、メンタルヘルスに関する基礎知識が不足している管理職や、新任管理職の導入研修として適しています。土台となる知識を固めることで、実践的なスキルの習得がスムーズになるでしょう。


    実践型研修

    実践型研修では、ロールプレイングやケーススタディを通じて、実際の場面を想定した対応を実践的に学びます。

    参加者同士でロールプレイングを行うことで、座学だけでは得られにくい「部下への声かけのタイミング」や「面談の進め方」を実際に近い形で体験できます。また具体的な事例をもとに、どのように対応すべきかをグループで討議し、実務に即したスキルを習得できる点が特徴といえます。

    実践型研修は、知識を行動に移すための実践力を養いたい場合に適しており、研修後すぐに現場で活用できるスキルを身につけられるため、即効性が期待できるでしょう。

    階層別研修

    階層別研修では、新任管理者、中堅層、部門責任者など対象者に応じた研修プログラムを実施します。

    新任管理職には基礎的な内容から丁寧に、中堅管理職には応用的な対応方法を、部門責任者には組織全体のメンタルヘルス対策の推進方法を学ぶなど、それぞれの立場や経験に合わせた内容で構成される点が特徴的です。

    管理職の経験やスキルレベルに差がある場合に特に学習効果を高めるため、対象者が多く最適化された研修を検討している大企業などに適している形式といえるでしょう。

    eラーニング型研修

    eラーニング型研修では、時間・場所の制約がない反復学習が可能なオンライン教材を活用します。

    受講対象となる管理職が、自身のペースで学習を進めることができるため、業務の合間や移動時間を活用した「効率的な学習」が可能となっています。また、動画教材やクイズ形式のコンテンツにより、理解度を確認しながら進められる点が特徴です。

    eラーニング型研修は、全国に拠点がある企業や管理職の人数が多く集合研修の調整が難しい企業に適している研修形式です。導入コストや移動・出張に掛かるコストを抑えながら、広範囲に研修を展開できるでしょう。ただし、実践的なスキル習得には集合研修やオンライン研修との併用が効果的です。

    ハラスメント防止複合型研修

    ハラスメントは従業員のメンタルヘルス不調や悪化の原因の一つです。意図しないハラスメントの発生を抑制するためにも管理職の意識改善を図るハラスメント対策の必要性が高まっているといえるでしょう。

    ハラスメント防止複合型研修では、ハラスメント対策方法や適切なコミュニケーション方法などを同時に受講します。メンタルヘルスケアとハラスメント防止は密接に関連しているため、両方をセットにした研修プログラムを一体的に学ぶことで管理職の意識向上が期待できるでしょう。

    特にパワハラ、セクハラなどの具体的な事例を通じて、「どのような言動が不適切に当たるのか」、「どのような相談対応や指導方法が適切なのか」についての理解や予防策を学べます。特にハラスメントが原因でメンタルヘルス不調が発生している企業や、予防的な取り組みを強化したい企業に適しているでしょう。

    ラインケア研修導入から定着までの5ステップ

    ラインケア研修を効果的に導入し、組織に定着させるためには、計画的な進め方が重要です。導入から定着までの具体的なステップを解説します。


    ステップ1:自社の課題を明確にする

    まずは現状を正確に把握し、どこに課題があるのかを明確にすることが、効果的な研修導入の第一歩です。

    ストレスチェックの結果、休職者・離職者のデータ、社員アンケートなどから、自社のメンタルヘルスに関する現状を客観的に把握します。どの部署で、どのような課題があるのか(長時間労働、ハラスメント、コミュニケーション不足、マネジメントの質のばらつきなど)を特定しましょう。

    経営層、人事部門、現場の管理職など、複数の視点から課題を洗い出し、共有することが大切です。課題が明確になることで、研修で重点的に扱うべきテーマや対象者が明確になり、効果的なプログラム設計が可能となります。

    ステップ2:研修の目的と対象者を設定する

    研修で達成すべき具体的な目標と、誰を対象にするかを明確に設定しましょう。

    • 「管理職の早期発見スキルを向上させる」
    • 「ハラスメント防止を徹底する」
    • 「離職率を前年比20%削減する」

    など、一例ですが、上記のような具体的な目標を設定してください。

    また対象者を明確にすることも重要です。新任管理職のみ、全管理職、特定部署の管理職など、誰に受講してもらうかを決めます。対象者の現状のスキルレベルや知識を把握し、研修内容の難易度を適切に設定しましょう。

    達成すべきKPI(研修後のアンケート満足度、理解度テストの点数、実践率など)についても事前に設定しておくことで、後の効果測定がしやすくなります。

    ステップ3:研修プログラムを選定する

    前項で解説した研修プログラムやその他プログラムの中から自社に適したものを選定します。社内に研修を行う専門部署を設けていない場合は、研修会社やコンサルティング会社への外部委託が選択肢に含まれます。

    外部委託による研修と社内研修のメリット・デメリットを比較し、自社に適した方法を選択しましょう。外部委託は専門性が高いが費用がかかる、内製は自社の状況に合わせやすいが専門知識が必要、といった特徴があります。

    外部委託する場合は、複数の研修会社に見積もりを依頼し、費用、プログラム内容、講師の質、アフターフォロー体制などを比較してください。単純な金額比較ではなく、費用対効果を総合的に判断することが重要です。

    比較検討したうえで最適なプログラムを選定し、可能であればサンプル研修やデモを受けて、実際の雰囲気や講師の質を確認してから決定するとよいでしょう。

    ステップ4:研修を実施する

    研修の効果を最大化するため、事前準備と当日の運営を丁寧に行いましょう。

    参加者には、事前に研修の目的、内容、スケジュールを共有し、参加の意義を理解してもらいましょう。参加者が業務調整しやすいよう、早めに日程を確定し、上司や経営層からも参加を推奨するメッセージを出すことが効果的です。

    当日は、参加者が積極的に質問や意見を出しやすい雰囲気づくりや、双方向で会話することを心がけてください。

    研修後はすぐにアンケートを実施し、参加者の理解度や満足度、改善点を把握します。

    ステップ5:研修後のフォローアップを行う

    研修で学んだことを実践に移し、組織に定着させるために、継続的なフォローアップを行いましょう。

    研修後1〜2か月後に、学んだスキルを実践できているかを確認するアンケートやヒアリングを実施します。課題や疑問点があれば、個別相談やフォローアップ研修で解決するとよいでしょう。

    好事例を社内で共有し、横展開することで、組織全体への浸透を促進するのもおすすめです。また、定期的に研修内容を振り返る機会を設け、知識の定着度を確認したり、研修内容を修正したりして、継続的な学習習慣を定着させることも重要です。

    ラインケア研修の効果を最大化する3つのポイント

    ラインケア研修の効果を最大化するためには、導入だけでなく、組織全体での取り組みが必要です。効果を高めるために重要なポイントを3つ紹介します。

    ポイント(1)経営層を巻き込み全社的な取り組みにする

    経営層がメンタルヘルス対策の重要性を理解し、予算確保や制度整備を行うことで、実効性のある取り組みになります。トップメッセージとして、全社員にメンタルヘルス対策の重要性を発信し、組織全体の意識を高めましょう。

    実際、経営層自身が研修に参加したり、研修の冒頭で挨拶をしたりすることで、参加者の意識は高まります。研修の効果も格段に高まるでしょう。

    また、単なる人事施策ではなく、経営戦略の一環として位置づけることで、継続的な投資や改善も可能となります。

    ポイント(2)現場管理職の負担を考慮した実施計画を立てる

    管理職が無理なく参加でき、学んだことを実践できる環境を整えることが重要です。

    管理職は日常業務で多忙なため、業務調整がしやすい時期や時間帯を選んで研修を実施しましょう。研修参加を評価制度に組み込み、参加することが昇進や評価にプラスになる仕組みをつくるなど、研修の受講が「負担」と感じさせない工夫も効果的です。

    研修で学んだことを実践する時間的・精神的余裕を持てるよう、業務量の調整や上司からのサポートも行ってください。たとえば、業務が落ち着く時間帯別にグループを割り当てる、オンライン形式による開催で参加のハードルを下げるなど、継続的に学べる環境を整えることで、研修の効果が実務に定着しやすくなります。

    ポイント(3)単発で終わらせず継続的な学習機会を設ける

    ラインケアは一度学んだだけでは定着しないため、継続的な学習機会を設けることが重要です。たとえば年1回の定期研修を制度化し、管理職全員が継続的に学ぶ機会を設けましょう。新任管理職向けには、昇進時に必ず受講する必須研修として位置づけると効果的です。

    eラーニングや社内勉強会など、気軽に学べる機会を提供し、知識の定着を図ってください。継続的な学習により、組織全体のメンタルヘルスリテラシーが向上し、予防的な文化が根づいていきます。

    メンタルヘルス対策なら心理面談サービス「KATAruru」がおすすめ

    ラインケア研修は、管理職が部下のメンタルヘルスを守り、職場環境を改善するために必要な知識とスキルを習得する重要な取り組みです。ただし、学んだ内容を組織に定着させ、継続的な効果を生み出すためには、総合的なサポート体制が欠かせません。

    パーソルビジネスプロセスデザインが提供する「KATAruru(かたるる)」は、企業のメンタルヘルス対策を総合的に支援するサービスです。ラインケア研修だけでなく、セルフケアやストレスチェック、相談窓口の設置など、組織のメンタルヘルス対策に必要な機能を一元的に提供しています。

    専門資格を持つ講師による実践的な研修プログラムに加え、研修後のフォローアップ体制も充実しているため、学んだ内容を確実に組織に定着させることが可能です。自社の課題に合わせたカスタマイズも可能で、業界特性や現場の声を反映した研修を実施できます。

    メンタルヘルス不調による離職・休職の防止、管理職のマネジメント力向上、職場全体の生産性向上を実現するために、今こそ「KATAruru(かたるる)」を活用したラインケア研修の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

    pwdbanner-service-KATAruru (3526)

    相談者、心理師共にアバターを通して相談や支援を行っていく全く新しい心理相談サービスです。


    関連サービス

    KATAruru

    KATAruru

    従業員の方が気軽に心理士に相談できる、双方向アバターを活用したメンタルヘルス支援サービスです。

    このページをシェアする

    • Xシェアボタン
    • Facebookシェアボタン
    • Linkedinシェアボタン