雇い入れ時健康診断とは?いつまでに実施?対象者や代用条件も解説

雇い入れ時健康診断とは?いつまでに実施?対象者や代用条件も解説

「雇い入れ時の健康診断には、どのような決まりがあるのだろうか」
「実施しなかった場合の問題点は?」

といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

雇用時の健康診断は、労働安全衛生規則第43条において「事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。」と定められており、事業主に義務付けられています。

そのため、雇い入れ時の健康診断では必要な項目や対象となる従業員をよく確認し、法的な要件を確実に満たさなければなりません。万が一、法的な要件を満たさないまま実施していたり、そもそも健康診断を未実施の場合は労働基準監督署による指導や労働安全衛生法に基づく罰則が科されることもあるため、注意が必要です。

本記事では、この『雇い入れ時の健康診断』について、人事労務担当者が迷いがちな「正しい対象者の見極め方」や「費用負担の原則」、「3ヶ月以内ルールの正しい解釈」など、おさえておくべき法令要件と実務のポイントを解説します。

【雇い入れ時健康診断で押さえるべきポイント】


対象者 常時使用する労働者。条件を満たすパート・アルバイトも対象
実施時期 入社前または入社後できるだけ速やかに実施
代用可否 入社日前3カ月以内の健康診断結果があり、法定11項目を満たす場合は代用可能
検査項目 法定11項目。雇い入れ時は原則省略不可
費用負担 法定健診の費用は企業負担が原則
未実施リスク 労働安全衛生法違反となり、50万円以下の罰金対象となる可能性あり

目次

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    雇い入れ時健康診断とは?雇用時健康診断・入社時健康診断との違い

    雇い入れ時健康診断とは、事業者が「常時使用する労働者」を採用する際に実施しなければならない法定の健康診断です。任意の福利厚生ではなく、労働安全衛生規則第43条によって企業に課された法的義務にあたります。


    そのため、この労働安全衛生規則に違反すると労働安全衛生法に違反する可能性があります。実施義務に違反した場合、労働安全衛生法第120条により50万円以下の罰金の対象となる可能性がありますので注意しましょう。

    (1) 雇用時健診・入社時健診とも呼ばれる

    法令上の正式名称は「雇入時の健康診断」ですが、実務では「雇用時健診」「入社時健康診断」「入社前健康診断」「雇用時検診」などさまざまな呼び方が使われています。企業の採用担当者は「入社前の健康診断」と呼び、医療機関の受付では「雇用時健診コース」と案内されることもあります。

    呼び方は違っても、「常時使用する労働者を雇い入れるときに、法定11項目について医師による健康診断を行わなければならない」という制度の中身は同一です。本記事では、以降「雇い入れ時健康診断」の表記で統一します。


    (2) 定期健康診断との基本的な違い

    雇い入れ時健康診断と定期健康診断は、実施目的・タイミング・項目の省略可否が異なります。

    比較項目 雇い入れ時健康診断 定期健康診断
    法的根拠 労働安全衛生規則第43条 労働安全衛生規則第44条
    実施時期 雇い入れの際 1年以内ごとに1回
    目的 入社時点の健康状態の把握(ベースライン測定) 継続的な健康変化の追跡
    項目の省略 不可(11項目すべて必須) 年齢・医師の判断により一部省略可能

    定期健康診断では40歳未満(35歳を除く)の労働者に対し、医師の判断で血液検査や心電図を省略できる場合があります。一方、雇い入れ時健康診断では20代の若年層であっても11項目すべてを実施しなければなりません。


    (3) 検査項目は全部で「11項目」

    雇い入れ時の健康診断における検査項目は、労働安全衛生規則第43条で定められており、「11項目」あります。

    定期健康診断の場合は、医師が必要でないと認める項目は省略することが可能ですが、雇い入れ時の健康診断においては検査項目の省略は認められていないため、以下の11項目すべてを満たす必要があります。

    1. 既往歴及び業務歴の調査
    2. 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
    3. 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
    4. 胸部エックス線検査
    5. 血圧の測定
    6. 貧血検査(赤血球数、血色素量)
    7. 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
    8. 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
    9. 血糖検査
    10. 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
    11. 心電図検査(安静時心電図検査)


    令和9年4月1日施行の法改正について

    令和9年(2027年)4月1日施行の省令改正(令和8年厚生労働省令第89号)により、雇い入れ時健康診断に以下の変更があります。

    検査項目の追加 長時間労働による慢性腎臓病リスクの把握を目的として、「血清クレアチニン検査」が追加され、健康診断個人票等では血清クレアチニン値に基づくeGFRを用いて腎機能を評価
    肝機能検査の酵素名変更 国際基準(IFCC勧告)に合わせ、GOT→AST、GPT→ALT、γ-GTP→γ-GT に名称が変更

    ※本記事の検査項目数・名称は改正前の内容で記載しています。施行日以降は上記の変更内容をご確認ください。また、令和9年4月1日以降の血清クレアチニン検査を含む改正後の取扱いは、最新の厚労省リーフレット・通達を確認してください。



    (4) 入社前・雇用時健康診断でも確認すべき項目

    入社予定者から提出された健康診断書が法定11項目を満たしているかどうかの確認は、企業側の責任で行う必要があります。

    診断書を受理した際にチェックすべき実務上の確認ポイントは以下の通りです。


    • 11項目すべての記載があるか(上記の対照表と突き合わせて確認)
    • 受診日が入社日から起算して3カ月以内か
    • 医師の記名があるか
    • 1000Hz・4000Hzの聴力検査が記載されているか
    • 会社指定の用紙がある場合、その用紙に記入されているか

    確認が不足したまま受理してしまうと、法的には雇い入れ時健康診断の義務を果たしたことにはならないため、注意が必要です。


    (5) 健康診断書の項目が足りない場合の対応

    提出された診断書に法定11項目のうち不足があると、その診断書だけでは義務を果たしたことにはなりません。ただし、すべてを受け直す必要はなく、不足項目のみを追加で受診してもらうことで対応できます。

    不足が発生する原因は次のような例が考えられます。


    • 前職の定期健康診断結果を提出したが、年齢により血液検査や心電図が省略されていた
    • 個人で受診した健康診断コースに腹囲測定や貧血検査が含まれていなかった
    • 聴力検査が簡易法(会話法)で実施されていた

    このような場合は、入社予定者に不足項目の追加受診を案内します。

    (6) 雇い入れ時健康診断の対象者は?

    雇い入れ時の健康診断は、新しく入社するすべての従業員に必ず実施しなければならないものではなく、法的には「常時使用する労働者」を雇い入れる際に実施するものです。

    対象となるかどうかは、雇用形態だけでなく、雇用継続の見込み・週所定労働時間・従事する業務内容によって判断します。以下の表で、対象者と注意点を整理しておきましょう。


    対象者の区分 雇い入れ時健診の要否 判断のポイント
    正社員 原則として必要 ・試用期間中であっても、継続雇用を前提としているため、通常は対象
    パート・アルバイト・契約社員 条件を満たせば必要 ・1年以上の雇用継続が見込まれ、かつ週所定労働時間が通常労働者の4分の3以上である場合は対象

    ※たとえば、正社員の週所定労働時間が40時間の場合、週30時間以上働く人が目安

    特定業務に常時従事する労働者 条件を満たせば必要 ・深夜業、著しく暑熱・寒冷な場所での業務、坑内業務などに常時従事し、6カ月以上の雇用が見込まれ、かつ週所定労働時間が通常労働者の4分の3以上である場合は対象
    週所定労働時間が通常労働者の2分の1以上4分の3未満の短時間労働者 実施が望ましい ・法的な実施義務まではない

    ・雇用期間の要件を満たす場合は、健康診断を実施することが望ましいとされている

    ・安全配慮義務の観点からも、前向きな実施検討を推奨
    1年以上の雇用継続が見込まれない短期雇用者 原則として不要 ・3カ月契約や6カ月契約で、更新予定がなく、1年以上勤務する見込みがない場合は、原則として対象外

    ・契約更新が予定されている、または実質的に1年以上の雇用継続が見込まれる場合は、対象となる可能性がある
    派遣社員 自社では原則不要 ・一般的な雇い入れ時健診は、雇用主である派遣元事業主が実施

    ・深夜業などの特定業務従事者健康診断も一般健康診断に含まれるため、原則として派遣元の実施義務

    ・有機溶剤業務や特定化学物質業務などに係る特殊健康診断は、派遣先に実施義務が生じる
    直近3カ月以内に健康診断を受診済みの従業員 既存の健診結果で代用できる場合あり ・入社前3カ月以内に医師による健康診断を受け、その結果を証明する書面を提出した場合は、雇い入れ時健診の法定項目に相当する部分について、受診に代えることができる

    ・不足項目がある場合は、その項目について追加受診が必要




    たとえば、正社員の週所定労働時間が40時間の場合、週30時間以上働くパート・アルバイトや契約社員で、かつ1年以上の雇用継続が見込まれる人は、雇い入れ時健診の対象になります。

    また、週所定労働時間が正社員の4分の3未満であっても、おおむね2分の1以上、つまり正社員が週40時間勤務であれば週20時間以上働く人については、雇用期間の要件を満たす場合、健康診断を実施することが望ましいとされています。

    一方で、パート・アルバイト・契約社員であっても、3カ月単位や半年単位の契約で、契約更新の予定がなく、1年以上勤務する見込みが明確でない場合は、原則として雇い入れ時健診の実施義務の対象外です。ただし、当初から契約更新が予定されている場合や、実態として1年以上の継続雇用が見込まれる場合は、短期契約であっても対象となる可能性があるため注意しましょう。

    なお、深夜業、著しく暑熱・寒冷な場所での業務、坑内業務などに常時従事する労働者については、雇い入れ時だけでなく、その後の健康診断についても通常の労働者とは異なる管理が必要になります。また、有機溶剤業務、特定化学物質業務、石綿業務などに従事する場合は、特殊健康診断の対象となることがあるため、一般健康診断とは別制度として確認しておきましょう。

    (7) 雇い入れ時健康診断の「費用負担」はどのように考えるべきか

    雇い入れ時の健康診断の「費用負担」については、労働安全衛生規則や労働安全衛生法の条文内には直接的に示されていません。しかし厚生労働省は、「労働安全衛生法等で事業者に義務付けられている健康診断の費用は、法により、事業者に健康診断の実施が義務付けられている以上、当然に事業者が負担すべきものとされています。」と示しています。

    そのため、原則として「企業が負担すべき」というのが現在の法解釈および実務の標準的な考え方となるでしょう。


    ただし、労働安全衛生規則の規定により、受診の代替として『入社前(直近3カ月以内)に受診した健康診断の結果を提出した』場合については、企業で再度実施する義務はなく、新たな費用負担は発生しません。

    そのため企業によっては、入社予定者に対し「3カ月以内の診断書の提出」を促すケースも見られます。しかし、受診を求めながら費用を負担しないといった運用を就業規則で定めたとしても、行政指導の対象となるリスクがあります。トラブルを防ぐためにも、以下の点に留意して規定を整備しましょう。


    • 雇い入れ時の健康診断は原則、企業の負担となる
    • 従業員自身で入社日前3カ月以内に受診し、第43条の相当項目を満たす結果証明書を提出した場合は、診断書を提出することで代用できる
    • 入社後に自社が定めた健診機関等で新たに受診する場合に備え、適切な精算フローを整備しておく


    (8) 入社前の健康診断をどこで行うべきなのかは決まっていない

    労働安全衛生規則第43条には、入社前の健康診断を「どこで行うのか」について決まりはありません。

    入社予定の従業員が個人予約で病院を受診することや、会社が指定した病院で健康診断を受けてもらうことも可能です。

    実務の観点からは、企業側で医療機関を指定しておくほうがスムーズです。受診先が分散すると、記載漏れや結果証明書のフォーマット差異など、回収後の照合業務に手間がかかりがちです。

    また、受診される方にとっても、自分で病院を探して予約する負担がなくなり、検査項目の過不足を心配する必要もなくなります。

    企業側が特定の医療機関を指定し、あらかじめ自社の要件に合わせた検査コースを設定しておくことで、項目の漏れを防ぎつつ、請求書払いによる経理処理の簡素化も図ることができます。


    (9) 雇い入れ時健康診断の「実施時期」はいつまで?

    雇い入れ時の健康診断は、入社の直前または直後に速やかに実施することが望ましいとされています。

    雇い入れ時健康診断は、入社時点の健康状態を把握し、適正な配置や入職後の健康管理に資するためのものですので、入社から間を空けずに実施することが求められます。

    なお、労働安全衛生規則第43条のただし書きには「医師による健康診断を受けた後、三月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは(中略)この限りでない」とあります。

    この「3カ月」は、入社日から起算して過去3カ月以内に受診済みの健康診断の結果証明書を提出した場合に限り、該当する検査項目の受診を省略できるという代用の特例を定めたものです。

    実務上は、入社前(内定期間中)に受診してもらうか、入社後できるだけ速やかに実施する段取りを組むことが重要です。

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    入社前・入社後の健康診断は雇い入れ時健康診断として使える?

    前項で説明した条件を満たせば、入社前・入社後どちらのタイミングで受診した健康診断であっても、雇い入れ時健康診断として取り扱うことが可能です。ただし、入社前後それぞれにメリットと注意点があるため、自社の採用フローに合わせた運用設計が求められます。また、入社後に実施する場合は、雇入れ後できるだけ速やかに実施することが必要です。

    入社前・入社後どちらで実施する?使える条件と注意点

    入社前(内定期間中)の実施が合理的な選択肢になりやすいですが、入社後の早期実施でも法的には問題ありません。 重要なのは、どちらのタイミングであっても法定11項目を漏れなく実施することです。

    実施タイミング メリット 注意点
    入社前 入社日までに結果を回収でき、配属判断に活用可能。項目不足があっても追加受診の時間的余裕がある 内定辞退時に費用が無駄になるリスクがある
    入社後 内定から入社まで日数が短い場合にも対応できる。会社指定の医療機関で一括実施しやすい 結果が出るまで配属先が確定しない場合がある。業務開始が遅れる可能性がある

     

    たとえば、新卒採用で内定から入社まで数カ月の猶予がある場合は、入社前に受診してもらうのが効率的です。一方、中途採用で内定から数日で入社するケースでは、入社後速やかに実施する運用が現実的でしょう。

    企業担当者が入社予定者に案内すべきこと

    入社予定者に健康診断を案内する際は、受診に必要な情報を漏れなく伝えることが、項目不足や費用トラブルを防ぐ最善策です。 以下のチェックリストを案内文に含めることを推奨します。

    【健康診断案内チェックリスト】


    受診期限 いつまでに受診し、結果をいつまでに提出すべきか
    受診場所 会社指定の医療機関があるか、任意でよいか
    検査項目 法定11項目のリスト(一覧表を添付するのが望ましい)
    会社指定用紙の有無 専用フォーマットがある場合は同封
    費用の精算方法 会社負担か立替精算か、領収書の宛名はどうするか
    持ち物 健康保険証(本人確認用)、会社指定用紙、眼鏡やコンタクト
    問い合わせ先 不明点がある場合の連絡先

    このリストを案内文に組み込んでおくだけで、「領収書の宛名が違って精算できない」「血液検査が入っておらず再受診になった」といったトラブルを減らすことができます。

    3カ月以内の健康診断結果で代用できる?定期健康診断との違いも解説

    入社日から起算して過去3カ月以内に受診した健康診断の結果がある場合、その結果に含まれる法定11項目に相当する項目については、雇い入れ時の受診を省略することが可能です。 ただし、「3カ月以内なら何もしなくてよい」わけではなく、あくまで「相当する項目」のみが対象となる点に注意が必要です。

    以下では、代用できる条件、期限超過時の対応、混同しやすいケースを順に整理していきます。


    3カ月以内で代用できる条件と、3カ月を過ぎた場合の考え方

    代用が認められるためには、以下3つの条件をすべて満たす必要があります。


    1. 受診日が入社日から起算して過去3カ月以内であること
    2. 結果証明書を本人が提出すること
    3. 法定11項目に相当する項目が含まれていること

    ただし、提出された診断書に心電図検査や貧血検査の結果が含まれていなければ、その不足項目については別途受診が必要となります。

    3カ月を過ぎた場合は、既存の健診結果による代用は認められず、原則として全11項目を新たに受診し直す必要がありますので、提出された診断書の受診日は必ず正確に確認しましょう。


    「6カ月以内」と混同しやすいケース

    「健康診断は6カ月以内の結果で代用できる」と混同するケースがありますが、雇い入れ時健康診断の代用条件はあくまで「3カ月以内」です。「6カ月」という数字は、別の制度に由来するもので、いずれも雇い入れ時健康診断とは異なる制度です。

    特定業務従事者健康診断(安衛則第45条) 深夜業などの特定業務に従事する労働者は、6カ月以内ごとに1回定期的に健康診断を受ける必要がある
    海外派遣労働者健康診断(安衛則第45条の2) 6カ月以上海外に派遣する労働者に対して、派遣前・帰国後に健康診断を実施する



    会社の定期健康診断と時期が近い場合の考え方

    定期健康診断が予定されているだけでは、雇い入れ時健康診断を省略することはできません。ただし、雇入れ直前・直後に、第43条の全項目を満たす健康診断として実施する場合は、実務上兼ねる運用が可能です。

    たとえば、4月に中途入社した社員がいて、5月に全社の定期健康診断が予定されているケースを考えます。「来月すぐに定期健診があるから、入社時は不要だろう」と判断するのは法令違反となるリスクがあります。


    正しい運用は、入社時に法定11項目をすべて含む健康診断を受けさせ、その結果を定期健康診断の記録としても兼用する方法です。労働安全衛生規則第44条第3項では、雇い入れ時健康診断を受けた者については、その実施日から1年間は定期健康診断の相当項目を省略できると規定されています。


    雇い入れ時の健康診断を実施するうえでの5つの注意点

    続いて、雇い入れ時の健康診断で注意すべき点を5つ挙げて解説していきます。


    注意点(1)入社予定の従業員の「労働時間」と「契約期間」の把握

    採用決定の段階で、入社予定の従業員の「労働時間」と「契約期間」を把握するようにしましょう。入社段階で健康診断の要・不要を判断できなければ、その段取りが出来なくなります。

    うっかり未受診のまま従業員を放置してしまうことにもなりかねません。必ず、内定を出した段階で健康診断の要・不要を判断しておくようにしましょう。

    注意点(2)入社前の健康診断の費用は内定段階で確保しておく

    入社前の健康診断の費用は、内定段階で確保しておくようにしましょう。

    健康診断は自費診療扱いとなり、保険診療とは領収書の形式や請求フローが異なります。また、複数人分の一括請求や、領収書の宛名(会社宛か個人宛か)の確認作業が発生することもあるため、速やかに対応できるようにしておきましょう。



    注意点(3)他の業務に影響が出ないように段取りを行う

    健康診断業務は、病院の予約などを含め様々な業務が発生します。予約・案内・結果回収など複数の事務作業が発生するため、他の業務に影響が出ないよう段取りを行うようにしましょう。

    たとえば「給与計算や重要な決裁がある日には健康診断業務を入れない」といった時間配分だけでなく、日程の調整などにも気を配っておく必要があるでしょう。

    注意点(4)運用次第では「就職差別」になってしまう可能性がある

    採用前に雇い入れ時健康診断を実施し、業務における適性とは関係ない疾病を把握しようとする行為は、「就職差別」にあたる可能性があります。

    平成5年5月10日に労働省職業安定局から発出された事務連絡『採用選考時の健康診断について』では、雇い入れ時健康診断は「応募者の採否のために実施するものではない」とされています。


    雇い入れ時健康診断の目的はあくまで「適正配置と入職後の健康管理」です。異常所見がある場合は、産業医等の意見を聴取し、就業場所や業務内容の変更といった合理的な配慮を検討する義務があります。

    業務上の適性と紐づけずに健康診断結果を採否に利用することは避けなければなりません。

    注意点(5)健康診断で異常が発見されたら指導を実施する

    雇い入れ時の健康診断で異常が発見された場合には、労働安全衛生法第66条の7を根拠として、企業には医師または保健師による指導を実施するよう努める義務が発生します。

    法律で定められた企業の努力義務であるため、速やかな指導の実施を検討しましょう。

    労働基準監督官が厳しくチェックするのは健康診断の未受診

    雇い入れ時の健康診断が未受診の状態を放置するのは、会社として適切な状態とはいえません。

    正しく実施し、記録・事後措置を行うことで、法令違反リスクを低減できます
    。受診案内や実施を失念しないためにも担当者がとるべき対応のポイントとして、以下の2点は押さえておきましょう。

    雇用期間と所定労働時間の確認

    雇い入れ時の健康診断は、雇用形態や採用方式によって対象者が変わる点は「雇い入れ時健康診断の対象者は?」で記述した通りです。

    特に非正規雇用の従業員を迎え入れる際には、「雇用期間」と「所定労働時間」を確認して、雇い入れ時健康診断の対象となるのかどうかを見落とさないようにしましょう。


    検査項目の漏れがないかを確認

    入社前3カ月以内の健康診断結果の提出を受ける場合は、前述したように法定11項目を満たしているか確認しましょう。

    もし不足している項目があるようなら、追加で不足分の検査を実施してもらうよう促す必要があります。

    雇い入れ後の定期健康診断をスムーズに実施する方法

    雇い入れ時の健康診断が終わったら、次は「定期健康診断」を実施する必要があります。定期健康診断は年に1回以上必ず実施する義務がありますが、入社時の健康診断を受診している場合、その実施日から1年間は、定期健康診断の相当項目を省略できます。

    また、「特定の業務」に就く従業員に対しては健康診断の実施時期が異なってくるため、時期に注意して実施漏れがないようにしましょう。「特定の業務」とその時期の例としては下記の通りです。

      • 労働安全衛生規則第13条第1項第3号に掲げられている業務に従事する従業員

        →配置換え時および6カ月以内ごとに1回の健康診断

      • 6カ月以上の海外赴任が決まっている従業員

      →派遣の際と帰国後に復職する際に健康診断の実施


    雇い入れ後も従業員が従事する職務等を踏まえたうえで、しっかりと健康診断を実施していきましょう。

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