【健康診断】会社の負担はどこまで?対象範囲・自己負担・費用を解説

【健康診断】会社の負担はどこまで?対象範囲・自己負担・費用を解説

健康診断は、労働者の健康を確保するため、事業者に実施が義務付けられている重要な制度です。

労働安全衛生法等で事業者に実施が義務付けられている健康診断の費用は、原則として会社が負担します。ただし、本人が希望するオプション検査や人間ドックの追加項目、一般健康診断後の再検査などは、一律に会社負担となるわけではありません。

そこで本記事では、健康診断で企業や組織がどこまで費用を負担するのかを、人事・労務担当者向けに分かりやすく解説します。



目次

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    費用の種類 原則
    法定健康診断 会社負担
    本人希望のオプション検査 自己負担または会社補助
    人間ドックの追加費用 自己負担または会社・健保の補助
    一般健診後の再検査・精密検査 検査の性質や社内制度による
    特殊健康診断 事業者負担
    受診時間の賃金 一般健診と特殊健診で異なる
    指定外医療機関の費用 法定項目、事前承認、社内規程を確認

    ※従業員の方は、ご自身の負担額について社内規程や会社の健診案内を必ずご確認ください。

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    【総論】健康診断は事業者の法的義務|罰則・記録保存・事後措置の全体像

    健康診断には、「実施義務」だけでなく、次のような事後対応があります。

    • 対象者の管理
    • 健康診断結果の本人通知
    • 健康診断個人票の作成・保存
    • 異常所見者についての医師等からの意見聴取
    • 必要に応じた就業上の措置
    • 保健指導や再検査・精密検査の受診勧奨
    • 対象事業場における労基署への結果報告

    事業者が労働安全衛生法第66条第1項から第3項までに基づく健康診断を実施しない場合は、同法第120条により、50万円以下の罰金の対象となる可能性があります。

    一般健康診断の健康診断個人票は、原則として5年間保存します。特殊健康診断等については、業務の種類により5年、30年、40年など保存期間が異なります。

    健診は「受けさせれば終わり」ではありません。対象者管理、結果通知、保存、医師等の意見聴取、就業上の措置までを一連の業務として管理することが重要です。実務で漏れやすいタスクをSTEP別に整理しておくと、法令対応が安定します。



    【種類】健康診断の種類と時期

    健康診断には、大きく「一般健康診断」と「特殊健康診断」があります。

    一般健康診断の種類・時期・対象者

    健康診断の種類 タイミング 主な対象者
    雇入時の健康診断 常時使用する労働者を雇い入れるとき 対象条件を満たす労働者
    定期健康診断 1年以内ごとに1回 常時使用する労働者
    特定業務従事者の健康診断 配置替え時および6か月以内ごとに1回 深夜業など特定業務に常時従事する労働者
    海外派遣労働者健康診断 海外派遣前および帰国後に国内業務へ就かせるとき 6か月以上海外へ派遣する労働者
    給食従業員の検便 雇入れ時・配置替え時 事業に付属する食堂等で給食業務に従事する労働者

    名称の似た次の健診は、それぞれ別の制度です。

    • 特定健康診査:医療保険者が原則として40歳から74歳までの加入者に実施する、生活習慣病予防を目的とした健康診査
    • 特定業務従事者の健康診断:深夜業などの対象者へ事業者が行う一般健康診断
    • 特殊健康診断:有機溶剤や鉛など、有害業務ごとの法令に基づく健診

    これらは目的、対象者、実施主体が異なります。社内案内や対象者マスタでは、名称を省略せずに管理すると誤認を防ぎやすくなります。

    従業員は、それぞれ健康診断を受ける際の条件が違うため、事前に確認しておきましょう。

    【2027年4月施行】一般健康診断の検査項目が変更

    2027年4月1日から、雇入時健康診断、定期健康診断、特定業務従事者の健康診断、海外派遣労働者健康診断などの項目が一部変更されます。

    主な変更点は次のとおりです。

    • 血清クレアチニン検査を追加
    • 定期健康診断等の喀痰検査を削除
    • 肝機能検査の名称をGOTからAST、GPTからALT、γ-GTPからγ-GTへ変更
    • 健康診断個人票・結果報告様式も変更

    血清クレアチニン検査は、雇入時の健康診断では省略基準が設けられていないため、原則として実施が必要です。一方で、定期健康診断および特定業務従事者の健康診断では、40歳未満の労働者について、医師が必要でないと認める場合に省略できます。

    2027年度の健診契約や検査コースを設計する際は、健診機関へ対応状況を確認しておきましょう。

     

    特殊健康診断の種類・時期・費用負担

    特殊健康診断は、一定の有害業務に従事する労働者へ実施する健康診断です。特殊健康診断は、業務の遂行に関連して実施するものであるため、費用は事業者が負担します。また、受診に要する時間は労働時間となり、法定労働時間外に実施した場合は、割増賃金の支払いが必要です。

    対象となる有害業務 主なタイミング
    高気圧業務、放射線業務、特定化学物質業務、石綿業務、鉛業務、四アルキル鉛業務、有機溶剤業務など 雇入れ時、配置替え時、6か月以内ごとに1回など。業務により例外あり
    常時粉じん作業に係るじん肺健康診断 管理区分や従事状況等に応じて1年または3年以内ごとなど


    特殊健康診断は、対象業務によって検査項目、実施時期、離職後健診の有無、記録の保存期間、報告様式が異なります。単純に「すべて6か月に1回」と整理せず、対象業務ごとの法令を確認してください。

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    【対象者】健康診断の対象者はどこまで?|正社員・パート・派遣・役員・家族の扱い

    健康診断の費用を会社が負担すべき対象者は、「正社員かどうか」という呼称だけでは判断できません。

    【健康診断の対象者 判定早見表】

    対象者区分 会社負担の原則 判断ポイント
    正社員 〇 対象 常時使用する労働者に該当するか
    パート・アルバイト・契約社員 △ 条件次第 契約期間と週所定労働時間
    派遣社員(一般健診) 〇派遣元が負担 雇用契約先が派遣元
    派遣社員(特殊健診) 〇派遣先が負担 有害業務の実施場所(派遣先)
    役員 △ 労働者性で判断 実態としての「労働者性」の有無
    家族・配偶者 ✕ 対象外 会社との労働契約の有無


    対象(1)原則として、常時使用する正社員は対象

    常時使用する労働者に該当する正社員は、原則として会社が実施・負担する法定健康診断の対象となります。

    ただし、休職中、長期療養中、出向中などについては、就労実態や雇用関係、健康状態によって対応が異なることがあります。肩書きだけで機械的に判断せず、個別の状況を確認しましょう。

    また、会社が負担すべきなのは、法令上必要となる健康診断の費用です。本人が希望する任意のオプション検査まで、当然に会社負担となるわけではありません。

    対象(2)パート・アルバイト・契約社員は条件次第で対象

    パートタイム労働者やアルバイト、契約社員も、次の両方を満たす場合は、一般健康診断の対象となります。

    1. 期間の定めのない労働契約により使用される者、または期間の定めのある労働契約で、契約更新により1年以上使用されることが予定されている者もしくは1年以上引き続き使用されている
    2. 1週間の所定労働時間数が、同じ事業場で同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上である

    上記1の要件を満たし、1週間の所定労働時間数が通常の労働者のおおむね2分の1以上4分の3未満である場合も、一般健康診断を実施することが望ましいとされています。

    特定業務従事者については、契約期間の基準が原則1年ではなく6か月となります。ただし、短時間労働者については、労働時間の要件も含めて判断する必要があります。

    一方、有害業務に従事する労働者に対する特殊健康診断は、一般健康診断とは別の法令に基づきます。雇用形態や労働時間だけを理由に対象外と判断せず、従事する業務ごとの法令を確認してください。

    対象(3)派遣社員は一般健診と特殊健診で負担する企業が異なる

    健康診断 実施・費用負担
    雇入時健康診断、定期健康診断などの一般健康診断 派遣元
    派遣先の有害業務に伴う特殊健康診断 派遣先

    一般健康診断は、派遣労働者と雇用契約を結ぶ派遣元が実施します。費用も派遣元が負担するのが原則です。一方、有機溶剤、鉛、石綿、放射線など、派遣先の有害業務に伴う特殊健康診断は、派遣先が実施します。

    健康診断後は、就業上の措置を適切に行うため、派遣元と派遣先の連携が必要です。ただし、健康情報は要配慮個人情報に該当するため、共有する目的と範囲を必要最小限に限定しなければなりません。

    なお、深夜業などの「特定業務従事者の健康診断」は一般健康診断に含まれ、特殊健康診断とは別の制度です。派遣労働者の場合、特定業務従事者の健康診断は原則として派遣元が担当します。

    対象(4)役員の場合は労働者性で判断

    役員が健康診断の対象になるかどうかは、役職名ではなく、実態として労働者に該当するかで判断します。事業主としての立場に専念する代表取締役などは、原則として労働安全衛生法上の「労働者」には該当しません。

    一方、取締役であっても、工場長や営業部長などを兼務し、会社の指揮命令下で労務を提供し、その対価として賃金を受けている実態があれば、労働者性が認められる可能性があります。

    判断に迷う場合は、職務権限、勤務実態、報酬の性質などを整理したうえで、社会保険労務士や所轄労働基準監督署へ確認しましょう。


    対象(5)従業員の家族は対象外

    従業員の家族や配偶者は、会社との労働契約がなければ、会社が実施する法定健康診断の対象外です。ただし、加入している健康保険組合や協会けんぽの特定健診、自治体のがん検診、会社独自の福利厚生制度を利用できる場合があります。

    「会社の健康診断の対象外」とだけ案内するのではなく、利用可能な健保制度や自治体制度を併せて案内するとよいでしょう。


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    【費用】健康診断費用の会社負担・自己負担はどこまで?|法定項目・オプション・人間ドック・再検査

    健康診断費用を整理する際は、次の2つを分けて考える必要があります。

    1. 法令上、事業者に実施が義務付けられている健康診断
    2. 福利厚生として会社が任意に補助する検査

    費用(1)会社負担・自己負担・会社補助の早見表

    まずは全体像を早見表で確認しましょう。

    費用の種類 原則的な考え方 会社で決めておく事項
    法定健診項目 会社負担 指定医療機関、契約コース、精算方法
    本人希望のオプション 自己負担または会社補助 補助対象項目、補助上限
    人間ドックの追加分 自己負担または会社補助 対象年齢、補助額、利用条件
    指定外医療機関の費用 法定項目の費用負担原則を踏まえて規程化 事前承認、精算範囲、法定項目の確認
    一般健診後の再検査 一律の会社負担義務はない 受診勧奨、会社補助、労災二次健診の案内
    特殊健診 会社負担 実施主体、受診時間、賃金計算

    健康診断の種類

    費用(2)法定健診項目の費用は原則として会社が負担する

    労働安全衛生法等で事業者に実施が義務付けられている健康診断の費用は、当然に事業者が負担すべきものとされています。

    定期健康診断では、胸部エックス線、血圧測定、尿検査、血液検査、心電図検査などが法定項目に含まれます。

    ただし、定期健康診断の一部項目は、法令上の省略基準に該当し、医師が必要でないと認めた場合に限って省略できます。会社や健診担当者が一律に省略することはできません。

    法定項目の必要費用を最終的に従業員負担とする運用は、厚生労働省が示す事業者負担の原則に沿って見直す必要があります。

     

    費用(3)健康診断は原則として保険診療の対象外

    健康診断は、疾病の治療を目的とするものではないため、通常は健康保険を使う保険診療ではありません。ただし、協会けんぽや健康保険組合が行う健診補助を利用できる場合があります。保険診療ではないことと、保険者による健診費用の補助があることは区別して考えましょう。

    また、健診後に異常が見つかり、医師が診断や治療のために必要と判断して行う検査は、保険診療の対象となる場合があります。窓口負担割合は、加入制度や年齢等によって異なるため、「再検査は必ず3割負担」と一律に案内しないよう注意してください。

    費用(4)健康診断費用の会社負担上限を定める際の注意点

    疾病の診断・治療を目的としない健康診断は、原則として健康保険による保険診療の対象外であり、医療機関、地域、検査項目、巡回健診の有無などによって費用が異なります。

    そのため、会社指定の医療機関や標準コースを設け、指定外医療機関を利用する場合の精算方法や事前承認手続きを定めておくことは有効です。

    ただし、「上限を超えた分はすべて本人負担」とすることで、結果的に法定健康診断に必要な費用まで従業員負担となる運用は避けなければなりません。

    上限額を設定する場合は、次の点を分けて規定しましょう。

    • 法定健康診断の実施に必要な費用
    • 指定外医療機関を本人都合で選択した場合の差額
    • 任意オプション検査への福利厚生補助
    • 人間ドックへの任意補助

    費用(5)オプション検査・人間ドック・再検査の費用負担

    検査 主な考え方
    本人希望のオプション検査 自己負担または会社の福利厚生補助
    人間ドック 法定健診として利用する場合は法定項目を満たすことを確認し、追加部分は社内制度による
    一般健診後の再検査・精密検査 一律の会社負担義務はない
    会社・産業医が就業判断のため求める検査 必要性・指示主体を整理し、会社負担を検討
    特殊健康診断で法令上必要な追加検査 事業者負担

    一般健康診断後の再検査や精密検査は、一律に事業者へ実施義務が課されているものではありません。

    ただし、特殊健康診断では、対象業務の法令により追加検査が事業者の実施義務となる場合があります。「再検査はすべて本人負担」と一括して扱わないようにしましょう。

     

    費用(6)協会けんぽの健診補助(2026年度)

    2026年度から、協会けんぽの健診制度が拡充されました。

    健診メニュー 対象 2026年度の補助・自己負担
    一般健診 35~74歳の被保険者 自己負担額は最高5,500円
    人間ドック健診 35~74歳の被保険者 協会けんぽが最高25,000円補助
    一般健診(若年) 20歳、25歳、30歳の被保険者 自己負担額は最高2,500円
    節目健診 40~70歳の5歳刻みの被保険者 自己負担額は最高8,280円
    骨粗しょう症検診 一般健診・節目健診を受ける40~74歳の偶数年齢の女性被保険者 自己負担額は最高1,390円
    特定健診 40~74歳の被扶養者 最高7,150円補助

    ※年齢判定日は健診メニューにより異なります。被保険者向け生活習慣病予防健診等は協会けんぽの令和8年度対象者年齢一覧表、被扶養者の特定健診は受診券・年度案内で確認してください。

    協会けんぽの人間ドック健診は、35~74歳の被保険者が対象で、最高25,000円の補助を受けられます。ただし、実際の自己負担額や受診可能なコースは健診機関によって異なります。

    また、協会けんぽの健診費用補助は、原則として年度内に1人1回です。人間ドック健診と一般健診、節目健診、各種オプション検査の併用可否は、受診する健診機関と協会けんぽの最新案内を確認してください。

    被扶養者への新しい健診メニューの拡大は、2027年度から案内されています。2026年度の被扶養者は、従来どおり特定健診が中心です。

    なお、協会けんぽの補助があることによって、会社の法定健康診断実施義務や費用負担の原則がなくなるわけではありません。

    協会けんぽ等の補助を利用する場合も、補助適用後の費用を法定健診相当部分と任意追加部分に分け、会社負担と本人負担を整理します。具体的な精算手順は次章「健康診断費用の支払方法」で解説します。


    【支払方法】健康診断費用の支払方法|会社請求・立替精算・領収書の扱い

    健康診断の負担区分を決めたら、請求・精算方法も整備します。

    主な方法は、医療機関から会社への直接請求と、従業員による立替精算です。法令で一律の支払方法が定められているわけではないため、自社の拠点数や利用する医療機関、経理体制に合わせて設計します。

    支払方法にかかわらず、次の事項を社内ルールとして明確にしておきましょう。

    • 会社指定の医療機関・健診コース
    • 会社が負担する費用の範囲
    • 事前承認の要否
    • 精算期限と必要書類

    支払(1)会社から医療機関へ直接支払う場合

    会社が健診機関と契約し、受診費用をまとめて請求してもらう方法です。従業員の立替負担をなくせる一方、複数の健診機関を利用する場合は、受診実績と請求内容の突合が必要になります。

    請求書では、受診者名、受診日、健診コース、健保補助額、会社負担額、本人負担額を確認します。基本健診とオプション検査を区分できるよう、契約時に明細の記載方法も確認しておきましょう。

    本人負担のオプション検査がある場合は、会社負担分を会社へ請求し、本人負担分を受診日に本人が支払う方法にすると整理しやすくなります。複数拠点・複数医療機関の請求処理が負担となる場合は、一括請求に対応する外部サービスの利用も選択肢です。

    支払(2)従業員が立て替えて後日精算する場合

    地方拠点や指定外医療機関での受診、雇入時健康診断などでは、従業員が費用を立て替え、後日会社へ精算を申請する場合があります。

    立替精算では、指定外医療機関を利用できる条件、事前承認、会社が精算する範囲、申請期限、必要書類を明確にします。法定健診とオプション検査を区分するため、領収書に加えて費用明細書の提出を求めると確認しやすくなります。

    また、健診結果票には健康情報が含まれるため、費用精算に必要な書類と提出先を分けることが望まれます。

    • 領収書・費用明細書:経理部門
    • 健診結果票:健康情報を取り扱う権限を付与された人事労務部門・健康管理部門など

    経理部門への提出書類は、原則として受診日、医療機関名、支払額、費用内訳など、精算に必要な情報に限定します。

    領収書を紛失した場合は、自社の経費規程に従い、医療機関の再発行書類や支払証明書などで代替できるかを確認します。

    支払(3)会社負担分と本人負担分が混在する場合

    法定健康診断とオプション検査を同日に受診する場合は、次の順に費用を整理します。

    1. 健診費用の総額と健保補助額を確認する
    2. 補助適用後の費用を、法定健診相当部分と任意追加部分に分ける
    3. 法定健診に必要な部分を会社負担とする
    4. 任意追加部分を、会社の任意補助と本人負担に分ける

    人間ドックに法定健診項目が含まれている場合は、健保補助後の残額をすべて本人負担とせず、法定健診相当部分が含まれていないか確認してください。

    会社が本人負担分を一時的に立て替え、後日給与から控除する場合は、労働基準法第24条の賃金全額払いの原則を踏まえ、法定控除以外の控除に必要な書面による労使協定の有無、控除対象が事理明白なものであること、本人による検査の申込みまたは明確な意思確認、控除額・控除時期の事前案内を確認してください。


    具体的な運用は、必要に応じて社会保険労務士等へ確認しましょう。

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    【報告義務】健康診断結果報告書の提出|50人以上事業場・電子申請

    報告(1)報告義務の基本ルール

    常時50人以上の労働者を使用する事業者が定期健康診断を行ったときは、遅滞なく所轄労働基準監督署長へ報告書を提出します。(労働安全衛生規則第52条)

    判定の流れは次のとおりです。

    1. その事業場は「常時50人以上」の労働者を使用しているか? → Yes
    2. 定期健康診断を実施したか? → Yes
    3. 遅滞なく所轄労働基準監督署長へ報告

    報告(2)判断単位は「会社全体」ではなく「事業場単位」

    例えば、全社100人の会社でも、「拠点ごとに独立した事業場と扱われる場合」は、いずれも50人未満のため、原則として報告義務は生じません。

    事業場 人数 報告義務
    本社 40人 原則 不要
    A支店 30人 原則 不要
    B支店 30人 原則 不要
    合計 100人

    ※所在地が分かれていれば必ず別事業場になるわけではありません。組織上・管理上の独立性などを踏まえて判断する必要があります。

    報告(3)数の数え方(派遣労働者に注意)

    事業場規模を算定する際の「常時使用する労働者」には、正社員だけでなく、常態として使用されるパートタイム労働者や、派遣先で就業する派遣労働者も含まれます。

    派遣中の労働者は、原則として、派遣先と派遣元の双方で事業場規模の算定人数に含めます。

     一方、定期健康診断結果報告書では、「在籍労働者数」と「受診労働者数」を区別します。

    在籍労働者数

    健診年月日現在の常時使用する労働者数

    受診労働者数

    定期健康診断を実際に受診した労働者数

    そのため、両者は必ずしも一致しません。

    派遣労働者の一般健康診断は、原則として派遣元が実施・報告します。派遣元は、常時使用する派遣労働者を「在籍労働者数」に含め、実際に受診した派遣労働者を「受診労働者数」に含めます。

    派遣先では、派遣労働者を安全衛生管理体制等に係る事業場規模の算定人数に含めます。しかし前述の通り、派遣労働者の一般健康診断は原則として派遣元が実施・報告します。

    そのため、派遣先の定期健康診断結果報告書への人数算入については、派遣先が実施した健康診断の対象範囲を踏まえ、所轄労働基準監督署の取り扱いを確認しましょう。

    対象労働者 事業場規模の算定 一般健診の報告書
    正社員 在籍者・受診者に算入
    パートタイム労働者 ○ 常態として使用する場合 対象条件を満たす者・実際の受診者を算入
    派遣労働者(派遣元) 在籍者・実際の受診者に算入
    派遣労働者(派遣先) × 原則として算入しない

    なお、派遣先の有害業務に伴う特殊健康診断については、原則として派遣先が実施・報告します。

    報告(4)特殊健康診断・歯科健康診断は別扱い

    特殊健康診断や有害業務に係る歯科健康診断には、定期健康診断結果報告書とは別の様式や報告要件があります。

    特殊健康診断については、事業場の人数にかかわらず結果報告が必要となるものがあるため、対象業務ごとの法令を確認してください。

     

    健康診断の種類ごとの報告要件

    健康診断の種類 報告様式 報告要件
    定期健康診断 定期健康診断結果報告書 常時50人以上の事業場
    特殊健康診断 特殊健康診断結果報告書 人数にかかわらず報告が必要なものがある
    有害業務に係る歯科健康診断 専用の様式 対象業務ごとの法令を確認

    報告(5)2025年1月からの電子申請義務化

    2025年1月1日から、定期健康診断結果報告を含む一部の労働安全衛生関係手続きは、原則として電子申請が必要です。

    ただし、電子申請を行う端末を所有していないなど、電子申請を行う環境が整っていない場合には、経過措置として、当分の間、必要事項を記載した書面による報告が認められる場合があります。書面提出を行う場合は、事前に所轄労働基準監督署へ確認してください。

    【FAQ】健康診断費用に関してよくある質問

    Q1. 従業員が健康診断を受ける機関を指定した場合の費用負担は?

    会社と契約していない医療機関を従業員が希望した場合、いったん従業員が立て替え、後日精算する運用が考えられます。

    会社が指定外医療機関での受診を指示・承認した場合は、法定項目に必要な合理的費用を会社負担とする運用が適切です。社内規程には、次の事項を定めておきましょう。

    • 指定外医療機関を利用できる条件
    • 事前承認の要否
    • 必要な法定検査項目
    • 領収証・健診結果の提出方法
    • 任意オプションや高額コースとの差額
    • 精算期限

    会社指定医療機関へ通院することが著しく困難な地域に居住する従業員などについては、合理的な代替受診手段も用意しておくことが望まれます。

    Q2. 健康診断中の給与の扱いはどうなる?

    一般健康診断の受診時間については、賃金を支払うかどうかを労使間の協議で定めることとされています。ただし、円滑な受診のため、受診時間の賃金を事業者が支払うことが望ましいとされています。

    そのため、「一般健康診断は必ず無給」と断定するのは適切ではありません。就業規則、賃金規程、労使慣行、会社からの具体的な指示内容を確認しましょう。

    一方、特殊健康診断の受診に要する時間は労働時間であり、賃金の支払いが必要です。法定労働時間外に実施した場合は、割増賃金も必要になります。

    Q3. 人間ドックやオプション検査を希望された場合の費用負担はどうすべき?

    本人が希望するオプション検査や、人間ドックの法定項目を超える部分については、会社に一律の費用負担義務はありません。

    人間ドックを法定健康診断の代わりに利用する場合は、法定検査項目を満たしていることを確認したうえで、次のように費用を分けて整理します。

    • 法定健康診断相当部分
    • 健保・協会けんぽの補助部分
    • 会社独自の人間ドック補助
    • 本人希望の追加検査部分

    「人間ドックはすべて本人負担」「法定健診相当額だけを必ず定額で会社が支払う」と一律に決めつけず、利用するコース、法定項目、健保補助、社内規程を確認してください。

    Q4. 再検査が必要になる場合の費用負担は?

    一般健康診断後の再検査・精密検査については、法令上、事業者に一律の実施・費用負担義務が定められているわけではありません。一方、事業者は、再検査や精密検査が必要な労働者に対して受診を勧奨し、その結果を医師等へ提出するよう働きかけることが適当とされています。
    br>また、一次健康診断で次の4項目すべてに異常所見があるなど一定の要件を満たす場合は、労災保険の「二次健康診断等給付」を年度内1回、無料で利用できる場合があります。

    • 血圧検査
    • 血中脂質検査
    • 血糖検査
    • 腹囲またはBMI

    ※いずれかの項目が『異常なし』であっても、産業医等が就業環境等を勘案して異常を認めた場合は対象となります。
    ※脳・心臓疾患の症状がすでにある人や労災保険の特別加入者などは対象外となります。

    Q5. 会社が健康診断費用を負担してくれないと相談されたら?

    まず、次の点を確認します。


    • 法定健康診断か、任意検査か
    • 会社指定の医療機関・コースか
    • 一時的な立替払いか、最終的な本人負担か
    • 法定項目と任意オプションの内訳
    • 事前承認や精算手続きの有無
    • 社内規程や健診案内の記載
    • 健保や協会けんぽの補助適用状況

    法定健康診断の必要費用が最終的に本人負担となっている場合は、厚生労働省が示す事業者負担の原則に沿って運用を見直す必要があります。

    一方、本人希望の人間ドック追加分や任意オプションであれば、会社補助・健保補助の対象と残額の扱いを説明します。

    社内だけで判断できない場合は、都道府県労働局の総合労働相談コーナー、所轄労働基準監督署、社会保険労務士などへ確認してください。

    【まとめ】

    健康診断は企業や組織が行わなくてはならない義務のひとつです。

    労働安全衛生法等で事業者に実施が義務付けられている健康診断の費用は、原則として会社が負担します。一方、本人希望のオプション検査、人間ドックの追加部分、一般健康診断後の再検査などは、法令上の義務と会社の福利厚生制度を分けて考える必要があります。

    また、費用だけでなく、対象者の判定、受診管理、結果通知、記録保存、医師等からの意見聴取、就業上の措置、労基署への報告まで含めた運用体制が欠かせません。

    とはいえ、これらの業務をすべて自社で担うと、人事・労務担当者の負荷は小さくありません。

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