情シスはどこまで面倒を見るべきか? 問い合わせ対応に追われる組織が見直すべき運用設計とは【イベントレポート】

情シスはどこまで面倒を見るべきか? 問い合わせ対応に追われる組織が見直すべき運用設計とは

※本記事は、2026年4月21日に開催したウェビナー

「情シスを『問い合わせ対応の部署』と言わせないための運用設計

~多拠点・ハイブリッドワーク対応も負担にしない体制へ~」

で紹介した内容をもとに再構成しています。


目次

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    情シスが「問い合わせ対応の部署」になってしまう理由

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    多拠点展開やハイブリッドワークが定着した今、多くの情報システム部門が問い合わせ対応に追われています。本来であればIT戦略の立案や業務改善、DX推進に時間を使いたいにもかかわらず、日々寄せられる問い合わせへの対応が業務の大半を占めてしまうケースも少なくありません。

     では、なぜ情シスは「問い合わせ対応の部署」になってしまうのでしょうか。

    問い合わせが情シスに集中しやすい構造がある

    多くの企業では、システムやITに関する困りごとが発生した際、「とりあえず情シスに聞こう」という状態になりがちです。

    本来であれば、業務システムの運用担当や各部門の管理者が対応すべき内容であっても、問い合わせ先が明確になっていないため、最終的に情シスへ依頼が集まります。

     その結果、情シスはトラブル対応だけでなく、問い合わせの振り分けや調査、関係部署との調整まで担うことになり、対応負荷が増加していきます。

    拠点ごとに対応が分散し、同じ判断が繰り返される

    多拠点・ハイブリッド環境では、拠点ごとに異なる運用が行われていることも少なくありません。 そのため、
    ・過去に対応した内容が共有されない
    ・拠点ごとに判断基準が異なる
    ・同じ問い合わせに何度も対応する
    といった状況が発生します。
     一つひとつの対応は問題なく完了していても、組織全体で見ると同じ調査や判断が繰り返されており、情シスの工数が積み重なっていきます。

    ナレッジが蓄積されず、問い合わせが減らない

    問い合わせ対応を行った後、その内容がナレッジとして蓄積されていないケースも多く見られます。 FAQや手順書を用意していても、
    ・情報が見つけにくい
    ・更新されていない
    ・利用されていない
    といった状態では自己解決につながりません。

     結果として、過去に回答した内容であっても再び問い合わせが発生し、情シスが同じ説明を繰り返すことになります。

    本来取り組むべき改善業務の時間が失われる

    問い合わせが増え続けると、情シスは目の前の対応に追われ、本来注力すべき業務に時間を割けなくなります。
    例えば、

    ・IT戦略の検討

    ・業務改善の推進

    ・システム更改計画
    ・DX施策の企画
    といった取り組みは後回しになりがちです。
    その結果、根本的な改善が進まず、さらに問い合わせが増えるという悪循環に陥ってしまいます。

    「誰が対応するか」ではなく「どう対応するか」を考える

    問い合わせ対応の負荷を減らすためには、人員を増やすことだけが解決策ではありません。
    重要なのは、問い合わせ先や責任範囲を明確にし、判断基準や対応ルールを標準化することです。
    情シスがすべてを抱え込むのではなく、「誰が対応するか」だけではなく「どのように運用するか」という視点で仕組みを見直すことで、問い合わせ対応の負荷軽減につながります。

    問い合わせ対応が減らない原因は「人手不足」だけではない

    問い合わせ対応に追われている組織では、「人員が足りない」「担当者を増やしたい」といった声がよく聞かれます。
    確かに人手不足は大きな課題の一つですが、それだけが問い合わせ対応が減らない原因とは限りません。
    実際には、担当者を増やしても問い合わせ件数そのものが減らず、結果として負荷が解消されないケースも少なくありません。

    問い合わせ対応が属人化している

    問い合わせ対応が減らない背景には、対応方法や判断基準が担当者ごとに異なっていることがあります。

     過去に同じような問い合わせがあったとしても、その回答内容が共有されていなければ、毎回一から調査や判断を行うことになります。また、特定の担当者しか分からない業務が増えると、その担当者への問い合わせが集中し、さらに属人化が進むという悪循環が生まれます。

    ナレッジが活用されていない

    FAQや手順書を整備しているにもかかわらず、問い合わせが減らない企業も少なくありません。
    その理由の一つが、「情報はあるが使われていない」状態です。
    例えば、 ・必要な情報を見つけられない
    ・情報が古く更新されていない
    ・読み手ごとに必要な内容が整理されていない
    といった状況では、利用者は自己解決できず、最終的に問い合わせへとつながります。 重要なのはナレッジを作ることではなく、現場で活用され続ける仕組みを作ることです。

    問い合わせ対応が資産になっていない

    問い合わせ対応をその場限りで終わらせてしまうことも、対応件数が減らない要因の一つです。

     本来であれば、問い合わせ内容や対応履歴を蓄積し、再発防止やナレッジ化に活用することで、同じ問い合わせの発生を抑制できます。しかし、多くの組織では対応を完了することが目的になってしまい、その後の活用まで手が回っていません。
    その結果、過去に対応した内容であっても再び同じ問い合わせが発生し、情シスの負荷が増え続けてしまいます。

    まず見直すべきは運用の仕組み

    問い合わせ対応を減らすためには、人員補強だけに目を向けるのではなく、問い合わせが発生し続ける構造そのものを見直すことが重要です。

     判断基準の標準化やナレッジの活用、問い合わせ対応の記録と改善サイクルの仕組み化によって、対応を「その場の処理」から「次につながる資産」へ変えていくことが、根本的な解決への第一歩となります。

    情シスを疲弊させる“分断損”とは何か

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    問い合わせ対応に追われる情シス部門では、「人手が足りない」「問い合わせ件数が多すぎる」といった課題が語られることが少なくありません。
    しかし、その背景には問い合わせ件数そのものではなく、組織内で運用や情報が分断されていることによって発生する“見えない損失”が存在しているケースがあります。 本ウェビナーでは、この状態を「分断損」と定義しています。

    担当者ごとに対応が完結してしまっている

    分断損が発生する代表的な原因の一つが、問い合わせ対応が担当者単位で完結している状態です。
     例えば、ある担当者が問い合わせに対して適切な回答を行ったとしても、その内容が組織全体に共有されなければ、別の担当者が同じ問い合わせを受けた際に再び調査や判断を行うことになります。
    個々の対応としては問題なく完了していても、組織全体で見ると同じ作業が繰り返されており、本来不要な工数が発生しています。

    拠点ごとに判断基準が異なっている

    多拠点やハイブリッドワーク環境では、拠点ごとに異なる運用が行われていることも珍しくありません。

    その結果、
    ・拠点によって回答内容が異なる
    ・エスカレーションの基準が違う
    ・対応品質にばらつきが生じる
    といった状況が発生します。

    利用者から見ると「どこに聞くかによって回答が変わる」状態となり、情シス側では調整や確認の負荷が増加します。これも分断損の一つです。

    問い合わせ対応が資産として残らない

    分断損の厄介な点は、対応した問い合わせが組織の資産にならないことです。
    過去に発生した問題や対応履歴が蓄積されなければ、同じ問い合わせが何度も繰り返されます。
    担当者は毎回ゼロから対応することになり、ナレッジも蓄積されません。 本来であれば、一度解決した課題は次回以降の対応時間を短縮する資産になるはずです。しかし、情報が分散したままでは、その効果を得ることができません。

    分断損は情シスの改善活動を止めてしまう

    分断損が積み重なると、情シスは日々の問い合わせ対応に忙殺され、本来取り組むべき業務に時間を割けなくなります。
    例えば、
    ・システム改善
    ・DX推進
    ・IT戦略の立案
    ・業務効率化の企画
    といった活動は後回しになりがちです。

    つまり分断損は単なる業務効率の問題ではなく、組織全体の成長スピードを低下させる要因にもなります。
     問い合わせ対応に追われ続ける状況から脱却するためには、個々の対応を最適化するだけでなく、情報や判断を組織全体で活用できる仕組みを整えることが重要です。
    分断損をなくし、問い合わせ対応を資産として活用できる状態を作ることが、情シスが本来の役割を果たすための第一歩と言えるでしょう。

    問い合わせ対応を資産に変え、分割損を防ぐ3つの運用設計

    問い合わせ対応を続けていると、「同じような問い合わせに何度も対応している」「担当者によって回答が異なる」「FAQを整備しても問い合わせが減らない」といった課題に直面することがあります。

    その背景には、前章で紹介した“分断損”が潜んでいます。


    分断損を防ぐためには、問い合わせ対応を単なる業務処理として終わらせるのではなく、組織全体の資産として活用できる仕組みを作ることが重要です。

    ①判断と対応のルールを統一する

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    問い合わせ対応の品質やスピードに差が生まれる大きな要因の一つが、判断基準のばらつきです。

    例えば、同じ問い合わせであっても担当者によって対応方法が異なると、利用者は混乱し、組織としての対応品質も安定しません。

    そのため、まずは以下のようなルールを明確にすることが重要です。

    • ・問い合わせの優先度をどう判断するか
    • ・どのタイミングでエスカレーションするか
    • ・どの状態をもって対応完了とするか

    こうした基準を統一することで、担当者や拠点が異なっても一定の品質で対応できるようになります。

    ②問い合わせ対応をナレッジとして蓄積する

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    問い合わせ対応を資産に変えるためには、対応内容を組織のナレッジとして残す仕組みが欠かせません。

    多くの企業では、問い合わせが終わった時点で対応も完了してしまいます。しかし、それでは同じような問い合わせが発生した際に、再び調査や回答が必要になります。


    重要なのは、問い合わせ対応の流れの中でナレッジを更新し続けることです。

    過去の情報を活用し、不足している情報があれば修正や追加を行う。このサイクルを日々の業務の中に組み込むことで、ナレッジは自然と蓄積されていきます。


      ナレッジを「作る作業」として切り離すのではなく、「問い合わせ対応の一部」として運用することがポイントです。

    ③問い合わせデータを改善活動につなげる

    問い合わせ対応を行うだけでは、根本的な課題の解決にはつながりません。

    蓄積された問い合わせデータを分析することで、

    • ・どの問い合わせが多いのか
    • ・どの業務でつまずきが発生しているのか
    • ・どの運用ルールに問題があるのか

    といった傾向を把握できます。


    例えば、特定の問い合わせが繰り返し発生している場合は、マニュアルやシステムの見直しによって再発を防げる可能性があります。

    問い合わせを単なる対応履歴として扱うのではなく、改善のための情報源として活用することで、継続的な業務改善につなげることができます。

    「その場の対応」から「次につながる対応」へ

    問い合わせ対応に追われる組織では、目の前の問題を解決することが優先されがちです。しかし、本当に重要なのは、その対応が次回以降の業務にどう活かされるかという視点です。

    判断ルールを統一し、ナレッジを蓄積し、問い合わせデータを改善活動につなげる。この3つの運用設計によって、問い合わせ対応は単なる作業ではなく、組織の資産へと変わります。


      分断損を防ぎながら継続的な改善を回していくことが、情シスが本来注力すべき業務へ時間を振り向けるための第一歩と言えるでしょう。

    「使われるマニュアル」が問い合わせ削減につながる

    問い合わせ対応の負荷を軽減するために、FAQやマニュアルを整備している企業は少なくありません。しかし、マニュアルが存在するだけでは問い合わせ削減にはつながりません。

    重要なのは、「作ること」ではなく「使われること」です。

    現場で自己解決が進まない背景には、情報が散在していたり、必要な情報にたどり着けなかったりするケースがあります。また、内容が古いまま更新されていないことで、結局問い合わせに頼らざるを得ない状況も発生します。

    そのため、マニュアルは業務や利用シーンごとに整理し、利用者が迷わず必要な情報にアクセスできる状態を整えることが重要です。また、一度作って終わりではなく、問い合わせ内容をもとに継続的に改善・更新する運用も欠かせません。


    問い合わせ対応を減らすためには、「情報を発信すること」ではなく、「現場で活用される仕組みを作ること」が求められます。自己解決しやすい環境を整えることで、単純な問い合わせを減らし、情シスの負荷軽減にもつながるでしょう。

    ※参照:コニカミノルタ株式会社セッション
    「拠点ごとに対応が変わらない、使われるマニュアルで業務手順を標準化」

    多拠点・ハイブリッド環境で“聞けない”をなくす

    多拠点展開やハイブリッドワークが一般化したことで、情シスの問い合わせ対応にも新たな課題が生まれています。その一つが、従業員が気軽に相談できなくなる「聞けない」状態です。

    オフィス勤務が中心だった頃は、近くの担当者へ声をかけたり、周囲の様子を見ながら相談したりすることが比較的容易でした。しかし、働く場所が分散した現在では、「誰に聞けばよいか分からない」「忙しそうで声をかけづらい」といった状況が増えています。


    こうした環境では、問い合わせ窓口や相談導線を明確に整備することが重要です。問い合わせ先が分からない状態は、利用者の不満だけでなく、特定の担当者への問い合わせ集中や対応漏れの原因にもなります。

    また、組織内の状況が見えにくくなることで、必要なコミュニケーションが後回しになり、結果として小さな疑問や問題が大きなトラブルにつながるケースもあります。


    問い合わせ対応の品質を維持するためには、ナレッジや運用ルールの整備だけでなく、「困ったときに誰へ相談すればよいのか」が分かる環境づくりも欠かせません。多拠点・ハイブリッド環境だからこそ、相談しやすい仕組みやコミュニケーション設計を見直すことが重要です。

    ※参照:Ovice株式会社セッション
    「多拠点・ハイブリッド環境で“聞けない”をなくす問い合わせ導線・相談接点の設計」

    ノンコア業務を手放し、本来の業務に集中する

    近年、多くの企業でDX推進やIT活用の重要性が高まる一方、情シス部門では日々の問い合わせ対応や端末管理に多くの時間が割かれています。その結果、本来取り組むべき業務に十分な時間を確保できていないという課題も少なくありません。

    例えば、パスワードリセットやPCトラブル対応、機器の調達・管理といった業務は必要不可欠である一方、企業の競争力向上に直結する業務とは言いづらい側面があります。こうした業務が積み重なることで、IT戦略の検討や業務改善、新たなシステム導入の企画など、本来注力すべき業務が後回しになってしまいます。


    そのため近年では、ヘルプデスク運用やPC管理などのノンコア業務について、外部サービスの活用や運用体制の見直しを進める企業も増えています。重要なのは、単純に業務を外部へ委託することではなく、情シスが担うべき業務と、それ以外の業務を整理することです。


    問い合わせ対応の仕組み化やナレッジ活用によって業務効率化を進めることに加え、必要に応じて外部リソースも活用することで、情シスはより戦略的な業務へ時間を振り向けることができます。

    問い合わせ対応に追われ続けるのではなく、組織全体のIT活用や業務改善を推進する部門として価値を発揮するためには、「何を自社で担い、何を任せるか」を見直す視点も重要と言えるでしょう。

    ※参照:NSW株式会社セッション
    「ヘルプデスク・PC LCMでノンコア業務を外す現実解」

    ヘルプデスクのお困りごとはパーソルビジネスプロセスデザインまで

    問い合わせ対応に追われ、本来の業務に時間を割けない…。
    そんな課題を抱えている企業は少なくありません。


    パーソルビジネスプロセスデザインでは、ヘルプデスクのアウトソーシングはもちろん、問い合わせ対応の標準化やナレッジ活用、FAQ運用の定着など、運用改善のご支援も行っています。

    また、「将来的には内製化したい」「まずは運用ルールを整備したい」といったご要望にも対応可能です。

    ヘルプデスク運用や問い合わせ対応に課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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