属人化したナレッジと「毎朝1時間のメンテナンス」が現場の重荷に
ー 本日はよろしくお願いいたします。まずは、今回のプロジェクト導入前に人事本部の皆様が抱えていた課題について詳しくお聞かせください。当時はどのような体制で、どのような悩みに直面されていたのでしょうか。
伊藤様: 私たち企画調整部は、人事施策の運用や日々のオペレーションを担っています。当時は人事本部として問い合わせを集中的に受ける窓口が確立されておらず、制度の内容ごとに各部署が個別に回答していました。拠点からの難しい質問が上がってきた際、一番のハードルになっていたのがナレッジの不在です。何か聞かれたら「過去の事例はどうだったかな」と、まず自分のメール履歴を掘り起こして探すところから始めていました。参照すべき場所が決まっていないため、回答を戻すまでにどうしても時間がかかってしまっていたのです。
森川様: 私は当時、無人チャットボットのメンテナンスを担当していたのですが、これがかなりの負担でした。毎朝のタスクリストに確実に入ってくる作業で、朝の45分から、多いときには1時間をこれだけに費やしていたぐらいです。従業員から「チャットでは解決できない」「もっと早く回答がほしい」という声が届いても、自分たちだけで運用を改善していくには限界を感じていました。
廣瀬様: 拠点で解決できなかった質問が、最終的に私たちに回ってくるのですが、チーム内でも「これ、最近誰か答えたことある?」と連携しながら探す状態で、すぐに回答を戻せないもどかしさがありました。また、人事異動や退職があると、その人の中にしかない知見が失われてしまいます。カテゴリーごとの引き継ぎはあっても、人事全体として可視化された仕組みがないことが、ずっと課題として残っていました。
ー 毎朝1時間は大変でしたね。個人のメール履歴を頼りにするのは、精神的にも負担が大きかったのではないでしょうか。
森川様: 本当にそうですね。制度が変わるタイミングなどは特に問い合わせが集中しますし、その都度、過去の経緯を一人で調べるのは非常に時間がかかる作業でした。何とかしなければならないという思いはありましたが、日々の業務を回すだけで精一杯。このままではいけないという共通認識は、部内でもかなり強まっていました。
現実的な提案とKCSの知見。未来を見据えたパートナー選定の決め手
右:人事本部 企画調整部 伊藤様
伊藤様: 毎年、人事の業務の中で改善すべきテーマをピックアップしているのですが、この年は問い合わせ対応が候補に挙がりました。
部内でも議論を重ねましたが、結局、自分たちのリソースやノウハウだけでは解決できないという結論に至り、コンペを実施しました。
廣瀬様: 数社からご提案をいただく中で、私たちの要件に最も合致していたのがパーソルさんでした。内容は非常に現実的で、私たちの予算感にも合っていました。
ー パーソル側としては、どのような点に注力して提案されたのでしょうか。
パーソルビジネスプロセスデザイン: 私たちの強みであるKCSの運用を用い、いかに現場の対応を「資産」に変えるかに注力しました。具体的には、三菱ケミカル様からエスカレーション回答をいただくたびに、その内容を私たちがナレッジ化して蓄積していく。このサイクルによって「同じ質問を二度させない」仕組みを構築しました。単に作業を代行するのではなく、一緒に仕組みを作り上げていく伴走型の姿勢を評価いただけたのは光栄です。
セキュリティの壁を越えて実現した、エスカレーション精度の向上
ー 導入にあたって、苦労された点や印象に残っているエピソードはありますか。
伊藤様: 最も苦労したのはセキュリティ面ですね。人事情報は機密性が高く、社内のセキュリティポリシーと、パーソルさん側のポリシーを擦り合わせるのに非常に時間がかかりました。私たちの理解不足でやり直しになった部分もあり、社内の関係部門との調整は一つの大きな反省点でもあり、苦労したポイントです。
森川様: でも、そこを乗り越えて稼働してからは、驚くほどスムーズでした。先ほど申し上げた毎朝のメンテナンス作業がゼロになったのです。導入して半年ほど経ちますが、本当に良かったとホッとしています。
廣瀬様: 驚いたのは、エスカレーションされてくる質問の質の変化です。以前はバラバラな状態で届いていたのが、今はパーソルさん側で過去のナレッジを精査し、「この回答で合っていますか」と精度9割くらいの状態で確認が来る。ゼロベースで調べる必要がなく、私たちは最後の確認をするだけで良くなりました。
単なる委託を超えた提案力。外部の知見を組織の強みに変える
ー 同様の課題を抱えている組織へ向けて、今回のプロジェクトをおすすめするとしたらどのような点でしょうか。
伊藤様: 最大のポイントは、パーソルさんが「自分たちでは気づけない視点」をフィードバックしてくれる点です。業務委託でありながら、単に業務をこなすだけでなく、日々の対応から得たノウハウを元に、「こうしたらどうですか」という改善案を能動的に出してくださいます。
森川様: 私たちが一番安心感を得られたのは、「ナレッジの蓄積」が組織の防衛策になると実感できたことです。人事異動や退職は避けられませんが、これまでは「あの人が辞めたら、あの制度の経緯がわからなくなる」という不安が常にありました。今は「チャットボットを見れば前任者の判断基準がわかる」という状態になり、引き継ぎの心理的ハードルが劇的に下がりました。
廣瀬様: 人事部内でも「以前より回答が早くなった」「安心して質問できる」という声が届いています。人手が限られる中で、本来注力すべき「人事ならでは」の業務に時間を使いたい組織には、特におすすめしたいですね。
申請手続きの「先読み」まで。従業員体験のさらなる高みを目指して
ー 今後の展望についてお聞かせください。
伊藤様: 今後は、対応できる範囲をさらに広げていきたいと考えています。今は国内勤務者限定ですが、海外駐在員からの質問にも対応できるように、現在打ち合わせを重ねているところです。
森川様: 将来的には、質問の先読みまで実現したいですね。従業員が「結婚しました」と質問するのは、単に人事上のルールを知りたいだけでなく、その後の申請まで完結させたいというゴールがあるからです。
「次はこれを提出すればいいですよ」と先回りして導けるようになれば、従業員の満足度はさらに上がるはずです。
ー 最後に、導入前の自分たちに声をかけるとしたら、何と伝えたいですか。
伊藤様: 「なんで早くやらなかったんだろう」ですね。迷っている理由も特になかったはずですし、早く導入すればそれだけ早く、今のような安定した運用が手に入ったのですから。
森川様: 本当にそうですね。タイムマシーンがあったら、当時の自分に「早く導入しちゃった方がいいよ!」と言ってあげたいくらい、今の状況には満足しています。単なる業務委託を超えて、私たちの働き方を変えてくれるパートナーだと実感しています。