令和3年度消防防災科学技術研究推進制度を活用しモデル消防本部等と連携
総合人材サービス・パーソルグループのパーソルプロセス&テクノロジー株式会社(東京都江東区、代表取締役社長:横道 浩一、以下「パーソルP&T」)と国立開発研究法人防災科学技術研究所(茨城県つくば市、理事長:林 春男、以下「防災科研」)は、消防防災分野におけるドローンの社会実装に向けて、令和3年度消防防災科学技術研究推進制度の採択(※1)を受け、神戸市消防局、釜石大槌地区行政事務組合消防本部(以下「モデルユーザー」)と連携しながら災害対応ドローンソリューション「GEORIS」における配備訓練や実装に向けたβ版(試験公開版)の研究を5月17日より開始しました。
※1 総務省消防庁 消防防災科学技術研究推進制度「災害発生時の迅速な状況把握による的確な意思決定を支援するためのドローン活用体系の開発」の一部委託を受けて実施
パーソルP&Tと防災科研は、令和3年1月より、災害対応ドローンソリューション「GEORIS」のサービス開発に向けた協業(※2)を開始しており、本研究では、消防機関での災害時の情報収集において、ドローンとWeb-GIS(※3)を活用し、現場で的確かつ迅速な意思決定につなげるソリューションの提供を目指しています。
※3 インターネット上で利用可能なマッピングシステム(地理情報システム)
まずは、モデルユーザーが本研究成果を2年後に現場主導で活用できることを目指し、初年度(令和3年度)は、(1) Web-GIS「mapper」の基礎研究及び (2) モデルユーザーによるパフォーマンス検証のためのシナリオ開発を進めます。
(1)Web-GIS「mapper」の基礎研究
「mapper」は災害時の情報収集や現場活用に最適化した用途特化型の地図システムです。迅速に被害状況を把握するため、以下の機能を開発します。
- ドローンの空撮を用いた地図画像(オルソ画像)を作成できる機能
- 被害状況を共有するために現場活動で撮影した写真(倒壊した家屋等)のマッピング機能
- 被害情報の追加編集ができる機能
- 捜索済みのルート(現場の捜索隊が通ったルート)が一目で分かる捜索箇所のマッピング機能 等
また、モデルユーザーと意見交換やシナリオ検討状況を情報連携しながら詳細設計を進めます。
(2)モデルユーザーによるパフォーマンス検証のためのシナリオ開発
A:研修実施(神戸市消防局)
mapperを使用した実証実験に向けて、モデルユーザーの神戸市消防局が主体となって実証シナリオを作成します。その前段としてmapper活用に当たって必要となるドローンや情報の扱い方、自然災害における知識等を育成カリキュラムとして実施します。
≪育成カリキュラム一例≫
①なぜドローンを飛ばすのか?
- 現場で求められる情報の種類
- 現場状況の「推定」から直接「見る」時代へ
②それはドローンで見えるのか?
- 分解能(解像度)による見え方の違い
- カメラの種類と情報の性質
③自然災害では何が起こるのか?
- 自然災害の基本的なメカニズム
- 被害の起こりやすさと災害時の着目点
④情報の解釈
- 生データから意味のある情報を読み取るテクニック
- インテリジェンスを得るための3ステップ
⑤災害時運航の安全確保
- 航空工学的に正しい点検のポイント
- 災害直後の空域の特性
B:検証シナリオの作成(神戸市消防局、釜石大槌地区行政事務組合消防本部)
mapper検証に向けて、実災害で有効な検証シナリオを作成します。
例えば、広範囲・大規模な火災が発生した際に、火源はどこなのか、どの範囲で延焼しているのかといった情報が必要とされ、そのような情報収集にドローンによるFPV(※4)活用が期待されています。また、山での遭難事故における早期解決には、遭難者の場所の特定や、捜索関係者間での情報伝達が重要です。山では木々によって遭難者が隠れてしまう可能性が高いため、現場隊員と指揮所および防災ヘリコプター間で、地図や位置情報を活用した捜索経路、捜索地点の共有に期待値が高いことが判明しています。
このように現場視点での仮説を立て、検証シナリオをモデルユーザーが主体となって作成を進めています。
※4 ドローンに搭載されたカメラでリアルタイムに映像を見ることができる機能。
消防防災科学技術研究推進制度
消防庁が消防防災分野における課題解決や重要施策推進に資するため、研究者等からの優れた提案に対し研究開発資金を配分する制度です。令和3年度については、「AIやICT等を活用した災害対応のための新たな装備・資機材や情報システム等の開発・改良」を重点研究開発目標に掲げており、この度パーソルP&Tと防災科研が協業して研究開発を進める災害対応ドローンソリューションに関する研究開発において採択を受けるに至りました。
パーソルP&Tにおける関連する取組
パーソルP&Tでは、2019年 広島県神石高原町にて「いつまでも安心して暮らせるまちづくり」を目指し、直面する災害対策や物資配送等の課題をドローンを活用して解決するために設立されたドローンコンソーシアムに参画し、ドローン技術を持つ企業や団体と共に防災・減災、地方の生活者支援、地方創生といった日本全体の社会課題に向けた取組(※5)を実施しました。ドローンなどのテクノロジーやプロセス設計に知見を持つパーソルP&Tは、体制構築・業務設計・人材育成のサービスを通して、ユーザーがドローンを活用する為の組織作りを支援しています。
パーソルP&Tでは、人材に関わる各種事業者免許を取得している為、ドローンに関する知見を保有する専門家・技術者が、ユーザー組織内の人材として支援できることを強みにしております。ユーザー組織の内外からドローンの組織実装(実用化)を推進し、企業や自治体の生産性における課題を解決していくことで、グループビジョンである「はたらいて、笑おう。」の実現を目指してまいります。
防災科研における災害状況把握技術の研究開発とドローン活用の取組
防災科研では、2013年より災害初期対応における状況把握技術の一つとして、ドローンを活用した研究開発を行ってきました。その中で、これまでの多くの自然災害においてドローンによる情報収集を行い、防災関係機関等への情報提供をはじめとした、現場におけるドローン活用を実践・実証してきています。
2019年からは、広島県神石高原町において、ドローンを活用して防災・減災を目指す「地産地防プロジェクト」を立ち上げ、ドローンを実際に運航する町民の操縦者(担い手)の育成、担い手による発災直後のドローンによるマップ作成及び担い手による発災後の緊急物資輸送等を行うなど、災害現場での情報活用・共有を円滑にするWeb-GISベースのマッピングシステム及び運航リスク管理、情報の解釈、自然災害の多様性への適応などのドローン活用の現場に求められる学際的で体系化された知識教育プログラムの確立を進めています。
国立研究開発法人防災科学技術研究所について https://www.bosai.go.jp/
1963年に設立された自然災害と防災に関する研究を行う文部科学省所管の研究所です。「生きる、を支える科学技術」というアイデンティティを掲げ、防災科学技術を発展させることで人々の命と暮らしを支えるために、あらゆる自然災害を対象とした、予測・予防・対応・回復のすべての段階で総合的な研究を推進し、災害に強い社会の実現を目指しています。
パーソルプロセス&テクノロジー株式会社について https://www.persol-pt.co.jp/
パーソルプロセス&テクノロジー株式会社は、人・プロセスデザイン・テクノロジーの力で、人と組織の生産性を高めることを使命としています。
お客様の事業課題に応じたコンサルティングやシステム開発、アウトソーシングのほか、人とテクノロジーが共存できる社会を目指し、RPAやAIなどを駆使した最新のテクノロジーやサービスを提供してまいります。
「PERSOL(パーソル)」について https://www.persol-group.co.jp/
パーソルグループは、「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンに、人材派遣サービス「テンプスタッフ」、転職サービス「doda」、ITアウトソーシングや設計開発など、人と組織にかかわる多様な事業を展開しています。グループの経営理念・サステナビリティ方針に沿って事業活動を推進することで、持続可能な社会の実現とSDGsの達成に貢献していきます。
また、人材サービスとテクノロジーの融合による、次世代のイノベーション開発にも積極的に取り組み、市場価値を見いだす転職サービス「ミイダス」、テクノロジー人材のエンパワーメントと企業のDX組織構築支援を行う「TECH PLAY」、クラウド型モバイルPOSレジ「POS+(ポスタス)」などのサービスも展開しています。