ストレスチェックでの高ストレス者への対応とは?判定基準や対応策について解説

ストレスチェックでの高ストレス者への対応とは?判定基準や対応策について解説

ストレスチェックは、従業員の精神的な健康状態を把握し、高ストレス状態にある従業員を早期に発見するための検査です。定期的に行うことで、職場環境の改善や従業員のケアを行うための基礎データを収集することができます。
本記事では、ストレスチェックで高ストレス者が判定された従業員への対応フローなどについて詳しく解説します。



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    ストレスチェックとは?

    ストレスチェック

    ストレスチェックとは、主に質問票を用いた心理的な調査のことを指します。従業員自身が回答する形式で行われ、心理的なストレスの程度やその要因を評価します。

    このチェックは、労働者が自分のストレス状態を認識し、専門家が適切な助言を行うための重要な手段です。具体的には、質問票には職場環境、仕事量、人間関係などに関する項目が含まれ、それに基づいてストレスの程度を数値化します。

    これにより、個々の従業員のストレスレベルが客観的に評価されます。

    ストレスチェックの目的

    ストレスチェックの主な目的は、職場におけるメンタルヘルスの向上です。具体的には、高ストレス状態の従業員を早期に発見し、適切な対応を取ることで心身の健康被害を未然に防ぐことを目指しています。

    また、労働者自身が自分のストレス状態を客観的に把握し、自己管理能力を高めることも目的に含まれます。ストレスチェックを通じて、従業員は自身のメンタルヘルスを認識し、適切な対策やストレス対処法を学ぶことで、自分でストレスを管理する力が養われるのです。

    さらに職場全体のストレス状況を把握することで、「環境改善の促進」も可能となります。

    ストレスチェック結果の集団分析により、特定の集団(部署やチーム)のストレス傾向を解析し、組織全体の健康課題を明確にすることで、業務プロセスの効率化やコミュニケーションの改善、労働環境の見直しを実現します。

    例えば、業務の分担見直しや休暇制度の充実、チームビルディングの強化など具体的な改善策を講じることで、メンタルヘルスケアの不備によるリスクを減少させ、従業員の満足度や職場の士気を向上させることができるでしょう。

    ストレスチェックの義務化

    ストレスチェックの実施は、2015年12月に施行された「労働安全衛生法」により、常時50人以上の労働者を雇用する事業場に義務付けられました。この法律改正により、企業におけるストレスチェックの実施は法的義務となり、定期的にチェックを行わなければならなくなりました。

    この義務化の背景には、労働者のメンタルヘルス問題が深刻化している現状があります。

    疾患による長期休業や労災認定の増加は、企業にとって重大なリスクとなり得るため、健全な職場環境を維持し、労働者の健康を守ることが法的にも重要視されています。

    そのため企業は、ストレスチェックを実施し、その結果に基づいて適切な対策を講じる義務があります。また、高ストレス者への対応や職場改善を行うことで、従業員全体のメンタルヘルスの向上を図り、効率的かつ安全な職場環境を提供する責任が定められているのです。

    ※参考:厚生労働省「労働安全衛生法が改正されました」

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    高ストレス者の判定基準

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    高ストレス者とは

    高ストレス者とは、ストレスチェックの結果、心理的ストレスの程度が一定の基準を超えた従業員を指します。

    この基準は、主に質問票の回答内容に基づいて決定されるもので、具体的には、仕事の負荷、人間関係の問題、環境の変化などの項目に高いストレスを感じていると回答した人が該当します。

     また、この基準は政府のガイドラインや業界標準により設定されており、具体的な数値や評価方法は企業ごとに異なりますが、総得点が一定の閾値を超える場合や特定の項目で高得点を記録した場合に、高ストレス者と判定されます。

    高ストレス者の判定基準

    高ストレス者の判定基準は、標準化された質問票を基に設定されます。

    この質問票は「心理的なストレス反応」、「職場環境からのストレス要因」、「身体的な症状といった要素」を評価します。例えば、以下のような項目です。

    • 睡眠不足や食欲不振、疲労感、焦り、鬱状態や不安感があるか
    • 仕事量、業務の難易度、スケジュールの過密度は適切か
    • 人間関係の緊張や上司や同僚との摩擦を感じるか
    • ストレス性の頭痛、肩こり、胃痛などの身体的な不調が見られるか

    そして、これらの質問項目に対して従業員が回答し、結果集計を行い得点化します。得点はストレスの程度を示し、一定の基準値を超えた場合「高ストレス者」と判定されるのです。

    この基準値は、職場ごとに設定されることが多く、各企業の規模や業種によって異なりますが、高ストレス者の判定は、従業員の健康管理や職場環境の改善に直結するため、正確かつ適切な方法で行うことが重要でしょう。

    高ストレス者への対応フロー

    高ストレス者が判定された後、迅速かつ適切な対応を取ることが重要です。効果的な対応フローを構築することで、従業員のメンタルヘルスを守り、健全な職場環境を維持することができます。

    このセクションでは、高ストレス者への具体的な対応フローについて以下の順番で解説していきます。

    • 高ストレス者への初期対応
    • 面談とフォローアップ
    • 職場全体の対応

    高ストレス者への初期対応

    高ストレス者が判定された場合、まず行うべきは通知と初期対応です。

    高ストレス状態にあることを個別に通知する際には、プライバシーに十分配慮し、該当者の気持ちに寄り添った対応が求められます。その上で、対象者へ保健師や産業医から面談を勧奨し、従業員が希望する場合は早急に面談を手配します。

    注意すべき点は、対象者に対し、面接指導を強制することはできないということです。一方で勧奨の結果、高ストレス判定を受けた従業員から指導の申し出があった際には、面接指導を実施する義務が発生する点に注意しましょう。

    面談とフォローアップ

    高ストレス者をサポートするための次のステップは、継続的なフォローアップです。

    まず、高ストレス者と判定された従業員と産業医やカウンセラーとの面談を実施します。ここでは具体的なストレス要因やその影響を深掘りし、個々の状況に応じた支援策を検討します。

    また面談の結果に基づき、業務の軽減、職場環境の改善、労働時間の調整などを含む個別のアクションプランを策定しましょう。さらに、定期的なフォローアップとアクションプランを立てたうえで、適宜進捗を確認します。

    必要に応じて、追加サポートの提供、外部の相談窓口の設置、再面談カウンセリングなど、継続したフォローアップに努めましょう。

    職場全体の対応

    高ストレス者への対応は個別のサポートだけではなく、職場全体の改善にもつなげることができます。

    まず、ストレスチェックの結果を集団単位で分析し、共通するストレス要因を把握します。その結果に基づいて、組織全体としての改善策を検討し実行します。

    これには、職場環境の見直しや業務プロセスの改善、人間関係のサポートなどが含まれます。そして、メンタルヘルスに関する教育や啓発活動を行い、全従業員がストレスマネジメントの重要性を理解し、取り組む環境を作りましょう。

    この対応フローを整えることで、高ストレス者が適切なサポートを受けられるだけでなく、職場全体のメンタルヘルス向上にも貢献できるのです。

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    高ストレス者を放置するリスク

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    高ストレス状態が続くリスク

    高ストレス状態が続くことは、従業員の心身に深刻な影響を与えます。

    まず、心理的な面では、うつ病や不安障害といった精神疾患の発症リスクが高まります。また、精神疾患の発症や高ストレス状態が続いてしまうと従業員は仕事に対する意欲を失い、日常生活にも支障をきたす場合もあるでしょう。

    身体的な面では、持続的なストレスが原因となって頭痛、胃痛、疲労感、不眠症などの症状が発生し、さらには高血圧や心疾患のリスクも増大します。この影響は、従業員個人の生活の質を著しく低下させるだけでなく、職場全体の雰囲気や生産性にも悪影響を及ぼすため、放置しないアプローチが求められるのです。

    企業における法的リスク

    個人のリスクは当然ながら、高ストレス者を適切に対応せず放置することは、企業にとっても多くの法的リスクを伴います。

    企業は「労働安全衛生法」に基づき、従業員の安全と健康を守る責任を負っています。高ストレス状態にある従業員を放置することは、この義務を怠ることにあたり、安全配慮義務違反として労働基準監督署からの指導や是正勧告を受ける可能性があるのです。

    さらに、従業員が精神疾患を発症し、休業や退職を余儀なくされた場合、損害賠償を求めて訴訟にまで発展する場合も考えられます。これにより企業は多額の賠償金を支払うこととなるだけでなく、最悪の場合、精神疾患が原因により従業員が亡くなってしまうなど、信頼性や評判、企業イメージに大きな傷を負う恐れもあるでしょう。

    従業員の健康と生産性への影響

    高ストレス状態を放置することは、従業員の健康と生産性に直接的な悪影響を及ぼします。

    まず、高ストレス状態にある従業員は業務効率が低下し、簡易的なミスや業務遅延が頻発するようになります。その結果、他の従業員にも負担がかかり、チーム全体のパフォーマンス低下にまで発展するのです。

    また、心身の疲労や病気の発症による休暇取得の増加や長期の離職に至ることも少なくありません。このような状況が続くと、職場全体の士気も低下し、人材の定着率が悪化にも影響があるでしょう。これにより、企業は新たな人材の採用や育成に多大なコストと時間を費やすことになるため、長期的な成長にとって大きな障害となることは避けられません。

    これらのリスクを回避するためには、高ストレス者を迅速かつ適切に対応し、従業員の健康と安全を確保する体制を整えることが重要です。企業は、ストレスチェックの結果を積極的に活用し、継続的なフォローアップを行うことで、従業員のメンタルヘルスを守り、健全な職場環境を維持することが求められています。

    高ストレス者が面接指導を受けやすい環境構築が重要

    ここまで、ストレスチェックや高ストレス者への対応について解説しました。

    ストレスチェックは、従業員50名以上の事業場においては年に1回以上の義務化されています。単に、義務的な対応として実施すれば終わりというものではなく、その後の分析とフォローアップの環境構築が最も重要となります。

    高ストレス者へ面談指導を行うことが基本ですが、面接指導のやり方や、面接を希望しない従業員へのフォローなども必要です。高ストレス者を放置せず、フォローアップを行うための職場環境・仕組みづくりをしていくことで、健康経営への取組みも進むでしょう。

    パーソルビジネスプロセスデザインでは、ストレスチェックや高ストレス者への面談支援など、メンタルヘルスを総合的に支援する「健康経営コンサルティングサービス」を展開しています。従業員の健康管理・メンタルケアについて気になることがあればぜひお気軽にご相談ください。

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