Snowflakeとは?何がすごい?
SnowflakeはSnowflake社が開発・提供するマルチクラウド対応のデータプラットフォームです。
データの収集・蓄積を行う「データレイク」、データを整理・加工するための「データウェアハウス(DWH)」、さらに特定の目的や部門向けにデータを最適化した「データマート」の役割までが一つのプラットフォームに備わっています。
SaaS型であるためユーザー企業がインフラを個別管理する必要はありません
ハードウェア調達やソフトウェアパッチ適用などの手間を大幅に削減できます。
Snowflakeが「すごい」といわれる特徴として以下の3点が挙げられます。
これらの機能により、企業はデータのサイロ化(部門ごとにデータが分断され、全社で一元的に活用できない状態)を防ぎ、迅速かつスケーラブルにデータを処理できるようになります。
Snowflakeの核心部分は「マルチクラスターシェアードデータ」にあります。マルチクラスターシェアードデータとは、1つの中央データストレージを複数の独立した処理エンジン(コンピュート)が利用できる設計のことで、これによりデータコピーなしで複数のチームが同時に分析作業を行えます。
このアーキテクチャは以下の3層で構成される点が大きな特長です。
従来の「シェアードディスク」や「シェアードナッシング」のアーキテクチャでは、通信速度の低下や拡張性の低さが問題でした。しかしマルチクラスターシェアードデータアーキテクチャでは、通信速度の低下が少なく、無制限に近いスケールアウトが可能です。
この構造により、ビッグデータに対する複数同時クエリや高負荷処理が発生してもリソースの競合が起こりにくく、必要なときに必要な分だけ処理能力(コンピューティングリソース)を割り当てることが可能です。
結果として無駄のないコスト管理と高パフォーマンスを両立しやすくなります。
Snowflakeが自社に合うかを見極めるポイント
Snowflakeの導入検討時には、自社のデータ活用の目的や既存システム環境に適しているかを判断することが重要です。
ここではSnowflakeの特徴を踏まえ、Snowflakeが適している企業とそうでない企業の典型的な特徴を解説します。以下のポイントを参考に、Snowflakeが自社にとって最適な選択肢かどうか検討してください。
Snowflakeが向いている企業
以下のようなニーズがある企業では、Snowflakeの特性を最大限に活かせる可能性があります。
Snowflakeは、大規模なデータ処理を求める企業にとって、スケーラブルかつ柔軟なプラットフォームです。
従来のDWHのようなリソース競合の問題を解消し、必要なときに必要な分だけ処理能力を活用できるため、効率的なデータ運用が可能になります。
また、クラウド環境の自由度が高く、コスト管理のしやすさも魅力です。企業がデータを最大限に活用し、ビジネスの意思決定を加速させるための強力な基盤として、Snowflakeは優れた選択肢となるでしょう。
Snowflakeが向いていない企業
一方、次のようなケースではSnowflakeは最適な選択肢ではない可能性があります。
以上のポイントを踏まえ、自社のユースケースに合致するかどうか慎重に見極めることで、Snowflake導入が適切かを判断しましょう。企業ごとに求められる要件は異なるため、Snowflakeの利点と制約を比較検討し、自社に最適なデータ基盤を選択することが重要です。
Snowflakeが選ばれる5つの優位性
Snowflakeの主なメリットは以下の5つです。
これらのメリットにより、高パフォーマンスの分析環境を短期間かつ低リスクで立ち上げたい企業にとって、Snowflakeは非常に魅力的な選択肢となっています。
従量課金モデルによるコスト最適化
Snowflakeは使った分だけ支払う従量課金モデルを採用しており、ピークに合わせて過剰なリソースを確保する必要がありません。
クエリ実行時だけ仮想ウェアハウスを稼働させ、アイドル時には自動停止することで、不要なコストを抑制できます。
また、ストレージの料金も保存データ量に応じて課金されます。クラウドストレージを利用しているため、大規模データを扱っても初期投資が少なく済みます。
オンプレミス型DWHのようなハードウェア調達費もかかりません。
その結果、運用開始までのハードルを大幅に下げられます。
高い拡張性
Snowflakeは「ストレージとコンピュートの分離」により、必要に応じて仮想ウェアハウスを柔軟に拡張(スケールアップ)・増減(スケールアウト)できます。
複数の同時クエリや膨大なデータ量にも対応しやすく、リソース競合が最小化されるため、高いパフォーマンスを維持しつつスケーラブルに運用可能です。
例えば、負荷が高まったタイミングだけ仮想ウェアハウスをオートスケールさせ、夜間など使用が少ない時間帯は自動で停止させる設定もできます。
こうした仕組みにより、大規模データを素早く分析しながらも無駄なコスト発生を防げるのがSnowflakeの強みです。
運用負荷の軽減
SnowflakeはSaaS型のため、オンプレミスDWHと違ってハードウェア調達やOSバージョンアップなどの作業が不要です。
セキュリティパッチやバックアップ、ソフトウェアの更新も自動で行われるので、インフラ運用にかける人的コストを大幅に削減できます。
さらに、タイムトラベル機能により過去のデータを一定期間さかのぼって取得できるため、データ破損時の復旧や誤操作への対処もスムーズです。
結果的に、企業がデータ運用に割くリソースを減らし、本来の分析・開発業務に集中できる環境を整備できるでしょう。
柔軟なデータ共有とセキュリティ
Snowflake独自の「Secure Data Sharing」機能を使うと、データを物理的に複製せずに他のSnowflakeアカウントへ閲覧権限を付与できます。
これにより、社内外とのコラボレーションやデータ連携がスムーズになり、余分なETL作業(※)やセキュリティリスクを低減します。
※ETL作業とは、データを抽出(Extract)し、分析しやすい形に変換(Transform)後、データベースなどに格納(Load)するプロセスのこと。
さらに、行単位・列単位でのアクセス制御やデータマスキングなど高度なセキュリティ機能も充実しており、機密データを扱う際もガバナンスを保ったまま安全に共有できます。
マーケットプレイスでのデータ売買
Snowflakeマーケットプレイスは、企業間でデータを売買・共有できるクラウド上のデータ市場です。
まるでオンラインのショッピングモールのように、多様な業界のデータを簡単に検索・購入し、Snowflake環境内で即時活用できます。
Snowflakeマーケットプレイスにより、企業は外部データを活用して市場動向の予測精度を向上させ、より的確な経営判断が可能になります。
また、データ提供側の企業は自社データを販売し、新たな収益を得ることもできます。
Snowflakeの料金体系とコスト管理例
Snowflakeでは、コンピュート(クエリ処理)とストレージ(データ保存)の2軸で従量課金されます。
具体的には、仮想ウェアハウスの稼働時間に応じてコンピュート費用が発生し、保存しているデータ量に応じてストレージ費用が課金される仕組みです。
実際の利用状況に応じたコストイメージを示すため、具体的なシナリオで月額料金を試算してみます。
例えば、XSサイズの仮想ウェアハウスを月内合計で40時間稼働し、Snowflake上に500GBのデータを保存したケースでは、月額コストは以下のとおりです。● コンピュート:3USD/時間 × 20時間=60USD
● ストレージ:0.5TB × 25USD=12.5USD
● 合計:62.5USD
単価は一例です。料金体系に関する最新情報は、以下のSnowflake公式ページを参照ください。
夜間バッチやスポット的な分析作業などがメインの場合、利用しないときは停止してコストを抑えられます。
その結果、必要に応じたスケーリングとコスト最適化が可能です。
また、リソースモニター機能を利用すると、クレジットの使用状況が可視化でき、上限や通知設定で費用をコントロールできます。
まとめ
本記事では、Snowflakeの基本概念とアーキテクチャ、優位性をご紹介しました。
Snowflakeはスケーラビリティやコスト最適化、運用負荷の軽減、データ共有のしやすさなど、多岐にわたる利点があります。
マルチクラウド戦略を検討している企業や、従来のオンプレDWHの運用管理コストに悩んでいる場合には、Snowflakeへの移行が有力な選択肢となるでしょう。
パーソルビジネスプロセスデザインでは、データ分析人材の内製化支援を行っています。Snowflakeを導入したとしても、そのデータを活かせるかご心配な場合は、以下から資料をお問い合わせください。