退職理由の本音と建前をどう見抜く?面談で本音を引き出す方法を解説

退職理由の本音と建前をどう見抜く?面談で本音を引き出す方法を解説

「退職理由はキャリアアップや家庭の事情」そう答える人は多いですが、その言葉をそのまま信じていませんか?


実は、その裏には「本音」が隠れています。評価制度への不信感、上司との関係、過重な業務負荷…。こうした課題を見過ごすと、離職は止まりません。


なぜ本音は語られないのか? どうすれば引き出せるのか?


この記事では、退職理由の「本音と建前」の実態と、そのギャップを埋めるための具体策を解説します。離職防止やエンゲージメント向上のヒントを知りたい方は、ぜひ続きをご覧ください。


目次

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    退職理由の本音と建前とは

    なぜ退職者は本音を語らないのでしょうか。理由を尋ねると「キャリアアップ」「家庭の事情」「給与」など、よくある答えが返ってきます。しかし、これらは建前であることが多いのです。本音と建前のギャップこそ、組織改善を難しくする最大の要因です。

     

    この本音をどう引き出すかが、離職防止とエンゲージメント向上のカギになります。



    本音と建前の違い

    退職理由には「本音」と「建前」があります。建前は上述のとおり、社会的に受け入れられやすい説明です。一方、本音は「会社の評価制度への不信」「上司との関係悪化」「過重な業務負荷」など、言いづらい要因が多く含まれます。

     

    このギャップが生まれる背景には、社会的な配慮や心理的防衛、そして統計やアンケート調査の限界があります。結果として、企業は「キャリアアップ希望者が多いから研修を強化」といった表面的な対策に終始し、真因である「評価の納得感不足」や「役割設計の不備」を見逃しがちです。

     

    本音を引き出すには、退職者が安心して話せる環境づくりと、具体的な対話が欠かせません。建前の裏にある本質を見極めることが、離職防止と組織改善のカギです。



    本音が出にくい理由

    退職面談や面接で本音を話すのは、退職者にとって簡単なことではありません。その背景には、いくつかの心理的なハードルがあります。


    • 人間関係への配慮 :上司や同僚との関係を悪化させたくない、波風を立てたくないという思いがある
    • 評価や再雇用への不安:「率直に話すと悪印象を残すのでは」という懸念が、本音を抑える
    • 心理的安全性の欠如:面談担当が社内の人事や上司だと、どうしても話しづらくなる
    • 言語化の難しさ:退職理由は複数の要因が絡み合うため、本人も整理しきれていないことがある

    さらに、日本特有の「波風を立てない文化」や、質問の仕方、第三者性の欠如、社員の個人情報の取り扱いへの不安も影響します。


    以下は当社調査による退職面談(エグジットインタビュー)実施率と、本音で話せない率を対比したグラフです。

    グラフを見ると、「上司との面談」では実施率59%と高い一方で、41%が「本音で話せない」と回答しています。唯一、実施率が「本音で話せない率」を上回る接点ですが、4割超が抑制されています。


    ついで「人事との面談」でも同様に実施率29%に対し39%が本音を話せないと回答しています。さらに「社長との面談」では実施率が14%と低い一方で、本音で話せない率は46%と非常に高い結果となっています。退職アンケートや同僚との面談においても、本音を話せない割合が実施率を大きく上回っています。



    インタビュー実施率/ホンネで話せない率

    インタビュー実施率
    ホンネで話せない率

    上司との面談

    59%
    41%

    人事との面談

    29%
    39%

    社長との面談

    14%
    46%

    退職アンケートへの回答

    9%
    30%

    同僚との面談

    6%
    24%

    あてはまるものはない

    22%

    調査期間:2023年2月27日~2023年3月7日

    対象者:20歳~59歳の男女で、正社員を退職し、直近1年以内に転職して正社員として就業している方

    サンプル数:n=1,412名

    調査方法:自社調査


    多くの企業においてエグジットインタビューが導入されていますが、退職者が必ずしも本音を語るとは限らず、離職の根本的な原因を正確に把握することが難しい状況です。特にハラスメントなどの深刻な問題については、会社側に伝えられることなく退職に至るケースが少なくないと言われています。


    このような「本音と建前」の壁を乗り越えるため、近年では心理師などの第三者がアバターなどの技術を活用して面談を行い、心理的安全性を確保した上で退職者の本音を引き出す専門サービスが登場しています。




    よくある本音と建前の例

    ここからは、退職面談や面接の場でよく聞かれる建前として挙がる「キャリアアップ」「家庭の事情」「給与への不満」を例に、その裏にある本音を紹介します。



    「キャリアアップ」の裏側

    建前:「スキルを高めるため」「新しい環境で挑戦したい」

    本音:「現職での成長機会不足」「評価制度の不透明さ」「役割・裁量のミスマッチ」

    「スキルを高めたい」「新しい環境で挑戦したい」一見すると前向きな理由に聞こえますが、その裏には別の事情が隠れていることがあります。たとえば、現職で成長のチャンスが見えず、社員が会社の将来や自身の成長に不安を抱く状況があります。「やりたい仕事に手を挙げても声がかからない」「昇進の基準が分からない」そんな状況では、将来に不安を感じるのも無理はありません。


    会社の評価制度への不信感もよくある話です。努力がどう評価されるのか分からない、上司によって基準が違う。こうした不透明さは、やる気を削いでしまいます。さらに、役割や裁量のミスマッチ。「期待される役割が曖昧」「意思決定権がなく、提案が通らない」。こうした不満が積み重なって、転職を考える人は少なくありません。



    「家庭の事情」の裏側

    建前:「育児や介護のため」「配偶者の転勤で」

    本音:「柔軟な働き方の欠如」「長時間労働や突発対応」「両立支援の不備」


    「育児や介護のため」「配偶者の転勤で」。退職理由としてよく聞く言葉ですが、社員が離職を選ぶ背景には別の事情があることがあります。たとえば、柔軟な働き方ができないこと。制度はあっても、実際には「在宅勤務は一部の職種だけ」「時短勤務はキャリアに不利」といった運用上の壁があります。


    長時間労働や突発対応も大きな負担です。「シフトの融通がきかない」「閉店後の残務が当たり前」「製造ラインの都合で休みが取れない」。こうした現場の制約が、家庭との両立を難しくしています。さらに、両立支援の不備。育児や介護休暇の取得率は高くても、復帰後のフォローやキャリア形成のサポートが弱ければ、結局は離職につながる可能性があります。



    「給与への不満」の裏側

    建前:「給与に不満がある」「もっと稼ぎたい」

    本音:「評価と報酬の連動不足」「市場水準との乖離」「昇給ルールの不明瞭さ」


    「給与に不満がある」「もっと稼ぎたい」。退職理由としてよく挙がる言葉ですが、実際にはもう少し複雑な背景があります。大きいのは、評価と報酬のつながりが見えないこと。「成果を出しても昇給がない」「評価の理由が説明されない」。こうした不透明さは、納得感を損なう要因となります。


    市場水準とのギャップも無視できません。同業他社と比べて「うちは低い」と感じると、転職意向は高まります。さらに、昇給ルールの不明瞭さ。「昇給のタイミングや基準がブラックボックス」という声は、特に若手からよく聞きます。



    その他の例

    「職場の人間関係」「経営方針の不一致」なども、退職理由としてよく挙がります。ただ、ここにも建前と本音のギャップがあります。たとえば、人間関係が原因の場合、表向きには「円満退職」と説明されることが多いものの、実際には特定の上司との意見の食い違いや、部署間のコミュニケーション不足が背景にあることが少なくありません。


    また、会社の経営方針に納得できない場合も、「キャリアの方向性を見直したい」といった言い方をされることが多いですが、実際には会社の将来性への不安や、トップの意思決定に対する違和感などが理由になっているケースもあります。




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    本音を引き出す方法

    退職理由の本音を聞き出すには、心理的安全性を確保し、信頼を築き、適切な質問を投げかけることが不可欠です。ここでは、面談を成功させるための3つの要素を解説します。



    信頼を築く3つのコツ

    1.   守秘と目的をはっきり伝える
    面談の最初に「この内容は評価や再雇用に影響しません」「目的は組織改善であって、個人を責めるものではありません」と伝えましょう。これだけで、退職者は安心して話しやすくなります。


    2.   傾聴と共感を大切にする

    退職者が話し始めたら、最後まで遮らずに聞くことが大切です。相手の言葉を言い換えて確認しながら理解を示す「傾聴」により、安心感を与え、深い対話につながります。例えば「業務の進め方に不満がある」と言われたら、「具体的にどの点でしょうか?」と尋ねることで、話を具体化しやすくなります。


    3.   感謝の意を具体的に表明する

    これまでの会社への貢献に対し、抽象的な言葉ではなく「〇〇のプロジェクトでのご尽力には、チーム全員が本当に感謝しています」といった具体的なエピソードを交えて感謝を伝えることで、相手は一人の人間として尊重されていると感じ、本音を話しやすくなります。



    退職面談の質問例

    退職面談で本音を引き出すには、質問の仕方がとても大切です。ポイントは、オープンな質問と時系列の流れ(過去→現在→未来)。こうすることで、退職者が自分の経験を振り返りやすくなり、具体的なエピソードを語ってくれます。


    以下に、実務で使える質問例とその狙いを挙げてみました。



    1. 導入と関係構築(過去)

    まずは退職者の経験を振り返ってもらい、話しやすい雰囲気を作ります。


    質問 狙い
    入社前に期待していたことと、実際に働いてみて感じたギャップはありましたか? ・採用活動やオンボーディングの課題を把握する
    ・候補者に誤解を与えていないか、入社後のサポート体制は十分かを確認する
    この会社で働いていて、最もやりがいを感じた瞬間や、楽しかった仕事は何でしたか? ・会社の「強み」や評価されている文化を特定する
    ・何が従業員のモチベーションに繋がっているのかを把握し、その要素を維持・強化するヒントを得る


    2. 退職理由の深掘り(現在)

    退職の意思決定に関わる核心部分を、多角的な質問で深掘りします。


    質問 狙い
    退職を決意するに至った、決定的な出来事やきっかけがあれば教えていただけますか? ・退職の直接的なトリガーを特定する
    ・具体的なエピソードから、見過ごされていた問題や緊急性の高い課題を発見する
    仕事をする上で、一番エネルギーを消耗した、あるいは「きつい」と感じたのはどのような時でしたか? ・業務負荷、業務設計、あるいは特定の人間関係における課題を明らかにする
    ・バーンアウト(燃え尽き症候群)の兆候や、非効率なプロセスがないかを探る
    ご自身の仕事に対する評価や昇進・昇給について、どの程度納得していましたか? ・評価制度の公平性、透明性、説明責任に関する課題を把握する
    ・従業員が正当に評価されていると感じられているかを確認する
    上司やチームメンバーとの関係性で、もっとこうだったら良かったと感じる点はありますか? ・マネジメントの質やチーム内のコミュニケーションに関する具体的な改善点を抽出する
    ・1on1の機能性や、チームビルディングのあり方を見直すきっかけにする


    3. 未来に向けた提言(未来)

    退職者の視点を「未来へのアドバイス」として活かします。


    質問 狙い
    どのような条件や環境が整っていれば、この会社で働き続ける可能性がありましたか? ・リテンション(人材定着)施策の具体的なアイデアを得る
    ・退職を未然に防ぐために、会社が何をすべきだったのかを直接的に探る
    これから入社される新しい職場に、最も期待していることは何ですか? ・自社に欠けている魅力を逆説的に明らかにする
    ・市場における自社の競争優位性や、改善すべき福利厚生・キャリアパスなどを把握する
    もしあなたが私の立場だったら、この組織を良くするために、まず何から始めますか? ・当事者意識を持った、客観的かつ建設的な改善提案を引き出す
    ・「内部の人間だからこそ見える課題」に対する具体的なアクションプランのヒントを得る
    後任者やチームのメンバーに、何か伝えておきたいアドバイスはありますか? ・スムーズな業務移行と、残るメンバーの働きやすさ向上に繋がるヒントを得る
    ・属人化している業務や、チーム内の暗黙のルールなどを可視化する



    避けるべき質問

    退職面談で本音を引き出すためには、「聞いてはいけない質問」を避けることも大切です。間違った質問は、退職者を萎縮させ、防衛的にしてしまいます。



    避けるべき質問の例


    • 詰問調:「本当に家庭の事情ですか?」
    • 責任追及:「誰のせいで辞めるんですか?」
    • 引き留め前提:「給与を上げたら残りますか?」
    • 守秘を曖昧にする:「この内容は必要に応じて共有します」
    • 人名特定:「問題のある上司は誰ですか?」

    こうした質問は、退職者にプレッシャーを与え、本音を隠させる原因となる可能性があります。代わりに、「どんな状況が働きづらさを生んでいましたか?」のように、人ではなく状況や仕組みに焦点を当てた質問に言い換えましょう。


    また、個人情報や匿名性の担保は必須です。個人情報保護法や関連ガイドラインに沿った運用を徹底し、退職者が安心して話せる環境を整えることが前提になります。



    本音を聞く仕組みづくり

    退職理由の本音を安定して集めるには、個人のスキルに頼らない仕組みが必要です。「聞き上手」な担当者に任せるやり方では、再現性も信頼性も確保できません。


    ポイントは、第三者による面談、匿名性の担保、そしてデータの一元管理。この3つを組み合わせることで、属人的な判断に左右されず、継続的に本音を収集できる仕組みを構築できます。


    単発の面談で終わらせず、仕組みとして運用することが重要です。そうすることで、企業は退職理由を正確に把握し、根本的な課題を抽出し、改善策を実行するための基盤を整えることができます。



    第三者面談の活用

    退職者が本音を語れない最大の理由は、利害関係のある相手に話す不安です。直属の上司や社内人事が退職面談を担当すると、「評価や推薦に影響するのでは」という懸念から、率直な意見を避ける傾向があります。


    そこで有効なのが、第三者による面談です。外部の専門家や、評価権限を持たない別部門の担当者が対応することで、心理的安全性は大きく高まります。さらに、オンライン面談やアバターの活用も効果的です。顔出し不要の形式は、プライバシーへの配慮と心理的負担の軽減につながると考えられます。

     

    第三者面談を成功させるポイント

    • 面談の目的と守秘範囲を冒頭で明確に伝える
    • 評価や再雇用に影響しないことを保証する
    • 面談者は傾聴スキルを持つ専門家(心理師など)を起用する

    外部の専門家が関わることで、中立性が保たれ、退職者は安心して本音を話せます。また、オンラインやアバターを使えば、顔出しのプレッシャーを減らし、より率直な意見を引き出せます。さらに、定期的に第三者面談を実施すれば、退職理由の変化や組織課題の傾向を継続的に把握でき、改善策の精度も高まります。



    匿名性を担保する方法

    本音を引き出すためには、個人情報保護法に準拠した匿名性の確保が重要です。発言者が特定されないよう、収集した情報は「仮名加工」や「匿名加工」といった法的に定められた手法で適切に処理する必要があります 。


     

    守るべきポイント

    • 目的を説明し同意を得る: 「組織改善のため」など目的を限定し、「個人評価には使わない」ことを明確に伝えます 。 
    • 個人情報を分離・加工する: 氏名や社員番号などを削除し、個人を特定できない統計データとして扱います。
    • 安全に管理する: データは暗号化し、アクセス権限を最小限に絞るなど、厳格な管理を行います。

    避けるべきNG例

    • 面談記録を個人が特定できるまま部署に共有する。
    • 属性情報(部署や役職など)から個人が推測できる状態でレポートを作成する。
    • 同意なく情報を目的外に利用したり、無期限に保管したりする。

    これらのルールを徹底することで、退職者は安心して本音を話すことができ、企業は法的なリスクを回避しながら、価値ある情報を得ることができます。

     

    参考:個人情報保護委員会「法令・ガイドライン等」

       個人情報保護委員会「匿名加工情報と仮名加工情報の違いは何ですか」



    面談とサーベイの連携

    最も効果的な仕組みは、定性データと定量データを組み合わせるアプローチです。インタビュー(定性)で個別の深い本音を掘り下げ、サーベイ(定量)で組織全体の傾向や課題の優先順位を客観的に把握する。この両輪が、精度の高い課題特定に繋がります。


    当社のサービス「退職のホンネ」も、このインタビューとサーベイを掛け合わせることで、数値の背景にあるリアルな声を深掘りし、課題の真因を多角的に可視化する強みを持っています。

     

    関連サービス:退職のホンネ|本音を探る退職面談サービス|離職防止と組織改革へ |パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社



    本音データの活用と改善策

    退職面談やサーベイで集めたデータは、集めただけでは意味がありません。大切なのは、そこから原因を見つけ、見える化し、改善につなげることです。本音データは、個々の声で終わらせず、統計的に分析して真因を明らかにすることで、組織改善の強力な材料になります。


    このデータをもとに、改善策を立て、実行し、効果を検証する。PDCAを回すことで、離職率の低下やエンゲージメント向上、採用コスト削減といった具体的な成果につながります。



    真因分析のポイント

    退職理由をそのまま信じても、改善は進みません。必要なのは、表面的な言葉を整理し、因果関係を見極めることです。


    まず、自由記述や面談記録を「評価」「上司」「制度」「働き方」などのカテゴリに分類します。次に、どの要因が一緒に出てくるかを分析し、因果関係の仮説を立てます。たとえば「評価制度の不透明さ」→「成長機会の欠如」→「キャリアアップ転職」といった流れです。最後に、部署や職種ごとに傾向を比較し、再現性を確認します。


    分析では、サンプル数やバイアスに注意し、複数のデータソースで補完することが重要です。個人情報は必ず匿名化し、アクセス権も制限します。


    本音データをこうして構造化・分析することで、単なるコメントでは見えない根本原因を特定できます。これが、組織改善を成功させる鍵です。



    ダッシュボードでの可視化

    分析結果は、経営や現場が一目で理解できる形にすることが大切です。そのために、ExcelやBIツールを使ってダッシュボードで可視化します。


    表示するのは、退職理由のカテゴリ別割合や部署別の真因ランキング、感情スコアの推移、改善施策とKPIの連動状況など。時系列で変化を追える設計や、重大発言を示すヒートマップ、自由記述のキーワードクラウドを組み合わせると、現場感も共有できます。


    ダッシュボードは、ヒートマップやグラフで直感的に把握できるようにします。さらに、面談の感情スコアを数値データと並べて表示すれば、数字の背景にあるリアルな声も見えます。改善策の効果を定期的に確認し、PDCAを回す仕組みとしても有効です。



    導入のステップと注意点

    退職理由の本音を可視化する仕組みを導入する際は、法令を守りながら、運用を安定させることが欠かせません。特に重要なのは、同意取得と情報管理の徹底、そして小規模なパイロット導入で仕組みを検証することです。



    同意取得と情報管理

    退職面談やサーベイで本音データを収集するには、同意取得と情報管理の徹底が不可欠です。


    同意取得では、目的(例:「組織改善のため」「個人評価には使用しない」)、利用範囲、第三者提供の有無、保存期間、同意撤回の方法を明示し、文書やデジタル署名で確認します。情報管理では、氏名や社員番号を分析データから切り離し、匿名加工や仮名加工を適用します。アクセス権は最小限に制限し、ログを記録、データは暗号化して保存します。


    NG例として、面談記録をそのまま部署に共有する、保存期間を定めず無期限保管する、目的外利用(評価や査定への転用)などがあります。これらを守ることで、退職者の信頼を確保し、安全にデータを活用することができます。



    パイロット導入の流れ

    全社展開の前に、限定的なパイロット導入を行うことで、リスクを抑えつつ効果を検証できます。


    まず、対象部署を選定します(離職率が高い部門や改善意欲のある部門)。次に、期間を設定し(例:四半期)、第三者面談とサーベイを実施します。評価指標は、面談・サーベイ実施率、本音検出率、改善アクション件数、KPI(離職率やエンゲージメントスコア)との連動状況などです。


    結果をレビューし、運用ルールを見直したうえで、Go/No-Goを判断し、必要に応じて全社展開に移行します。経営層にはダッシュボードやレポートで報告し、現場には迅速にフィードバックを行うことが重要です。



    まとめ:本音を可視化する重要性

    退職は、企業にとって避けられない出来事ですが、それは単なる人材流出という「損失」ではありません。退職者が最後に残してくれる「本音」は、組織の隠れた課題を映し出し、未来の成長につながる貴重な経営資源です。

     

    退職者の本音を可視化し、データに基づいた組織改善サイクルを回していくこと。それが、これからの人的資本経営において不可欠な一手となるでしょう。しかし、その仕組みをゼロから構築するには、専門知識やリソースが必要です。



    本音を引き出す退職面談サービス、「退職のホンネ」

    パーソルビジネスプロセスデザインでは、退職予定者の本音を探る「退職のホンネ」をご提供しています。心理師による第三者面談とサーベイを組み合わせ、退職理由を定性・定量の両面から分析し、組織課題の可視化を実現します。


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