健康経営支援サービスとは?種類ごとの特徴と選び方を解説!

健康経営支援サービスとは?種類ごとの特徴と選び方を解説!

近年、「健康経営」という言葉を耳にする機会が増えているのではないでしょうか。

従業員の健康を大切にすることで、会社の持続的な成長にも繋がるという考え方ですが、「具体的に何から始めれば良いのだろう?」「専門的な知識もないし、難しそう」と感じている経営者やご担当者の方も少なくないでしょう。

この記事では、多岐にわたる健康経営支援サービスの種類や特徴、そして最適なサービスを見つけるための選び方を解説します。


目次

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    ストレス・メンタルケアの取り組みで企業の健康経営を次のステージに

    今求められているストレスやメンタルケアについて、実際に企業が実施している施策や成功のポイントについて解説します。

    健康経営とは?

    健康経営とは、「従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること」を指します。

    従業員一人ひとりが心身ともに健康な状態ではたらくことができれば、仕事への意欲や集中力が高まり、組織全体の活性化や生産性の向上につながります。

    積極的に健康増進に取り組むことで、企業の持続的な成長を目指すという考え方です。



    健康経営に取り組むことで、企業が期待できるメリットには、主に以下が挙げられます。


    • 生産性の向上:健康な従業員は集中力やモチベーションが高く、高いパフォーマンスを発揮する傾向がある
    • 採用力の強化:従業員の健康を重視する企業は、求職者に魅力的に映り、優秀な人材を確保しやすくなる
    • 社会的信用の向上:顧客、取引先、投資家など、ステークホルダーからの信頼を高める効果が期待できる

    健康経営に取り組むメリットについては、こちらの記事(コラム)でも解説していますのでご参考にください。




    このように多くのメリットを享受できるため、健康経営を推進する企業が増えています。


    2016年に経済産業省が創設した「健康経営優良法人認定制度」の認定数は年々増加しており、「健康経営優良法人2025」では「大規模法人部門」に3,400法人、「中小規模法人部門」に19,796法人が認定されているほどです。




    取り組みを進める企業が増加する一方で、実際に導入・推進する際には次のような課題や悩みに直面することも少なくありません。



    • ノウハウ不足:専門的な知識や推進経験を持つ人材が社内におらず、何から手をつければよいか分からない
    • リソース不足:専任の担当者を配置する余裕がなく、健康経営の推進に十分な時間や労力を割けない
    • 従業員の関心度:従業員の健康への関心が低く、参加率が伸び悩んだり、施策の効果が十分に得られない
    • 効果測定の難しさ:売上のように短期間で明確な数値が出にくいため、成果の測定・評価が難しい
    • コスト面の懸念:一定の費用が発生するため、予算の確保が課題

    これらの課題を解決するためのソリューションとして、健康経営支援サービスの活用が有効です。


    次章で、その種類と特徴を詳しく見ていきましょう。



    健康経営支援サービスの種類と特徴

    健康経営を進める上で生じるさまざまな課題に対応する健康経営支援サービスは多岐にわたります

    この章では、その中でも代表的なサービスを5つのカテゴリーに分けて紹介します。それぞれのサービス概要とメリット・デメリットを確認していきましょう。



    健康管理アプリ・クラウドサービス

    健康管理アプリ・クラウドサービスは、健康診断結果やストレスチェックデータなどを一元管理・分析し、可視化するシステムです。

    多くはクラウド型で提供されており、初期投資を抑えやすい点が特徴です。また、データに基づき健康管理を実現するため、管理効率化と健康課題の把握を目指す企業に適しています。


    ●メリット

    • オンラインでのアクセスが可能なため、場所を選ばず利用できる
    • 煩雑な健康データの管理業務が大幅に効率化
    • データの検索や分析が容易に
    • 自社の健康課題を把握しやすくなり、具体的な対策を立てやすくなる
    • 担当者の事務負担軽減やコスト削減つながる

    ●デメリット


    • 特にクラウドサービスの場合はインターネット環境が必須
    • パッケージ化されたサービスが多いため、自社独自の運用方法はパッケージに合わせた改善が必要
    • 初期導入とは別途、システム利用料などのランニングコストが必要
    • 従業員のシステム習熟に時間が必要
    • 従業員の個人情報を扱うため、セキュリティ対策が重要


    健康増進プログラム・保健指導

    健康増進プログラムでは、従業員の主体的な健康行動を後押しします。

    健康意識の向上や、より健康的な生活習慣の実践を促すためのプログラムを提供します。例えば、運動不足解消を目的としたセミナーや社内運動イベントなどの開催、栄養バランスに関する食事指導、禁煙支援プログラムなどが挙げられます。

    また、健康診断の結果に基づき保健師や管理栄養士などの専門職が、生活習慣病のリスクが高い従業員に対して個別または集団で具体的なアドバイスや支援を行う「保健指導」(特定保健指導など)もこのカテゴリーに含まれます。

    従業員の健康意識の底上げや、生活習慣の改善に直接アプローチしたい企業に適しています。


    ●メリット


    • 従業員の健康意識向上につながる
    • 生活習慣病の予防や改善が期待できる
    • 医療費抑制につながる可能性がある
    • 従業員のコミュニケーション活性化が期待できる

    ●デメリット


    • プログラム運営にコストがかかる
    • 従業員の参加率が低い場合は効果減の可能性がある


    メンタルヘルスケア・ストレスチェックサービス

    メンタルヘルスケア・ストレスチェックサービスは従業員の心の健康(メンタルヘルス)を守ることを目的としています。

    ストレスチェックの実施支援、結果の集団分析やメンタルヘルス不調による休職や離職を未然に防ぐための相談窓口設置を行い、職場環境の改善を支援します。

    従業員の心の健康サポートと、はたらきやすい職場環境づくりに注力したい企業に適しています。


    ●メリット


    • 従業員のメンタルヘルス不調の早期発見と対応につながる
    • 職場環境の課題発見や改善策の検討に役立つ
    • 法的な義務(ストレスチェック実施等)を適切に履行できる

    ●デメリット


    • プライバシーへの最大限の配慮が必要
    • 単に実施するだけでなく、結果を分析し、具体的なアクションにつなげなければ形骸化してしまう恐れがある



    セルフケア研修・福利厚生サービス

    健康増進に繋がる福利厚生サービス

    セルフケア研修は、従業員一人ひとりが自身の健康状態に関心を持ち、ストレスへの対処法や健康的な生活習慣を身につけるための知識・スキルを学ぶ機会を提供します。

    一方、福利厚生サービスは、企業が組織として従業員の健康維持・増進を支援するための各種制度やサービスを指します。

    例えば、スポーツジムの利用割引、健康診断や人間ドックの費用補助、栄養バランスの取れた食事の提供・補助、マッサージチェアの設置、リフレッシュ休暇制度などが考えられます。

    従業員の健康管理を企業としてサポートする環境を整えたい企業に適しています。


    ●メリット


    • 従業員のセルフケア能力が向上する
    • 従業員満足度や定着率向上への貢献が期待できる

    ●デメリット


    • セルフケア研修は任意参加が多い場合、参加率が課題となることもある
    • 従業員のニーズに合っていない場合、利用が進まない可能性もある

    健康経営コンサルティング

    健康経営コンサルティングは、企業の状況やニーズに応じて、導入計画の策定から施策の実行、効果測定、改善提案、さらには健康経営優良法人(健康経営銘柄含む)の認定取得まで、一連のプロセスを専門的な知見に基づいて伴走支援するサービスです。

    「何から始めれば良いかわからない」という段階から具体的な課題解決、目標達成まで企業の状況やニーズに合わせた支援を行ってもらえるため、知識が少なく進め方に不安がある、専門家による包括的なサポートを受けたい、戦略的に健康経営を推進したいなど総合的な支援を求める企業に適しているでしょう。


    ●メリット


    • 社内に専門知識やノウハウがなくてもスムーズな導入・推進が可能
    • 自社の課題や目標に合わせた具体的なアドバイスや施策提案を受けられる
    • 健康経営優良法人の認定取得に向けた具体的な支援を受けることができる

    ●デメリット


    • コンサルタントの経験や能力によって、得られる成果に差が出る可能性がある
    • コンサル依存によるノウハウ蓄積の課題を考慮し、企業側も主体的に関与する必要がある



    【比較表】健康経営支援サービスの選び方

    健康経営支援サービスを選ぶ際は、以下の点を押さえ、費用対効果の高いサービスを見極めることが大切です。



    サービス選びのポイント


    • 自社の健康課題を把握しておく
    • 健康経営に取り組む目的を明確にする
    • トータルコストと得られる効果を比較する
    • 自社の規模や状況に適しているか
      • 導入時や運用開始後のサポートが充実しているか

    また、健康経営支援サービス別の特徴を一覧表にまとめましたので、上述のポイントと併せて参考にしてみてください。


    健康経営支援サービス比較表


    サービスの種類 主な特徴 こんな企業におすすめ 費用感(目安) サポート内容例
    健康管理アプリ
    クラウドサービス
    ・健康データ一元管理
    ・データ分析
    ・健康状態をみえる化
    ・報告書作成支援
    ・オンラインアクセス
    ・データ管理を効率化したい
    ・客観データに基づき健康課題を把握したい
    費用感:低~中 ・プログラム企画
    ・運営支援
    ・専門家派遣
    メンタルヘルスケア
    ストレスチェック
    ・ストレスチェック実施/分析
    ・高ストレス者面談
    ・相談窓口設置
    ・職場環境改善支援
    ・メンタルヘルス対策を強化したい
    ・ストレスチェック結果を分析し職場改善につなげたい
    費用感:低~中 ・専門家紹介
    ・実施事務代行
    ・結果分析、職場改善の支援
    ・セルフケア研修
    福利厚生サービス ・ストレス管理研修
    ・生活習慣改善セミナー
    ・運動・食事補助
    ・健康診断補助
    ・休暇制度
    ・セルフケア能力を高めたい
    ・福利厚生を導入し満足度や定着率を向上させたい
    費用感:低~中 ・研修講師派遣
    ・プログラム企画
    ・福利厚生導入支援
    健康経営コンサルティング ・現状分析
    ・目標設定
    ・施策立案/実行支援
    ・効果測定
    ・改善提案
    ・認証取得支援
    ・健康経営の進め方に不安がある
    ・専門家の伴走支援が欲しい
    ・健康経営優良法人認定(ホワイト500・ブライト500)を目指したい
    費用感:中~高 ・定期進捗会議
    ・専門知識提供
    ・資料作成支援


    まとめ


    健康経営支援サービスにはデータ管理を助けるものから、専門的なアドバイスを提供するものまでさまざまな種類があります。

    まず自社の状況を整理した上で、「どの種類のサービスが自社にとって最も必要か?」という方向性を見極め、そのカテゴリーに属する具体的なサービス提供事業者や製品の詳細を比較検討していきましょう。



    支援サービス導入時の注意点

    具体的なサービス提供事業者や製品の導入後に「思っていたのと違った」といった失敗を防ぎ、スムーズな運用につなげるためには、事前の確認が大切です。



    よくある注意点として以下に4つ挙げてみました。

    • 自社の「課題」や「目標」に適したサービスなのか、現場の操作や運用が難しくないかを確認する
    • 利用にかかるすべてのコストを把握できているか、予算内で継続的に利用可能かどうかを確認する
    • 最低利用期間の有無や中途解約する場合の条件、契約変更可否など、契約内容を十分に確認する
    • 従業員の個人情報が安全に管理されるセキュリティ対策が講じられているかを確認する

    サービス導入を成功させ、効果的な健康経営推進につなげるためにも、焦らず、しっかりと準備を進めましょう



    健康経営の進め方|5つのステップで解説

    健康経営を効果的に導入し社内に定着させていくための具体的な進め方は以下の手順です。本章では5つのステップで解説します。



    • ステップ1:「健康宣言」を行う
    • ステップ2:組織の健康課題を見える化する
    • ステップ3:健康経営支援サービスの選定と計画立案
    • ステップ4:従業員への周知・施策の実施
    • ステップ5:効果測定と改善のサイクルを回す

    ステップ1:「健康宣言」を行う

    はじめに経営者が従業員の健康づくりを重要な経営課題として捉え、積極的に取り組むことを社内外に表明(健康宣言)します。

    健康経営優良法人の認定取得を目指す際、大規模法人部門や中小規模法人部門を問わず、必須の認定要件となっています。


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    健康経営優良法人2025(中小規模法人部門)認定要件



    ステップ2:組織の健康課題を見つける

    次に従業員の健康状態や健康に関する意識・行動の実態を把握し、自社が抱える健康課題を明らかにします。

    この課題を正確に把握することが、効果的な施策を立案するための出発点となるため、健康診断の結果やストレスチェックの集団分析結果、自社独自のアンケートなどの根拠をもとに現状を知り課題を明確にします。



    ステップ3:支援サービスの選定と計画立案

    ステップ2で明らかになった健康課題を踏まえ、具体的な健康経営の目標設定と達成に向けた施策を計画します。健康課題の中から優先的に改善する課題を明確にすることが重要です。

    また、担当部署や推進体制、年間のスケジュール、予算などを決定し計画実行のために必要な健康経営支援サービスを選定していきます。



    ステップ4:従業員への周知・施策の実施

    策定した計画や施策について、従業員に説明し実行に移していきます。

    健康経営は従業員一人ひとりが主役です。施策の内容をよく理解してもらい、積極的に参加してもらうことが成功の鍵となります。

    参加しやすい雰囲気づくり、例えば健康イベントやセミナーなら時間帯や場所への配慮、インセンティブの設定や、成功事例の共有を行うことで参加意欲を高める上で有効かもしれません。



    ステップ5:効果測定と改善のサイクル

    健康経営を進めるPDCAサイクル

    実施した施策が、当初設定した目標に対してどの程度の効果があったのかを定期的に測定・評価します。結果に基づいて、計画や施策の内容を見直し、改善していくプロセス(PDCAサイクル)を回していきましょう。

    継続的に行うことで、健康経営の取り組みが形骸化するのを防ぎます。また、短期的な成果だけでなく中長期的な視点での効果検証も大切です。

    うまくいった点、改善すべき点を明確にし、次の計画(Plan)につなげていくことが、継続的な取り組みの鍵となります。

    なお、一度計画して終わりではなく継続的に回していくことが、健康経営を組織に根付かせ、成果に繋げるために重要です。最初から完璧を目指す必要はないため、まずはできることから着実に始めてみましょう。



    健康経営支援サービスならパーソルビジネスプロセスデザインへ

    ここまで、健康経営支援サービスの特徴と選び方、そして健康経営の進め方について解説しました。

    健康経営は企業の持続的な成長に不可欠な取り組みですが、ご紹介したように専門知識やリソースの不足など、その推進にはさまざまなハードルが存在します。

    こうした企業の悩みを解決し、より効果的に健康経営を進めるためには、外部の健康経営支援サービスの活用が非常に有効なソリューションとなります。

    健康管理システムの導入から従業員の健康増進プログラム、メンタルヘルス対策、そして戦略策定まで、さまざまなサービスが存在し、自社の状況に合わせた適切な選択と運用が求められます。

    しかし、自社の課題に最適なサービスを見つけ出し、それを計画通りに実行し、成果につなげるプロセスは、決して容易ではありません。

    そこで頼りになるのが、健康経営に関する専門知識と豊富な実績を持つパートナーの存在です。

    パーソルビジネスプロセスデザインでは、健康経営を実現するためのコンサルティング支援を提供しています。専門チームが現状整理から実行支援までトータルサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。関連資料のダウンロードもご活用いただけます。


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