CDP・CRMとは?
まずは、CDPとCRMの概要を見てみましょう。
以下ではそれぞれの特徴について解説します。
CRMとは
CRM(Customer Relationship Management:カスタマーリレーションシップ マネジメント)とは、
顧客との関係性を一元管理するプラットフォームのこと。
SalesforceやHubSpotなどは、CRMの代表的なツールです。
特に既存顧客の情報管理に特化しており、購入履歴や問い合わせ内容、営業活動の履歴などを蓄積できるのが特徴です。
顧客ごとのデータを正確に把握し、分析結果を活用することで、アプローチのタイミングや手法を最適化できます。
例えば、以下のような活用が可能です。
● 過去の購入履歴に基づいたレコメンドを実施
● 営業担当が顧客とのやりとりを記録し、スムーズなフォローアップを実施
CRMで顧客との関係性を強化することで、リピーターの増加や売上の向上が期待できます。
CDPとは
CDP(Customer Data Platform:カスタマーデータプラットフォーム)とは、
企業が持つ顧客データを集約し、統合・分析できるプラットフォームです。
ユーザーの購買データや問い合わせ履歴、行動ログなど、さまざまなデータを統合できます。
見込み客を含めた幅広い顧客データを管理の対象としており、幅広い範囲にアプローチできるのが特徴です。
例えば、以下のような活用が可能です。
● 特定の商品を購入した顧客の行動パターンを分析し、
似た行動を取るユーザーに対してプロモーションする
● 過去の購買履歴から、リピート購入の可能性が高い顧客層を特定する
● Webサイトの行動データをもとに、離脱しやすいポイントを分析し、導線の改善につなげる
なお、CDPについては以下の記事でも詳しく解説しています。
関連記事|CDPとは?機能やメリット、マーケティング上の意味をわかりやすく解説
CDPとDMPとの違いは?
CDPと混同されやすいツールにDMP(Data Management Platform:データ・マネジメント・プラットフォーム)があります。
両者の違いは、扱うデータの種類です。
CDPが企業独自の1st Partyデータを活用するのに対し、DMPは外部の3rd Partyデータを活用する点が異なります。
また、基本的にCDPにはデータの保存期間に制限はありません。
一方、DMPは主に広告のターゲティングをメインに使用するため、保存期間が半年程度の場合が多いです。
両者の違いについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
関連記事|【2024年】CDPとDMPの違いとは?CDPの仕組みや特徴を解説
【比較】CDPとCRMの違い
CDPとCRMは、いずれも顧客データを収集・管理・分析できるツールです。
CDPが既存顧客だけでなく見込み客も広くカバーできるのに対して、CRMは主に既存顧客の管理に特化しています。
また、データの統合方法や精度にも違いがあります。
収集対象の違い
CDPでは、Webサイトやアプリを訪れた匿名の閲覧者データを含め、幅広いデータを収集できるのが特徴です。
例えば、サイトに訪問したものの会員登録をしていないユーザーの行動履歴も記録されます。
一方、CRMにおけるデータの収集対象は、既存顧客や潜在層の情報に限定されます。
商談履歴や連絡先、購入履歴などが中心となり、匿名の閲覧者データは含まれません。
CDPがより広範なデータを収集するのに対し、CRMは既存顧客との関係管理に特化しています。
分析対象の違い
CDPでは、顧客ごとに行動履歴を統合し、カスタマージャーニー全体を分析できます。
例えば「広告をクリックしたあとにサイトを訪れ、何回か閲覧したのちに問い合わせを行った」といった一連の流れを可視化できます。
一方、CRMの分析対象は、営業やカスタマーサポートが行った特定の案件に関するデータです。
商談の進捗状況や成約率の予測、顧客の過去の購入履歴などに基づき、営業活動を最適化することが主な目的です。
追跡範囲の違い
CDPでは、オンラインとオフラインのデータを統合できるのが特徴です。
例えばPOSデータとの連携により、実店舗での購買履歴も組み合わせて管理できます。
一方CRMでは、基本的に企業が直接やりとりした顧客のデータのみを追跡します。
オフラインのデータは、手動でCSVなどをアップロードしない限り連携されません。
データの統合方法と精度の違い
CDPは自動的に複数のデータソースを統合し、重複や欠落を防ぐ仕組みになっています。
Web、SNS、アプリ、POSデータなどを組み合わせることで、データを集約して一元管理できます。
一方CRMでは、主に営業担当者が手動で入力した情報を管理します。
ミスや入力漏れなどにより、誤った情報が登録される可能性があります。
CRMでできること
以下では、CRMでできることをBtoC、BtoBに分けてご紹介します。
● BtoCの場合
● BtoBの場合
BtoCの場合
BtoCビジネスでCRMを活用する場合、マーケティング施策やカスタマーサポートに活用される場合が多いです。
例えば、以下のような情報を管理できます。
● 既存顧客の基本情報
● キャンペーンに紐づいた購入履歴
● Webサイト上での行動履歴
● コミュニケーション履歴
● カスタマーサポートへの問合せ内容
CRMにより多彩なアプローチで顧客との関係構築を行うことで、関係性の強化や顧客満足度の向上が期待できます。
BtoBの場合
BtoB企業では、CRMは営業活動の効率化に役立ちます。
SFA(営業支援システム)に近い役割を果たし、商談管理や案件管理をサポートします。
管理できる情報としては、以下のようなものがあります。
● 企業情報
● 既存顧客に関する情報
● 予算・実績管理
● 商談管理
● キャンペーンに紐づいた購入履歴
● コミュニケーション履歴
CDPでできること
続いて、CDPでできることを3つに分けてご紹介します。
● データの収集
● データの統合・整形
● データの分析
データの収集
CDPは、多様なチャネルから顧客データを集約できます。
オンライン上の行動履歴はもちろん、POSデータとの連携によりオフラインのデータも管理できます。
具体的には以下のようなデータを収集します。
● ユーザー属性
● Webサイト上での行動ログ
● 購買履歴
● 実店舗への来店履歴
● メールマガジンにおける開封率やクリック率
● アンケートへの回答
● 外部システム内のデータ
データの統合・整形
収集したデータは顧客ごとに統合され、マーケティング活動で活用しやすい形に整えられます。
各チャネルから収集されたデータは、異なるフォーマットで記録されていたり、情報が分散していたりすることがあります。
CDPではこれらの情報を整理し、顧客IDに紐付けて管理します。
また、データ整形機能を備えたCDPでは、不完全な情報の補完や重複データの削除、表記の統一などを自動で行うこと(データクレンジング)も可能です。
データの分析
統合・整形されたデータをもとに、ユーザーニーズや行動パターンを分析できます。
例えば、特定の商品を購入した顧客の行動パターンを分析し、似た行動を取るユーザーに対してプロモーションを行えます。
また、過去の購買履歴からリピートしてくれそうな顧客層を特定したり、行動データをもとに離脱ポイントを改善したりすることも可能です。
CDPとCRMの使い分けポイント
CDPとCRMはいずれも顧客データを活用するツールですが、目的や活用シーンが異なります。
それぞれの強みを理解し、適切に使い分けることで、効果的なマーケティングを実施しましょう。
● 既存顧客の囲い込みならCRM
● 精度の高いマーケティングならCDP
既存顧客の囲い込みならCRM
すでに製品やサービスを利用している顧客と長期的な関係を築きたい場合、CRMの活用が有効です。
CRMで既存顧客の購買履歴や対応履歴、属性情報を一元的に管理することで、パーソナライズされた対応やフォローアップを実現できます。
特に、リピーターの育成やカスタマーサクセスの推進に向いており、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の最大化を目指すうえでも欠かせません。
また、販売管理システムや受発注システムと連携することで、より正確な顧客インサイトを得られるようになります。
例えば販売データと連携することで「いつ・誰が・何を・どれくらい購入したか」といった情報をもとに、購買傾向に基づいたキャンペーン設計なども行えます。
このように、既存顧客に特化した施策を行なうならCRMが向いているでしょう。
CRMが適しているケースの例
● 顧客との接点がすでに確立されている
● リピーター施策を強化したい
● 営業やカスタマーサポートの業務を効率化したい
顧客対応の精度を向上するならCDP
顧客データを幅広く分析できるCDPでは、より精度の高いマーケティングを行えます。
まだ顧客になっていない見込み客の段階からデータを収集・統合し、一貫性のある施策を展開できます。
CDPが適しているケースの例
● 見込み顧客のデータも活用し、顧客獲得を強化したい
● オンラインとオフラインの顧客データを統合したい
● AIや機械学習を活用し、より高度なパーソナライズ施策を実施したい
CDPとCRMは併用されることが多い
よりビジネスを強化するなら、CDPとCRMの併用もおすすめです。
CDPは多様な情報の収集・分析に優れていますが、集めたデータを直接施策に活かす機能は備えていません。
一方CRMは、メール配信などの施策実行を行えますが、データ収集の範囲はCDPよりも限られています。
そのため、CDPで得たデータをCRMに連携し、そのデータに基づいた施策をCRMで実行する使い方が一般的です。
CDPは「情報の収集・統合・分析」、CRMは「施策実行と顧客関係の管理」といった分業体制を取ることで、より効果的なマーケティング活動を実現できるでしょう。
また上記に加えて、MA(Marketing Automation:マーケティングオートメーション)とも連携することで、マーケティング施策の自動化・効率化も行えます。MAについては、以下の記事でも解説しています。
関連記事|CDPとMAの違いは?使い分けのポイントや併用のメリットを徹底解説
まとめ
CDPとCRMの違いについて解説しました。
CDPとCRMはいずれも顧客情報を管理できるツールですが、強みや機能が異なります。
既存顧客の囲い込みにはCRM、より精度の高いマーケティングを行うにはCDPが向いていますが、両者の併用もおすすめです。
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