株式会社スギノマシン|「データの蓄積」から「AIによる予測」のステージへ。 スギノマシンが挑む、kintone×Difyによる営業DXの第二章

株式会社スギノマシン

業種
製造
導入部署・部門
グループ全社

課題・背景

データドリブン営業のプロセスを確立するため、kintoneを活用して新システムの構築に着手。
営業を筆頭に各部門が持つ過去のデータを洗い出すことができたが、現場レベルでの意識変革がプロジェクト進捗と隔たりがあり、kintone活用のメリット説明やビジョン共有といった営業所ごとへのアプローチが求められていた。

Before

・情報の集約はできたが、入力の定着率に課題があった
・蓄積されたデータが「記録」に留まっていた
・営業ノウハウがベテランに依存し属人化していた

After

・現場・課長層への地道な啓発により、入力作業の定着率が約10%向上
・kintone×Difyにより、経営レポートを自動生成する仕組みを構築中
・AIが過去の知見を分析し、新人の提案活動を支援する基盤を構築中

目次

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    株式会社スギノマシン
    代表取締役社長 杉野 岳 様
    株式会社スギノマシンは、創業以来技術開発を重ね、現在では、「切る・削る・洗う・磨く・砕く・解す」の6つの「超技術」を核に、自動車業界、航空機業界、医薬品・化粧品業界など幅広い領域に対し、開発・設計、製造、販売を行い、世界中のさまざまな現場を支えてきました。

    世の中の1.5歩先を行く技術開発で新たな商品を展開し続けている同社は、2023年からデータを最大限に活用した営業DXプロジェクトを開始。パーソルビジネスプロセスデザインとタッグを組み、2024年にkintoneを用いたSFA(営業支援システム)の基盤構築という大きな節目を迎えました。

    前回の取材時、データドリブン構想を強力に牽引していた杉野代表は、「データに基づいた営業への改革は経営戦略を転換するための足掛かりであり、今後は活動を全部門へ拡大していく」と語っていました。それから2年、過去最高益を達成するなど、データドリブン構想による成果は着実に実を結びつつあります。営業だけでなく全部門でのデータ資産化が進み、経営判断の高度化が最高益の更新という確かな成果をもたらす中で、次なる壁となったのが「現場のさらなる入力負担の軽減」と、蓄積されたデータの領域を越えた「高度な予測・活用」でした。この課題を解決すべく、パーソルビジネスプロセスデザインの伴走支援のもと、kintoneとAI(Dify)を組み合わせた次世代型営業システムの構築に着手。データの「集約」から「分析・予測」へと、その歩みを加速させています。


    前回の記事はこちらを参照ください。


    取材対象者:


    株式会社スギノマシン

    経営企画本部 営業企画部 部長 山田様

    経営企画本部 営業企画部 マーケティンググループ グループ長 小倉様

    分析から予測へ、AIが加速させる営業のデータドリブン化

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    2024年の基盤構築から2年が経過しました。現在の到達地点をどう捉えていますか?

    山田:データドリブン経営を実現させるため、2024年からその土台づくりを固める思いで、パーソルビジネスプロセスデザインに並走いただきました。

    営業を筆頭に各部門が持つ過去のデータを収集・集約して見える化し、データに基づく各部門の意思決定や経営判断を行う体制整備をこの2年で進めてきました。こうした基盤構築のフェーズを経て、現在は蓄積された情報を分析し、次のアクションを「予測」するステージに立っています。

    実は、kintoneの導入当初は現場にとってこれまでのやり方の変更を迫る「黒船」のような存在であり、変化に対する不安や戸惑いが社内には確かにありました。

    その中で大きな転換点であり、強力な追い風となったのが、このデータドリブン構想を当初から強力に引っ張ってきた杉野岳が社長に就任したことです。トップが明確な方針を示したことで、プロジェクトを全社一丸となって推進する強力な基盤が整いました。


    経営トップの強いコミットメントという追い風がありながらも、現場への浸透には地道なドラマがあったのですね。

    山田:その通りです。いくら経営トップの号令であっても、長年培われた企業風土や仕事の進め方をなかなか変えられない人は当然います。だからこそ、システムが変わりますと通達して終わりにするのではなく、マインドを変えていくための地道なアプローチが必要でした。

    そこで私と小倉は全国の営業所へと足を運び、社員一人ひとりと徹底的に膝を突き合わせた話し合いをして、「実はこうして欲しかったんだよ」と、声に出しづらかった要望なんかを聞いてきたんです。

    こうした地道な理解促進のアクションを行ってきたことで少しずつ現場にも変化が生まれてきていると実感しています。

    小倉: 以前は、営業担当者が情報を入力するメリットを十分に理解できておらず、kintoneは変化に対する不安を感じさせる存在でもありました。しかし、入力作業の入力率が2024年から2025年にかけて約10%向上したことで、ようやく分析ステージへ上がる第一歩をクリアできたと実感しています。

    kintoneの活用によってどういったメリットが得られるかという理解が進んだ確かな成果だと思います。


    営業改革の中核となった「新日報アプリ」の開発と浸透においても工夫されたそうですね。

    山田:営業活動を可視化し、SFAの肝であるデータ蓄積を最大化することを目指し、kintoneを使ったアプリ開発に着手しました。それが新日報アプリです。

    SFAを運用する上でもっとも重要なのは、「いかにデータが集まるか」だと考えています。どれだけ高機能な仕組みでも、入力されなければ意味がありません。実際、新日報アプリによって多様な情報が見られるようになった一方で、入力項目が増えてしまい、入力が定着しないという課題に直面しました。 そこで、入力項目の簡略化やAIによる議事録の自動連携によって営業担当者の入力負担を減らしながら、データが貯まりやすくなる環境整備に注力しました。

    小倉:その際に着目したのは、「入力する理由」を設計することです。営業役職者が見たいデータをヒアリングし、それを可視化したダッシュボードを新たに追加しました。営業役職者はそのダッシュボードを見て部下にアドバイスができ、営業も適切なフォローを受けられるため、「入力すると自分に返ってくる」状態をつくることができたのではないかと感じます。

    山田:社内浸透という点では、営業担当者一人ひとりがデータドリブンを理解し、経営層と同じ目線で活用していくことが重要です。トップと現場の双方が価値を実感できる状態を、データドリブン営業を構築する私たちが牽引して整備することが、定着のカギになるはずだと思います。


    DX推進における経営層と現場の認識ギャップは、あるあるですからね。

    山田: そうなんです。推進していくなかで、啓発活動のターゲットを営業のトップリーダーから、現場で困っている中間管理職の「課長レベル」に変えました。その結果、課長たちが毎週月曜日の会議でkintoneのデータを見ながら議論する具体的な事例が生まれました。これが、データドリブンという考え方が現場レベルで理解され、実施され始めている証拠だと思います。

    また、現場の課題は十人十色であることを痛感しました。そのため、一般的なアンケートではなく、チームごとにひざを突き合わせて細かなヒアリングを行い、営業スタイルごとの課題に対応した解決策を講じました。デジタルだけでは限界があるため、対面でのコミュニケーションを通じて本気度を伝えることが不可欠だったと感じています。


    Dify活用によって、蓄積されたデータを「次の一手を打てる知恵」に変換する

    kintoneとAIプラットフォーム「Dify」を連携させる狙いを教えてください。

    山田:近年のAIの成長を踏まえ、私たちは「kintone × AI」を戦略の核としています。とくにDifyを選んだのは、パッケージ製品ではなく、自社の必要な形にカスタマイズし、AIオーケストレーションを可能にする柔軟性があるためです。

    製造業の営業現場は非常に多種多様で、画一的なパッケージツールでは対応しきれない細かな要望が次々と出てきます。

    kintoneがそうであるように、自分たちでツールを触り、素早く改善し続けられる「内製」のスタイルを維持したかったわけです。AIプラットフォーム「Dify」を活用すれば、API連携を通じてkintoneのデータを自在に活用し、現場に最適化されたAI機能を自分たちの手で構築できるのではと考えました。

    具体的な取り組みのひとつが「経営レポートの自動生成」です。これまで営業から各階層を経て手動で集計されていた報告作業をDifyで自動化することで、従来多くの社員が割いていた作業工数を削減し、より本質的な検討に時間を割ける体制を目指しています。


    新人営業向けの支援についても、Dify活用を構想されているそうですね。

    山田: はい。新人営業担当者向けの提案支援について、すでにモック検証(本番開発の前に、試作モデルを用いてAIの提案精度や操作性を評価・改善する検証プロセスのこと)を実施しています。

    新入社員が顧客情報を入力すると、AIが過去の類似案件を分析し、「このお客様にはこの技術提案が刺さる」「この競合対策を準備すべき」といった具体的な提案内容や、ヒアリングシート生成の助言を行うというものです。

    日本の少子高齢化が進む中では、いかに新人を早期戦力化するかが求められています。製造業においては、ベテランに依存せず、同等の価値を提供できるかが重要な課題となっています。これに対してAIが「過去の成功パターン」を提示することで、経験の浅い社員でも迷わず最適なアクションを起こせる。これは単なる効率化ではなく、営業の「質の平準化と底上げ」を意味しています。


    さらには、顧客向けの展開も構想されているとか。

    山田: そうです。ホームページに「マイページ」を構築中です。お客様専用のページにDifyベースのAIチャットボットを設置し、困りごとをヒアリングします。そこで得られた顧客の声をkintoneへ戻し、溜まったデータを分析して営業の次のアクションへつなげる。AIを介して「お客様」と「社内データ」がシームレスに接続することで、お客様の声を活用したマーケティングができるようになると考えています。


    グローバル展開を見据えた際、日本と同様のデータ分析基盤の整備は実現可能でしょうか?

    山田: 日本と海外では情報共有の文化が根本的に違います。とくにフルコミッションが主流の地域では、獲得したデータは自分が守り、成果を出すための重要な『命綱』と捉える傾向があります。それをオープンにすることへの拒絶反応は、想像以上に大きな障壁なのです。

    そういった海外拠点ごとの事情などもありますが、現在はExcelで共有されている引き合い情報をkintoneへ基盤統合し、AIを掛け合わせることで、地域ごとの特性を踏まえた需要予測や最適な営業アプローチの提示も可能になるはずです。


    パーソルビジネスプロセスデザインとの共創で描く、創業100周年のデータドリブン経営

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    パーソルビジネスプロセスデザインとの2年以上にわたる協働について、どのような価値を感じていますか?

    山田: パーソルさんとの関係は、デジタルマーケティングの核となるMA(マーケティングオートメーション)とSFAの整備から始まりました。そこからデータドリブンな分析・可視化へと焦点が移行し、現在はAIの導入へと進んでいます。

    このプロセスの最大の価値は、私たちの進化のステージに合わせて、最適な専門家を柔軟にアサインしてくれる「伴走体制」にあります。最初は仕組みづくりのプロ、次はBIツールのスペシャリスト、そして今はAIのスペシャリスト。一貫して私たちの「実現したい形」に合わせてリソースを提供してもらえる、まさに「共創」の形であり、これがパーソルさんの最大の強みだと感じています。

    小倉:現場視点では、コミュニケーションの深さに価値を感じています。以前は事務局を通じたやり取りがメインでしたが、現在はパーソルさんの専門家に直接、現場との打ち合わせに同席していただくこともあります。新たなダッシュボード構築でも営業員が何を見たいかをパーソルさんが直接ヒアリングしてくださったことで解像度が上がり、実用的な形になりました。専門的な知見が直接現場に注入されることは、営業員にとって新鮮でよかったと思います。


    その「共創」の先に、どのような未来を見据えていますか?

    山田: 日本の少子化という避けられない社会課題がある中で、データドリブンによるマーケティング強化とAIの活用は、製造業が生き残るための「生命線」です。2036年の創業100周年に向けて、AIが提供する精度の高い予測に基づいて営業が動く――。そんな機能が当たり前に実装された組織を目指しています。

    小倉: パーソルさんには、これからも私たちの「内製化」を支えるパートナーであってほしいですね。単にシステムを導入するだけでなく、私たちの価値をともに向上させるための連携をさらに深めていくことが理想です。

    山田: これまでの2年間で築いた強固なデータ基盤と、パーソルさんの専門知見があれば、創業100周年という節目に、世界で戦える真のデータドリブン企業へと進化できると確信しています。


    これからも全力でご支援させていただきます。本日はありがとうございました。

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    お客様プロフィール

    株式会社スギノマシン

    株式会社スギノマシンは、創業90年を超える歴史を持ち、自動車、航空機、医薬品など幅広い産業分野へ産業機器を提供するメーカーです。「世の中の1.5歩先を行く」技術開発を掲げ、独自のグローカルニッチリーダー戦略を展開しています。現在はデータドリブン経営への転換を推進。kintoneやMAを駆使した営業活動の可視化やインサイドセールスの導入により、属人的な営業から組織的なデータ活用への変革を図っています。

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