採用コンサルティングの費用体系
採用コンサルティングの費用体系は大きく分けて「月額制」「成果報酬制」の2つに分類されます。
サポート内容や期間によって選ぶべき体系は変わります。継続的な改善が必要なら月額制、採用実績に連動させたいなら成果報酬制が向いているでしょう。費用構造の違いを理解したうえで、自社の状況に合った契約方式を選ぶことが重要です。
費用が変動する4つの要因
採用コンサルティングの費用は、サービスを提供する企業によって異なる場合が多いと言えます。コストの変動要因として主に以下の4つの要因が挙げられます。
- 依頼する支援範囲
戦略策定のみの部分的な依頼であれば数十万円~50万円程度が相場ですが、実行支援などを含め継続的な契約では、月額50万円以上になることもあります。「何をどこまで任せるか」で費用は大きく変わります。 - コンサルタントの質・専門性
一般的なコンサルタントと、特定業界に精通した専門コンサルタントでは単価が異なります。大手企業での豊富な実績を持つ人材ほど、高い料金設定となる傾向があります。 - 目標とする採用人数
年間10名の採用支援と100名の採用支援では、必要な工数や体制が大きく異なります。採用規模に応じて費用も比例して上がっていきます。 - スポットで発生する業務
緊急の採用支援、特殊な職種の要件定義、急な採用戦略の見直しなど、計画外の業務が発生すると追加費用がかかります。
このように、同じ「採用コンサルティング」でも内容によって費用は大きく変わります。自社の課題と予算を明確にした上で、必要な支援レベルを見極めることが重要です。
採用コンサルティングの費用相場
実際の費用相場について、契約形態別に詳しく見ていきましょう。以下の数値は、複数の採用コンサルティング会社への調査に基づいた一般的な相場感です。
「月額制」の費用相場
月額約20万円~が一般的な価格帯となっています。
基本的な戦略立案から選考プロセス設計、月次の振り返りまでを含む標準的なパッケージでこの価格帯が多く見られます。ただし、支援範囲によって大きく幅があり、包括的な支援になると月額50万円を超えるケースも珍しくありません。
月額制のメリットは、継続的な改善サイクルを回せる点にあります。採用活動は一度設計すれば終わりではなく、市場環境や自社の状況変化に応じた調整が必要です。月額制であれば、こうした柔軟な対応が期待できます。
「成果報酬制」の費用相場
「成果報酬制」の費用相場
成果報酬制では、提供するサービス内容によって以下のような価格設定が一般的です。
サービス内容 | 費用相場 |
---|---|
選考フロー設計 | 30万円~ |
人材要件設定 | 30万円~ |
評価基準策定 | 50万円~ |
採用スケジュール設定 | 30万円~ |
採用ブランディング | 100万円~ |
採用アウトソーシング | 月額5万円~ |
内定者フォロー設計 | 30万円~ |
入社時研修 | 3万円~ |
成果報酬制の特徴は、明確な成果物に対して費用が発生する点です。「選考通過率○%改善」「内定承諾率○%向上」など、具体的な成果指標と連動させることで、費用対効果を測りやすくなります。
採用コンサルティング導入の判断チェックリスト
費用相場を把握したら、次は導入すべきかどうかの判断です。以下のポイントを順番に検討してみましょう。
整理すべきは「自社の採用課題」と「社内体制」
採用目標を達成できていない原因を特定することから始めましょう。
母集団形成に課題があるのか、選考設計に問題があるのか、それとも歩留まりに課題があるのか。どこに根本的な問題があるかを整理しないと、適切な支援も選べません。
あわせて、社内の体制としてどこまでを内製できるか、何にリソースが割けないのかも把握しておきましょう。外部に任せるべき領域が明確になることで、コンサルティング会社への依頼範囲も決まってきます。
例えば、戦略は社内で立案できるが実行リソースが不足している場合と、そもそも戦略立案から支援が必要な場合では、選ぶべきサービスが大きく変わります。
費用対効果が見合うかどうかを冷静に見極める
費用の高低だけを見て判断すると失敗します。大切なのは、それによって得られる成果が自社にとって十分かどうかです。
採用の確率が上がる、現場の負担が減る、仕組みが整うなど、目に見える効果があるかを考えましょう。短期だけでなく、中長期の採用効率改善につながるかも重要な判断材料になります。
具体的には、コンサルティング費用を投じることで「採用単価がどの程度改善されるか」「採用にかかる工数がどの程度削減されるか」を試算してみることをおすすめします。
社内の受け入れ体制も重要な視点
外部パートナーを入れるだけで採用がうまくいくわけではありません。
人事・現場・経営陣が情報共有や意思決定のスピードを出せる体制があるかも成功には欠かせない要素です。特に現場との連携が取れないと、せっかくの提案が形にならず成果が出にくくなってしまいます。
受け入れる側の準備として、定期的な打ち合わせの時間確保、決裁権限の明確化、情報共有ツールの整備なども事前に検討しておくべきでしょう。
費用だけじゃない!採用コンサルティングを選ぶ際のポイント
適正な費用感を把握したら、次は具体的な選定基準です。費用以外にも重要な判断材料があります。
ポイント(1)自社の採用課題と支援範囲の合致
採用課題がどこにあるかで、依頼すべき支援内容も変わります。
戦略立案だけでいいのか、実行フェーズも支援してほしいのか。サービスごとの対応領域を見極めたうえで、自社の状況にフィットするかをチェックしましょう。課題と支援がズレていると、費用をかけても効果が出にくくなります。
例えば、母集団形成に課題がある企業が選考設計の支援を受けても、根本的な解決にはつながりません。まずは自社の課題を明確にし、それに対応できる支援メニューを持つ会社を選ぶことが重要です。
なお、採用コンサルティングを導入する本質は根本課題の改善にあります。「採用活動を継続できる仕組みづくり(自走できる体制構築)」を目指すため、コンサルティング終了後も自社でノウハウを活かすための引継ぎや支援体制があるかどうかも確認しておきましょう。
ポイント(2)業界知見や実績の豊富さ
IT、製造、スタートアップなど、業界や職種によって採用の難易度も手法も変わります。
過去に似たような企業の支援実績があるかを確認しておくと、再現性のあるノウハウが期待できます。専門性が高い職種の採用支援では、業界知見の深さが成果に直結することも多いからです。
実績を確認する際は、単純な支援企業数だけでなく、「どのような課題を解決したのか」「どの程度、成果が出たのか」まで伺うことをおすすめします。
また、ベンダー独自の採用ツールやシステム、データベースを保有しているかの確認も行いましょう。これらは他社にはない付加価値であり、採用活動の効率化や成果向上に直結することもあるでしょう。
ポイント(3)契約内容の柔軟性と透明性
契約期間が長すぎたり、成果定義が曖昧だったりするとトラブルの元になります。
月単位で調整できるか、途中解約が可能か、成果指標が明確かなど、契約前に確認しておくべき点は多数あります。費用の増減条件や成果報酬の基準なども含めて、契約内容が透明で柔軟かをチェックすることが大切です。
特に初回導入の場合は、スモールスタートで効果を確認してから拡大できる契約形態を選ぶとリスクを抑えられます。一定期間、支援を受けなければ効果検証も難しくなるため、最低でも3カ月を最小単位と見ておくことが重要です。
なお、契約内容に加えて費用対効果の指標を明確に示すベンダーであることも重要なポイントです。例えば「内定承諾率が10%上がれば、採用単価を○%改善できます」など、具体的なシミュレーションの提示がある場合は信頼性が高いといえるでしょう。
ポイント(4)担当者との相性
どんなに実績が豊富でも、実際に担当するコンサルタントとの相性が悪ければ成果は出にくくなります。
提案力や実行力はもちろん、コミュニケーションのテンポや言語化力も重要な要素です。初期の打ち合わせや提案の段階で、信頼して伴走を依頼することができる相手かどうかを見極めましょう。
可能であれば、契約前に担当予定者との面談機会を設けてもらい、実際のやり取りを通じて相性を確認することをおすすめします。ただし、担当者の異動や退職など、コントロールできない事情で担当コンサルタントが変わる可能性もありますので、前述の3点と比較して優先度は低いと言えるでしょう。
採用コンサルティングに関するよくある質問
Q. 採用コンサルティングの支援範囲は?
A. 代表的な支援業務は以下の通りです。
- 採用ペルソナの再定義:求める人材像の明確化
- 採用戦略の立案・決定:採用計画の策定と実行プラン作成
- 選考プロセス設計・改善:効率的で精度の高い選考フローの構築
- 母集団の形成:求人媒体選定から採用広報まで
- 選考データ管理・採用レポート作成:データに基づく改善提案
- 面接支援:面接官トレーニングや面接設計
自社に必要な支援領域を明確にしたうえで、該当するサービスを提供している会社を選びましょう。
Q. 採用コンサルティングの一般的な契約期間は?
採用コンサルティングならパーソルビジネスプロセスデザインへ
採用コンサルティングの費用は、月額制で20万円~、成果報酬制では提供サービスに応じて数万円~数百万円と幅があります。重要なのは費用の安さではなく、自社の採用課題に対して適切な解決策を提供できるかどうかです。
導入を検討する際は、まず自社の採用課題と社内体制を整理し、費用対効果を冷静に見極めましょう。そのうえで、支援範囲の合致、業界知見、契約の柔軟性、担当者との相性といった観点から総合的に判断することが成功への近道となります。
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