健康診断業務の負担は大きい…
健診担当者にとって、健康診断業務は大きな負担となる業務です。
特に社内で実施するケースの場合、以下のような調整業務や進捗管理など、膨大な労力を割く必要があるでしょう。
- 健康診断を実施する時期の日程調整(社内スケジュールとの調整)
- 医療機関との日程調整
- 従業員へのアナウンス業務
- 未受診者への連絡業務・健康診断費用の精算業務
- 労働基準監督署への報告業務
- 異常所見などが発見された従業員への精密検査予約(二次検診)の連絡
では、具体的にこれらの健康診断業務について解説していきます。
健康診断を実施する時期の日程調整(社内スケジュールとの調整)
健康診断を社内で実施するケースの場合、現場との都合がなかなか合わず、実施時期の調整に苦慮するものです。
例えば、製造業など、24時間体制でラインを動かしている工場で勤務する従業員が対象となる場合、そもそも生産ラインを休止できる時間がほとんどなく、健康診断の時期調整が難しくなります。
受診をするためには、必然的に現場に迷惑をかける形となってしまうため、事業場単位での実施や、ローテーションによる実施など工夫が必要となるでしょう。
医療機関との日程調整
会社内での日程調整とは別で、医療機関に希望日を伝えて日程調整を行っていく場合もあります。また、会社内で健康診断を実施する場合には『検診バス』をお願いするケースもあるでしょう。
社内で実施する場合には、当日の会社内での待機場所はどこにするのか、導線や案内はどうするのか、などの打ち合わせも日程調整と併せて実施する必要があります。
そういった会場設営の相談なども含め、実施日までに調整をしていく業務はとても大きな負担になるものです。
従業員へのアナウンス業務
社内で健康診断を実施する日程が確定したら、従業員へのアナウンスも実施します。従業員に対して、「健康診断を実施するので、受診するように」と案内を出すことになるわけです。
周知徹底を効率的に進めるためには、上司に連絡をして上司から部下に健康診断を受けるように促してもらうことになります。
また、健康診断当日に有給休暇を取得している社員がいる場合には、日程を調整してもらう必要が出てくるかもしれません。
未受診者への連絡業務
健康診断の日程調整をしたとしても、未受診者は出てしまうものです。健康診断の当日に突発的に休暇を取得してしまうとか、急な出張が入ってしまうこともあるからです。
いずれにしても、タイミングを逃して健康診断を受診できなくなる従業員が出てしまうものですが、未受診が判明するのは健康診断を実施してしばらくしてから、ということがよくあります。
未受診者には速やかに連絡をしなければなりません。
労働基準監督署への報告業務
健康診断業務が終わったら、労働基準監督署へ「健康診断報告書」を提出する必要があります。様式は厚生労働省が定めているものに沿って作成していきます。
※参考:厚生労働省「各種健康診断結果報告書」
健康診断報告書は、入力や計算に手間がかかるものです。
在籍者数のカウントや、特定業務従事者の人数のカウントなど、対象者は人事異動によって少しずつ変化しているため、1年前と同じものが使えないこともよくあります。
「やっと健康診断が終わったけど、事務処理が大変だ」とストレスを抱えている担当者は、少なくないでしょう。
異常所見などが発見された従業員への精密検査予約(二次検診)の連絡
会社が実施する義務のある健康診断が終わっても、異常所見などが発見された従業員に対しては精密検査の連絡をする業務があります。法律的には“努力義務”なので、企業によっては再検査の催促までするかどうかは判断が分かれるところです。
一方で、「業務に深刻な影響をもたらす健康状態だ」ということが判明しているのに放置した場合には「知っていたのに企業が放置した」となり、責任を問われてしまう(安全配慮義務違反となる)可能性もあります。
もし業務に影響があるような健康状態だと判明した場合には、二次健診を受けるように従業員に伝える必要がありますので注意しましょう。
健診後の二次検査にかかる費用負担への疑問や、従業員への受診勧奨の対応方法を解説しています!
健康診断業務は代行会社に委託をすることができる
健康診断業務は負担が大きいことが改めてお分かりいただけたかと思いますが、これらの業務は代行会社に委託することが可能です。
人事労務部門は、従業員に健康診断を受けさせて、結果報告を得たうえで労働基準監督署に対して報告する義務があります。
ただし、実施についてはベンダーへ外注しても良いことになっているのです。業務負担を軽減できる効果があることからも、健康診断業務を外部委託する企業が増加傾向にあるのでしょう。
また、代行会社は、多くの健診機関と提携しているため、従業員が受診しやすい立地や環境を考慮して健診機関を選定してくれますので、健康診断の受診率向上も期待できます。
健康診断にまつわる業務で代行できるものとしては、主に以下のようなものが挙げられるでしょう。
- 健診日の日程調整および予約
- 健診結果の回収
- 従業員に対しての受診の催促
- 健診結果のデータ化
- 精算作業や請求書の処理
このような業務は各部署の通常業務を圧迫し、どうしても負担になりがちですから、アウトソーシングをすることで様々なメリットを享受できるのです。
健康診断業務の代行会社を利用する8つのメリット
それでは次に、健康診断業務の代行業者を利用するメリットを解説していきます。
具体的に以下に8つ挙げました。
メリット(1)立ち合い業務や調整業務をなくすことができる
健康診断を社内で実施するケースの場合、立ち合い業務や調整業務が重くのしかかります。
しかし、健康診断業務を外部委託すると、会社での一斉受診ではなく従業員が都合の良い日に自分で病院に出向くため、健康診断当日の立ち合い業務が必要なくなります。
健康診断当日の立ち合い業務がなくなれば「1日中、コア業務ができない」という状態がなくなりますので、非常に効率的に仕事をすることができるようになります。また、実施日に向けた調整業務もなくなります。
病院や現場との調整業務がなくなれば、スムーズな健康診断を実現できるため、高い負荷が掛かっていた調整業務のストレスからも解放されるはずです。
メリット(2)労働基準監督署への報告作業が楽になる
健康診断の外部委託サービスでは、書類記入に必要なデータを取りまとめてくれるため、労働基準監督署への報告作業が楽になります。
病院からの報告書を分析してデータの取りまとめをする必要性がありませんので、事務効率は高くなり、他のコア業務に使う時間を大幅に増やすことができるでしょう。
メリット(3)委託することによって仕事の属人化を排除できる
健康診断の業務を委託することで、これまでやっていた業務を一度整理する必要が出てきます。
それにより、仕事の属人化を排除することができるでしょう。
仕事の属人化の悪い例として、「総務・人事の一部の社員だけが健康診断の業務を行っており、その社員に退職されてしまうと健康診断を実施できなくなる」といったケースは頻繁にあります。
ですから、普段から外部業者に委託しておくことで属人化が排除され、スムーズに引継ぎをすることが可能になるのです。
メリット(4)人事としてのキャリア構築に力を入れることができる
健康診断を筆頭に、庶務系の仕事は一生懸命に取り組んでもルーチンワークとして見られてしまい、経営層から評価されにくい側面もあります。
そのうえ、膨大な仕事量が担当者に降りかかってくるものなので、「庶務的な仕事を頑張った人ほど、出世面で損をしてしまう」といったこともよくある話です。
健康診断の業務を外部に委託することで、リソースに余裕ができますので人事としてのキャリア構築に全力を傾けることができるようになります。
対外的にも評価を得やすい「人事制度の企画立案」、「DX化」などの業務に注力して、自らのキャリア構築に力を入れられるようにすべきでしょう。
メリット(5)健診結果の管理を一元化できる
健診結果を紙の書類で管理しており、紛失のリスクや集計の負担に悩んでいる企業は少なくないでしょう。
利用する健診機関によって診断結果のフォーマットが異なると、さらに処理や保管の手間が増えてしまいます。昨今、リモートワークの推進もあり、紙による管理では対応しきれなくなっている企業も多いのではないでしょうか。
代行会社を通じてデータによる一元管理を推進すれば、紙の書類の保管やフォーマット違いによる処理の負担などを改善することにもつながります。
メリット(6)健康診断の受診率が向上する
健康診断の業務を代行してもらうと、代行会社が日程調整から健診機関への予約、未受診者への催促などを行いますので、当然ながら社内での健康診断の受診がスムーズになります。
また、従業員が受診しやすい立地・環境から健診機関を選定してくれる場合も多いため、受診率の向上につながるでしょう。
健康診断の業務を代行してもらうと、代行会社が日程調整から健診機関への予約、未受診者への催促などを行いますので、当然ながら社内での健康診断の受診がスムーズになります。
また、従業員が受診しやすい立地・環境から健診機関を選定してくれる場合も多いため、受診率の向上につながるでしょう。
メリット(7)人件費・採用コストが軽減される
健康診断にまつわる業務をアウトソーシングすることで、社内リソースとして新たに人材を確保する必要がなくなるケースもあるでしょう。
その結果として、採用活動にかかるコストや人件費が軽減されるというメリットにもつながります。
また、労働力人口の減少によって『採用難』に直面している現代において、健康診断にまつわる業務を経験した人材を必ずしも確保できる保証はありません。
採用活動にかかる中長期的な人的コストまで考慮すると、アウトソーシングによる社内リソースの確保は大きなメリットと言えるでしょう。
メリット(8)健康診断を拒否する従業員への対応も任せられる
健康診断にまつわる業務のなかで人事部や経営層を悩ませるのが、健康診断を拒否する従業員の存在です。
「労働者は事業者が行なう健康診断を受けなければならない」と労働安全衛生法第66条5項によって定められている一方、健康診断の受診を拒否する従業員は少なからず存在するものです。
健康診断を拒否する理由については、「体型などのプライバシーを知られたくない」といったものや「自分で選んだ医療機関で受診したい」といったものなど、様々です。
こうした問題も、健康診断にまつわる業務に精通した代行会社に対応を任せることで、受診率を上げてくれる対応を期待することができます。
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健康診断業務の代行を利用する際の注意点
健康診断業務の代行会社を利用するメリットを説明してきましたが、いざ『健康診断業務の代行』を利用する際には、いくつか注意すべき点があります。
ここでは、大きく2つの注意点を取りあげ、解説してみましょう。
注意点(1)従業員の理解を得る必要がある
代行会社の活用に際しては、従業員への説明を怠らないようにして、しっかりと理解を得るようにしましょう。
健康診断業務を委託することは、従業員からすると自身の健康状態を第三者に知られるリスクを感じるところでもあります。会社からきちんとした説明がないと、不安を抱いてしまうとか不満を持たれてしまう恐れがあるでしょう。
また、従業員によっては懇意にしている医療機関があり、代行会社の仲介を必要としないケースもあるかもしれません。そういった場合は、それぞれの従業員に「代行会社のサービスを利用するかどうか」と確認を取っていく必要があるでしょう。
注意点(2)自社のニーズにマッチした代行会社を選定する
従業員の健康状態というきわめて重要な個人情報を預けることから、代行会社の選定には細心の注意を払う必要があります。
費用面も含めて、自社のニーズにマッチする代行会社を選定するようにしましょう。
代行会社をどう選べばいいか、という「選定ポイント」については、次の章で続けて解説していきます。
健康診断の業務代行会社を選ぶ3つのポイント
ここでは、3つのポイントをお伝えします。
ポイント(1)個人情報の管理体制
従業員の健康状態という重要な情報を預けることから、代行会社の個人情報の管理体制は選定基準として欠かせません。
プライバシーマークを取得しているか、情報漏洩への対策は適切かなど、具体的な取り組みや施策に着目して信頼できる代行会社を選んでいくようにしましょう。
ポイント(2)提携する健診機関の多さ
健康診断業務の代行会社は数多くありますが、それぞれを確認してみると健診機関の提携数に差があることがわかります。
提携数が多ければ多いほど良いというわけではありませんが、自社周辺の提携数が少ないとなると選択肢が狭まって不便になってしまいます。
リモートワークを活用している場合には特に従業員の居住地なども踏まえ、近隣に選択肢が多いほうが利便性が高いため、提携する健診機関が多く、ニーズを満たしてくれるような代行会社を選定するようにしましょう。
ポイント(3)自社の課題解決につながるサービスか
健康診断にまつわる業務のなかで「自社の課題」となっている部分を洗い出し、その課題の解決につながるサービスを提供している代行会社を選ぶようにしましょう。
例えば「健診結果が紙の書類で、保管に悩んでいる」「従業員の受診率が上がらずに困っている」など、課題となっている部分を明確に洗い出してみましょう。
そして、それらの課題とマッチしたサービスを提供しているかどうかを、選定のポイントとして置くと良いでしょう。
健康診断支援サービスならパーソルビジネスプロセスデザインへ
パーソルビジネスプロセスデザインの「健康診断支援サービス」なら、全国4,000の医療機関と提携しており、健診実施時期からコース内容、オプションまで調整します。
予約状況や受診状況を可視化することによって、未予約者や未受診者へ適切なフォローを実施して受診率の向上につなげています。また、受診料の請求や、健診結果のデータ化も実施しております。
部分的なサポートからトータルサポートまで、お客様のニーズに合わせて個別にカスタマイズさせていただいております。
詳しくは以下「健康診断支援サービス」ページをご覧いただき、ご不明な点があればお気軽にお問い合わせくださいませ。