健康診断結果のデータ化が推進されている背景
まず、健康診断結果のデータ化が進んでいる背景について、2点を挙げて解説します。
背景(1)厚生労働省が健康診断結果のデータ化を推進している
厚生労働省は現在、健康診断結果を個人の健康づくりに活かせるよう、データ化を推進しています。その一環として、マイナンバーカードに健康保険証の機能を加え、2021年10月よりマイナポータルで自身の特定健康診断情報や薬剤情報などが閲覧できるようにしました。
※参考:厚生労働省 「マイナンバーカードの健康保険証利用について~医療機関・薬局で利用可能~」
マイナポータルにデータ化された健康情報が保存されることで、いつでもどこからでも閲覧できるようになり、自身の健康情報へのアクセス性が大幅に向上することになりました。
さらに、高額療養費制度に関する申請手続きが不要となったり、転職などで居住地が変わってもデータが引き継がれたりしますので、管理負担が大幅に軽減されました。
このような機能を活用するには『健康診断結果のデータ化』が必須であるため、紙での保存から電子保存への変更が進められているのです。
背景(2)健康診断結果に「産業医の押印」が不要に
企業活動における書類の電子化はこれまでも進められていました。しかし、健康診断の判定結果の電子化は対応が遅れていました。その理由として、健康診断結果の個人票に医師や産業医の押印が法律で義務付けられていたことがあります。そのため、たとえ健康診断結果をデータで受信したとしても、紙に印刷して医師に押印を依頼する必要があったのです。
しかし、2020年8月の法改正により、個人票への押印や電子署名が不要となったため、健康診断に関わる業務のペーパーレス化が実現しやすくなりました。この法改正が『健康診断結果のデータ化』を後押しするものになったことは言うまでもありません。
※参考:厚生労働省 「健康診断個人票や定期健康診断結果報告書等について、医師等の押印等が不要となります。」
健康診断結果をデータ化するメリットとは
では、健康診断結果をデータ化するメリットとして、どのようなものがあるのでしょうか?ここでは4点を挙げながら解説していきます。
メリット(1)担当者の業務負担が軽減される
健康診断結果のデータ化が進むと、ファイリングやコピーなどの紙の取り扱い業務が減り、印刷や郵送なども含めて担当者負担が軽減されるメリットがあります。紙を保管する場所を確保するとか、管理する業務なども省かれますので、業務の効率化にもつながるでしょう。
また、健康診断結果をデータ保存すれば、紙と比べて情報管理が容易になります。特定の従業員や特定の検査項目を検索したり、データを取得したりする時間が短縮されるのもメリットのひとつでしょう。従業員の健康状態を迅速に把握しやすくなり、産業医との面談に必要な準備も効率化されるのです。
さらに、紙での保存では保管場所の移動により情報の紛失リスクがありました。その点、データでの保存であれば、アクセス制限を設定することで健康診断結果の紛失や流出リスクがありません。
このように、データでの保存であれば健康診断結果を管理する担当者の負担を減らしながらも、安全な管理ができるようになるのです。
メリット(2)従業員へ素早いアプローチが可能になる
健康診断の結果がデータ化されていれば、紙と比べて処理スピードが速くなり、従業員への素早いアプローチが実現します。診断結果を管理する従業員の数が多い場合、紙での取り扱いは手間がかかり、従業員への通知が遅れるリスクがあるでしょう。
通知が届くまでの間に健康状態が悪化する恐れもありますので、少しでも早いアプローチが理想的です。その点、データ管理を徹底的に行えば、必要に応じて従業員に健康指導や再検査の案内を速やかに実施できるでしょう。
メリット(3)コラボヘルスを促進できる
『コラボヘルス』とは、事業主と保険者がそれぞれの役割を理解し、積極的に関与しながら、予防を含めた健康づくりを支援することです。コラボヘルスは、双方が協力して「健康経営」と「データヘルス」のふたつを推進することで、相乗効果が高まると考えられています。
「データヘルス」とは、従業員の健康データを収集し、分析したうえで予防対策や健康指導を実施するためのものです。健康診断の結果や“レセプト”と呼ばれる診療報酬明細書をデータ化して分析することで、個人ごとにパーソナライズした対策を促進できます。
超高齢化社会が進む日本では、従業員の健康は企業の「資産」と考えられています。健康診断結果をデータ化して活用することは、今後の企業存続において重要だといえるでしょう。
メリット(4)健康経営の促進など“コア業務”に集中できる
前述した通り、コラボヘルスを推進するうえでも『健康経営』の促進は必須です。
健康経営を推進するために、社内では人事部や総務部を中心とした体制の構築が必要ですが、健康診断結果の管理業務に人的リソースを割かれていては、コア業務に取りかかれません。
そこで重要になるのが、“紙からの脱却”です。データでの管理へ移行することで、事務業務の工数を大幅に削減することができるのです。ですから、企業はいち早く健康診断の判定結果をデータ化して、人的リソースを確保していく必要があるといえるでしょう。
健康診断結果をデータ化する方法(1)内部リソースの活用
健康診断結果をデータ化する方法として、内製で行う方法とアウトソーシング事業者へ外部委託する方法があります。しかし、どちらにもメリットやデメリットがありますので、理解したうえで選択することが重要です。
ここではまず、内製で行う場合についてメリットとデメリットを解説していきます。
3-1. 内製で行うメリット
紙の健康診断情報を社内の担当者がエクセルに手打ちしてデータ収集するといった場合、別途システムを用意する必要がないので、コスト面を抑えることができるというメリットがあります。その際、医療機関からCSV形式で健康診断結果をもらえれば、作業を効率化することもできるでしょう。
また、自社でデータ化する場合は、外部に委託するケースと比べて個人情報の取り扱いに対するリスクが軽減されるでしょう。健康診断結果は『要配慮個人情報』と定められていますので、取り扱いには注意が必要です。体の状態を断りなく第三者に知られることは、プライバシーの侵害にあたる恐れがあるのです。
3-2. 内製で行うデメリット
内製でデータ化に取り組むデメリットは、健康診断結果の処理には専門知識が必要だという点です。通常の事務担当者で対応することが難しければ、保健師などの専門職によるサポートが必要になりますので、相応のコストが発生することでしょう。
また、医療機関ごとにフォーマットや診断の判定基準が異なる点もデメリットといえます。作業の効率化を目的に健康管理システムを導入した場合でも、目視による情報整理は必要になってきますので、担当者の負担はさほど軽減されないかもしれません。
ですから、健康診断結果のデータ化を正確かつ効率的に行いたいのであれば、続いて説明する「アウトソーシング事業者への外部委託」がベストだといえるでしょう。
健康診断結果をデータ化する方法(2)第三者への業務委託(アウトソーシング)
では続いて、健康診断結果のデータ化業務をアウトソーシング事業者へ外部委託する場合のメリットとデメリットについて、解説していきます。
4-1. 外部委託するメリット
健康診断に関する業務を外部委託してデータ化を支援してもらえれば、担当者は煩わしい業務から解放されます。その分、コア業務へ人員を回すことで、組織内のリソースを効率よく活用することができるでしょう。
アウトソーシング事業者を選定する際のポイントは、自社のニーズに合わせてサービス内容をカスタマイズできるか、という点が挙げられます。また、従業員の健康記録は個人情報にあたりますので、セキュリティ対策を確認するのも重要です。
以上の点をクリアするアウトソーシング事業者に委託すれば、安全かつ効率的に業務を遂行してもらえるでしょう。
4-2. 外部委託するデメリット
アウトソーシング事業者に外部委託するデメリットとして、コストがかかる点が挙げられます。
実際、導入時や初期段階で費用がかかってしまう点は否めません。しかし、担当者は煩雑な業務負担が減り、コア業務に取り組む時間を増やすことができます。コラボヘルスなど、より重要なプロジェクトにも時間を使えるようにもなりますので、企業に付加価値をもたらすことにもなるわけです。
つまり、中長期的な視点で考えるとアウトソーシング事業者への外部委託はコストパフォーマンスが高いといえるでしょう。ただし、外部委託をすれば必ずコストパフォーマンスが改善されるわけではありません。アウトソーシング事業者を選ぶ際には、しっかりとポイントを押さえたうえで選定するようにしましょう。
アウトソーシング事業者の選び方は、以下のコラムで詳しく解説しております。もしアウトソーシングを検討されている場合には、ぜひご覧ください。
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健康診断結果のデータ化は、従業員の健康を維持するうえで欠かせません。しかし、社内でデータ化すると担当者の負担が重くなってしまいますので、アウトソーシングの活用がおすすめです。煩雑な事務作業は外部委託し、貴重な社内リソースをより重要な業務に分配しましょう。
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