採用代行(RPO)とは
まず、採用代行(RPO)について解説しましょう。
採用代行は、RPO(Recruitment Process Outsourcing)とも呼ばれており、人材採用のための業務の全部または一部を外部に委託することです。
冒頭でもお伝えした通り、人材不足や採用手法の多様化、採用活動の長期化などにより採用代行の需要は増えている状況となっています。人材不足が深刻になっているなか、企業は求人への募集を増やすために従来の採用方法に加えて新しい採用手法を取り入れるようになりました。その結果として採用担当者の業務量が多くなり、自社だけで採用活動を行うことが困難になってきているというわけです。
また、求職者にとっては『売り手市場』となっているため、複数の企業から内定をもらいやすくなっている状況です。そのため、内定を出しても入社につながらないケースも多く、採用活動が長期化しています。採用活動の長期化によって、採用コストや担当者の業務量が増加してしまうため、採用業務を委託して効率よく人材を採用しようとする企業が増えているのです。
採用代行に依頼できる業務とは
採用代行では、様々な採用業務を委託することができます。
また、希望する業務のみを依頼することも、採用業務全般を任せることもできるのが特徴でもあります。では、依頼可能な業務内容について、主だったものをひとつずつ挙げながら説明していきましょう。
2-1. 採用計画の立案
2-1. 採用計画の立案
採用活動においては、具体的な『採用計画』を立てることで、採用活動を成功に導くことができるようになります。
事務作業だけでなくコンサルティングを得意とする採用代行サービスを活用すれば、予算設定やKPI設定、ターゲットの明確化など、戦略的な計画立案を依頼することが可能でしょう。求める人材や採用期間、採用人数などの希望を伝えておくことで、しっかりとした計画の立案を期待することができるはずです。
2-2. 募集
2-2. 募集
ターゲットに合わせた求人掲載媒体の選定、発注、出稿までの募集にまつわる管理業務を委託することもできます。
採用代行サービス業者が募集業務を一括で対応しますので、採用担当者の業務負担は大幅に減り、重要な業務に集中することができるようになるでしょう。また、募集の状況を確認しながらもスカウトの作成や配信なども行ってくれますので、業務効率も向上させることができるはずです。
2-3. 応募者の対応
2-3. 応募者の対応
応募者から送付されてくる選考書類の管理やスクリーニング、面接場所や面接日の調整を委託することができます。
スクリーニング等は基準さえ明確に決めておけば、専門的な知識がなくても任せられる業務のため、採用業務のなかでも最も依頼しやすい業務といえるでしょう。
2-4. 面接と選考
2-4. 面接と選考
人事部門に面接のノウハウがない場合や、経験豊富な採用担当がいない場合、または忙しくて面接官の時間が取れないなどの場合には、面接官の代行業務も委託することができます。
採用代行サービスには、人事経験者はもちろん、キャリアカウンセラー経験者やCDA等のキャリアカウンセラー資格の保有者など、専門性の高い人材が多く在籍しているため、面接業務そのものを委託することが可能なのです。
2-5. 内定者のフォロー
2-5. 内定者のフォロー
面接を経て内定が決まった後も、内定者への連絡や入社案内、入社書類の作成など、内定者に対するフォロー業務についても委託することが可能です。
内定辞退を防止するために、内定者懇談会を開催したり、内定者とのコミュニケーションを取ったりしている企業も増えてきています。そうした“内定者の不安を取り除くための業務”についても、採用代行の業者に任せることができるのです。
採用代行を依頼する際の費用相場
具体的に委託できる業務を見てきましたが、では採用代行の費用相場はどうなっているのでしょうか。採用代行の費用相場は、料金体系や雇用形態、業務範囲によって異なってきます。それぞれの違いについて具体的に説明していきましょう。
3-1. 料金体系によって異なる費用相場
3-1. 料金体系によって異なる費用相場
採用代行の料金体系は、「月額固定制」「成果報酬制」「従量課金制」に分けられます。
「月額固定制」では、毎月支払う金額が決まっており、利用料金の範囲で委託できる業務内容が決まっています。追加料金がかからないので、予算が決まっている企業に適した料金体系といえるでしょう。月額固定制の費用相場は、月額5万~100万円です。
「成果報酬制」では、人材の採用が決定したタイミングや応募件数に対して報酬が発生します。費用相場は、内定を承諾した求職者の「年収の○%」といった形式や、求人票から応募された件数「1件あたり○万円」などの条件によって決定される傾向にあります。
「従量課金制」は、必要な業務のみ委託でき、その業務に掛かった時間だけ費用が発生するものです。一部の採用業務だけ時間が掛かってしまっている場合や、月ごとに業務量の偏りがある場合などに利用しやすい料金体系と言えます。
業務内容ごとに従量課金制の費用例を一覧にしましたので、参考にしてください。
<従量課金制の費用例>
説明会の代行 | 1回2万円~ |
面接日時調整 | 月5万円~ |
応募者への合否連絡 | 月2万円~ |
応募者スクリーニング | 1回2,500円~ |
媒体掲載 | 月15万円~ |
DMやスカウト配信 | 1回1,000円~ |
3-2. 雇用形態によって異なる費用相場
3-2. 雇用形態によって異なる費用相場
新卒採用や中途採用、パート・アルバイト採用など、雇用形態によっても採用代行の費用相場は異なってきます。例としては下記のような費用相場になっています。
- 新卒採用での採用代行費用相場……月額5万円〜70万円
- 中途採用での採用代行費用相場……月額10万円〜70万円
- パート・アルバイト採用での採用代行費用相場……月額1万円〜30万円
3-3. 業務範囲によって異なる費用相場
3-3. 業務範囲によって異なる費用相場
業務範囲のなかで「ノンコア業務を含むか、含まないか」によっても費用相場は変わってきます。ノンコア業務というのは、応募者の情報入力や面接日程調整など、直接的に合否や採用に影響がない業務のことです。
ノンコア業務のみを委託する場合の費用相場は、月額5万円〜70万円です。
一方で、採用計画の立案や面接実施など、採用に影響のある「コア業務」と「ノンコア業務」を一緒に委託する場合の費用相場は、月額15万円〜100万円となっています。
採用代行を活用するメリット
続いて、採用代行を活用するメリットを見ていきましょう。採用代行を活用することで、以下のような3つのメリットを期待することができるでしょう。
メリット(1)オペレーション負担を軽減できる
メリット(1)オペレーション負担を軽減できる
1つ目のメリットは、何度か前述してきましたが採用業務全般にまつわるオペレーションの負担軽減です。特に時間のかかる作業労働や、技術力が問われる選考活動を専門の会社に委託できることは、経験の浅い企業にとっては大きなサポートとなるでしょう。
メリット(2)質の高い採用活動を実現できる
メリット(2)質の高い採用活動を実現できる
2つ目のメリットは、採用活動の品質向上です。
書類選考や面接などは、担当者のスキルに大きく依存するものです。しかし、客観的な立場から豊富な経験によって判断を行うことができる外部の採用担当者に依頼することで、自社が求める能力を持った人材を的確に確保できるようになるでしょう。
メリット(3)ミスマッチを減らせる
メリット(3)ミスマッチを減らせる
3つ目のメリットは、ミスマッチを減らせることです。
どれだけ優秀なスキルセットを有している人物であっても、社風と合わない、既存社員と相性が良くないなどの問題を抱えていると、短期間で退職してしまうケースもあります。
外部に採用を委託することで、スキルセットはもちろん、社風や社員のキャラクターを第三者の立場から把握してもらうことができるため、ミスマッチの少ない採用活動を実現することが可能になります。
採用代行に伴う懸念点
ここまで説明してきた通り、採用代行は魅力的な選択肢ではありますが、導入にあたってはいくつか懸念事項もあります。ここでは2つを挙げておきますので、確認してみましょう。
5-1. 代行費用が発生する
5-1. 代行費用が発生する
先ほども費用相場を解説しましたが、採用業務の外部委託には相応の費用が発生するため、安価に依頼できることはあまり期待しないほうが良いでしょう。
特に、優れた実績を残している委託会社では委託費用も高額になることが多いので、十分な予算を確保したうえで検討することが望ましいといえます。
とはいえ、自社で採用担当者をゼロから育成したり、人事部門の人件費が大きくなったりする負担を軽減できるメリットを考えると、決して高すぎるわけでもありません。自社におけるコストメリットを十分に考えたうえで判断していくと良いでしょう。
5-2. 自社で採用ノウハウを蓄積できない
5-2. 自社で採用ノウハウを蓄積できない
採用業務を丸ごと外部に代行依頼してしまうと、自社で採用ノウハウを全く蓄積できないという点にも注意が必要です。
専門の会社に委託したほうが確度は高くなりますが、自社でもある程度「相性の良い人材を探すためのノウハウ」を蓄積しておかなければ、理想の人材像がなかなか固まらないという状況にも陥りがちです。
代行業者に業務をすべて丸投げするのではなく、負担の大きな作業を外部に一部委託し、採用担当者は面接トレーニングを受講するなどして、自社でも最低限のノウハウを養えるような体制を整えていくのが良いかもしれません。
採用代行を上手に活用するためのポイント
メリットや懸念点を理解したうえで、採用代行を上手に活用するには以下の3つのポイントを意識しておくことが重要です。
ポイント(1)自社の採用ニーズを一度整理しておく
ポイント(1)自社の採用ニーズを一度整理しておく
1つ目のポイントは、自社の採用ニーズの整理です。
そもそもどんな人材が欲しいのか、どんな層に関心を抱いて欲しいのかを整理しなければ、理想的な人材を見つけることは難しくなります。
外部委託は便利な選択肢ではありますが、自社ニーズが明確に定まっていないと、どれだけ経験豊富な委託会社でもミスマッチを生んでしまう可能性があります。委託先と相談したり、内部で十分な検討をしたりすることで、求める人物像を固めておくことが大切です。
ポイント(2)コア業務に集中する体制へ移行する際、利用してみる
ポイント(2)コア業務に集中する体制へ移行する際、利用してみる
2つ目のポイントは、組織のスリム化を実施するタイミングで利用してみる、ということです。
社員の削減、あるいは配置転換を行うことで、人件費を抑えた企業活動を進めようとする場合に、採用代行を活用することで人事部門を縮小対象とすることができるのです。
応募者の最終選考や直接のコミュニケーションを自社採用担当者が担い、それ以外の業務を外部に委託するといった活用方法によって、その効果を発揮することができるでしょう。
ポイント(3)採用のあり方を刷新したい際、利用してみる
ポイント(3)採用のあり方を刷新したい際、利用してみる
3つ目のポイントは、採用業務の抜本的な刷新が必要な際に外部委託を利用してみる、ということです。
「自社採用を続けてきたが、今ひとつ成果が上がらない」という場合には、一度プロの目線から採用業務の見直しを図る必要があります。そんな時に業務のアウトソーシングを行い、一から体制を構築し直してみたり、プロからトレーニングを受けてみたりするなどして、採用活動をリニューアルさせていくのも良いかも知れません。
採用代行の会社を選ぶ時のポイント
ここまで採用代行のメリットや活用時のポイントをお伝えしてきましたが、では採用代行の会社はどのように選べばよいのでしょうか。採用代行の会社は数多くありますので、何を基準にして選べばいいのか迷ってしまうことも多いでしょう。
ここでは、選ぶ時のポイントとして3つほど挙げて解説していきます。
ポイント(1)採用に強い会社かどうか
ポイント(1)採用に強い会社かどうか
1つには、そもそも採用業務に強い会社かどうかを確認しておきましょう。採用代行の会社は数多くありますが、その成り立ちも様々です。なかには、全く別のサービスをやりながら、「儲かりそう」という意図で採用代行業務をスタートさせている会社もあります。
自社の採用業務を任せるのであれば、可能な限り『人材のプロ』『採用のプロ』に任せるほうが成功に近づきます。大事な『人材採用』の業務ですから、安さや手軽さに釣られるのではなく、採用に強いプロを選ぶほうが良いといえるでしょう。
ポイント(2)自社と同じような会社の実績があるかどうか
ポイント(2)自社と同じような会社の実績があるかどうか
2つ目は、自社と同様の規模の実績があるかどうか、自社と同様の業種の実績があるかどうかを見るべき、という点です。
やはり実績がない会社では安心して任せることが難しくなります。ですから、その企業の導入事例記事などを確認して、どのような実績があるか、そもそもきちんとした実績があるのか、などを確認しておくと良いでしょう。
ポイント(3)情報セキュリティ対策を行っているか
ポイント(3)情報セキュリティ対策を行っているか
採用業務では、応募者の個人情報を数多く取り扱います。ですから、個人情報の保護制度が認められているPマークを取得している会社を選ぶなど、セキュリティ対策にしっかり取り組んでいるかどうかも重要なポイントになります。
いくら採用が得意だと言っても、個人情報の扱いが煩雑になっている会社には、安心して業務を任せることができません。万が一事故が起きてしまっては、大きな損害を被ることにもなりかねません。委託する会社のセキュリティ対策については、しっかりと確認しておきましょう。
採用代行を利用する際の注意点
8-1. 契約内容と詳細の業務範囲確認
8-1. 契約内容と詳細の業務範囲確認
採用代行を利用する際に注意するべきポイントとして、契約内容と細かい業務範囲の確認があります。以下に、それぞれのポイントについて詳しく説明します。
契約内容の確認は、採用代行を頼む上で最も重要なステップです。契約には以下のような項目を含めることが一般的です。
- 期間と契約更新条件:採用代行の契約期間や契約更新の可否、更新条件などを明確化しましょう。
- 料金体系と支払い条件:利用料金や成功報酬の金額、支払いタイミングなどを明確に把握しましょう。
- 必要な業務と担当範囲:採用代行会社が担当する業務の範囲や責任を明示しましょう。
- 機密保持とデータセキュリティ:採用に関する機密情報や個人データの適切な管理・保護について取り決めましょう。
- 契約解除条件と違約金:契約解除条件や違約金の有無、金額を明確に定めましょう。
また、細かい業務範囲の確認についても重要です。もしも下記のような業務も依頼する際にはきちんと確認をする必要があります。
- ジョブポストの作成や掲載:求人広告の作成、掲載媒体の選定、パフォーマンスの分析と改善などの業務範囲を明確化しましょう。
- 採用プロセスのサポート:面接や選考のスケジューリング、候補者との連絡調整、参加者との調整などについて確認しましょう。
- 応募者の対応とフォローアップ:応募者への連絡、追跡、情報提供などを明確に定めましょう。
- 報告と進捗管理:進捗状況の報告や定期的なレビュー、KPIの設定などを確認しましょう。
契約内容と業務範囲の明確な確認により、円滑な採用プロセスと効果的なサービスの提供を受けることができます。取引先とのコミュニケーションを重視し、誤解や意見の相違が少ない契約を締結することが重要です。
8-2. 進捗管理と報告体制
8-2. 進捗管理と報告体制
進捗管理は、採用プロセスの進行状況を的確に把握するために大切です。採用代行会社との連携を通じて、求人広告の掲載状況や応募者数、選考進行状況などの進捗情報を定期的に確認しましょう。定期的に確認を行うことで採用プロセスのスケジュールを管理し、適切なタイミングで調整を行うことができます。
また、報告体制の確立も重要です。進捗報告や定例会議を通じて、業務の進行状況や課題、予算の使途などを共有してもらう必要があります。進捗報告は、定期的に行われることで進行状況を把握し、必要に応じて調整や改善策の検討ができるようになります。また、報告体制の明確化により、双方の期待や要件を共有し、円滑なコミュニケーションを図ることができます。
8-3. コミュニケーションの重要性
8-3. コミュニケーションの重要性
代行会社と適切なコミュニケーションをとることはプロジェクトの進行状況や目標達成に直結する最も重要な要素です。キャンペーンや応募者に対する応答、面接スケジュールの調整など、日常的な業務のコミュニケーションがスムーズに行われるように、定期的なミーティングや進捗報告の場を設けることで、プロジェクトの進捗状況や課題を共有し、調整や改善が行えます。
採用代行会社には専門知識やノウハウがありますが、会社の採用ニーズや要件を適切に伝えることができないとその専門知識やノウハウをうまく活用できないこともあります。採用方針や求める人材像に関する詳細情報など必要な情報はしっかりと共有し、採用戦略の改善や課題の解決に対して、定期的な相談や意見交換を行うことで、より効果的な採用活動を実現することが可能です。
また、コミュニケーションの取り方やスタイルも重要です。お互いの意図や期待を明確に共有し、円滑なコミュニケーションを築くことが求められます。適切な質問をすることや、フィードバックを直ちに行うことでお互いの認識のズレやすれ違いを防ぎ、コミュニケーションエラーを抑止することができます。問題や困難が発生した場合には、率直に意思疎通を図り、共同で解決策を検討することが重要です。
採用代行を依頼するならパーソルビジネスプロセスデザインへ
本記事では、採用代行の費用相場や期待できるメリット、採用代行を有効活用するために知っておきたいポイントについてご紹介してきました。
人材不足が各企業で深刻化するなか、採用活動の品質向上は喫緊の課題となっています。自社にフィットする人物を探し出すうえで、外部のプロの手を借りることは有効な手段といえるでしょう。もし「採用」に関してなにかお困りごとがありましたら、私たちパーソルビジネスプロセスデザインへお任せ下さい。
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