定期健康診断結果報告書の書き方とは?2025年電子申請義務化・罰則・提出方法まで解説

定期健康診断結果報告書の書き方とは?2025年電子申請義務化・罰則・提出方法まで解説

定期健康診断を実施した後、「自社も報告書の提出が必要なのか」「在籍労働者数にパートや派遣社員は含めるのか」と迷う人事労務担当者の方は少なくありません。特に、初めて常時50人以上となった事業場や、複数拠点を抱える企業では確認事項が多くなりがちです。

さらに、2025年1月1日からは改正労働安全衛生規則の施行により、常時50人以上の労働者を使用する事業場における定期健康診断結果報告書を含む一部の手続きで、電子申請が原則義務化されました。

厚生労働省の「入力支援サービス」からe-Govを介して提出できるようになっており、最新の手順を押さえておくことが欠かせません。



本記事では、提出義務と罰則、様式第6号の入手先、項目別の書き方と記入例、在籍労働者数や退職者の扱いといった実務Q&A、電子申請の手順、そして健診代行(BPO)による効率化まで、一通り解説します。

初めての方でも迷わず手続きを進められるよう整理していますので、ぜひご活用ください。


目次

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    健康診断結果報告書は提出の義務がある

    企業には健康診断結果報告書を作成し、提出する義務があります。

    労働安全衛生規則の第52条には「健康診断結果報告」について、次のように記載されています。

    常時五十人以上の労働者を使用する事業者は、第四十四条又は第四十五条の健康診断(定期のものに限る。)を行つたときは、遅滞なく、定期健康診断結果報告書(様式第六号)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。


    常時50人以上の労働者を使用する事業場で定期健康診断を実施した場合、報告書の作成・提出が必要となるため、あらかじめ準備しておくことが必要です。

    従業員数の規模が大きい企業では、作成する報告書の枚数も多くなりますので、書き方や提出方法をしっかりと確認しておきましょう



    提出が義務付けられている健康診断結果報告書の種類

    報告書の提出が義務付けられている健康診断は13種類あり、次のとおりです。

    健康診断の種類 結果報告書の名称
    1. 定期健康診断
    (50人以上の労働者を使用している事業場)
    定期健康診断結果報告書
    2. 特定業務従事者健康診断
    (50人以上の労働者を使用している事業場)
    定期健康診断結果報告書
    3. 歯科医師による健康診断
    (労働者数にかかわらず全事業場)
    有害な業務に係る歯科健康診断結果報告書様式
    4. 有機溶剤等健康診断 有機溶剤等健康診断結果報告書
    5. 鉛健康診断 鉛健康診断結果報告書
    6. 四アルキル鉛健康診断 四アルキル鉛健康診断結果報告書
    7. 特定化学物質健康診断 特定化学物質健康診断結果報告書
    8. 高気圧業務健康診断 高気圧業務健康診断結果報告書
    9. 電離放射線健康診断 電離放射線健康診断結果報告書
    10. 石綿健康診断 石綿健康診断結果報告書
    11. 除染電離健康診断 除染等電離放射線健康診断結果報告書
    12. じん肺健康診断 じん肺健康管理実施状況報告
    13. 指導勧奨による特殊健康診断 指導勧奨による特殊健康診断結果報告書

    実施する健康診断の種類によって必要となる報告書が異なります。

    提出義務の条件

    定期健康診断結果報告書の提出義務は、会社全体の人数ではなく、事業場(本社・支店・営業所・工場・店舗など)単位で常時50人以上の労働者を使用しているかで判断します。労働安全衛生法が、安全衛生管理体制を事業場ごとに整備するよう求めているためです。

    たとえば、会社全体では100人の従業員がいても、本社40人・支店60人であれば、提出義務があるのは50人を超えている支店のみです。全社で80人いても、各拠点がすべて50人未満なら提出義務は発生しません。

    では、「常時50人以上」にはどのような労働者が含まれるのでしょうか。事業場の在籍労働者数(50人以上の算定)と、健康診断の受診対象者では基準が異なるため、混同しないよう注意が必要です。

    事業場の在籍労働者数(50人以上の算定基準)

    正社員・契約社員・パート・アルバイトを問わず、労働時間の長短にかかわらず、常態として雇用されているすべての労働者をカウントします。

    週の所定労働時間が正社員の4分の3未満の短時間労働者であっても、常態として使用されていれば算定に含めます。ただし、日雇いなど臨時的に雇用される者は除きます。

    健康診断の受診対象者

    健康診断を受診させる義務がある労働者は、以下の2つの条件を両方満たす人です。

    条件 内容
    ①雇用期間 期間の定めがない契約、または1年以上雇用する見込みがある
    (特定業務は6カ月以上)
    ②所定労働時間 1週間の所定労働時間が、正社員の4分の3以上
    (目安:週30時間以上)


    このように、50人以上の算定には幅広い労働者を含める一方、健診の受診対象者はより限定的な基準となります。短時間勤務者や有期雇用者が多い企業では、両者を混同しないよう丁寧に確認しましょう。

    また、以下のケースは判断が分かれやすいため注意が必要です。

    派遣社員

    産業医選任などの人数には派遣先でカウントされますが、一般健康診断(定期健康診断)の実施・報告義務は原則として派遣元にあります。報告書の「在籍労働者数」には派遣先では含めません。

    ただし、特殊健康診断(有機溶剤・鉛・特定化学物質等)や有害業務に係る歯科健康診断については、派遣先に実施・報告義務が生じます。

    出向社員(在籍出向)

    安全衛生管理上は、実際に就業している事業場でカウントするのが一般的です。

    役員(取締役)

    原則として労働安全衛生法上の「常時使用する労働者」には含まれません。

    ただし、部長や工場長などの業務を兼務し、実態として労働に従事する「使用人兼務役員」の場合は、労働者性が認められ、カウントに含める必要がある場合があります。

    初めて50人を超えた事業場では、報告書の提出に加え、産業医の選任やストレスチェックの実施など複数の義務が同時に発生します。「どの拠点に」「誰が」在籍しているかを事業場ごとに正確に把握しておきましょう。

    なお、じん肺健康診断については、その年度中に健診を実施していなくても、「じん肺健康管理実施状況報告」の提出義務があります。この報告書は一般の定期健康診断結果報告書とは異なる様式ですので、混同しないよう注意してください。対象となる事業場では、実施の有無にかかわらず毎年の提出が必要です。

    判断に迷う場合は、所轄の労働基準監督署への確認をおすすめします。

    有害な業務に係る⻭科健康診断の実施報告義務

    歯科医師による健康診断の実施報告義務については、2022年10月に下記のような法改正がありました。

    時期 内容
    2022年9月末まで(法改正前) ・定期健康診断結果報告書を使用
    ・常時50人以上の労働者を使用する事業者は提出義務がある
    2022年10月1日以降(法改正後) ・有害な業務に係る歯科健康診断結果報告書様式を使用
    ・歯に有害な酸等を扱う業務に従事する労働者に対しては、事業場の規模にかかわらず、提出義務がある
    2022年10月以降、塩酸、硝酸、硫酸等の有害物質を取り扱う業務に常時従事する労働者を対象とした特殊な歯科健診を実施した企業は、従業員数にかかわらず「新しい仕様の報告書」を提出するようにしましょう。



    一部手続きの電子申請が義務化

    なお、2025年1月1日、改正労働安全衛生規則等が施行されたことにより、労働者死傷病報告の報告事項が一部改正されています。

    具体的には以下の手続きについて、労働基準監督署への報告は電子申請が義務化された点に留意しておきましょう。いずれも厚生労働省の「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」を介し、「e-Gov」より直接申請が可能です。

    <電子申請が義務化された手続き>

    • 労働者死傷病報告(死亡及び休業4日以上/休業4日未満)
    • 総括安全衛生管理者/安全管理者/衛生管理者/産業医の選任報告
    • 定期健康診断結果報告
    • 心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告
    • 有害な業務に係る歯科健康診断結果報告
    • 有機溶剤等健康診断結果報告
    • じん肺健康管理実施状況報告
    • 事業の附属寄宿舎内での災害報告(死亡及び休業4日以上/休業4日未満)

    ※参考:厚生労働省「労働者死傷病報告の報告事項が改正され、電子申請が義務化されます(令和7年1月1日施行)」

    2025年1月からは、常時50人以上の労働者を使用する事業場における定期健康診断結果報告書を含め、労働安全衛生関係の一部手続きで電子申請が原則となり、担当者の“手順不安”が出やすい年です。

    もし「電子申請に加えて、集計・転記・結果管理まで一気に重い」と感じる場合は、労基報告データ作成まで含めて支援できるサービスという選択肢もあります。
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    定期健康診断結果報告書を提出しないと罰則はあるのか?

    定期健康診断結果報告書は、常時50人以上の労働者を使用する事業場であれば、所轄の労働基準監督署へ遅滞なく提出しなければなりません。法令上の提出期限は「遅滞なく」とされており、実務上の目安としては、実施後1〜3カ月以内に提出するのが望ましいでしょう。

    では、提出しなかった場合に罰則はあるのでしょうか。

    労働安全衛生法第120条では、報告をしなかった場合や虚偽の報告をした場合について、50万円以下の罰金が定められています。

    ただし、実務上は直ちに罰則が科されるというよりも、まず労働基準監督署から提出状況の確認や是正指導を受けるケースが多いと考えられます。

    また、そもそも健康診断自体を実施していなければ、実施義務違反として罰則の対象になり得ますので、こちらも注意が必要です。


    いずれにしても法令上の義務であることに変わりはありません。コンプライアンスの観点からも、定期健康診断の実施後は、正確な内容で速やかに報告する体制を整えておくことが大切です。

    特に複数拠点を持つ企業では、拠点ごとの提出漏れが起きないよう、管理表やチェックリストを用意しておきましょう。

    定期健康診断結果報告書のExcel様式と電子申請の記入例

    定期健康診断結果報告書の作成には、厚生労働省が公開している公式様式(様式第6号)を使用します。

    「定期健康診断結果報告書 Excel」と検索される方も多いですが、公式に配布されているのはPDF様式と入力支援サービスです。

    ネット上にはExcel形式の二次配布様式もありますが、2020年の押印・電子署名廃止や2022年10月の様式改正に未対応の古いバージョンもあるため、最新の様式かどうか必ず確認しましょう。



    入力支援サービスやExcelフォーマット(様式第6号)のダウンロード先

    定期健康診断結果報告書の様式は、厚生労働省のWebサイトから無料で入手できます。法改正によって様式が変更されることがあり、最新の「様式第6号」を使用しないと労基署から再提出を求められる可能性があるため、公式ページから取得するのが最も確実です。
    作成方法に応じて、主に以下の3つの方法があります。

    • 入力支援サービス(推奨):厚生労働省「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」。画面上で必要事項を入力し、そのまま印刷やe-Gov経由の電子申請まで行える。
    • PDF様式のダウンロード:厚生労働省「定期健康診断結果報告書様式」からPDFを取得し、印刷して手書きで記入する方法。ただし、2025年1月以降は電子申請が原則義務化されているため、書面での提出は経過措置としてやむを得ない事情がある場合に限られます。記入内容の下書き・確認用途としての活用が中心となります。
    • e-Gov電子申請:e-Govサイトから直接手続きする方法。e-Govアカウント・GビズID・Microsoftアカウント・Googleアカウントのいずれかが必要。

    なかでも入力支援サービスは、事前の登録や申請が不要で、誰でもすぐに利用を開始できます。主な機能は次のとおりです。
    • 誤入力・未入力に対するエラーメッセージの自動表示
    • 書類の添付漏れに対する注意喚起
    • 過去の保存データを使った入力の簡素化(事業場情報などの再入力が不要)

    入力途中のデータを自分のパソコンに保存しておけば、翌年以降もそのまま再利用できるため、毎年の作成工数を大幅に減らせます。すぐに作業を始めたい方は、まず公式の入力支援サービスにアクセスしてみましょう。

    ※参考:厚生労働省「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」

    なお、社内で独自のExcel様式を利用する場合は注意が必要です。特に前年のファイルをコピーして使い回しているケースでは、令和4年(2022年)10月の改正様式に対応していないことがあります。

    旧様式で提出すると差し戻しになる可能性があるため、最新版かどうかを必ず確認してください。

    電子申請システム(e-Gov等)の入力画面と記入ポイント

    入力支援サービスを使えば、画面の案内に沿って順番に入力するだけで報告書が完成します。

    入力の大まかな流れは次のとおりです。

    1. 入力支援サービスまたはe-Govにアクセスし、「定期健康診断結果報告書」を選択する
    2. 事業場の名称・所在地・労働保険番号など基本情報を入力する
    3. 健診年月日、対象年、報告回数を入力する
    4. 在籍労働者数・受診労働者数を入力する
    5. 健康診断項目ごとの実施者数・有所見者数を入力する
    6. 所見のあった者の人数、医師の指示人数を入力する
    7. 産業医情報・事業者職氏名を確認する
    8. 入力内容を確認し、e-Gov連携で送信する
    9. 申請後の控えを保存する

    すべての項目を入力し、「帳票を作成する」ボタンをクリックすると、エラーチェックが自動で行われます。エラーがなければ、そのまま「申請に進む」をクリックしてe-Govへデータが連携され、電子申請が完了します。窓口へ出向く必要はありません。

    なお、電子申請を利用する場合は、事前にe-Govアカウント・GビズID・Microsoftアカウント・Googleアカウントのいずれかを取得しておく必要があります。

    ※参考:デジタル庁「e-Gov電子申請」

    定期健康診断結果報告書の書き方と記入例

    ここからは、定期健康診断結果報告書様式に沿って「書き方」と「記入例」を14個の項目に分けて解説していきます。

    health-checkup-result-report_body02.png

    記入例(1)労働保険番号

    雇用保険の適用事業所番号(11桁)と混同しやすいため要注意です。労働保険番号は14桁(都道府県2桁+所掌1桁+管轄2桁+基幹番号6桁+枝番号3桁)で構成されます。継続事業一括認定を受けている場合は、被一括事業場番号も入力が必要です。


    記入例(2)対象年

    左端の「元号」に令和の「9」を入れるのを忘れないようにしましょう。そして、健康診断を実施した年を記入します。

    1年を通して実施し、まとめて報告したい場合には、左側の「( 月~ 月分)」に記載しましょう。その横の「(報告 回目)」は、本報告書が報告年度において何度目の提出であるかについて記載します。

    もし4月から5月にかけて健康診断を実施し、今回が3回目の報告なら、以下のようになります。

    (4月~5月分)(報告3回目)



    記入例(3)健診年月日

    ある一定期間で健康診断が行われた場合、報告日に一番近い健診年月日を記入します。

    健康診断を数回に分けて実施し、まとめて記入する場合は、最終の健診年月日を記入します。


    記入例(4)事業の種類

    日本標準産業分類の中分類を記入します。

    ※参考: 総務省統計局「日本標準産業分類」

    記入例(5)事業場の名称

    企業名だけでなく、以下のように店舗や支店、工場もあればその旨も記載しましょう。

    株式会社◯◯ ××支店


    記入例(6)事業場の所在地

    本社ではなく、健康診断を実施した事業場の住所を記入します。

    記入例(7)健康診断実施機関の名称と所在地

    所在地が複数ある場合には別紙を使用しましょう。

    記入例(8)在籍/受診労働者数

    「健診年月日現在」の常時使用するパートやアルバイトも含めた労働者数を入力します。

    記入例(9)労働安全衛生規則第13条第1項第3号に掲げる業務に従事する労働者数

    以下の表を参考に、該当の業務に携わる人数を記載していきます。

    イ  多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務

    ロ  多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務

    ハ  ラジウム放射線、エツクス線その他の有害放射線にさらされる業務

    ニ  土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務

    ホ  異常気圧下における業務

    ヘ  さく岩機、鋲打機等の使用によつて、身体に著しい振動を与える業務

    ト  重量物の取扱い等重激な業務

    チ  ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務

    リ  坑内における業務

    ヌ  深夜業を含む業務

    ル  水銀、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務

    ヲ  鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務

    ワ  病原体によつて汚染のおそれが著しい業務

    カ  その他厚生労働大臣が定める業務


    記入例(10)健康診断項目

    項目ごとの健康診断の実施者数と、有所見者数を記入します。

    記入例(11)所見のあった者の人数

    有所見者数の合計ではなく、すべての検診項目のどれかが有所見であった場合の実人数を記入します。

    ※詳しくは後述の「Q3. 「所見のあった者」と「医師の指示人数」の集計の違い・判断基準とは?」を参照ください

    記入例(12)医師の指示人数

    「12.所見のあった者の人数」のなかで、医師から「要医療」「要精密検査(再検査を含む指示)」などの指示や、生活指導・保健指導を受けた実人数を入力します。

    記入例(13)歯科検診

    2022年10月以降、有害な業務に係る歯科健康診断については、定期健康診断結果報告書とは別に「有害な業務に係る歯科健康診断結果報告書」の新様式で提出します。労働者数にかかわらず、対象業務に係る歯科健康診断を実施したすべての事業場で提出が必要です。

    ※参考:厚生労働省「労働安全衛生法に基づく歯科医師による健康診断を実施しましょう」

    記入例(14)産業医の氏名・所在地・事業者職氏名

    産業医の氏名・所在地、事業者職氏名など必要事項を記入しましょう。

    なお、法改正により、産業医の確認印や代表者印の押印、および電子署名は不要となっています。

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    【Q&A】集計時に迷いやすいイレギュラーケース

    定期健康診断結果報告書の作成で、もっとも手が止まりやすいのは様式への入力そのものではなく、入力前の「数値の集計」です。在籍労働者数の基準時点や退職者の扱い、所見のあった者と医師の指示人数の違いなどは、毎年のように担当者が迷うポイントとして知られています。

    ここでは、こうした集計時のよくある疑問をQ&A形式で整理しました。報告書の作成前に確認しておくことで、集計ミスや差し戻しの防止に役立ちます。

    Q1. 定期健康診断結果報告書の「在籍労働者数」はいつ時点?休職中・派遣社員は含む?

    在籍労働者数は、報告書に記入した「健診年月日」現在の常時使用する労働者数を記入します。

    様式第6号の裏面(備考欄)にも「健診年月日現在の人数を記入すること」「この場合の在籍労働者数は、常時使用する労働者数を記入すること」と明記されています。報告書はあくまで実施日時点の状況を所轄労働基準監督署へ報告するものであり、受診労働者数についても同じく健診年月日現在の人数を記入します。

    例えば9月から11月にかけて健康診断を実施し、最終日が11月20日であれば、11月20日時点の在籍者数を記入するのが基本的な考え方です。休職中の従業員や派遣社員の扱い方についてケース別に整理すると、次のようになります。

                                       
    ケース 含めるかどうか 理由
    休職中の従業員 原則として含める 雇用関係が継続しており、常時使用する労働者に該当するため
    派遣社員原則として含めない 一般健康診断(定期健康診断)の実施義務は派遣元にあるため。ただし特殊健康診断は派遣先が実施主体となる場合がある
    パート・アルバイト常態として雇用されていれば含める

    労働時間の長短にかかわらず、常態として雇用されている場合は在籍労働者数のカウント対象。なお、健診の「受診対象者」としては、週の所定労働時間が正社員の4分の3以上かつ1年以上の雇用見込みがある場合に該当

    基本は「健診日時点での雇用関係」を基準に判断しますが、休職の扱いや雇用契約の状況によって判断が分かれるケースもあります。迷った場合は、所轄の労働基準監督署へ確認することをおすすめします。

    ※参考:厚生労働省「全国労働基準監督署の所在案内」


    Q2. 定期健康診断結果報告書に「退職者」は含む?

    退職者を含めるかどうかは、「在籍労働者数」と「受診労働者数」を分けて考える必要があります。

    在籍労働者数は、報告書に記載する健診年月日現在の「常時使用する労働者数」です。そのため、健診年月日の時点ですでに退職している人は、在籍労働者数には含めません。

    一方、受診労働者数は、報告対象期間中に実際に受診した人数を記載します。受診した時点で在籍していれば、その後に退職していても受診労働者数には含めます。つまり、二つの数字は判断する時点が異なります。具体例で整理してみましょう。

    ケース 在籍労働者数 受診労働者数

    9月に受診し、10月に退職。

    健診年月日は11月20日
    含めない(11月20日時点で退職済み) 含める(9月に受診した実績があるため)

    11月に受診し、12月に退職。

    健診年月日は11月20日
    含める(11月20日時点では在籍) 含める

    このように、退職者の扱いは健診実施日・退職日・健診年月日の関係によって変わります。

    「健診年月日時点で在籍していたか」「報告対象期間中に受診していたか」をそれぞれ確認することで、集計ミスを防ぐことができます。判断に迷う場合は、所轄の労働基準監督署に確認してから提出すると安心です。


    Q3. 「所見のあった者」と「医師の指示人数」の集計の違い・判断基準とは?

    「所見のあった者の人数」は有所見であった者の実人数を指します。一方、「医師の指示人数」は、そのうち医師から要医療、要精密検査、生活指導、保健指導などの具体的な指示があった者の人数を指します。

    両者は混同しやすいため、違いを正しく押さえておきましょう。

    「所見のあった者の人数」は、各項目の有所見者数を単純に足し合わせた合計ではありません。定期健康診断結果報告書で対象となる健康診断項目のうち、いずれか1つでも有所見であった人を「実人数」で数えます。1人が複数の項目で有所見であっても、カウントは1人です。

    一方、「医師の指示人数」は、所見のあった者のうち、医師から「要医療」「要精密検査」「生活指導」「保健指導」などの指示を受けた者の実人数です。ただし、各健康診断項目における所見の有無がまだ確定しておらず、医師が再検査を指示する場合は、「医師の指示人数」には含めません。

    つまり、単なる「要再検査」は原則として医師の指示人数には含めない点に注意が必要です。具体例で確認してみましょう。

    従業員 有所見項目 医師の判定
    Aさん 血圧、肝機能検査 要医療
    Bさん 血糖検査 要再検査
    Cさん 血中脂質検査、心電図検査 生活指導
    Dさん なし 異常なし
    この場合、所見のあった者の人数はAさん、Bさん、Cさんの3人です。Aさんは2項目で有所見ですが、実人数では1人として数えます。Dさんは所見がないため含みません。

    医師の指示人数はAさん、Cさんの2人です。Aさんは「要医療」、Cさんは「生活指導」の指示があるため含めます。一方、Bさんは「要再検査」ですが、所見の有無が確定していない段階での再検査指示に該当する場合は、医師の指示人数には含めません。

      
    項目 集計方法 注意点
    所見のあった者の人数 対象となる健康診断項目のうち、いずれか1つでも有所見であった者の実人数各項目の有所見者数の合計ではない
    医師の指示人数 要医療・要精密検査・生活指導・保健指導などの指示を受けた者の人数 「要再検査」は含めない
    よくある誤りとして、各項目の有所見者数をすべて合算してしまうケースがあります。これでは1人に複数の所見がある場合に重複カウントとなり、報告書の人数が実態と合わなくなります。Excelなどで集計する際は、項目別の有所見者数と、実人数としての「所見のあった者の人数」を分けて管理しましょう。

    なお、有所見の判定基準は法令で一律に数値基準が定められているものではなく、健診機関や医師の判断によって異なる場合があります。そのため、事業場内で集計基準を統一するためには、産業医や健診機関と確認したうえで、必要に応じて衛生委員会などで審議し、文書化しておくことが望ましいです。

    定期健康診断結果報告書の提出方法

    2025年1月1日より、常時50人以上の労働者を使用する事業場における定期健康診断結果報告書を含む、労働安全衛生関係の一部手続きで電子申請が原則義務化されました。

    提出先はこれまでどおり所轄の労働基準監督署で、提出時期は「遅滞なく」、実務上は健診実施からおおむね1〜3カ月以内が目安です。

    これに伴い、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、定期健康診断結果報告書についても電子申請による提出が求められることとなります。具体的な提出方法について以下解説します。

    電子申請義務化の対象と経過措置

    2025年1月1日から、労働安全衛生法に基づく主要な手続きについて電子申請が義務化されました。定期健康診断結果報告書については、常時50人以上の労働者を使用する事業場が対象です。

    対象となる手続きについては、「1-4. 一部手続きの電子申請が義務化 」でも解説していますので、ご確認ください。

    厚生労働省が提供する「入力支援サービス」を利用すれば、帳票の作成からe-Gov経由での電子申請まで一連の流れで行うことができます。電子申請にはe-Govアカウント、GビズID、Microsoftアカウント、Googleアカウントのいずれかが必要になるため、社内で誰が申請を担当するのか、アカウントをどの部署で管理するのかも事前に決めておきましょう。

    なお、当面の間は経過措置が設けられており、システム障害などやむを得ない事情がある場合には、書面での報告も認められています。ただし、原則は電子申請ですので、経過措置があるうちに早めに環境整備を進めておくことをおすすめします。最新の運用状況については、所轄の労働基準監督署や労働局の案内もあわせて確認してください。

    ※参考:厚生労働省「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」
    ※参考:厚生労働省「全国労働基準監督署の所在案内」

    電子申請サービスの利用方法

    電子申請サービスは、厚生労働省が提供する「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」または、デジタル庁が運営する「e-Govポータル」より手続きをすることができます。

    24時間いつでもオンラインで申請でき、役所の窓口が閉まっている時間帯でも利用可能である点、マイページで申請状況をすぐに確認できる点など、利便性が高く申請作業を効率化することができるでしょう。

    <電子申請の流れ>

    1. 利用準備を行う(e-Gov アカウント、G ビズ ID、 Microsoft アカウントまたはGoogleアカウントを作成する)
    2. 帳票作成メニューから「定期健康診断結果報告書」を選択
    3. 入力エリア(画面右側部分)に必要項目を入力する ※入力の途中で保存可能
    4. 必要に応じて書類(ファイル)を添付する ※添付可能なサイズは合計15MB以下
    5. 入力内容を確認し「申請に進む」をクリックする
    6. 申請完了後に「申請結果」ページが表示され、「到達番号」が割り振られる
    7. 「メニューに戻る」をクリックする
    8. PDFファイルとして保存・印刷する ※控えとして利用

    ※参考:電子申請サービス利用説明書

    定期健康診断結果報告書を効率的に作成するポイント

    それでは続いて、定期健康診断結果報告書を効率的に作成するポイントを、3つ挙げて解説していきます。

    • 事業場情報を適切に管理する
    • 予約段階で健診機関や実施日を記載する
    • データ管理を徹底する

    ポイント(1)事業場情報を適切に管理する

    「労働保険番号」「会社の名称」「所在地」「事業の種類」などは頻繁に利用しますが、滅多に変わることがありません。

    スプレッドシートなどにリスト化して保存し、アクセスしやすいように管理しておけば、検索する時間を短縮できるでしょう。

    ポイント(2)予約段階で健診機関や実施日を記載する

    医療機関に健康診断を予約した段階で「健診機関」や「実施日」などをあらかじめ記入しておけば、スムーズに提出できるようになります。

    健診後に発生する集計作業に集中できるよう、事前に記載できるものは済ませてしまいましょう。

    ポイント(3)データ管理を徹底する

    健康診断の結果をしっかりとデータ管理することで、報告書作成が効率的に進みます。データ化することで作業者の業務負担が減り、従業員に素早いアプローチができるのがメリットといえるでしょう。

    報告書作成の効率化は、記入の工夫だけでなく、「健診業務全体(予約・精算・結果回収・データ管理)」をどう回すかで差が出ます。「毎年忘れる」「属人化してしんどい」と感じる場合は、工程別に課題と対策を整理しておくと翌年以降が楽になります。


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    「今年だけ」でなく、来年も迷わないように。

    工程を整理するだけで、作業時間が短縮しやすくなります。

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    定期健康診断結果報告書の管理業務ならパーソルビジネスプロセスデザインへ

    定期健康診断結果報告書を作成する際、見本を参考に記入することでミスを減らすことができます。

    あらかじめ把握しておくことで効率的に作業できますので、ぜひこの記事で説明した「提出方法」を参考に、定期健康診断結果報告書の作成や提出を進めましょう。

    しかし、定期健康診断結果報告書の作成や健康診断の実施には多くのリソースが必要になってしまいますので、健康診断の管理業務を外部へ委託する(アウトソーシングを利用する)ことで担当者の負担を軽くすることが可能となります。

    パーソルビジネスプロセスデザインでは、健康診断の管理業務をトータルサポートしており、定期健康診断結果報告書の作成だけでなく、医療機関の予約代行や精算代行まで行っているのが特徴です。

    下記のページ・サービス資料では、4,000社を超える全国の医療機関との提携、費用精算の一元化、レイアウト・判定基準を統一した健康結果のデータ化、Webシステムによる予約・変更(24時間対応)など、サービス内容の全体像をご確認いただけます。

    お客様のニーズに合わせて作業内容をカスタマイズすることもできますので、健康診断の実施で自社のリソース不足にお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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