大量の申請、繁閑の差、電話がつながらない…。問題解決に向けて試行錯誤を重ねて『円滑な業務』を実現。

大阪市福祉局

業種
自治体・官公庁
導入部署・部門
高齢者施設部/障がい者施策部

Before

・年間で約16万件ある『要介護認定』の申請を処理しなければならない
・申請の受付業務は繁閑の差があり、月初や月末に集中してしまう
・「電話がつながりにくい」といわれるも、実態がわからない

After

・業務分担を明確にして、センターの安定運営を可能に
・弾力的なチーム体制を整えることで、繁閑の差を吸収
・コールセンターシステムを導入し、高い水準の応答率を維持

目次

    『要介護認定』の業務を1ヶ所に集約。業務委託をすることに

    ※本記事の内容、お客さまの役職、当社社員の役職および旧社名は、取材時の情報に基づいています。

    大阪市の人口は約275万人(2020年度)ですが、65歳以上の介護保険第1号被保険者は68万人います。いずれも全国の政令指定都市の中では横浜市に次いで2番目に多い人数ですが、実はそのうち『要介護認定者は18万人と全国トップの人数となっていました。(2021年度実績)

    この『要介護認定』に関連する業務については大阪市内の24区それぞれで行っていましたが、2012年に全国の政令指定都市に先駆け、『要介護認定』に関連する業務を集約した『大阪市認定事務センター』を開設しました。

    『大阪市認定事務センター』に業務を集約した大きな目的は、効果的・効率的に事務を進めるためだったといいます。

    事務を進める流れとしては、次の通りです。

    まず、郵送されてきた申請書類を受付で確認し、認定調査を実施。同時に、主治医に意見書を書いてもらうよう依頼します。それぞれの書類の提出を経て、『審査会』が行われ、そこで『要介護度』を判定します。その結果を受けて、申請者に通知を行っていきます。

    業務フロー

    ポイントは、郵送で申請を受け付けるということです。それまでは各区の窓口にて直接、受付を行っていましたが、郵送で受け付けることによって『一つのセンター』で業務を進められるようになったのです。

    この『郵送での申請受付』を含む認定業務に関して、業務委託の公募型プロポーザルが行われ、2015年にパーソルテンプスタッフが受託することになりました。

    『大量の申請』と『繁閑の差』に、どう対応していったのか

    受託したパーソルテンプスタッフは、すぐに大阪市様と業務を分担して対応しました。

    例えば、要介護度を判定する『審査会』は約1,200人の審査員によって毎日どこかで審査会が開かれ、審査判定が行われます。その認定の結果通知や契約関係の支払いなどは行政でやらなければならないため、市の職員様が担当します。一方で、申請書類のチェックや審査会資料の作成、郵送などは委託が可能になる部分でした。

    このような業務分担について、塩谷様は次のように言います。「認定事務センターの安定した運営ができているのは、この業務分担の成果ではないでしょうか」

    大阪市福祉局
    高齢者施設部 介護保険課
    認定担当課長代理 兼
    障がい者施策部 障がい支援課
    認定担当課長代理
    塩谷 聡志 様

    塩谷 聡志 様

    大阪市様が受け付けている申請件数は2019年度において年間で約16万件を超えていました。パーソルテンプスタッフでは約160人のスタッフで業務にあたっていましたが、特に郵送業務については1日に少なくとも2,000件、多い時には6,000~7,000件にも及んでいました。

    この業務のもっとも重要なミッションの一つとして『郵便物を間違って送ってしまう』などの事故を起こさないことが挙げられました。そこでパーソルテンプスタッフは、異なる書類が混在しないためにも、郵送物の種類ごとにチーム分けを行っていきました。同じスタッフが同じ作業を繰り返し経験することによって、習熟度を高められるようにしていったのです。

    ただ、もう一つ問題がありました。それが“繁閑の差”です。申請の受付は月初や月末に集中するなど、1ヶ月の間でも繁閑の差が大きく生じていたのです。

    「電話がつながりにくい」といわれるも、実態がわからなかった

    繁閑の差に対しても、パーソルテンプスタッフは体制を整えていきました。チームごとに分業をしながらも、他のチームが忙しい時には応援できるような体制にしていったのです。

    一つのチームの人数は20人から30人。専門的な業務についてはそのチームのスタッフが対応しますが、他のチームの人でも少し説明すればできる業務もあります。そこで、一人ひとりが幅広く活躍できるようにしたのです。

    具体的には、手が空いている時に研修を行って、他のチームが忙しい時にできる業務を引き取っていけるようにしていきました。こうした対応について松山課長は、次のようにコメントしてくださいました。

    「行政では弾力的に人を配置することは難しいです。繁忙期に合わせて柔軟に体制を組んでいただいていることは、民間の強みですよね。各分野の専門的な知識を持ったスタッフを増やしていただくことで、円滑に業務を遂行していただけていると思います」

    大阪市福祉局
    高齢者施設部 認定担当課長 兼
    障がい者施策部 認定担当課長
    松山 由紀 様

    松山 由紀様

    また、センターの代表電話の受付対応もしていましたが、ここでも課題がありました。多くの電話が掛かってきていましたが、実態について把握できておらず、市民からクレームが寄せられていたのです。

    当時の状況について塩谷様は、「市民の皆さんからつながりにくいという声が寄せられていて、そうなのかなと思うものの、数字としては何もありませんでした」と語られました。

    提案をくり返しながら、円滑に業務を進められるように

    センターの代表電話については、パーソルテンプスタッフより『コールセンターシステムの導入』を提案して、2021年より稼働を始めました。

    問い合わせの種類ごとに電話がつながるオペレーターを限定するほか、スタッフの習熟度に合わせて自動的につながる回数を変える、などの対応をしていったのです。

    こうした取り組みについて塩谷様は、「コールセンターシステムを導入していただいたことで、どれくらい受電して応答率がどれくらいなのかがわかるようになりました。可視化できたのは非常に大きいですね」と評価いただきました。

    認定事務センターへの電話でのお問い合わせは、月に1万件にのぼります。その受電の状況が可視化できたことで、大阪市様では回線を増やしながら高い水準の応答率を維持できるようになっていったのです。

    他にも、コロナ禍においては別の課題が発生しました。意見書を書いてもらった医療機関に対して情報提供を行う際に以前は電話で伝えていましたが、コロナ禍によって多忙になってしまった医師から「電話を受ける暇がない」と言われることが多くなっていったのです。そこでパーソルテンプスタッフは、すぐに文書での報告へ切り替えるよう提案。大阪市様にも迅速にご対応いただくこととなりました。

    状況の変化だけでなく制度の変更なども頻繁に起きる『要介護認定』の業務では、市の職員の皆様との連携が非常に重要だとパーソルテンプスタッフは常に考えていました。松山様も同じ思いを持ってくださっていたようで、最後にこう語ってくださいました。

    「認定事務も新型コロナ感染症の影響を受け、申請件数が大幅に変動しました。認定事務を円滑に行うには社会情勢を見極めて弾力的な対応をする必要がありますので、パーソルテンプスタッフさんと情報共有をしながら進めていきたいと考えています」

    担当者コメント

    パーソルテンプスタッフ株式会社
    西日本第一BPOサービス部 西日本公共運用課
    プロジェクトマネージャー
    河口 強

    さまざまな提案に対して、大阪市様はスピーディーに取り入れていただいています。私たちが現場で出てきた課題を拾い、改善策を提案させていただくことで、サービスの向上にもつながります。職員の皆さんに良いことも悪いこともお話しできるように、お互いの関係性を大切にしながら今後も業務を進めてまいります。

    河口 強

    パーソルテンプスタッフ株式会社
    西日本第一BPOサービス部 西日本公共運用課
    プロジェクトリーダー
    片山 美智代

    一人ひとりが幅広く活躍できるよう、手が空いている時には研修を行い、他のチームが忙しい時にはできる業務を引き取っています。リーダーとして心掛けているのは、できるだけ全員が均一に業務を遂行できる体制を作るということですね。

    片山 美智代

    パーソルテンプスタッフのBPOは、今後も皆さまの業務改善や生産性UPをサポートしてまいります。お困りごとやご相談があれば、お気軽に電話やフォームからご連絡くださいませ。

    本記事のPDF資料

    大阪市福祉局様へのBPO導入事例を、PDF資料として配布しています。(個人情報の入力は不要です)

    事例の資料はこちら [0.8MB]

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