新規事業における営業組織の重要性
新しい事業を立ち上げる際に、まず注目されるのが「営業組織をどのように設計するか」という点です。
既存事業とは異なるターゲットやアプローチを検討する必要があるため、初期段階での営業組織づくりは成功を左右する重要な要素といえます。
特に、大企業の場合は社内ルールや関連部署との調整が複雑になりがちです。
そのため、独立した組織としてのスピード感と、社内連携を円滑に進める柔軟性を両立できる体制が求められます。
ここでしっかりと営業活動の方向性を定め、組織全体が同じ目標に向かって協力できるようにすることで、市場とのスムーズな接点づくりと回収が可能になります。
新規事業と既存事業の違い
既存事業の場合は、すでに築き上げた顧客基盤や認知度を活かして営業活動を展開できます。
しかし、新規事業ではまったく未知の領域に飛び込むことが多いため、従来のやり方をそのまま適用すると成果が出にくいケースがあります。
この局面を乗り越えるためには、新規事業特有のスピード感や定期的な軌道修正が不可欠です。
特に市場のニーズを素早く把握し、それに応じて営業方法を柔軟に変えていく工夫が求められます。
必要に応じて社内の専門チームや支援部署と協力しながら、予算やリソースを適切に再割り当てし、顧客へアプローチする手段やメッセージを常にアップデートしていくことがポイントといえるでしょう。
営業組織の在り方が新規事業の成長を左右する
新規事業の成否を左右する要因は多岐にわたりますが、営業組織を活用し市場の声を迅速に吸い上げて事業に反映できる体制がつくれるか、というのは大きなポイントとなります。
新規事業では競合リサーチや顧客調査を行いながら、仮説を立てて早めに検証するサイクルが大切です。
その際、営業担当が顧客とのやり取りを通じて得られるリアルな情報は、事業の方向性を修正したり、サービスの価値を再定義したりする上で非常に参考になります。優秀な営業組織の存在は新規事業の成長をドライブさせるエンジンとして欠かせないのです。
新規事業における営業組織構築のステップ
新規事業の営業組織を構築する際には、いくつかのステップを踏みながら進めることが重要です。
そして、進行中に新たな課題が見つかった場合はすぐに修正できるような運用ルールを設けておくとより効果的です。
この章では、新規事業における営業組織構築の代表的なステップをご紹介いたします。
市場・競合調査のポイント
まずは市場調査と競合分析を徹底的に行い、自社のサービスが本当に求められるものかどうかを把握する必要があります。
この段階で数字を用いた定量的な調査と、潜在顧客へのヒアリングによる定性的な調査の両方を行い、市場規模やユニークポイントを見極めます。
さらに、想定顧客の購買プロセスを洗い出してみると、どのタイミングでどんな情報が有効かが明確になり、営業組織で注力すべきポイントが判明しやすくなります。
ここでは焦らずに調査をじっくり行うことで、後々の方針転換にかかるコストを大幅に削減できるでしょう。
営業プロセス設計と組織構築
市場・競合の情報がそろったら、次に重要なのは営業プロセスの設計と組織づくりです。
新規事業の場合、興味を持ってもらうところからクロージング、そしてアフターフォローまでの一連の流れにおいて、どのステップでどのような体制が必要かを考えることが欠かせません。
たとえばリード獲得担当、提案資料作成担当、商談担当など、それぞれの役割を明確にし、連携がスムーズにいくような仕組みをあらかじめ設計しておくとミスが少なくなります。
ちなみに、当社がご支援する際の強みは、単にコンサルタントが計画書を作るだけでなく、実際にこのプロセス段階から営業の現場にも入り込み、組織全体が動き出す際に起こりがちな課題を素早く解決できる点です。
こうした具体的なアクションを共有しながら、チームにとって最適な営業の流れや人材配置を柔軟に検討することが、新規事業で成功するための大きなポイントになります。
新規事業の営業組織/営業プロセス構築ご支援事例
ここでは、実際にパーソルビジネスプロセスデザインがご支援した事例をいくつか見てみましょう。
SaaS新規事業に進出した製造業A社様
A社は従来の製造業としての顧客基盤を活かして、SaaSモデルに対応した新しい仕組みを作りたいと考えていました。
しかしSaaSの新規事業立ち上げとなると、全く異なる営業方法や商談スキームが必要になるケースも多く、どこから手をつければよいかわからないという企業も少なくありません。
その点、A社では早い段階から当社の支援を導入し、市場調査や競合分析、営業組織の構築まで一気通貫でサポートを受けました。
その結果、短期間で顧客の声を丁寧に拾い上げながら、サービス内容や営業プランを練り直し、効率よく業績を伸ばすことに成功しました。
新技術を開発したシステム開発業B社様
システム開発業のB社は高い技術力を有しているものの、それを提供するための営業ノウハウや工数がありませんでした。
今回開発した新技術も大変画期的なものなのですが、ターゲティングや営業の業務設計など、サービス提供するためのノウハウが不足している状態でした。
そこで当社からは、新技術の販売パートナーを開拓し、パートナーを通じてビジネスを活性化するための様々なご支援を実施。
その結果、9社からの協業案件を獲得し、協業方針も確立。
新規事業の営業組織によるVOC収集で成長を加速
新規事業を成功に導くためには、「顧客の声(VOC:Voice of Customer)」をいかに素早く現場と戦略策定に落とし込めるかが重要です。
特に新しいサービスを提供する際には、想定外の使われ方や潜在的なニーズが出てくることがよくあります。
こうした情報を営業組織が的確に掴み、フィードバックループを回せるようにすることで、必要な機能追加やプラン変更をスピーディーに行うことが可能になります。
VOCを定期的に整理・分析し、マーケティングや開発チームにすぐ共有できるような仕組みがあることで、現場からの課題提起が組織トップへ速やかにつながり、必要に応じた改善をタイムリーに進められるようになるのです。
顧客ニーズを拾い上げる方法
顧客ニーズを拾い上げるには、まず徹底して耳を傾ける姿勢が大切です。
新規事業では、ユーザーがどのようにサービスを使っているのか、どんな悩みを抱えているのかを日々確認し、細かい点でも会話からニーズのタネを見逃さないようにする必要があります。
直接ヒアリングの機会を設けるだけでなく、オンラインの問い合わせフォームやSNSでのコメント、日々のメール連絡などから情報を収集し、チームで共有する環境を整えることが肝心です。
加えて、課題が見つかったらスピーディーに仮説を立てて検証する(検証結果がユーザーにとってどれほど価値があるのかを測る)姿勢も欠かせません。
これにより、新規事業の成長を阻む要素を早めに発見でき、次の打ち手を考える時間的余裕を生み出すことができます。
戦略と実務のPDCAサイクル
顧客の声を拾って終わりにするのではなく、それをもとに戦略を再確認し、サービスの改善につなげるのがPDCAサイクルの本質です。
新規事業における営業組織では、Plan(計画)・Do(実行)・Check(検証)・Action(改善)を絶えず高速で回す姿勢が求められます。
A社様のケースでも、トライアル顧客へのフォローアップから具体的な課題点を抽出し、必要であれば提案資料の改善やサービスのアップデートを速やかに実施しました。
その後の商談成果やユーザーからの反応を踏まえ、さらに次の改良策を練り直すことで、短期間で大きくビジネスを洗練させていったのです。
この繰り返しにより、営業組織全体がノウハウを蓄積し、より強力な営業力を身に付けていけるので、新規事業がより早く成長できるようになるのです。
まとめ
新規事業の営業組織づくりは、失敗と学習のサイクルを前提とした柔軟さが命です。
本記事でご紹介したように、顧客の声をいかに素早く反映できるかが成功への近道といえます。
パーソルビジネスプロセスデザインの「新規事業立ち上げ支援サービス」では、市場調査・競合調査や戦略立案から、営業組織や業務プロセスの構築、実際の営業現場へ入り込んでのサポート活動やVOC収集まですべてを一気通貫でご支援します。
自社だけでは難しい初動のスピードアップや、市場に合わせた組織構築をサポートいたしますので、その一端でも興味がございましたら、ぜひ資料をダウンロードしてみてください。