Looker Studioとは
Looker Studioとは、Googleが無料で提供するクラウド型のBIツールです。
BIツールとは、企業が日々蓄積する売上や顧客データを収集・分析し、経営やマーケティングに役立てるためのシステムのことです。
Looker Studioの特長は、専門的なスキルがなくても、誰でも簡単に複数のデータを視覚的にわかりやすくまとめられる点です。
営業成績や顧客情報、広告効果といった社内の重要な数値(KPI)をグラフや表で自動的に可視化できるため、
これまで時間がかかっていた集計作業やレポート作成の手間を大幅に軽減できます。
また、Google AnalyticsやGoogle広告などのサービスとも簡単に連携できます。
これにより、Webサイトのアクセス状況や広告の成果まで、一画面でリアルタイムに確認が可能です。
データを統合的に把握できることで、素早い意思決定やマーケティング施策の改善に役立ちます。
Looker StudioとLookerの違い
Looker Studioと似ているツールに「Looker」がありますが、この2つは用途や難易度、料金などが異なります。
Lookerは高機能なBIツールで、複雑で高度な分析が可能な反面、利用には専門知識が必要です。
一方のLooker Studioは、プログラミング知識がなくても手軽にデータの視覚化や共有が行えるBIツールです。
両者の違いを下記の表にまとめました。
項目 | Looker | Looker Studio |
---|---|---|
使いやすさ | 導入・活用には専門知識が必要(LookMLやSQL) | ノーコードで利用可能 プログラミング知識不要で手軽に扱える |
機能 | エンタープライズ向け LookMLを使用し、大規模データの高度な分析が可能 閲覧権限設定や柔軟なデータモデル構築に対応 |
簡易的な分析機能に留まる データの視覚化・共有に特化 |
料金体系 | 有償(個別見積もり) | 基本機能は無料 Looker Studio Proは$9/月/ユーザー |
Looker StudioとLooker Studio Proの違い
Looker Studio Proは、Looker Studioの有料版です。
無料版の全機能に加え、エンタープライズ向けのアクセス管理機能や技術サポートなどを利用できます。
料金は2025年3月時点で1ユーザー月額9ドルです。
無料版よりも管理やサポート機能が充実しているため、大規模な運用を検討する企業に適しています。
具体的には、Looker Studio Proには以下のような機能があります。
● レポートやデータソースの組織管理
● チーム ワークスペースの共有、共同編集
● レポートの配信自動化
● 生成AI機能(Gemini Looker)
● モバイルアプリの提供
● Cloud カスタマーケアのサポート
Looker Studio Proを利用することで、大規模な運用や組織内での円滑なデータ活用を実現できるでしょう。
Looker Studioでできること
Looker Studioでできることは、大きく分けて以下の3つです。
● 複数のデータと連携する
● データを可視化する
● レポートを共有・共同編集する
それぞれの内容を解説します。
複数のデータと連携する
Looker Studioの強みは、多種多様なデータを簡単に統合して分析できることです。
Googleが提供するサービスをはじめ、合計800以上のデータソースと接続できます。
これにより、例えば「売上データと広告効果」「顧客データとWebサイトアクセス数」など、異なる種類のデータを1つの画面でまとめて分析できます。
また、Looker Studioに直接接続できないデータであっても、GoogleスプレッドシートやCSVファイルとしてアップロードすることで簡単に取り込めます。
「コネクタ」という仕組みを使い、外部サービスのデータとLooker Studioをつなぐことで、幅広い分析ニーズに柔軟に対応可能です。
データを可視化する
Looker Studioでは、複雑なデータをシンプルで見やすいグラフや表に変換できます。
例えば、チャートや円グラフ、ヒートマップなど、多彩なグラフ形式を使ってデータの傾向や異常値を一目で確認可能です。
さらに、グラフやダッシュボードのデザインも簡単に調整できます。
フォントや色、サイズを自由に変えられるだけでなく、独自の計算式で新しい分析項目を追加することも可能です。
また、フィルタやコントロール(絞り込み用の操作画面)を設定すれば、
「特定期間の売上」や「特定商品の顧客属性」といった詳細なデータ分析を直感的に操作できます。
レポートを共有・共同編集する
Looker Studioでは、レポートの共有・共同編集なども自由に行えます。
外部メンバーとも簡単に共有でき、1つのレポートごとに「閲覧のみ」や「編集可能」などの権限を設定することも可能です。
また、レポートをPDFとしてエクスポートする機能もあり、社外のクライアントへの報告やプレゼンテーション資料としても活用できます。
データの共有・管理をスムーズに実施し、情報伝達を効率的に実施することが可能です。
Looker Studioのメリット
Looker Studioを活用すれば、企業は多くのメリットを得られます。代表的なメリットは以下の6つです。
● コストをかけずにデータ分析を始められる
● 自動化により業務を効率化できる
● データを一元管理できる
● 無料のテンプレートを利用できる
● リスク管理に活用できる
● 意思決定のスピード向上につながる
これらのメリットを理解することで、自社にどのような変化や効果があるのかを具体的にイメージできるでしょう。
それぞれのメリットについて詳しく紹介します。
コストをかけずにデータ分析を始められる
Looker Studioは無料で利用できるため、導入コストを気にせずにデータ分析を始められます。
Googleアカウントさえあれば、すぐにデータソースの接続やレポート作成・共有などの機能を利用可能です。
ただし、Google BigQueryなど一部の外部サービスをデータソースとして使う場合には、別途料金が発生するケースがあります。
導入前に使用するサービスの料金体系を確認しておくと安心でしょう。
自動化により業務を効率化できる
Looker Studioはデータソースとリアルタイムに接続し、自動的に最新のデータをレポートに反映します。
そのため、毎回担当者が手動で行っていた数値の集計や修正作業が不要になり、業務の負担を大きく軽減可能です。
一度設定しておけば、その後は手動の修正や数値入力を行う手間がなくなり、業務効率を大幅に改善できます。
空いた時間を分析や戦略の立案に充てることが可能になるため、生産性向上が期待できるでしょう。
データを一元管理できる
データを一元管理できる点もLooker Studioのメリットです。
Looker Studioは、GoogleスプレッドシートやBigQuery、CSVファイルなど複数のデータソースと連携できます。
そのため、これまでバラバラに管理していたデータを一つのダッシュボードでまとめて確認することが可能です。
データを統合して一元管理することで、チーム内の情報共有がスムーズになり、業務効率も向上します。
無料のテンプレートを利用できる
Looker Studioでは、無料で使える多彩なテンプレートを提供しています。
テンプレートを使えば、デザインや設定に詳しくない担当者でも、データを接続するだけで簡単に本格的なレポートやダッシュボードを作成可能です。
テンプレートは目的や業種別に分類されており、営業管理、マーケティング成果分析、財務レポートなどの用途で活用できます。
初めてBIツールを使う場合や短時間でレポートを作成したい場合に、テンプレートを利用することで業務の効率化を図れるでしょう。
下記ページでは、弊社で作成した無料テンプレートを多数配布していますので、ぜひご活用ください。
関連資料:無料BIレポートテンプレート集
リスク管理に活用できる
Looker Studioはデータに対して基準となる「しきい値」(警告ライン)を設定できます。
これにより、売上が突然落ち込んだり、広告費用が予算を超過したりするなど、異常な状況が発生したときに自動的に通知を受け取ることが可能です。
例えば、特定商品の売上が想定を下回った場合、担当者はすぐに問題を把握して対応策を検討できます。
問題を早期に発見して迅速に対処できるため、深刻な損失を未然に防ぎ、効果的なリスク管理を実現できます。
意思決定のスピード向上につながる
常に最新のデータをリアルタイムで確認できるため、迅速かつ的確な意思決定が可能になります。
例えば、営業会議で売上の推移や広告の成果をLooker Studioのダッシュボード上で直接確認すれば、資料作成や集計作業にかかる時間を削減できます。
また、異常値や問題が発生した際にもその場で原因分析を行えるため、素早く対策を立てられます。
結果、意思決定までのリードタイムが短縮され、ビジネスの競争力や対応力を高めることにつながります。
Looker Studioの基本的な使い方入門
Looker Studioを初めて使う方に向けて、実際にデータを取り込み、レポートを作成・共有するまでの手順を画像付きで説明します。
● データソースを作成する(分析したいデータを接続)
● レポートを作成する(データを見やすくグラフ化)
● レポートを共有する(社内外に成果を共有)
それぞれの操作を、画像付きでわかりやすく説明しますので、一緒に進めていきましょう。
データソースを作成する
はじめに、分析に使うデータソースを作成する方法を説明します。
データソースとは、Looker Studioで分析や可視化を行うために接続する、元となるデータのことです。
1.Looker Studioを開き、ホーム画面の「作成」から「データソース」を選択します。
2.コネクタの一覧画面から取得するデータを選択します。ここでは「Google アナリティクス」を選択します。
コネクタとは、Looker Studioと外部サービスを接続し、データを取り込むための仕組みのことです。
3.データソースの名称を決定し、接続先を選択します。その後、「接続」をクリックします。
4.このような画面が表示されれば接続成功です。この画面では、取得できたデータの項目を確認できます。
取得したデータを可視化するために、レポート作成に進みましょう。
レポートを作成する
作成したデータソースをもとに、レポートを作成する方法を解説します。
1.さきほど作成したデータソースの画面の右上にある「レポート作成」をクリックします。
確認画面が表示された場合は、「レポートに追加」をクリックします。
3.画面上部の「グラフを追加」をクリックすることで、グラフを追加できます。
4.グラフの「ディメンション」と「指標」を指定します。
● ディメンション:データを分類する「軸」のこと。(年月、商品名、地域、ページのURLなど)
● 指標:ディメンションごとの数値データのこと。(アクセス数、売上、ページビュー数、購入数など)
以下の例では、ディメンションを「年月」、指標を「アクセス数」として、月ごとのアクセス数の推移を示しています。
5.「スタイル」タブでは、グラフの色やフォント、線の太さなど、細かいデザインの調整が可能です。
見やすさや用途に合わせて自由に変更しましょう。
6.複数のグラフを作成し、並べることも可能です。
レポートを共有する
次に、レポートを共有する方法を紹介します。主な共有方法は2つあります。
1.アクセス権を付与して共有する
Googleドキュメントやスプレッドシートと同様に、メールアドレスを指定して共有できます。
閲覧または編集の権限をユーザーごとに設定可能です。
レポート画面右上の「共有」をクリックすることで、アクセス権限の詳細を設定できます。
2.PDF形式でダウンロードして共有する
PDFに出力すれば、メール添付や社内資料としても簡単に活用できます。
「共有」ボタン右側の▼マークをクリックし、「レポートのダウンロード」をクリックします。
ダウンロード画面が表示されるので、「ダウンロード」をクリックすれば、PDFファイルがダウンロードされます。
Looker Studioの活用例5選
ここでは代表的な活用例を5つ紹介します。
● Webサイトの分析
● 広告レポートの作成
● 在庫管理レポートの作成
● 製造業での品質チェック・入出庫管理
● 従業員の育成
自社の課題解決の参考にしてください。それぞれの内容を見ていきましょう。
Webサイトの分析
Webサイトの分析では、GoogleサーチコンソールやGoogleアナリティクス4(GA4)などと連携して、複数のデータを一画面でまとめて把握できます。
例えば、「検索順位」「訪問者数」「流入キーワード」を一元管理し、「問い合わせ数」や「購入数」などを時系列で追跡可能です。
施策の効果がリアルタイムで見えるため、改善ポイントをすぐに特定し、素早く次のアクションへつなげられます。
広告レポートの作成
広告の効果を視覚的に把握できるレポートを簡単に作成できます。
表示回数やクリック数、コンバージョン数(CV数)など、広告の成果を示す指標を1つの画面にまとめて表示可能です。
期間やキャンペーンごとにデータを絞り込むことで、柔軟な分析もできます。
さらに、無料の広告レポート用テンプレートを使えば、デザインに詳しくない方でも、見やすく伝わりやすいレポートを短時間で作成できます。
在庫管理レポートの作成
Looker Studioを使えば、店舗や商品カテゴリーごとの売上や在庫状況をリアルタイムで可視化したダッシュボードを作成できます。
このダッシュボードを活用することで、どの商品がどれだけ売れているか、またどの店舗や倉庫で在庫が不足・過剰になっているかをひと目で確認可能です。
例えば、特定の商品で在庫過多や品切れが生じている場合、早期に気付いて在庫を調整することができます。
これにより在庫回転率を改善し、不要な在庫コストを削減したり、販売機会ロスを防止したりすることにつながります。
製造業での品質チェック・入出庫管理
製造業では、以下の2つの場面でLooker Studioが役立ちます。
1. 品質チェックの効率化
毎日の品質データをリアルタイムで記録・分析できるため、廃棄数が急増した場合などの異常にすぐ気付けます。
そのため、トラブルの原因特定や対処が早くなり、不良品の削減につながります。
2. 入出庫管理の改善
常に最新の在庫数や入出庫状況を把握できるので、「いつ、どの製品を、どのくらい補充すべきか」が明確になります。
在庫の持ち過ぎによる保管コストの増加や、在庫切れによる販売の機会損失を防げます。
このように、リアルタイムなデータ活用によって現場と経営の両面で迅速な判断が可能になります。
従業員の育成
社員の評価スコアや研修受講状況などを、ダッシュボードで視覚的に把握できます。
これにより、社員ごとのスキルの強み・弱みや、エンゲージメントの低下傾向をいち早く発見し、適切な研修やフォローアップ施策を迅速に実施することが可能になります。
レポート作成にかかっていた時間を削減し、データに基づいた現状分析や具体的な育成戦略の立案など、重要な業務に時間を割けるようになります。
まとめ
Looker Studioはさまざまなデータソースと連携し、直感的で見やすいダッシュボードを簡単に作成できるツールです。
Googleアカウントがあれば無料で利用でき、コストをかけずにデータを可視化し、レポート作成の手間を削減可能です。
一方で、実際にツールを導入しても「分析したデータを具体的にどう活用すればよいかわからない」「社内に定着しない」といった課題を抱える企業も少なくありません。
そこでおすすめなのが、パーソルビジネスプロセスデザインの提供する「BI/ダッシュボード設計・構築支援サービス」です。
本サービスでは、BIツールの選定・導入、ダッシュボード設計、分析支援まで専門家がトータルサポート。
組織全体でデータ活用を定着させることができます。トレーニングや運用支援も提供し、データ分析の内製化を促進することが可能です。
Looker Studioを有効に活用したい、データ分析の効果を最大化したい方は、ぜひ利用をご検討ください。