事業戦略の立て方|経営企画向けに企業・営業戦略との違いを解説

事業戦略の立て方|経営企画向けに企業・営業戦略との違いを解説

企業の成長に欠かせない「事業戦略」。その重要性は分かっていても、「いざ立てるとなると、何から手をつければいいか分からない…」と悩んでいませんか?

「そもそも企業戦略や営業戦略と何が違うんだろう?」
「分析に時間をかけたのに、結局『絵に描いた餅』で終わってしまった…」

そんな経験、経営企画や事業責任者の方なら、一度はあるかもしれません。せっかく立てた戦略が機能しなければ、組織の力は分散し、貴重な経営資源を無駄にしてしまうことにもなりかねません。

本記事では、そんなお悩みを解決するために、事業戦略の基本から明日から使える具体的な立て方までを、5つのステップでわかりやすく解説します。この記事を読めば、企業戦略や営業戦略との関係性が整理され、組織を力強く動かす「血の通った戦略」を描くための、確かな一歩を踏み出せるはずです。

目次

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    事業戦略とは?企業戦略・営業戦略との違いをわかりやすく解説

    「事業戦略」という言葉を聞くと、少し難しく感じてしまうかもしれません。

    しかし、これは会社が成長していく上で絶対に欠かせない、非常に大切な「作戦」のことなのです。よく似た言葉として「企業戦略」や「営業戦略」がありますが、これらはそれぞれ異なる役割を担っています。この3つの関係性を、大きな船団の航海計画に例えてみると、とても分かりやすくなります。

    まず、船団全体として「どの海域を目指すのか」という最も大きな方針を決めるのが「企業戦略」です。次に、その決められた海域で「どうやって魚をたくさん捕るか」という、より具体的な漁の方法を考えるのが「事業戦略」にあたります。そして最後に、実際に釣り糸を垂らす船員一人ひとりが「どんな餌で、どのタイミングで釣るか」といった、現場レベルの行動計画が「営業戦略」となるのです。このように、それぞれの戦略は担当する領域や視点が異なりますが、お互いが密接に関わり合い、一つの大きな目標に向かって連携しています。この関係性を正しく理解することが、効果的な戦略を立てるための第一歩と言えるでしょう。


    1-1.全社の羅針盤となる企業戦略

    企業戦略とは、会社全体がこれからどの方向へ進んでいくのかを指し示す、最も上位の概念であり、まさに会社経営の「羅針盤」のようなものです。会社として「私たちは社会においてどのような存在であり、将来的にはどこを目指すのか」という、非常に根本的で哲学的な問いに答えるのが企業戦略の重要な役割と言えるでしょう。具体的には、「今後、どの事業分野に経営資源を集中させるのか」「逆に、成長が見込めないどの事業からは撤退するのか」「会社全体として5年後、10年後にどのような姿になっていたいのか」といった、経営の根幹に関わる長期的かつ全体的な方針を決定します。

    例えば、ある自動車メーカーが「これからの時代は環境への配慮が不可欠だ。我が社はガソリン車から撤退し、電気自動車(EV)に経営資源を集中させる」と決断するのは、まさに企業戦略そのものです。この大きな方針が明確に示されることで、社内の全部門、全従業員が迷うことなく一つの目標に向かって進むことが可能になります。企業戦略は、その後の事業戦略や営業戦略といった、すべての活動の土台となる、極めて重要な意思決定なのです。


    1-2.特定市場で勝つための事業戦略

    企業戦略によって「電気自動車(EV)の海で戦う」という大きな航路が決まったら、次に考えなければならないのが「その海でどうやってライバル船に打ち勝つか」という具体的な戦術です。これがまさに事業戦略の役割であり、特定の事業分野、つまり決められた市場において、競合他社に勝利し、設定した目標を達成するための具体的な作戦を練る段階となります。先ほどの自動車メーカーの例で言えば、「電気自動車(EV)事業で成功する」という目標に対して、どのようなアプローチで市場を攻略するのかを考えます。

    例えば、「世界最高水準の高性能なバッテリー技術を開発し、航続距離で他社を圧倒する」「高級感あふれる洗練されたデザインで富裕層をメインターゲットにする」「徹底したコストカットにより、手頃な価格帯のファミリー向けEVで市場シェアを一気に獲得する」といった、具体的な勝ち筋を設計するのが事業戦略です。この段階では、誰に(ターゲット顧客)、何を(提供価値)、どのように(ビジネスモデル)提供するのかを明確にし、他社には簡単に真似できない自社ならではの強みを最大限に活かす方法を、徹底的に考え抜くことが求められます。


    1-3.現場の行動計画である営業戦略

    事業戦略によって「手頃な価格帯のファミリー向けEVで市場シェアを獲得する」という勝ち方の方向性が決まったら、それを実現するための具体的なアクションプランが必要になります。その最前線を担い、戦略を具体的な成果へと結びつけるのが営業戦略です。これは、事業戦略という大きな作戦を、日々の営業活動という戦術レベルにまで細かく落とし込んだものと考えると分かりやすいでしょう。事業戦略が「何をすべきか(What)」を示すのに対し、営業戦略は「それをどのように実行するか(How)」を定義します。

    例えば、先の事業戦略を受けて営業戦略では、「週末ごとに大型ショッピングモールで展示会を開催し、多くのファミリー層に試乗体験を促す」「子育て世代に絶大な人気を誇るインフルエンサーとタイアップし、SNSを通じて親しみやすい情報を発信する」「Webサイトからの問い合わせに対しては、24時間以内に必ず返信する体制を構築し、顧客満足度を高める」といった、現場の担当者がすぐに実行できるレベルの具体的な計画を立てます。どんなに優れた事業戦略も、現場の行動が伴わなければ「絵に描いた餅」で終わってしまいます。営業戦略は、その戦略を現実のものとするための、極めて重要な役割を担っているのです。


    1-4.図で理解する3つの戦略の階層構造と関係性


    これまで見てきた「企業戦略」「事業戦略」「営業戦略」は、それぞれが独立して存在するわけではなく、美しいピラミッドのような階層構造を成しています。一番上には、会社全体の進むべき道を示す「企業戦略」が頂点として存在します。その下に、企業戦略で示された方針に基づき、各事業が「どうやって勝つか」を具体的に考える「事業戦略」が複数ぶら下がっています。そして、さらにその下に、各事業戦略を現場レベルの行動に落とし込む「営業戦略」が存在する、という関係性をイメージしてください。この3つの戦略において最も重要なのは、上から下まで一貫性があることです。

    例えば、企業戦略で「地球環境への貢献」を高く掲げているにもかかわらず、事業戦略や営業戦略が短期的な利益のみを追求し、環境を無視したものであっては、会社全体がチグハグな動きになり、顧客や社会からの信頼を失ってしまいます。上位の戦略は下位の戦略の明確なガイドラインとなり、下位の戦略は上位の戦略を実現するための具体的な手段となるのです。この連携がスムーズに機能して初めて、企業は一つの生命体のように、大きな力を発揮できるといえるでしょう。


    なぜ事業戦略が重要なのか?企業の成長を左右する役割

    事業戦略は、単に棚に飾っておくための計画書ではありません。それは、企業の持続的な成長を根底から支える、いわば人体の「背骨」のような極めて重要な存在です。もし明確な事業戦略がなければ、会社という船は自分がどこに向かっているのか分からなくなり、市場という荒波の中で方向を見失い、予期せぬ嵐が来たときにあっという間に転覆してしまうかもしれません。優れた事業戦略は、経営層が描く大きな夢やビジョンと、現場で働く従業員一人ひとりの日々の努力とを結びつけ、会社全体を同じ目標に向かって力強く前進させるエンジンとなります。特に、市場の変化が激しく、顧客のニーズが多様化する現代において、数多のライバルに打ち勝ち、お客様に選ばれ続ける企業であるためには、この事業戦略の存在が不可欠です。

    なぜなら、限られた時間やお金、人材といった会社の貴重な資源を、どこに集中させれば最も効果的なのかを明確に教えてくれる「道しるべ」となるからです。この章では、事業戦略がなぜそれほどまでに重要視されるのか、その具体的な役割とメリットを詳しく見ていきましょう。


    2-1.経営と現場をつなぐ事業戦略の役割

    事業戦略が果たす最も重要な役割の一つが、経営層と現場をつなぐ「架け橋」となることです。経営層は、会社の未来を長期的な視点で見据え、「5年後に業界トップシェアを獲得し、売上を2倍にするぞ!」といった、壮大で意欲的なビジョン(企業戦略)を掲げます。

    しかし、そのビジョンは時として抽象的であり、現場で日々業務に励む従業員からすると、「素晴らしい目標だけど、そのために具体的に明日から何をすればいいのだろう?」と戸惑ってしまうことが少なくありません。この経営陣の熱い「想い」と、現場の具体的な「行動」との間に生じてしまうギャップを埋めるのが、まさに事業戦略なのです。事業戦略は、その大きな目標を達成するために、「どの市場で戦い」「どの顧客層をターゲットにし」「どのような独自の価値を提供して」競合に勝つのかを具体的に示します。これにより、現場の従業員は自分たちの仕事が会社全体の大きな目標にどう貢献しているのかをはっきりと理解でき、日々の業務に意味と誇りを見出し、高いモチベーションで取り組むことができるようになります。まさに、抽象的なビジョンを具体的な行動へと翻訳する、優秀な通訳のような役割を担っているのです。


    2-2.事業戦略が機能しないときに起こる典型的な失敗

    もし、会社に明確な事業戦略がなかったり、立派な戦略があっても形骸化して機能していなかったりすると、組織のあちこちで様々な問題が発生します。最も典型的で深刻な失敗は、組織全体の力が分散してしまい、本来持っているポテンシャルを発揮できなくなることです。

    例えば、営業部門はとにかく新規顧客の獲得件数を増やすことを最優先しているのに、開発部門は既存顧客向けの細かな機能改善にばかり注力している、といった状況が起こりがちです。これは、各部門がそれぞれの立場で「会社のために良かれ」と思って行動した結果なのですが、会社全体として見ると、あちこちに少しずつ力を注いでいるだけで、どの取り組みも中途半端な結果に終わってしまうという悲劇を生みます。

    また、市場の急激な変化に対応できなくなるという致命的なリスクもあります。明確な戦略がないと、どうしても日々の目先の業務に追われるばかりで、新しい競合の出現や顧客ニーズの変化といった重要な外部環境のサインを見逃してしまい、気づいたときには手遅れになっている、という事態にもなりかねません。これらはすべて、進むべき方向を示す「共通の地図」である事業戦略がないために起こる、本来であれば避けられるべき失敗なのです。


    2-3.優れた事業戦略がもたらす3つのメリット


    では、優れた事業戦略を策定し、組織全体で共有できると、具体的にどのような良いことがあるのでしょうか。

    その効果は多岐にわたりますが、大きく分けて3つの素晴らしいメリットが挙げられます。

    第1に、「経営資源の集中と効率化」です。

    どんな大企業であっても、使えるお金、時間、人材といった経営資源は有限です。事業戦略は「何に注力するか」と同時に「何をやらないか」を明確にすることで、本当に重要で勝てる可能性の高い領域にだけ資源を集中投下できるようにします。これにより、無駄な活動を徹底的に排除し、投資対効果(ROI)を最大化できるのです。

    第2のメリットは、「組織の一体感の醸成」です。

    全従業員が「自分たちはこの山を登るんだ」という共通の目標を深く理解し、共有することで、部門間の壁を越えた円滑な協力体制が生まれやすくなります。全員が同じ方向を向いて力を合わせることで、組織としての一体感が生まれ、1+1が2以上になるような相乗効果が期待できます。

    そして第3に、「競争優位性の確立」です。

    自社の強みを最大限に活かし、競合他社にはない独自の価値を提供する方法を戦略として明確にすることで、消耗戦となりがちな価格競争から脱却し、顧客から「高くてもこの会社から買いたい」と思われるような、市場における確固たる地位を築くことが可能になるでしょう。


    明日から使える事業戦略の立て方|5つのステップで具体的に解説

    「事業戦略の重要性はよくわかったけれど、いざ立てるとなると、具体的に何から手をつけてどう進めればいいのか分からない」と感じている方も多いのではないでしょうか。

    事業戦略の立案は、決して一部の天才的な経営者だけができる特別な作業ではありません。正しい手順とフレームワークを理解し、一つひとつ丁寧に進めていけば、誰でも論理的で実行可能な戦略を組み立てることができます。ここでは、明日からでもすぐに使えるように、事業戦略を立てるための具体的な5つのステップを、旅の計画に例えながら分かりやすく解説していきます。このステップは、まず自分たちの現在地を正確に把握し(ステップ1)、次に行き先であるゴールを定め(ステップ2)、そこへ至るための最適なルートを描き(ステップ3)、具体的な旅の計画に落とし込み(ステップ4)、最後に旅を続けながら計画を柔軟に修正していく(ステップ5)、という一連の流れになっています。このプロセスをチームで共有し、丁寧に進めることで、成功確率の高い、血の通った事業戦略を描いていきましょう。


    3-1.ステップ1:外部環境と内部環境を正しく分析する

    事業戦略という旅を始めるにあたり、最初のステップは、自分たちが今どこに立っているのか、その現在地を客観的に、そして正確に把握することです。これには、会社の外に目を向ける「外部環境分析」と、会社の中に目を向ける「内部環境分析」の2つの側面があります。外部環境分析では、政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の変化といった世の中の大きな動き(PEST分析)や、自分たちが戦う市場の魅力度、競合他社の動向、顧客のニーズの変化などを徹底的に調べます(ファイブフォース分析など)。

    一方、内部環境分析では、自社の財務状況はもちろんのこと、技術力、ブランド力、人材、組織文化といった、自社が持つ独自の強みや、逆に改善すべき弱みを評価します(VRIO分析など)。

    そして、これらの外部と内部の分析結果を「SWOT分析」というフレームワークを使って整理し、「自社の強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」「市場の機会(Opportunities)」「脅威(Threats)」を洗い出します。この現状分析を徹底的に行うことが、その後の戦略の精度を決定づける、最も重要な土台となるのです。


    3-2.ステップ2:事業の方向性を定め目標を設定する(KGI・KPI)

    現状分析によって自分たちの立ち位置が明確になったら、次はいよいよ「どこへ向かうのか」という旅の目的地、つまりゴールを設定します。まずは、ステップ1の分析結果、特に自社の強みを活かせる市場の機会(Opportunities)を踏まえて、事業が目指すべき大きな方向性、すなわち「どの土俵で戦うのか」を定めます。

    例えば、「分析の結果、Z世代の動画視聴時間が急増している。我々の持つ動画編集技術を活かし、若者向けの新しいSNS市場に参入する」や「高齢化社会の進展は大きな機会だ。我々の研究開発力を武器に、高齢者向けの健康食品分野で3年以内にNo.1を目指す」といった具合です。この事業の方向性が決まったら、その達成度を測るための具体的な数値目標を設定していきます。ここで重要になるのが、KGIとKPIという2つの指標です。KGI(Key Goal Indicator/重要目標達成指標)は、事業の最終的なゴールを示す指標で、「3年後に売上10億円を達成する」「市場シェア20%を獲得する」といったものです。

    一方、KPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)は、そのKGIを達成するための中間目標となる指標で、「Webサイトの訪問者数を毎月10%増やす」「新規会員登録数を毎月500人獲得する」などが該当します。このKGIとKPIを明確にすることで、ゴールまでの道のりが具体的になり、進捗を客観的に管理できるようになります。


    3-3.ステップ3:市場で勝ち抜くための基本戦略を策定する

    目的地(KGI)が決まったら、そこへたどり着くための「どうやって勝つか」という具体的なルート、つまり基本戦略を考えます。やみくもに考えるのではなく、ここでは先人たちが体系化した便利な戦略の型(フレームワーク)を参考にすると、思考を整理しやすくなります。

    例えば、経営学者のマイケル・ポーターが提唱した「3つの基本戦略」は非常に有名で、多くの企業で活用されています。これは、①他社よりも圧倒的に低いコストで製品やサービスを提供する「コストリーダーシップ戦略」、②他社にはない独自の価値(デザイン、機能、ブランド、サービスなど)で勝負する「差別化戦略」、③特定の顧客層や地域、製品分野に的を絞って経営資源を集中させる「集中戦略」の3つです。自社の強み(例えば、生産効率が高いならコストリーダーシップ、技術力やデザイン力が高いなら差別化)や、市場の特性を考慮し、どの戦略が最も成功確率が高いかを選択します。

    また、「アンゾフの成長マトリクス」というフレームワークを使い、「既存の市場で既存の商品をもっと売る(市場浸透)」のか、「新しい商品を開発して既存市場に投入する(製品開発)」のか、といった事業の成長の方向性を決めることも有効です。これらの型を参考にしつつも、最終的には自社ならではのユニークな勝ちパターンを描き出すことが重要です。


    3-4.ステップ4:具体的な実行計画(アクションプラン)へ落とし込む

    どんなに素晴らしく論理的な戦略を描いても、それが具体的な行動に結びつかなければ、ただの「絵に描いた餅」で終わってしまいます。ステップ4では、策定した基本戦略を、現場の誰もが理解し実行できる具体的な行動計画、つまり「アクションプラン」にまで落とし込んでいきます。ここでは、「誰が(Who)」「いつまでに(When)」「何を(What)」「どのように(How)」「いくらで(How much)」といった「5W1H」を明確にすることが、計画の実効性を高める上で非常に重要です。

    例えば、基本戦略として「高品質な新製品の投入による差別化戦略」を選択したとします。これをアクションプランに落とし込むと、「開発部のAさんがプロジェクトマネージャーとなり、Bチームを率いて、3ヶ月後の新製品発表会を目指し、予算〇〇円の範囲内で、競合製品Xにはない独自機能Yを搭載した製品Zの開発を行う」というレベルまで具体化します。

    さらに、ガントチャートなどのプロジェクト管理ツールを使って、各タスクのスケジュール、担当者、依存関係を一覧できるようにすると、進捗管理が格段にしやすくなります。この段階で、必要な人員や予算の配分も具体的に計画することで、戦略の実行可能性が一気に高まり、机上の空論で終わることを防ぎます。


    3-5.ステップ5:計画を実行し効果を測定・改善する(PDCA)


    アクションプランが完成したら、いよいよ戦略の実行フェーズに入ります。

    しかし、戦略は一度立てたら終わり、というものでは決してありません。現代のビジネス環境は常に変化しており、競合の新たな動きや、予期せぬ技術の登場、顧客ニーズの変化など、計画通りに進むことの方が珍しいくらいです。

    ここで重要になるのが、PDCAサイクルを粘り強く回し続けることです。PDCAとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字を取ったもので、計画を実行し、その結果を評価し、改善策を考えて次の計画に活かす、という一連のマネジメントサイクルを指します。

    具体的には、ステップ2で設定したKPIの数値を定期的(例えば毎週、毎月)にチェックし、目標と実績の間にギャップがあれば、その原因を徹底的に分析します。「そもそも計画(Plan)に無理があったのか」「実行方法(Do)に問題があったのか」「外部環境の想定外の変化が原因か」などを冷静に検証し、速やかに軌道修正を行う(Action)のです。このPDCAを地道に、そしてスピーディーに回し続けることで、事業戦略はより現実的で精度の高いものへと進化していくのです。


    事業戦略の成功確率を高めるための次の一手

    ここまでご紹介した5つのステップに沿って事業戦略を立案しても、残念ながらそれが必ず成功するとは限りません。戦略立案の過程には、多くの企業が陥りがちな「落とし穴」が存在しますし、実行段階でも様々な壁にぶつかることが予想されます。

    特に、長年同じメンバーで、社内の人間だけで議論を重ねていると、どうしても視野が狭くなったり、過去の成功体験にとらわれたりして、斬新で効果的な打ち手を見出せなくなることがあります。戦略の成功確率をもう一段階、二段階と高めていくためには、これらの課題を冷静に認識し、それを乗り越えるための「次の一手」を考えることが極めて重要になります。自社の現状を客観的に見つめ直し、時には外部の専門的な知見や視点を積極的に取り入れる勇気も必要かもしれません。

    この最後の章では、あなたの会社の事業戦略をより確実な成功へと導くための重要なヒントと、新たな選択肢についてご紹介します。会社の未来を切り拓くための、次なるアクションを一緒に考えていきましょう。


    4-1.戦略立案でよくある落とし穴と回避策

    事業戦略を立てる際に、多くの真面目な企業ほどはまってしまう典型的な「落とし穴」がいくつか存在します。

    1つ目は「分析麻痺症候群(Analysis Paralysis)」です。

    SWOT分析やPEST分析などのフレームワークを使って分析すること自体が目的になってしまい、膨大な時間をかけて分厚い資料を作成したものの、結局「で、我々は何をすべきか?」という具体的なアクションに繋がらないケースです。これを避けるには、常に「この分析からどんな戦略的な示唆を得るためにやっているのか?」という目的意識を持つことが大切です。

    2つ目は「机上の空論」です。

    現場の営業担当者や開発者の実情を無視して、会議室の中だけで美しく論理的な戦略を描いてしまうパターンです。これを防ぐには、戦略立案の初期段階から現場のキーパーソンを巻き込み、彼らの意見を積極的にヒアリングするプロセスが欠かせません。

    3つ目は「過去の成功体験への固執」です。

    「昔はこのやり方で成功したから」という理由だけで、変化した市場環境でも同じ方法が通用するとは限りません。常にゼロベースで思考し、自社の常識や過去のやり方を疑う批判的な姿勢が重要になります。これらの落とし穴の存在を意識するだけでも、戦略の質は大きく向上するはずです。


    4-2.自社だけでの戦略立案に限界を感じていませんか?

    これまで見てきたように、精度の高い事業戦略を立案し、それを着実に実行して成果に結びつけていくことは、決して簡単な道のりではありません。特に、長年同じ事業に携わってきた社内のメンバーだけで戦略を練っていると、どうしても思考の限界に突き当たることがあります。

    例えば、「この業界ではこれが常識だから」という見えない思考の壁に阻まれて、既存の枠組みを打ち破るような斬新なアイデアが出にくくなることがあります。

    また、社内の力関係や部署間のセクショナリズムが影響して、本来あるべき客観的で合理的な判断が難しくなることもあるでしょう。

    さらに、自社の強みや弱みを客観的に評価しているつもりでも、無意識のうちに「こうあってほしい」という希望的観測が入ってしまい、現状を正しく認識できていないケースも少なくありません。もし、あなたの会社の戦略会議でいつも同じような議論が繰り返されていたり、閉塞感が漂い新しい視点が出てこないと感じたりするならば、それは自社だけでの戦略立案の限界が近づいている重要なサインかもしれません。そんな時は、一度立ち止まって、外部の新しい風を取り入れるという選択肢を真剣に検討してみる価値があるのではないでしょうか。


    4-3.プロの知見で営業戦略を加速|コンサルティング資料はこちら

    事業戦略の立案や実行のプロセスにおいて、客観的な第三者の視点や、多様な業界で培われた専門的なノウハウは、成功の確率を飛躍的に高める強力な武器となります。もし、自社だけでの取り組みに課題や限界を感じているのであれば、外部のプロフェッショナルの知見を活用することも、企業の成長を加速させるための有効かつ戦略的な「次の一手」です。

    私たちパーソルビジネスプロセスデザインのような営業コンサルティングの専門家は、数多くの企業の戦略立案をご支援してきた豊富な経験から、業界の常識にとらわれない新しい視点や、数々の成功事例に基づいた具体的なノウハウを提供することができます。第三者の公平な立場から客観的に貴社の現状を分析し、本当に効果のある戦略を共に描き、さらにはその戦略が絵に描いた餅で終わらないよう、実行のフェーズまで責任を持って伴走支援することが可能です。「何から手をつければいいかわからない」「戦略は立てたが、うまく実行できず成果が出ない」「もっと革新的なアイデアが欲しい」といったお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度、私たちの知見が凝縮された資料をご覧ください。貴社の事業戦略を成功に導き、未来を切り拓くための具体的なヒントが、きっと見つかるはずです。

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