プロダクト営業とソリューション営業の基本的な違い
営業組織をより強く、成果の出るチームへと強化していく上で、まず初めに理解しておきたい大切な考え方があります。
それが「プロダクト営業」と「ソリューション営業」という、2つの営業スタイルの違いです。
これらは、単に営業のやり方が違うというだけではなく、営業活動の根本的な目的や、お客様とどのように関わっていくかという姿勢に、とても大きな違いがあるのです。
プロダクト営業は、自社が誇る製品やサービス、いわば「もの」の優れた機能や魅力的な価格、価値をお客様にしっかりと伝え、ご購入いただくことを主な目的としています。
例えるなら、高性能なカメラを販売する際に、その圧倒的な画素数やレンズの明るさ、一瞬を逃さない連写性能などを情熱的にアピールするスタイルがこれにあたります。
一方で、ソリューション営業は、お客様がビジネスで抱えている課題や悩み、つまり「コト」を解決することに最大の目的を置いています。
お客様との丁寧な対話を通じて、隠れたニーズを掘り起こし、その解決策として自社の製品やサービスを組み合わせて提案することが大きな特徴です。
先ほどのカメラの例で言えば「もっと魅力的な商品写真を撮って、ECサイトの売上を飛躍的に伸ばしたい」というお客様の課題に対して、効果的な撮影方法のコンサルティングや、写真をより魅力的に見せるための画像加工ソフトまで含めてトータルで提案するのが、ソリューション営業の姿といえるでしょう。
1-1. プロダクト営業とは? - 「もの」を売るスペシャリスト
プロダクト営業とは、自社の製品やサービス、すなわち「モノ」そのものを販売することに特化した、伝統的かつパワフルな営業スタイルです。
このスタイルを担う営業担当者は、取り扱う商材に関する誰にも負けない深い知識を持つ「スペシャリスト」であることが強く求められます。
例えば、最新の業務用ソフトウェアを販売する場面を想像してみてください。
そのソフトウェアが持つ多彩な機能、競合他社の製品と比較した際の明確な優位性などを、論理的かつお客様の心を動かす魅力的な言葉で説明する能力が不可欠となります。
プロダクト営業の主な役割は、製品の持つ真の価値をお客様に正確に伝え、心から「欲しい」と思っていただけるような購買意欲を引き出すことにあります。
そのため、説得力のあるプレゼンテーション能力や、製品の利点を誰にでも分かりやすく伝える優れたコミュニケーションスキルが非常に重要になるのです。
このプロダクト営業が特にその真価を発揮するのは、市場である程度製品の認知度が高まっており、お客様自身も「自分たちには何が必要か」を理解しているような状況です。
価格や性能が購入の決め手となることが多いため、いかに自社製品の優位性を効果的にアピールできるかが、営業成果を大きく左右する鍵となるでしょう。
1-2. ソリューション営業とは? - 「こと」で課題を解決するパートナー
ソリューション営業は、単に製品を売るという行為に留まらず、お客様の課題、つまり「こと」を根本から解決することに主眼を置く、より高度な営業スタイルです。
このアプローチにおいて、営業担当者は単なる売り手ではなく、お客様の成功を共に目指す「ビジネスパートナー」としての重要な役割を担います。
まず最も重要になるのが、お客様との対話を何度も重ね、現状の業務フローや経営上の悩み、そして会社として目指している将来のビジョンなどを深くヒアリングすることです。
時には、お客様自身がまだはっきりと認識していない潜在的な課題を発見し、それを具体的な言葉にして整理するお手伝いをすることも求められます。
その上で、明らかになった課題を解決するための最適な「解決策(ソリューション)」を、自社の製品やサービスをオーダーメイドで提案していくのです。
例えば「社内の情報共有がどうもうまくいかず、業務効率が上がらない」という漠然とした悩みに対して、プロジェクト管理システム、さらには具体的な運用ルールまで含めて提案するのがソリューション営業です。
そのため、製品知識はもちろんのこと、お客様の業界に関する知識や課題発見能力、仮説構築力といった、コンサルタントのようなスキルが必要とされるスタイルといえます。
1-3. 一目でわかる!プロダクト営業とソリューション営業の比較表
プロダクト営業とソリューション営業の間に存在する違いを、より明確にご理解いただくために、それぞれの特徴を比較表に分かりやすくまとめてみました。
この表をご覧いただくことで、営業の目的、お客様へのアプローチ方法、営業担当者に求められるスキルなどが、具体的にどのように異なるのかが一目でご理解いただけます。
この比較表は、自社の営業組織が現在どちらのスタイルに近いのかを把握し、そして今後どちらのスタイルを目指すべきなのかを考える際の、貴重な判断材料となるはずです。
例えば、営業の目的が「製品を売ること」なのか、それとも「課題を解決すること」なのかという違いから、アプローチ方法が「製品説明が中心」か「ヒアリングと提案が中心」かという具体的な手法の違いまで、その差は歴然としています。
また、プロダクト営業では「製品知識」や「プレゼン能力」が重視されるのに対し、ソリューション営業では「課題発見力」や「コンサルティング能力」といったスキルが求められることがお分かりいただけるでしょう。
この比較を通じて、自社の商材やターゲットとなるお客様にとって、本当に最適な営業スタイルはどちらなのかを、客観的に判断するためのヒントを見つけてください。
| 項目 | プロダクト営業 | ソリューション営業 |
|---|---|---|
| 目的 | 自社製品・サービスの販売 | 顧客の課題解決 |
| 主役 | 製品・サービス(もの) | 課題解決策(こと) |
| アプローチ | 製品の機能・価格・利点を説明 | 顧客の課題をヒアリングし、解決策を提案 |
| 顧客との関係 | 売り手と買い手(短期的) | ビジネスパートナー(長期的) |
| 必要なスキル | 製品知識、プレゼンテーション能力 | ヒアリング能力、課題発見力、仮説構築力 |
| 提案内容 | 定型的・カタログベース | オーダーメイド・個別最適化 |
| KPIの例 | 販売件数、売上高 | 顧客単価、LTV(顧客生涯価値)、契約継続率 |
なぜ今、ソリューション営業が重要視されるのか?
近年、多くの先進的な企業で、従来のプロダクト営業からソリューション営業への戦略的なシフトが急速に進んでいます。
では、一体なぜ今、これほどまでにソリューション営業が重要視されているのでしょうか。
その背景には、私たちがビジネスを行う市場環境や、お客様のニーズそのものに大きな変化が起きているという事実があります。
インターネットが社会の隅々まで普及したことにより、お客様は製品のスペックや価格といった情報を、いつでもどこでも簡単に入手できるようになりました。
その結果、営業担当者が単に製品説明をするだけでは他社との差別化が極めて難しくなり「価格競争」に陥りやすくなっているのです。
また、ビジネス環境がますます複雑化する中で、課題も多様化・高度化しており、既存の製品をそのまま導入するだけでは根本的な解決ができないケースが急増しています。
このような厳しい状況下で、企業が成長を続けていくためには、お客様の課題に深く寄り添い、信頼されるパートナーとして長期的な関係を築くことが何よりも不可欠です。
ソリューション営業は、まさにこの時代の要請に応えるための営業スタイルであり、顧客満足度とLTVの向上に直結する、極めて重要な経営戦略といえるのです。
2-1. 市場の成熟とコモディティ化
ソリューション営業の重要性が急速に高まっている理由の一つに、多くの市場が成熟期を迎え、それに伴って製品の「コモディティ化」が進んでいるという現象が挙げられます。
コモディティ化とは、市場に出回っている製品の品質や機能に差がなくなり、お客様から見ると「どのメーカーの製品を選んでも大差ない」と感じられる状態を指す言葉です。
例えば、一昔前のパソコンやスマートフォンは、メーカーごとに性能や機能に明確な違いがあり、選ぶ楽しさがありました。
しかし現在では、技術が成熟し、どの製品を選んでも一定水準以上の性能が保証されているため、機能面での差別化が難しくなっています。
このような状況になると、お客様は製品の機能的な価値だけでは購入を決めなくなり、企業にとっては非常に厳しい「価格競争」に陥りがちです。
この厳しい競争環境の中で、自社の製品を選んでいただくためには、製品そのものの魅力に加えて付加価値を提示することが不可欠になります。
ソリューション営業は、まさにお客様一人ひとりに合わせた付加価値を創出することで、このコモディティ化の激しい波から抜け出すための、極めて有効な手段となるのです。
2-2. 顧客ニーズの多様化と複雑化
現代のビジネス環境は、変化のスピードが非常に速く、それに伴ってお客様が抱える課題やニーズも、ますます多様化・複雑化の一途をたどっています。
かつてのように「人手が足りないから、業務を自動化してくれるシステムが欲しい」といった、原因と解決策が直結するような単純なニーズは減少しました。
その代わりに「働き方改革を全社で進めたいが、何から手をつければいいのか分からない」といった、より高度で複合的な課題が増えているのです。
このような複雑な課題に対して、単一の製品やサービスを提案するだけでは、もはや根本的な解決には至りません。
それどころか、お客様自身も、自社の本当の課題を正確に把握できていなかったり、解決策の具体的なイメージが全く湧いていなかったりするケースも少なくないのが実情です。
だからこそ、複数の製品やサービスを組み合わせて最適な解決策を「共に創り上げていく」ソリューション営業の価値が、今、非常に高まっています。
お客様の潜在的なニーズを掘り起こし、期待を上回るような提案を行うことで、独自の価値を提供し、お客様にとってかけがえのないパートナーとなることができるのです。
2-3. LTV(顧客生涯価値)向上の必要性
新しいお客様を獲得するためのコストが増加し続ける現代において、企業が安定的かつ持続的に成長していくためには、LTVの向上が極めて重要なテーマとなっています。
LTVとは、一人の大切なお客様が、自社との取引を開始してから終了するまでの全期間を通じて、どれだけの利益をもたらしてくれるかを示す指標のことです。
このLTVを高めていく上で、ソリューション営業は非常に効果的なアプローチとなります。
プロダクト営業が、一回きりの取引で終わってしまう「点」の関係になりがちなのに対し、ソリューション営業は長期的な信頼関係を築く「線」のお付き合いを目指します。
初回の提案で課題を見事に解決し、お客様からの厚い信頼を得ることができれば、その後も継続的に相談される存在になることができます。
これにより、より高価な製品へ乗り換えていただく「アップセル」や「クロスセル」の機会が自然に生まれ、LTVが向上していくのです。
お客様との間に築かれた強い信頼関係は、競合他社への乗り換えを防ぐ強固な防波堤にもなり、会社の安定した収益基盤の構築に大きく貢献してくれるでしょう。
自社に最適な営業スタイルはどっち?見極める3つのポイント
次に考えるべき最も重要な問いは「私たちの会社にとっては、どちらのスタイルが最適なのか?」という点です。
ソリューション営業が現代のトレンドであるからといって、すべての企業にとってそれが絶対的な正解というわけではありません。
企業の置かれている状況や事業戦略によっては、プロダクト営業の方がはるかに高い成果を上げるケースも十分にあり得るのです。
自社にとって最適な営業スタイルを選択するためには、自社のビジネスを客観的かつ冷静に分析し、いくつかの重要なポイントを見極める必要があります。
具体的には「取り扱っている商材の特性」「メインターゲットとなるお客様の層」、そして「会社の成長フェーズと今後の戦略」という3つの観点が非常に重要です。
これらのポイントを一つひとつ丁寧に確認していくことで、厳しい市場で勝ち抜くための最適な営業組織の姿が、霧が晴れるように見えてくるはずです。
ここでは、その重要な3つの見極めポイントについて、より具体的に、分かりやすく解説していきます。
3-1. ポイント1:取り扱う商材の特性
自社に最適な営業スタイルを見極めるための、最初の重要なポイントは、自分たちが取り扱っている商材の特性を深く、多角的に理解することです。
あなたの会社がお客様に提供している製品やサービスは、一体どのような性質を持っているでしょうか。
例えば、誰が使っても同じ品質や効果が得られるような、汎用性の高い既製品であれば、プロダクト営業が適している可能性が高いと考えられます。
この場合、製品の優れた機能や手頃な価格、導入のしやすさなどを分かりやすく伝えることで、効率的に販売数を伸ばしていく戦略が有効です。
一方で、お客様の状況に合わせて設定を細かく変更したりするような、カスタマイズ性の高い商材の場合は、ソリューション営業が不可欠となります。
なぜなら、お客様一社一社の固有の課題を丁寧にヒアリングし、それに合わせて最適な形にソリューションを仕立て上げて提案する必要があるからです。
このように、商材の特性そのものが、営業担当者に求められる役割やスキルを大きく左右する、ということをまず認識することが大切です。
既製品か、カスタマイズ可能な製品か
商材の特性を考える上で、最も分かりやすく、基本的な切り口となるのが「その商材は既製品か、それともカスタマイズ可能な製品か」という点です。
もしあなたの会社が扱っているのが、いわゆる「吊るし」の状態で売ることができる完成されたパッケージ製品であれば、その製品の良さをいかに多くの人々に効率よく伝えるか、というプロダクト営業的なアプローチが非常に有効です。
この場合、営業担当者の役割は、製品カタログの情報を補足説明し、お客様が抱くであろう疑問に的確に答えることが中心となるでしょう。
しかし、もしその商材が、お客様の様々な要望に応じて機能を追加したり、設定を柔軟に変更したりできるものであれば、話は全く変わってきます。
この場合、営業担当者は単なる製品の説明員ではなく、お客様の要望を引き出し、最適な形に作り上げる「設計者」や「プロデューサー」のような役割を担う必要があります。
これこそがまさにソリューション営業のアプローチであり、お客様の満足度を大きく左右する、極めて重要なプロセスとなるのです。
自社の商材がどちらのタイプにより近いのかを冷静に判断することが、適切な営業スタイルを選択するための、確かな第一歩となります。
3-2. ポイント2:ターゲットとなる顧客層
次に検討すべき重要なポイントは、自社の製品やサービスを主に届けたいと考えている、メインターゲットとなるお客様の層がどのような特性を持っているか、という点です。
どのようなお客様にアプローチしたいのかによって、効果的な営業のアプローチ方法は大きく異なってきます。
例えば、ターゲットとなるお客様が、すでに自社の課題を明確に認識しており、具体的な目的を持って製品を探している段階にある場合、プロダクト営業が非常に効果的です。
このようなお客様に対しては、製品の機能やスペック、価格といった具体的な情報をスピーディーかつ正確に提供することが、購買決定を力強く後押しします。
一方で、ターゲットのお客様が「なんとなく業務効率が悪い気がする」といった、漠然とした悩みを抱えている場合は、ソリューション営業の出番です。
この場合、営業担当者がカウンセラーのようにお客様に寄り添い、丁寧な対話を通じて課題を特定し、その解決策を一緒に見つけ出していくというプロセスが求められます。
お客様が自身の課題にまだ気づいていない「潜在層」なのか、課題が明確になっている「顕在層」なのか、どちらをメインターゲットとするかを見極めることが極めて重要です。
課題が明確な顧客か、潜在的な課題を持つ顧客か
お客様の層を分析する際に「課題が明確になっているかどうか」という視点は、営業戦略を立てる上で非常に重要な判断基準となります。
課題が明確なお客様、いわゆる「顕在層」と呼ばれる方々は、すでに欲しいものが決まっているため、、複数の製品を比較検討している段階にあります。
彼らにとっては、いかに早く、正確に、そして魅力的に製品情報を提供してくれるかが重要であり、プロダクト営業の持ち味であるスピード感と専門性が大いに活きる場面です。
一方、潜在的な課題を持つお客様、いわゆる「潜在層」と呼ばれる方々は、まだ自分たちの本当の問題点に気づいていない状態にあります。
例えば「最近、若手社員の離職率が高い」という事実は認識していても、その根本的な原因が「社内のコミュニケーション不足」にあるとは気づいていないかもしれません。
このようなお客様に対しては、プロダクト営業のようにいきなり製品を提案しても響きません。
ソリューション営業のアプローチでじっくりとヒアリングを行い、仮説を投げかけ、課題を共に発見していくプロセスが不可欠なのです。
どちらのお客様の層をメインターゲットとして狙っていくかで、営業組織のあり方や求められるスキルは大きく変わってくるでしょう。
3-3. ポイント3:企業の成長フェーズと戦略
最後に、自社が現在どのような成長フェーズにあり、そして将来どこを目指しているのかという事業戦略も、最適な営業スタイルを決定する上で欠かせない重要な要素です。
会社が置かれている段階や、目指すゴールによって、営業部門に課せられるミッションは大きく変わってきます。
例えば、新しい市場に参入したばかりのスタートアップ企業やであれば、まずは市場での認知度を最大限に高めることで顧客基盤を拡大することが最優先課題となります。
このフェーズでは、比較的単価が低くても販売しやすい製品を中心に、プロダクト営業で広くスピーディーにアプローチしていく戦略が有効な場合があります。
一方で、ある程度市場でのシェアを確立し、安定した顧客基盤を持つ成熟期の企業であれば、次なる成長戦略として、顧客単価の向上やLTVの最大化が重要なテーマになります。
この場合は、既存のお客様との関係をさらに深化させ、アップセルやクロスセルを積極的に狙っていくソリューション営業へとシフトしていくことが求められるでしょう。
自社の現在地と目指すべきゴールを明確にすることが、戦略的な営業組織を構築するための鍵となるのです。
市場シェア拡大を目指すか、顧客単価向上を目指すか
企業の事業戦略をより具体的に考える上で「市場シェアの拡大」と「顧客単価の向上」のどちらを現時点で優先するかは、営業スタイルを決定づける大きな分岐点となります。
もし、会社としての最優先課題が「市場シェアの拡大」であるならば、営業活動のKPIは「新規契約件数」といった量的な指標に置かれることが多くなります。
この目標を達成するためには、一件あたりの提案に時間をかけすぎず、効率的に多くの見込み客にアプローチできるプロダクト営業的な手法が適していると言えるでしょう。
一方で「顧客単価の向上」や「LTVの最大化」を優先するのであれば、KPIは「顧客単価(ARPU)」や「契約継続率」」といった質的な指標が重視されます。
この目標を達成するためには、一社一社のお客様とじっくりと向き合い、潜在的なニーズを掘り起こして付加価値の高い追加提案を行うソリューション営業が不可欠です。
短期的な売上よりも、お客様との長期的な信頼関係の構築に重きを置くアプローチが求められます。
自社の経営戦略として、どちらの指標をより重視しているのかを営業組織全体で明確に共有し、意識を統一することが、一貫性のある力強い活動に繋がります。
プロダクト営業からソリューション営業へ移行するためのステップ
自社の状況を多角的に分析した結果「これからの時代を勝ち抜くためには、ソリューション営業へ移行すべきだ」という結論に至った企業も多いのではないでしょうか。
しかし、長年にわたってプロダクト営業に慣れ親しんだ組織が、一夜にしてソリューション営業へと生まれ変わることは、決して簡単なことではありません。
この大きな変革を成功させるためには、単に「明日からソリューション営業をやりなさい」と号令をかけるだけでは全く不十分です。
営業担当者一人ひとりの意識改革から始まり、必要なスキルの育成、そしてそれを支える組織体制や評価制度の見直しまで、段階的かつ計画的に進めていく必要があります。
この移行は、単なる営業部門だけの問題ではなく、会社全体の文化をも変えるほどの大きなプロジェクトであると捉えるべきでしょう。
ここでは、プロダクト営業が中心だった組織が、スムーズに、そしてソリューション営業へと移行するために踏むべき3つのステップについて詳しく解説していきます。
これらのステップを一つひとつ着実に実行していくことが、組織変革を成功へと導くための鍵となります。
4-1. 営業担当者のマインドセット変革
ソリューション営業への移行における、最初のステップであり、そして最も重要ともいえるのが、営業担当者のマインドセット(意識・考え方の根本)の変革です。
プロダクト営業においては「いかにして自社の製品をうまく説明し、一つでも多く売るか」という「モノ中心」の思考が基本となります。
しかし、ソリューション営業で求められるのは「いかにしてお客様の課題を深く理解し、その解決に貢献するか」という、全く逆の「顧客中心」の思考です。
この根本的な意識の転換なくして、行動の変化は決して望めません。
まずは、営業担当者自身が「自分たちは物売りではなく、お客様のビジネスを成功に導くためのパートナーなのだ」という、新しい役割認識を心から持つことが不可欠です。
そのためには、経営層や営業責任者の方々が、なぜ今ソリューション営業が必要なのか、そのビジョンや目的を繰り返し語りかけることが何よりも重要になります。
また、成功事例を共有する会を開催したりすることを通じて「お客様に貢献することが最も評価される」という文化を醸成していくことが変革を力強く後押しするでしょう。
4-2. 必要なスキルセットの育成(ヒアリング力、課題発見力、提案力)
マインドセットの変革と並行して、必ず進めなければならないのが、ソリューション営業に不可欠なスキルセットの育成です。
これまでプロダクト営業で重視されてきた製品知識やプレゼンテーション能力に加えて、全く新しいスキルを体系的に習得する必要があります。
特に重要となるのが「ヒアリング力」「課題発見力」「提案力」という3つのコアスキルです。
まず「ヒアリング力」とは、単にお客様の話を聞くだけでなく、的確な質問を投げかけることで、相手も気づいていない本音や潜在的なニーズを引き出す能力です。
次に「課題発見力」とは、ヒアリングで得られた断片的な情報をパズルのピースのようにつなぎ合わせ、本質的な課題を特定し、言語化する能力を指します。
そして「提案力」とは、特定した課題に対して、自社の製品やサービスをどのように活用すれば解決できるのか、具体的なストーリーを描いて分かりやすく提示する能力です。
これらの高度なスキルは一朝一夕に身につくものではないため、ロールプレイング研修などを計画的に実施し、組織全体でスキルアップを図っていくことが成功の鍵となります。
4-3. 組織体制と評価制度の見直し
営業担当者のマインドセットとスキルを変革しようと努力しても、それを支える組織の体制や評価制度が旧態依然のままでは、いずれ元の状態に戻ってしまいます。
ソリューション営業への移行を本気で成功させるためには、組織の「仕組み」そのものを見直すことが、最後の重要なステップとなります。
例えば、プロダクト営業では個人の販売件数といった短期的な数字が評価の中心でしたが、ソリューション営業では、長期的なお客様との関係構築活動も非常に重要になります。
そのため、短期的な売上目標だけでなく、顧客単価の向上や契約継続率、さらには顧客満足度といった、LTVに繋がる指標を評価項目に新たに追加する必要があります。
また、複雑な課題解決には、営業担当者一人の力だけでは限界があり、技術部門やマーケティング部門、カスタマーサポート部門など、他部署との連携が不可欠です。
部門間の壁を取り払い、チーム一丸となってお客様の課題解決に取り組むことを推奨することも、ソリューション営業を組織に根付かせる上で非常に効果的といえるでしょう。
個人の頑張りだけでなく、チームとしての貢献を評価する仕組みが、真のソリューション営業組織を創り上げます。
最適な営業組織を構築し、ビジネスを加速させるために
ここまで、プロダクト営業とソリューション営業の根本的な違いから、自社に最適なスタイルの見極め方、そしてソリューション営業へと移行するための具体的なステップまでを詳しく解説してきました。
最適な営業組織を構築することは、単に売上を伸ばすという短期的な目的だけでなく、変化の激しい市場で企業が持続的に成長していくための経営基盤を築くことと同義です。
しかし、日々の業務に追われる中で、自社の営業組織を客観的に分析し、時には痛みを伴う抜本的な改革を実行することは、決して簡単なことではありません。
特に既存事業の大きな方向転換を伴うような場面では、何から手をつければ良いのか多くの責任者の方が頭を悩ませているのが実情ではないでしょうか。
そのような時、一つの有効な選択肢となるのが、外部の専門家が持つ豊富な知見や実践的なノウハウを活用することです。
客観的な第三者の視点を取り入れることで、社内の常識にとらわれていては見えなかった課題や、新たな可能性に気づくことができるかもしれません。
5-1. 専門家の知見を活用するメリット
自社の力だけで営業組織の改革を進めることには、残念ながら限界がある場合も少なくありません。
社内に根付いた常識や、過去の成功体験が、かえって新しい時代に向けた変革の足かせになってしまうこともあるからです。
ここで、新規事業の立ち上げや営業組織構築のコンサルティングを専門とする企業の知見を活用することには、計り知れないほどの大きなメリットがあります。
第一に、多くの企業の成功事例や失敗事例を見てきた客観的な分析を受けることで、自社の強みや弱み、市場における現在の立ち位置を正確に把握することができます。
第二に、ソリューション営業への移行に必要なスキル研修プログラムの提供や、新しい評価制度の具体的な設計など、変革に不可欠なノウハウやフレームワークの提供を受けられるため、手探りで進めるよりもはるかに効率的かつ効果的に改革を推進できます。
そして第三に、専門家が公平な第三者としてプロジェクトをリードすることで、部門間の利害調整がスムーズに進んだりといった、副次的な効果も期待できるでしょう。
すべての課題を自社のリソースだけで抱え込まず、外部の力をうまく活用することが、改革を成功に導くための賢明な近道となるのです。
5-2. まとめ:最適な営業組織で、次の成長ステージへ
本記事では、プロダクト営業とソリューション営業の違いを軸に、これからの時代に求められる営業組織のあり方について深く考察してきました。
最も重要なメッセージは、自社の商材、お客様、そして事業戦略に最も適したスタイルを選択し、それを組織全体で徹底的に実行していくことの重要性です。
そして、もし貴社が新規事業の立ち上げを検討されていたりするのであれば、それは一度立ち止まって自社の営業のあり方を根本から見直す絶好の機会かもしれません。
最適な営業組織を構築することは、事業の成功確率を飛躍的に高めるための、最重要課題の一つであると私たちは考えています。
「自社に最適な営業組織の具体的な姿がイメージできない」「ソリューション営業へ移行したいが、何から手をつければ良いのか具体的な進め方がわからない」そのようなお悩みをお持ちの営業責任者様、事業責任者様のために、私たちは新規事業の立ち上げや営業組織構築に関する豊富なノウハウを凝縮した、特別な資料をご用意いたしました。
この資料では、本記事よりもさらに具体的な組織設計のステップや、数々の成功企業の事例などを詳しく解説しています。
ぜひ、下記のリンクから資料をダウンロードしていただき、貴社のビジネスを次の成長ステージへと加速させるための一助としてご活用ください。
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