カスタマーサクセスの要!ヘルススコアの基本を徹底解説
カスタマーサクセスを成功に導くうえで、現在では絶対に欠かせない考え方となっているのが「ヘルススコア」です。
これは、お客様が自社のサービスや製品をどのくらい健康的に、そして満足して使ってくれているかを、数字で分かりやすく示した指標のことを指します。
たとえるならば、お客様一人ひとりの「健康診断の結果」のようなものだとイメージしていただくと、とても分かりやすいかもしれません。
これまでは担当者の感覚に頼ることが多かった曖昧な状況判断を、客観的なデータに基づいて「見える化」できる点が、ヘルススコアの最も大きな特徴といえるでしょう。
具体的には、特定の機能がどれくらい使われているか、お問い合わせ回数といった様々なデータを組み合わせることによって、お客様の現在の状態を正確に把握できます。
そして、その情報をもとに、次に行うべきアクションを判断するための、非常に重要な羅針盤としての役割を果たしてくれるのです。
1-1.ヘルススコアとは?顧客の「健康状態」を見える化する指標
ヘルススコアとは、言葉の通り「健康指数」を意味し、お客様が提供されているサービスを健康的に利用できているかを示す大切なスコアです。
お客様がサービスからしっかりと価値を感じ取り、ビジネスで成功体験を得られている状態を「健康」と定義します。
その反対に、サービスを上手に活用できずに不満を抱えていたり、あるいはまったく利用していない状態を「不健康」として捉える考え方です。
この「健康状態」は、サービスの利用頻度、サポートへの問い合わせ履歴、お客様満足度アンケートの結果といった、複数の客観的なデータを組み合わせて点数化されます。
この仕組みによって、これまで担当者の個人的な経験や勘に頼りがちだったお客様の状態把握を、誰が見ても一目でわかる客観的な数値で判断できるようになるのです。
さらに、このスコアを定期的に観測し続けることで、お客様の状態の変化にいち早く気づくことができます。
その結果、問題が大きくなってしまう前に、先回りして適切なサポートを提供することが可能になるという、大きなメリットがあります。
1-2.なぜ重要?ヘルススコアが解約防止とLTV向上に繋がる理由
ヘルススコアが重要視される最大の理由は、お客様のサービス解約(チャーン)を未然に防ぎ、その結果としてLTV(顧客生涯価値)を最大化できるという点にあります。
ヘルススコアが低いお客様は、サービスをうまく活用できていなかったり、何らかの不満を抱えていたりする可能性が高く、いわば「解約予備軍」と言える状態です。
スコアの低下という危険信号を早い段階でキャッチできれば、解約という最悪の事態に至る前に、こちらから積極的にアプローチをかけることができます。
例えば、利用頻度が落ちているお客様には、セミナーにご招待したり、特定の機能でつまずいているお客様には個別のサポートを提供したりといった対応が可能になります。
こうした一つひとつの取り組みによってお客様の満足度を回復させ、長期的にサービスを使い続けてもらうことで、一社あたりのLTVは着実に向上していくのです。
つまり、ヘルススコアは守りの施策である解約防止だけでなく、企業の収益を伸ばす攻めの施策にも繋がる、非常にパワフルな指標であるといえるでしょう。
【3ステップ】自社に合ったヘルススコアの作り方と設定項目
ヘルススコアは、すべての企業で同じ指標を使えば良いという画一的なものではありません。
自社が提供するサービスの価値や、お客様が成功に至るまでの道のりを深く理解し、それに合わせた会社独自のスコアを設計することが成功の鍵を握ります。
ここでは、自社に最適なヘルススコアを構築するための具体的な3つのステップを、分かりやすく解説していきます。
まず最初のステップとして、お客様の成功に直接結びつく行動は何かを見極め、重要な指標を選び出します。
次に、それぞれの指標の重要度に応じて重み付けを行い、最後に、お客様の特性に合わせてグループ分けをすることで、より精度の高いスコア設計を目指します。
この3つのステップを一つひとつ丁寧に進めることで、実用的で本当に成果に繋がるヘルススコアの運用が可能になるのです。
2-1.ステップ1:ヘルススコアを構成する重要指標の選び方
ヘルススコア作成の第一歩は、お客様の「健康状態」を正しく測るための適切な指標を選ぶことです。
ここで最も重要なのは「お客様がサービスを使って成功している状態とは、具体的にどのような状態か」を明確に定義し、その成功に繋がる行動を指標として設定することです。
例えば、プロジェクト管理ツールを提供している会社であれば「新しいプロジェクトの作成数」や「タスクの完了率」などが考えられます。
また、データ分析ツールであれば「レポートの作成・共有回数」などが成功を示す指標になるでしょう。
その他にも、サービスの基本的な活動量、サポートへの「問い合わせ回数やその内容」、そして顧客満足度を測る「NPS」のアンケート結果なども、重要な指標となり得ます。
これらの候補から、自社のサービスが持つ特性と、お客様が感じる成功体験に深く関連するものを複数選び出すことが、精度の高いヘルススコアを作るための土台となります。
2-2.ステップ2:指標の重み付けとスコアリングの設計方法
重要な指標を選び出したら、次のステップとして、それぞれの指標に「重み付け」を行い、スコアリングのルールを設計していきます。
なぜなら、選び出した指標のすべてが、お客様の成功に対して同じ重要度を持つわけではないからです。
例えば、毎日ログインすることよりも、サービスの有料機能を実際に使って具体的な成果を出すこと(指標B)の方が、解約防止やLTV向上への影響は大きいかもしれません。
そのような場合には、指標Bのスコア配点を指標Aよりも高く設定するといった「重み付け」の作業が必要になります。
スコアリングの方法は、各指標の達成度に応じて点数を足していくシンプルな方法もあれば、特定の重要な行動が確認できた場合にボーナス点を加えるなど、複雑で精緻な設計も可能です。
最終的に100点満点などでスコアが算出されるように設計し「80点以上は健康」「50点以下は不健康」といった基準値を設けることで、誰が見てもお客様の状態を客観的に判断できるようになります。
2-3.ステップ3:顧客セグメント別のヘルススコア設定のコツ
精度の高いヘルススコアを運用するには、お客様を一つの基準で評価するのではなく、いくつかのグループに分けて、それぞれに合ったスコア基準を設定することが効果的です。
その理由は、お客様の契約プラン、利用期間、あるいは企業規模などによって、サービスに期待する価値や理想的な利用方法は大きく異なるからです。
例えば、サービスを導入したばかりの新規のお客様にとっては、初期設定を無事に完了し、基本的な操作を覚えることが最優先の「健康」な状態と言えるでしょう。
一方で、長期間サービスを利用しているベテランのお客様にとっては、新しい機能を積極的に試したり、より高度な使い方を開拓したりしていることが「健康」の証となります。
このように、セグメントごとにお客様の「成功の定義」を設定し直し、指標や重み付けを最適化していくことで、お客様の実態に即した、的確なアプローチが可能になるのです。
ヘルススコアを最大活用!スコア別の具体的なアクションプラン
ヘルススコアは、ただ作成して眺めているだけでは何の意味もありません。
算出したスコアに基づいて具体的なアクションを起こし、お客様の成功を積極的に支援してこそ、その真価が発揮されるのです。
大切なのは、算出したスコアに応じてお客様の状態を「健康」「普通」「不健康」のように分類し、それぞれの状態に合わせたアプローチプランを用意しておくことです。
スコアが低い「不健康」なお客様には、サポートで危険な状態から救い出し、逆にスコアが高い「健康」なお客様には、さらに満足度を高めて熱心なファンになってもらうための特別な働きかけを行います。
ここでは、スコア別にどのようなアクションを取るべきか、具体的な手法と成功事例を交えながら詳しく解説していきます。
このアクションプランこそが、ヘルススコア運用における心臓部と言っても過言ではありません。
3-1.【要注意】スコアが低い顧客への効果的なアプローチ手法
ヘルススコアが低い、いわゆる「不健康」な状態のお客様は、解約のリスクが非常に高い「赤信号」の状態にあると認識すべきです。
もし放置すれば、お客様は静かにサービスから離れていってしまう可能性が高いため、迅速かつ丁寧な対応が何よりも求められます。
まず取り組むべきは、なぜスコアが低いのか、その根本的な原因を分析することです。
ログインしていないのか、特定の機能の利用でつまずいているのか、原因によって取るべきアプローチは全く変わってきます。
例えば、利用頻度が低いお客様には、サービスの価値を再認識してもらうための活用事例を送ったり、オンラインでの勉強会を案内したりするのが効果的でしょう。
また、特定の機能に関するスコアが低い場合は、個別で直接操作方法をレクチャーしたりするなどの手厚いサポートが、お客様の信頼を取り戻すための鍵となります。
3-2.【チャンス】スコアが高い顧客をファンにする育成戦略
ヘルススコアが高い「健康」なお客様は、すでにサービスの価値を深く理解し、ご自身のビジネスに活用してくれている、大変ありがたい優良顧客です。
彼らに対しては、現状維持で満足するのではなく、さらに一歩進んで自社の熱心な「ファン」へと育成していく戦略が非常に重要になります。
このようなお客様は、より上位のプランへ移行してもらうアップセルや、関連サービスを追加契約してもらうクロスセルの絶好のターゲットと言えます。
例えば、現在利用中のプランよりもさらに便利な機能が含まれる上位プランを提案したり、関連する別のサービスを紹介したりすることで、LTVのさらなる向上が期待できます。
また、新機能を先行でご招待したり、導入事例としてインタビューを依頼することも、お客様に満足感を与え、忠誠心を高めるのに効果的です。
満足度の高いお客様からのご紹介は最も信頼性が高いため、紹介プログラムを案内し、新たな優良顧客の獲得に繋げることも積極的に検討しましょう。
3-3.導入事例から学ぶヘルススコア活用の成功パターン
ここで、ヘルススコアをうまく活用して大きな成果を上げた、あるBtoB SaaS企業の架空の事例をご紹介します。
A社では、以前から解約率の高さに悩んでいましたが、その原因を特定できずにいました。
そこでヘルススコアを導入し、解約したお客様のデータを分析したところ、多くの顧客が「外部ツールとの連携機能」を一度も利用していなかったという事実が判明しました。
実はこの機能こそが、A社のサービスの価値を最大化する上で、最も重要なポイントだったのです。
この発見に基づき、A社はカスタマーサクセスチームの活動方針を変更し、導入支援プロセスに「外部ツール連携のハンズオンサポート」を必須項目として組み込みました。
その結果、お客様のヘルススコアは全体的に向上し、この施策の導入からわずか半年後には、解約率を30%も改善することに成功したのです。
このように、データに基づいて課題を発見し、的確なアクションに繋げることが成功の秘訣です。
ヘルススコアを継続的に改善し、組織を強化するポイント
ヘルススコアは、一度設定したらそれで終わり、というものでは決してありません。
市場やお客様のニーズ、そして自社のサービスは、常に変化し続けます。
その変化に柔軟に対応し、ヘルススコアを常に「使える」指標として維持するためには、継続的な改善活動が不可欠です。
定期的にスコアの定義を見直し、その精度を高めていくプロセスは、カスタマーサクセス活動全体の質を向上させ、ひいては組織全体の強化に繋がっていきます。
また、効率的な運用のためには、便利なツールの活用も積極的に視野に入れるべきでしょう。
ここでは、ヘルススコアを形骸化させず、ビジネスの成長を力強くドライブするエンジンに変えていくための重要なポイントについて解説します。
4-1.ヘルススコアの精度を高めるための定期的な見直しとは
作り上げたヘルススコアの精度を維持し、さらに高めていくためには、定期的な「答え合わせ」と見直しが欠かせません。
なぜなら、ビジネス環境の変化やサービスのアップデートによって、お客様にとっての成功の定義も変わる可能性があるからです。
例えば、半年に一度や四半期に一度といったタイミングで、実際に解約してしまったお客様のヘルススコアが、解約前に本当に低くなっていたかを検証します。
もし、スコアが高いまま解約しているお客様が多いのであれば、それは現在のスコア定義がお客様の危険信号を正しく捉えられていないという動かぬ証拠です。
その場合は、指標の選び方や重み付けが適切か、あるいは新たな指標を追加する必要はないかをチームで議論し、スコアの計算ロジック(論理)を改善していく必要があります。
この地道な改善サイクルを回し続けることこそが、ヘルススコアを常に信頼できる指標として保つための唯一の方法と言えるでしょう。
4-2.ツール導入で効率化!おすすめのヘルススコア管理ツール
ヘルススコアを本格的に運用するには、お客様の様々な利用データを収集し、計算し、スコアの変動を常に監視する必要があります。
これをすべて手作業やExcelなどで行うのは、非常に手間がかかり、担当者の負担も計り知れないほど大きくなってしまいます。
そこで強力な味方となるのが、カスタマーサクセス専用ツールやCRM(顧客関係管理)ツールです。
これらのツールを導入することで、データの自動収集からスコアの計算、そしてスコアが危険な水準に達した際の担当者への通知まで、一連のプロセスを効率化できます。
ツールを選ぶ際には、自社のカスタマーサクセス担当者が直感的に使えるか、そして導入後のサポート体制は万全か、といった点を比較検討することが重要です。
ツールへの投資は、チームの生産性を飛躍的に高め、より本質的であるお客様への支援活動に集中するための、賢明な判断と言えるでしょう。
4-3.専門家の支援で成果を最大化!カスタマーサクセス強化のご相談
ここまでヘルススコアの重要性や作り方、そして活用法について詳しく解説してきました。
しかし、「自社に最適な指標がわからない」「運用するためのリソースが足りない」といった課題に直面する企業様も少なくありません。
ヘルススコアの設計と運用は、専門的な知識と豊富な経験が求められる領域です。
もし、自社の力だけで進めることに難しさを感じているのであれば、外部の専門家の支援を受けることも非常に有効な選択肢の一つです。
専門家を活用することで、業界の成功事例を取り入れながら、最短距離で成果に繋がるヘルススコアの仕組みを構築し、それを組織に定着させることが可能になります。
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