【営業・DX担当者向け】成果を出すデジタル人材スキルマップの作成

【営業・DX担当者向け】成果を出すデジタル人材スキルマップの作成

「DXを推進せよ!」その号令のもと、具体的にどんなスキルを持つ人材が必要で、今いる社員をどう育成すればよいのか、明確な答えを出せずに悩んでいませんか?

「とりあえず流行りの研修を受けさせてみた」「感覚で有望な若手を抜擢した」…そんな場当たり的な対応では、なかなか成果に繋がらないのが現実です。

もしかしたら、過去に作ったスキルマップが、更新されることなく社内のファイルサーバーで眠ってしまっている、という方もいらっしゃるかもしれません。

この記事でご紹介するのは、そうした「作っただけ」で終わらせない、本当に成果を出すための「デジタル人材スキルマップ」の作り方です。

本記事を読めば、自社の課題解決に直結するスキル項目を洗い出し、戦略的な人材育成や採用のミスマッチ防止に繋げるための、具体的で実践的な方法がわかります。貴社の人材戦略を感覚的なものから、データに基づいた確かなものへと進化させる第一歩を、ここから踏み出しましょう。

目次

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    デジタル人材のスキルマップとは?

    デジタル人材のスキルマップを表現するならば「会社が事業を推進する上で必要なデジタルスキルと、社員一人ひとりが現在持っているスキルを一覧にして可視化したもの」です。

    これは、まるで組織全体のスキルという財産のありかを示す「宝の地図」のような役割を果たします。

    現代のビジネスシーンにおいて、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進は企業の成長に不可欠な要素となっています。一方で多くの企業が「具体的にどのようなスキルを持つ人材が必要なのか」といった点を曖昧なまま進めてしまっているのが実情です。

    このような曖昧さを解消し、感覚的な判断ではなく、客観的なデータに基づいて戦略的な人材配置や育成計画を立てるための強力な土台となるのが、このスキルマップなのです。

    スキルマップを整備することで、企業は自社の「現在地」と「目指すべき場所」を正確に把握し、データに基づいた根拠のある人材戦略を実行できるようになります。


    1-1. なぜ今スキルマップが必要?デジタル人材育成における重要性

    現代のビジネス環境は、AIやIoTといったテクノロジーの進化により、ものすごいスピードでデジタル化が進んでいます。

    この大きな変化の波に乗り遅れないよう、多くの企業がDX推進の必要性を強く感じています。

    しかし、その一方で「DXを推進したいという想いはあるものの、そのためにどんなスキルを持った人材が、どれくらい必要なのか具体的に描けていない」という課題を抱えているのが現実ではないでしょうか。

    ここで決定的に重要となるのが、スキルマップの存在です。

    スキルマップを作成するプロセスを通じて、自社の事業戦略を実現するために必要なデジタルスキルが定義され、現状の組織に何が足りていないのかという「スキルのギャップ」が誰の目にも明らかになります。

    このギャップを正確に把握することこそ、効果的なデジタル人材育成を実現するための、最も重要で確実な第一歩と言えるでしょう。

    闇雲に流行りの研修を実施するのではなく、社員一人ひとりの現状と目標に合わせて、本当に必要なスキルを的確に提供できるようになるため、最短距離で組織全体のデジタル対応力を向上させることが可能になるのです。


    1-2. スキルマップ導入で得られる3つの大きなメリット


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    スキルマップを組織に導入することで得られるメリットは多岐にわたりますが、特に大きなものとして3つ挙げられます。

    第一に「戦略的な人材育成の実現」です。

    社員一人ひとりのスキルレベルが客観的な指標で可視化されるため、誰にどのような教育を施すべきかが一目瞭然となります。

    これにより、個々のレベルやキャリア志向に合わせた最適な研修プログラムを設計でき、効率的かつ効果的なスキルアップを力強く後押しできます。

    第二のメリットは「採用活動におけるミスマッチの防止」です。

    組織として求めるスキルセットが明確になることで、採用基準が非常に具体的になります。

    例えば「データ分析ができる人」といった曖昧な募集ではなく「Pythonを用いた統計解析のスキルレベルが3以上で、Tableauでの可視化経験がある人」といったように、具体的な要件で候補者を探せるため、入社後の「こんなはずではなかった」という不幸なミスマッチを大幅に減らすことができるでしょう。

    そして第三に「従業員のモチベーション向上」です。

    自身のスキルレベルと、会社が示すことのできる目指すべきキャリアパスが明確になることで、日々の業務や学習に対する意欲が高まり、自律的な成長を促す素晴らしい効果が期待できます。


    「準備編」失敗しないデジタル人材スキルマップ作成の第一歩

    いざスキルマップの作成に取り掛かる前に、絶対に押さえておかなければならない、最も重要な準備があります。

    それは、スキルマップを作ること自体をゴールに設定しない、ということです。

    ただスキル項目を並べただけの表を作っても、それが実際の業務改善や人材育成の計画に活かされなければ、残念ながら何の意味もありません。

    そうした「作っただけ」の状態に陥らないためにも、まずは「何のためにスキルマップを作るのか」という目的を、明確にすることが、失敗しないための第一歩となります。

    この目的設定が、これから作成するスキルマップ全体の方向性を決定づける、いわば航海の羅針盤のような役割を果たします。

    目的が具体的で、事業戦略と連動しているほど、後続の作業であるスキルの洗い出しやレベル定義もスムーズに進み、本当に価値のある、組織の成長に貢献するスキルマップを作成することができるでしょう。


    2-1. まずは目的を明確に!スキルマップで解決したい課題とは

    スキルマップ作成の目的を明確にするためには「このスキルマップを使って、自社のどのような課題を解決したいのか」をできる限り具体的に考えることが不可欠です。

    例えば「3年後までにデータに基づいた意思決定を行う「データドリブンな営業組織」を構築したいが、現状では営業担当者のデータ活用スキルが著しく不足している」という課題があるとします。

    この場合の目的は「営業担当者向けのデータ分析・活用スキルを5段階で定義し、全社のスキルレベルを平均で2段階引き上げる」といった、誰が聞いても理解できる具体的なものになります。

    他にも「新規事業としてAIを活用したサービスを立ち上げたいが、社内にAI開発プロジェクトをリードできる人材がいない」という課題であれば「AIエンジニアに求められるスキルセットと育成パスを明確にし、次世代リーダー候補を2名特定・育成する」ことが具体的な目的となるでしょう。

    このように、自社の事業戦略や組織が抱えるリアルな課題と直結した目的を設定することで、スキルマップが「作るだけ」で終わらず、ビジネスを前進させるためのツールとして機能するのです。


    2-2. 「職種別」洗い出すべきデジタル人材のスキル項目一覧


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    スキルマップの目的が明確に定まったら、次はその目的を達成するために必要なスキル項目を、具体的に洗い出していくフェーズに入ります。

    このとき、全社員に共通して求められるスキルと、特定の職種ごとに特化した専門スキルに分けて考えると、全体像が整理しやすくなります。

    例えば、全社共通のデジタルスキルとしては、情報漏洩などを防ぐための「情報セキュリティ」に関する知識や、基本的なPC操作やクラウドツールを使いこなす「ITリテラシー」、などが挙げられます。

    一方で、職種別の専門スキルはより具体的かつ高度になります。

    例えば「DX推進部門」であれば、新しいビジネスモデルを構想する「ビジネス構想力」、プロジェクトを計画通りに進める「プロジェクトマネジメント」、そして事業課題をデータで解決する「データ分析」といったスキルが不可欠です。

    また「マーケティング部門」であれば「SEO/SEM」による集客「Web広告運用」の知識「MAツール活用」による顧客育成「SNSマーケティング」でのファン作りなどが考えられます。

    これらの項目はあくまで一例であり、自社のビジネスモデルや設定した目的に合わせて、必要なスキルは何かを現場の担当者の意見も取り入れながら検討し、自社独自のスキル項目にカスタマイズしていくことです。


    「実践編」4ステップで進めるスキルマップの具体的な作り方

    ここからは、実際にスキルマップを作成していくための具体的な4つのステップを、順を追って詳しく解説していきます。

    準備編で目的を明確にし、必要なスキル項目を洗い出したら、いよいよ実践の段階です。

    効果的なスキルマップ作りは、ただ項目をエクセルなどに並べるだけでは決して機能しません。

    誰が見ても同じように理解でき、客観的に評価できるような「共通の物差し」としての仕組みを丁寧に整えることが、非常に重要になります。

    これからご紹介する4つのステップに沿って着実に進めることで、体系的で実用性の高いスキルマップを作成することができるでしょう。

    一つひとつのステップを焦らず、丁寧に関係者と対話しながら踏むことで、人材育成や採用活動に本当に役立つ、組織の「生きたツール」が完成します。

    さあ、一緒に進めていきましょう。


    3-1. ステップ1・2:スキル項目の体系化とレベルの定義付け

    実践編の最初のステップは、洗い出した無数のスキル項目を整理整頓し(体系化)、それぞれの習熟度を測るための物差し(レベル定義)を作ることです。

    まずステップ1の「体系化」では、洗い出したスキル項目を「テクノロジー」「データ分析」「ビジネス」「マーケティング」などの大項目に分類し、さらにその下に中項目、小項目と階層構造で整理します。

    例えば「データ分析」という大項目の下に「データ収集」「データ加工」「可視化」「統計解析」といった中項目を設け、さらに「統計解析」の下に「回帰分析」「クラスター分析」といった小項目を置くイメージです。

    これにより、スキルマップ全体の見通しが格段に良くなり、個々のスキルの位置づけが直感的に分かりやすくなります。

    次に、スキルマップの客観性を担保する上で最も重要な作業である、ステップ2の「レベルの定義付け」です。

    各スキル項目に対して「レベル1:上司や先輩の指示のもとで、基本的な業務を遂行できる」「レベル2:一人で自律的に業務を遂行でき、定型的な問題解決ができる」「レベル3:応用的な課題を解決し、後輩や他者を指導できる」「レベル4:新たな手法を導入し、組織全体のスキル向上に貢献できる」といったように、具体的な行動ベースでレベルを定義します。

    この定義が明確であればあるほど、後のスキル評価がスムーズかつ公平に行えるようになります。


    3-2. ステップ3・4:現状スキルの評価と育成計画への落とし込み


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    スキル項目とレベルの定義という「物差し」が完成したら、いよいよ社員一人ひとりの現状スキルをその物差しで測っていきます(ステップ3)。

    評価方法としては、まず社員本人が自分自身のスキルレベルを評価する「自己評価」を行い、その後、「他者評価」を組み合わせるのが理想的です。

    これにより、本人が認識しているスキルレベルと、周囲から客観的に見えているスキルレベルのズレを把握でき、より正確で納得感のある現状分析が可能になります。

    評価結果が出たら、いよいよ最後のステップ4として、その結果を具体的な「育成計画」へと落とし込んでいきます。

    スキルマップ上で明らかになった、その職務や役職に求められる「あるべき姿(目標レベル)」と「現状レベル」との間に存在するギャップこそが、その社員がこれから重点的に伸ばすべきスキルです。

    このギャップを埋めるために「Aさんには、データ分析のレベルを1から2に上げるため、まずは基礎研修を受講してもらう」「Bさんには、プロジェクトマネジメントのレベルを2から3に引き上げるため、次のプロジェクトでリーダー補佐として実践経験を積んでもらう」といったように、一人ひとりに最適化された育成プランを策定します。

    この育成計画こそが、スキルマップを作成した最終的なゴールであり、組織の持続的な成長に直結する最も重要なアクションとなるのです。


    作成後が本番!スキルマップを最大限に活用する3つの場面

    スキルマップは、作成して完成、ではありません。

    むしろ、作成してからが本当のスタートラインです。

    せっかく多くの時間と労力をかけて作り上げたスキルマップも、完成後にファイルサーバーの奥深くにしまわれたままでは、まさに「宝の持ち腐れ」になってしまいます。

    スキルマップを組織の文化や制度、とするためには、日々の業務や人事制度の中に意識的に組み込み、継続的に活用していくという強い意志が不可欠です。

    具体的には、日々の「人材育成」の場面や、会社の未来を創る「採用活動」の場面で積極的に活用することで、その真価を最大限に発揮します。

    ここでは、スキルマップを最大限に活用するための代表的な3つの場面をご紹介します。

    これらの活用法を実践することで、あなたの会社のスキルマップは単なるスキルの一覧表ではなく、組織の成長を加速させる強力なエンジンへと進化するでしょう。


    4-1. 効果的な人材育成とキャリアパスの提示で成長を促す

    スキルマップの最も代表的で、かつ効果的な活用法は、日々の人材育成と、社員一人ひとりへのキャリアパスの提示です。

    スキルマップという共通の物差しがあることで、社員は自分自身の現在地、つまり「今、どのスキルがどのレベルにあるのか」を客観的に、そして正確に把握できます。

    それと同時に「次にどのスキルを、どのレベルまで身につければ、どのような役職や役割を目指せるのか」という、未来へのキャリアパスが明確になります。

    これは、社員にとって自身の成長の道筋を示す、霧の中の航海を照らす羅針盤のようなものです。

    目指すべきゴールが具体的になることで、日々の学習へのモチベーションが向上し、自律的にスキルアップを目指す文化が醸成されます。

    また、上司と部下が定期的に行う1on1ミーティングの際にもスキルマップは絶大な効果を発揮します。

    共通の物差しがあることで、感覚的なフィードバックではなく「君の強みであるこのスキルのレベルを2から3に上げるために、次の半期はこのプロジェクトに挑戦してみよう」といった、具体的で建設的な対話が可能になり、信頼関係の構築にも繋がるのです。


    4-2. 採用基準を明確化し、求めるデジタル人材とのミスマッチを防ぐ


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    人材育成と並んで、スキルマップが大きな力を発揮するのが、企業の将来を左右する採用活動の場面です。

    多くの企業が抱える採用の悩みの一つに、、入社後に期待したパフォーマンスを発揮できない、あるいは早期に離職してしまうといった「ミスマッチ」があります。

    このミスマッチは、採用基準が曖昧なことに起因するケースが少なくありません。

    スキルマップを活用すれば「自社が今、このポジションで、本当に必要としている人材」のスキル要件を、誰が読んでも誤解の余地がないほど具体的に定義できます。

    例えば、求人票に「コミュニケーション能力が高い方」と抽象的に書く代わりに「クライアントとの折衝や要件定義を行うステークホルダー調整スキルがレベル3以上、かつ、役員向けのプレゼンテーションスキルがレベル3以上の方」と記載することができます。

    これにより、応募者は自身がその要件に合致するかを正確に判断しやすくなり、企業側も面接で確認すべきポイントが明確になります。

    結果として、採用の精度が飛躍的に向上し、入社後の「思っていたのと違った」という不幸なミスマッチを未然に防ぐことにつながるのです。


    スキルマップ導入を成功に導くための次の一手

    ここまで、スキルマップの作成から活用までの一連の流れをご理解いただけたかと思います。

    最後に、この取り組みを成功に導き、一過性のイベントで終わらせないための「次の一手」について考えてみましょう。

    スキルマップは、一度作ったら永遠に使える魔法の道具ではありません。

    市場やテクノロジーの変化、そして自社の事業戦略の見直しに合わせて、定期的に内容をアップデートしていく「生き物」のようなツールです。

    また、これからスキルマップ作成に挑戦するという企業にとっては、すでに成功している他社の事例を参考にしたり、便利なテンプレートを活用したりすることで、よりスムーズに、かつ効果的に導入を進めることができます。

    ここでは、スキルマップ運用を成功に導き、形骸化させないための具体的なヒントをご紹介します。

    これらのポイントを押さえることで、あなたの会社のスキルマップは、常に現状に即した実践的なツールとして機能し続けるでしょう。


    5-1. 他社の成功事例から学ぶスキルマップ運用のコツ

    スキルマップを自社に導入し、そして効果的に運用していく上で、すでに成功を収めている他社の事例から学ぶことは非常に有効なアプローチです。

    例えば、ある大手IT企業では、スキルマップを人事評価制度と完全に連動させるという大胆な施策を実行しました。

    具体的には、スキルマップで定義されたスキルレベルの向上が、昇給や昇格の直接的な要件となる仕組みを構築したのです。

    これにより、社員のスキルアップに対する意識が飛躍的に高まり、全社的なリスキリング(学び直し)の動きが加速したといいます。

    また、別の製造業の会社では、半年に一度、各部門の責任者が一堂に会し、事業戦略の変更点や市場のトレンドに合わせてスキルマップの項目を見直す「スキルマップ定例会議」を制度化しています。

    これにより、スキルマップが常にビジネスの最前線のニーズと一致し、陳腐化することなく活用され続けているのです。

    これらの先進的な事例からわかるように、評価制度と連動させる、定期的に見直すといった「運用ルール」をあらかじめ明確に定めておくことが、スキルマップ導入の重要なコツと言えるでしょう。


    5-2. 何から手をつければいい?まずはご相談

    ここまでお読みいただき「ぜひ自社でもスキルマップを作って、人材育成や採用に活かしてみたい」と感じてくださった方も多いのではないでしょうか。

    しかし、いざ始めようとすると「何から手をつければいいのかわからない」「ゼロから作成するのは大変そうだ」と感じてしまうかもしれません。

    そんな方はぜひ、パーソルへご相談ください。

    本記事で解説してきた失敗しないためのポイントを網羅し、ダウンロード後すぐに実務で使える「スキルマップのテンプレート(Excel形式)」をご用意しています。

    このテンプレートには、DX推進部門やマーケティング部門といった職種別のスキル項目例もあらかじめ入力されているため、自社の状況に合わせて少しカスタマイズするだけで、すぐにスキルマップの作成をスタートできます。

    スキルマップ作成という大きな一歩を踏み出し、貴社のデジタル人材育成を加速させるために、ぜひこの機会をご活用ください。

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