なぜ今カスタマーサクセスが重要?注目される背景とその役割
近年、多くのビジネスシーンで「カスタマーサクセス」という言葉を耳にする機会が、急速に増えてきました。
これは、単なる一時的な流行ではなく、ビジネスのあり方そのものが大きく変化していることに伴う、いわば必然的な流れといえるでしょう。
特に、ソフトウェア業界などを中心に広がりを見せている「サブスクリプションモデル」が主流になったことが、その大きな背景として挙げられます。
従来の「売り切り型」のビジネスモデルでは、一度製品を販売してしまえば、企業と顧客の関係はそこで一段落していました。
しかし、サブスクリプションモデルでは、顧客がサービスを「使い続けてくれる」ことこそが、企業の収益を支える生命線となります。
なぜなら、顧客はサービスの価値を感じられなくなれば、いつでも簡単に解約できてしまうからです。
そのため、企業側から積極的に顧客に働きかけ、顧客が「成功」を体験できるように支援する「カスタマーサクセス」の役割が、今まさに注目を集めているのです。
顧客の成功を自社の成功と捉え、能動的に関わっていく姿勢こそが、現代のビジネスを勝ち抜くための鍵となります。
1-1. カスタマーサクセスとは?従来のサポートとの決定的な違い
カスタマーサクセスと聞くと、これまでの「カスタマーサポート」と同じような役割をイメージされる方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、この二つの役割は、その目的や姿勢において根本的に異なっています。
従来のカスタマーサポートは、顧客からの問い合わせやクレームといった問題が発生した後に、それに対応する「受動的」な活動が中心です。
いわば、問題が起きてから鎮火にあたる「火消し」のような役割と表現できるでしょう。
一方で、カスタマーサクセスは、問題が起きる前に先回りして顧客に能動的に働きかけ、顧客が掲げる目標の達成を一緒に目指していく「能動的」な活動を行います。
転んでしまった人に手を差し伸べるのがカスタマーサポートだとすれば、転ばないように一緒に歩き、目的地まで安全にたどり着けるよう伴走するのがカスタマーサクセスです。
このように、顧客の成功を自社の成功と直結させ、課題解決に向けて積極的に関与していく「攻めの姿勢」こそが、従来のサポートとの決定的な違いといえるでしょう。
顧客のビジネスに深く入り込み、成功への道のりを共に歩むパートナーとしての役割を担っているのです。
1-2. サブスクリプション時代に不可欠な「攻めの顧客支援」
月額課金制などのサブスクリプションモデルが普及した現代において、顧客の価値観は製品を「所有」することから、サービスを「利用」することへと大きくシフトしています。
これは、裏を返せば、顧客が現在利用しているサービスに満足できなければ、より魅力的で優れた代替サービスへ簡単に乗り換えられる時代になったことを意味します。
この厳しい競争環境の中で企業が生き残り、成長を続けていくためには、ただ顧客からの連絡を待っているだけの受け身の姿勢では到底不十分です。
そこで極めて重要になるのが、カスタマーサクセスによる「攻めの顧客支援」という考え方です。
具体的には、顧客が本来の目的を達成できているか、表には出てきていない潜在的な課題を抱えていないかをデータに基づいて把握し、解決策を提案していく必要があります。
このような能動的な働きかけを通じて顧客満足度を継続的に高め、サービスの解約、いわゆる「チャーン」を防ぐことが、安定した収益基盤を築く上で何よりも重要になります。
この「攻めの支援」こそが、顧客との長期的な信頼関係を構築し、結果としてビジネスを力強く成長させる原動力となるのです。
カスタマーサクセスが担う具体的な4つの役割
カスタマーサクセスは、単に顧客と良好な関係を築くという漠然とした活動ではありません。
企業の成長に直接的に貢献するための、非常に具体的で多様な役割を担っています。
その活動は多岐にわたりますが、ここでは特に重要となる4つの具体的な役割について、一つひとつ詳しく解説していきます。
重要なのは、これらの役割がそれぞれ独立して機能するのではなく、互いに密接に連携し合うことで、最終的に自社の収益向上へと繋がっていくという点です。
これからご紹介する「オンボーディング支援」「利用促進」「フィードバック」「アップセル・クロスセル」という4つの活動が、いわば屋台骨となるといえるでしょう。
特に、組織全体の売上向上に責任を持つ営業責任者の方にとっては、これらの役割を深く理解することが、より強固な営業戦略を立案する上で非常に重要な鍵となります。
2-1. 顧客の成功体験を創出するオンボーディング支援
「オンボーディング」とは、顧客がサービスを契約してから、そのサービスをスムーズに活用して価値を実感し始めるまでの、重要な初期段階を支援するプロセスのことです。
飛行機が離陸して安定飛行に入るまでの期間をイメージすると分かりやすいかもしれません。
この最初のステップで顧客がつまずいてしまうと、サービスの真の価値を理解できないまま利用を断念してしまい、早期解約に繋がる可能性が非常に高まります。
カスタマーサクセスは、この極めて重要な期間において顧客に徹底的に寄り添い、顧客が目指すゴール達成に向けた活用プランの立案などを通じて、滑り出しをサポートします。
その目的は、単なる機能説明に留まらず、顧客自身の最初の成功体験、いわゆる「ファーストサクセス」を得られるように導くことです。
このオンボーディングの成功が、その後の長期的なサービス利用と高い顧客満足度の基盤を築く上で、最も重要な役割の一つといっても過言ではありません。
2-2. 解約率を改善しLTVを最大化する利用促進
顧客にサービスを契約してもらった後も、そのサービスが継続的に活用されなければ、企業にとっての価値は生まれません。
そこでカスタマーサクセスの役割の一つとなるのが、顧客のサービス利用状況をデータに基づいて詳細に分析し、活用が滞っている顧客に対して働きかける「利用促進」です。
これは、ただ「使ってください」とお願いするのではなく、顧客がサービスの価値を再発見できるような手助けをすることです。
例えば、あまり使われていない便利な機能の使い方を紹介したり、あるいは定期的なオンラインセミナーを開催して新たな活用法を提案することが考えられます。
こうしたきめ細やかな活動を通じて、顧客がサービスの価値を再認識し、より深く活用してくれるよう促すことで、サービスの解約を防ぎます。
結果として、一人の顧客が取引期間を通じて企業にもたらす総利益を最大化することに繋がり、企業の安定的かつ持続的な収益成長に大きく貢献するのです。
2-3. 顧客の声を製品・サービス改善へ繋げるフィードバック
カスタマーサクセスは、日々の業務を通じて顧客と最も近い距離でコミュニケーションを取る部門です。
そのため、顧客からの感謝の言葉だけでなく、サービス改善のヒントといった、非常に貴重な「生の声」を最も多く集めることができる特別な立場にあります。
この役割は、単に顧客の要望を聞く「御用聞き」で終わるものでは決してありません。
集めたたくさんの顧客の声を体系的に分析し、開発部門やマーケティング部門、営業部門といった社内の関連部署に対して、的確にフィードバックすることが重要になります。
この「顧客の声→社内フィードバック→サービス改善」という流れを続けることで、サービスの品質向上に繋がり、製品の競争力を高めることができます。
顧客の声を受け止め、サービス改善に活かしていくサイクルを確立することは、顧客満足度を高め、市場における自社の優位性を築くための鍵となる、戦略的な活動なのです。
2-4. 優良顧客との関係強化によるアップセル・クロスセルの創出
カスタマーサクセスが顧客の成功を能動的に支援し、ビジネスパートナーとしての深い信頼関係を築くことができると、そこから新たなビジネスチャンスが自然と生まれてきます。
顧客のビジネスが成長し、新たな課題が見えてきたタイミングで、より機能が豊富な上位プランを提案する「アップセル」や、関連する別のサービスを提案する「クロスセル」の絶好の機会が訪れるのです。
ここで重要なのは、これが無理な売り込みとは全く異なるという点です。
あくまで顧客のさらなる成功を後押しするための、コンサルティングに近い価値ある提案活動なのです。
例えば「お客様のビジネスが拡大し、現在のプランではデータ容量が足りなくなってきていますね。こちらのプランにアップグレードすれば、より大規模なデータ分析が可能になり、次の戦略立案に役立ちますよ」といった形です。
こうした顧客の利益に繋がる提案が受け入れられることで、結果として顧客単価が向上し、企業の売上拡大に直接的に貢献します。
顧客の成功が自社の売上増加に繋がるという、まさに理想的な成長サイクルを生み出すことが、カスタマーサクセスの重要な役割の一つです。
営業責任者必見!カスタマーサクセス導入がもたらす経営メリット
カスタマーサクセスは、決して従来の顧客サポートの延長線上にある活動ではありません。
企業の収益構造そのものを強化し、持続的な成長を実現するための、極めて重要な「経営戦略」です。
特に、営業組織全体の成果に責任を持つ営業責任者の方にとって、カスタマーサクセス部門を本格的に導入・強化することは、計り知れないほどの大きなメリットをもたらします。
なぜなら、これまでの新規顧客の獲得を中心とした営業活動に加えて、既存顧客の維持と育成という、もう一つの太い収益の柱を組織内に確立できるからです。
ここでは、カスタマーサクセスがもたらす3つの大きな経営メリット「収益基盤の安定化」「予測可能な事業成長」「ブランド価値の強化」について、詳しく解説していきます。
これらのメリットを深く理解することで、カスタマーサクセスへの投資がなぜ「コスト」ではなく、未来への「戦略的投資」なのかが明確になるはずです。
3-1. 解約率(チャーンレート)低減による収益基盤の安定化
ビジネスの世界には、新規顧客を1人獲得するためにかかるコストは、既存顧客を1人維持するためのコストの5倍もかかるという「1:5の法則」として広く知られる経験則があります。
この法則が示す通り、いかにして既存の顧客にサービスを長く使い続けてもらうかが、効率的な経営を実現する上での大きな鍵を握っているのです。
カスタマーサクセスは、顧客がサービスの価値を引き出せるように支援することで、顧客満足度を高め、サービスの解約率を大幅に低減させる直接的な効果があります。
このチャーンレートが低ければ低いほど、毎月の収益予測が格段に立てやすくなり、売上の土台がどっしりと安定します。
これは、常に新規顧客の獲得数に一喜一憂するような不安定な経営状態から脱却し、計画的で安定した収益基盤を築く上で、極めて重要なメリットといえるでしょう。
盤石な収益基盤があるからこそ、営業組織の拡大や新製品開発といった、未来への新たな戦略的投資も安心して行うことが可能になるのです。
3-2. 顧客単価の向上と予測可能な事業成長の実現
カスタマーサクセスの真価は、解約を防ぐという「守り」の側面だけにとどまりません。
顧客との強固な信頼関係を基盤として、アップセルやクロスセルといった新たな収益機会を創出する「攻め」の側面も非常に重要です。
顧客のビジネスに貢献し続けることで、顧客自身が気づいていない新たなニーズを引き出し、顧客から得られる平均的な収益、いわゆる顧客単価を向上させることができます。
カスタマーサクセスが目指す理想的な状態の一つに、解約によって失われる収益を、既存顧客からの売上増加分が上回る「ネガティブチャーン」を達成することがあります。
これが実現できれば、極端な話、たとえ新規顧客の獲得がゼロだったとしても、事業全体が成長し続けるという、非常に強力な成長モデルを構築できるのです。
営業責任者にとっては、将来の収益を予測できるようになるため、事業計画の立案や投資判断などをより的確に行えるようになるという、メリットがあります。
3-3. 顧客ロイヤルティ向上によるブランド価値の強化
自社のサービスを通じて、ビジネスが成功するという体験をした顧客は、サービスの「利用者」から、そのサービスや企業に対して信頼を寄せる「ファン」へと変化していきます。
このような顧客ロイヤルティの向上は、カスタマーサクセスがもたらす、金銭的価値だけでは測れない非常に大きなメリットです。
ロイヤルティの高い顧客は、自身の成功体験を同業者や知人、SNSなどで語ってくれる「エバンジェリスト」のような役割を果たしてくれることがあります。
利用者による好意的な口コミや紹介は、企業が発信するどんな広告よりも信頼性が高く、質の高い新規顧客を自然と呼び込む、極めて強力なマーケティングチャネルとなります。
その結果、多額の広告宣伝費をかけずとも、企業のブランドイメージや市場における信頼性が着実に向上し、競合他社に対する明確な優位性を確立することに繋がるのです。
顧客の成功が、新たな顧客を呼び込むという好循環を生み出す力こそ、カスタマーサクセスの隠れた価値といえるでしょう。
失敗しないカスタマーサクセス組織の立ち上げ方
カスタマーサクセスの重要性を理解し、いざ自社でも導入しようと考えても「具体的に何から手をつければ良いのか分からない」と悩んでしまう営業責任者の方は少なくありません。
戦略なき状態で組織を立ち上げてしまうと、成果が出ずに活動が形骸化してしまったり、単なるクレーム対応部署になってしまったりするケースも残念ながら見受けられます。
本当に成果の出るカスタマーサクセス組織を構築するためには、戦略的な視点と計画的なステップを踏むことが不可欠です。
ここでは、組織立ち上げで失敗しないためのポイントとして「重要指標の設定」「人材要件と育成」「専門家の知見の活用」という3つの切り口から、進め方を解説します。
これらのポイントを一つひとつ着実に押さえることで、成果の出るカスタマーサクセス組織をスムーズに立ち上げ、企業全体の成長を力強く加速させることができるでしょう。
4-1. 最初に決めるべき重要指標(KGI/KPI)の設定方法
カスタマーサクセス組織の活動を正しく導き、その成果を客観的に評価するためには、活動の羅針盤となる指標の設定が何よりも重要です。
やみくもに活動を始めるのではなく、まず、組織が最終的に目指すべきゴールとして「KGI(重要目標達成指標)」を明確に定めます。
これには一般的に「解約率」の低減や「LTV」の最大化、あるいは既存顧客からの売上成長率を示す「NRR」などが設定されることが多いです。
次に、その大きなゴールであるKGIを達成するための中間目標として、日々の活動に直結する「KPI(重要業績評価指標)」を具体的に設定していきます。
例えば「オンボーディング完了率」や「サービスの利用率」「アップセル・クロスセルの件数や金額」、さらには顧客満足度を測る「NPS」といった指標が考えられます。
自社のビジネスモデルや企業の成長フェーズに合わせて、どの指標を最優先で追いかけるのかを定義することが、組織全体を一つにまとめ、成果に繋げるための第一歩なのです。
4-2. 成果を出すチームに必要な人材要件と育成のコツ
カスタマーサクセスは、顧客が抱えるビジネス上の課題を深く理解し、自社のサービスを活用してその解決に導くという、高度なスキルが求められる専門職です。
そのため、顧客の課題や悩みに心から共感する力、課題の本質を見抜いて的確な解決策を提示する力、社内の開発部門と連携するためのコミュニケーション力が必要になります。
採用時にはこれらの素養を持つ人材を見極めることが重要ですが、それと同時に、入社後の育成体制をしっかりと整えることも欠かせません。
例えば、顧客データの分析スキルを向上させるためのトレーニングを実施したりするなど、メンバーが継続的に学び、成長できる環境を作ることが大切です。
個々のメンバーのスキルアップが、チーム全体のパフォーマンス向上に直結し、それが顧客の成功体験の質を高め、最終的に成果を出す強い組織の土台となっていくのです。
4-3. カスタマーサクセス専門家の知見で組織立ち上げを加速
カスタマーサクセス組織の立ち上げやその後の強化は、企業にとって未知の領域であり、自社のリソースだけで進めてしまうと、時間や人材を浪費してしまうリスクが伴います。
もし、確実かつスピーディに成果の出る組織を構築したいとお考えであれば、外部の専門家が持つ豊富な知見や成功ノウハウを活用することも、非常に有効な選択肢の一つです。
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カスタマーサクセスはもはや待ったなしの経営課題です。
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